IELTSのテスト概要と採点基準、スコア比較


IELTSの試験問題の構成やスコアの算出方法について徹底解説。
初めてIELTSを受験する方や、目標スコアに向けて改めておさらいをしたい方もぜひご参考ください。

今日は、IELTSのテストの試験問題がどのようなものであるか、またスコアはどのように算出されるかということについて、解説したいと思います。
IELTSを初めて受験される方や、IELTSを何度か受けて思ったスコアが出ないという方は是非とも一読してみてください。IELTSの試験についての理解が深まると思います。
また、後半では、IELTSのスコアを他の試験の結果と比較していますので、参考にしてくみてください。

IELTSのテストはどういう構成に
なっているの?

IELTSは、1日(試験会場によっては、スピーキング試験のみ別日になる可能性がある)で4技能の試験を行います。各試験の問題数や試験時間は以下のようになっています。

セクション 問題数 試験時間
Listening(リスニング) 40問 40分
Reading(リーディング) 40問 60分
Writing(ライティング) 2問 60分
Speaking(スピーキング) 11~14分

試験の時間だけで、約170分程度あるため、待ち時間などを含めると4時間くらい必要になってきます。各セクションをどのようなペース配分で進めて行くかも、集中力が続くかどうかで大変重要な要素です。

各セクションの順番は、コンピューター受験とペーパー受験で異なります。スピーキング試験については、各テストセンターによって、試験当日に受けられる場合と、別日に受験する場合とがあります。必ず試験を申し込む際に確認をしてください。

1番目 2番目 3番目
コンピューター受験 リスニング リーディング ライティング
ペーパー受験 ライティング リーディング リスニング

コンピューター受験とペーパー受験

コンピューター受験

IELTSは、コンピューター受験(Computer-delivered IELTS 通称CDI)とペーパー受験の2種類が実施されています。どちらの形式で受験しても、試験問題は同一です。
違いとしては、紙に回答を書き込むか、コンピューターに打ち込んで回答するかの点のみです。スピーキング試験については、どちらの形式を選んでもネイティブの試験官と対面での面接というのは変わりません。
もう1つの違いは、試験結果が出るタイミングの違いです。ペーパー受験の場合、受験日から13日後。コンピューター受験の場合、受験日から5日後にネットで確認できます。少しでも早くスコアが欲しいということであれば、コンピューター受験の方が早く結果がでます。

それでは、IELTS試験の各セクションについて、詳しくみていきたいと思います。

IELTSリスニング試験

リスニングセクションの概要解説

毎回、必ず4つのセクションで構成されています。問題数は、40問(各セクション10問)で正答数に応じてバンドスコアが算出されます。

スコア 9.0 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5 6.0 5.5 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0
正解数 39-40 37-38 35-36 32-34 30-31 26-29 23-25 18-22 16-17 13-15 10-12 8-9 6-7 4-5 3

※表を右にスクロールできます

スコア6.0を目指す場合、正解は23-25問必要です。逆を言うと、15-17問は間違えても良い訳です。

ペーパー受験の特長

  • ■ 問題用紙に終始書き込み可能で、採点にも含まれません。
  • ■ 回答を書き写す時間が10分間設けられている。
  • ■ 読めない字は、×になる。
  • ■ テスト日が限られる。木曜(月1回)・土曜(月3回)、年開最大48回実施。

コンピューター受験の特長

  • ■ ヘッドホンを使って音声を聴くことが出来る。→ペーパー受験は大会場にスピーカーで再生するのでどうしても周囲の雑音が気になる。
  • ■ 回答を書き写す時間は2分間設けられている。
  • ■ ほぼ毎日実施している。

ヘッドセットでリスニングの音声を聴くことができるということは非常に有益であるので、コンピューターのタイピングが苦手などの特別な事情がない限り、コンピューター受験がおススメです。

リスニング試験の問題形式

リスニング試験

リスニング試験では、ネイティブスピーカーによる、会話やモノローグが約30分流れます。その音声を聴きながら、問題に解答していきます。セクション1,2では日常生活が舞台になっており、銀行口座を開く場面やレストランを探す場面、目的地までの生き方や書類記入の説明などという、トピックが出題されます。
セクション3,4では大学での生活が舞台になっており、学生同士の授業内容についての話や、教授による大学講義の内容などが、理系・文系問わず出題されます。

上記音声を聴きながら、答えていく問題については、大きく分けて4つの形式があります。

  • ■ ギャップフィリング(穴埋め形式)
  • ■ マッチング問題
  • ■ マルティプルチョイス
  • ■ 地図形式

各問題の詳しい解説は、ブログの方で解説しています。

ここでは、苦手な人は大嫌いな地図形式について解説します。

リスニング試験の難所・地図形式

問題内に簡単な地図が掲載されていて、音声で紹介される施設が、地図内のどの施設に当てはまるのかを答える問題です。
この形式では、使われている英語が難しいというより、地図のどの部分の話かを置いていかれてしまって、パニックになってしまうという側面が強い気がします。

事前にIELTSナンバーシリーズを使って、同様の問題に慣れておけば、冷静に対処できると思います。

リーディング試験

リーディング試験の概要解説

リーディング試験では、毎回3つの長文・パッセージが出題されます。1パッセージは約900ワード程度ですので、全体で2700ワード位を読んでいくことになります。パッセージの内容は、医学や生物学、地質学などの自然科学系のもの、ビジネス、歴史、哲学分野と非常に幅広いジャンルから出題されます。それぞれの長文に対して、13または14問が出題されて、全体で40問設問があります。

スコア 9.0 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5 6.0 5.5 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0
正解数 39-40 37-38 35-36 33-34 30-32 27-29 23-26 19-22 15-18 13-14 10-12 8-9 6-7 4-5 3

※表を右にスクロールできます

こちらもリスニング試験と同じように、目標スコア6.0と設定するのなら、23-26問の正答数があれば、スコアを取得できます。

リーディング試験においては、ペーパー受験、コンピューター受験の差は、リスニング試験ほどは大きな違いはありません。

リーディング試験の問題概要

リーディング試験

リーディング試験では、問題用紙の頭の部分に、各パッセージは20分で解いた方が良いという目安が書いてあります。しかし、実際にはきっちり3等分する必要はなく、あくまで全体で1時間に収まっていればOKです。
IELTSリーディング試験では出題される問題形式は以下5つです。

  • ■ TRUE/FALSE/NOT GIVEN
  • ■ マルティプルチョイス
  • ■ ヘディング問題
  • ■ マッチング問題
  • ■ 穴埋め問題

各問題の詳しい解説はブログで解説しています。

ここでは、IELTS独特な問題形式、TRUE/FALSE/NOT GIVEN問題について解説していきます。

IELTS特有のTRUE/FALSE/NOT GIVEN問題

長文で述べられていることと、問題文に記載されていることが一致していればTRUE、矛盾していればFALSEというのは一般的なテストでも見かける問題形式です。IELTSで特有なのは、NOT GIVENです。
このNOT GIVEはIELTS特有でかつ、最後まで苦戦する人が多い部分です。その話題には触れておらず、長文を読んだだけではTRUEともFALSEとも判断がつかないものがNOT GIVENです。文字で見るだけでは簡単だとおもうかもしれませんが、実際に問題と相対するとその手ごわさを実感できると思います。

スピーキング試験

スピーキング試験の問題概要

IELTSのスピーキング試験の大きな特徴は、試験官との1対1の面談形式だということです。この試験官との面談形式は、ペーパー受験、コンピューター受験のどちらを選んでも同じ形式です。
試験官はネイティブスピーカーが担当します。そのため、普段からネイティブスピーカーと話す機会のない人は、事前に練習することをおススメします。
スコアの採点は、当日担当した試験官によって、以下の採点基準で採点されます。

  • ■ fluency & coherence(流暢さ、一貫性)
  • ■ lexical resource(語彙力)
  • ■ grammatical range(文法力)
  • ■ pronunciation(発音)

上記4つの採点項目についての詳しい解説はブログに記載しています。こちらで、ご覧ください。

スピーキング試験の問題形式

スピーキング試験

スピーキング試験は、以下の3パート構成となっています。

  • ■ Part1 自分の故郷や趣味など一般的な質問があるパート
  • ■ Part2 スピーチのパート
  • ■ Part3 質疑応答のパート

Part1 自分の故郷や趣味などの質問パート

Part1は、最も一般的なパートで、自分の故郷や趣味など比較的にジェネラルな質問が続きます。質問数はその時により異なりますが、4問程度と思っておきましょう。

Part2 スピーチのパート

Part2は、問題(通常あるトピックに関し4問)が書かれたカードを1分間見せられます。
例)あなたが最近購入して後悔しているものについて語ってください。

  • ■ それは何でしたか?
  • ■ いつ購入しましたか?
  • ■ 何の目的で購入しましたか?
  • ■ なぜ後悔していますか?

与えられた1分間の間に、メモを取りながら自分の解答を用意します。時間が来たら、問題のカードと自分のメモから1分から2分程度でスピーチを発表します。基本的に試験官は喋らず聞いているだけのパートになりますが、スピーチが終わった後に、2・3つスピーチに関連した内容の質問を聞いてきます。

Part3 質疑応答のパート

Part3では、Part1と同じく質疑応答のパートです。試験官の質問に答えて行きましょう。Part1と大きく違うのは、質問の難易度です。かなり突っ込んだ抽象的な内容を聞かれます。

  • 例:最近の消費主義は行き過ぎているという意見もあるがどう思いますか?
  • 例:多くの物を所有していることが将来も成功者の証しだと認識されると思いますか?

IELTSが求める自然な英語と暗記

IELTSのスピーキングセクションにて、7.0以上のスコアを取得しようとすると、求められるのが「ネイティブから見て自然な英語か」という点です。IELTSは、英語のネイティブから見た英語ができる人が満点を取れるように試験を構築しています。
そのため、非常に高度な文法を使い、難しい単語を一生懸命覚えてスピーチしても、残念ながら、満点(9.0)は出ません。大事なのは、ネイティブから見て自然な英語が話せるかどうかです。

また、IELTSは暗記にとても厳しい試験です。難しい単語やイディオム、文法を披露しても、それが暗記したものと試験官に認定されると、スコアに全く評価されないということも発生します。普段から、暗記に頼らない勉強方法をとることがとても大切です。

ライティング試験

ライティング試験の概要解説

IELTSのライティング試験は、タスク1とタスク2で2問出題され、試験時間は60分です。
タスク1は、視覚的に提示されている情報を、最低150ワード以上を20分以内でまとめるという形式です。タスク2は、出題された問題に対して、自分の意見を論じるエッセイの形式です。250ワード以上を40分以内でまとめるという目安が提示されています。
20分、40分という時間があくまで目安であるのは、リーディング試験と同様です。

他のセクションに比べて、問題数が少なく簡単なのでは?と思われたかもしれません。ですが、全くの白紙の答案用紙に、自分の言葉で1から回答を作っていくという作業は、想像以上に難しいものです。

ライティングの採点基準は、タスク1・2ともに大きく4つのポイントがあります。

  • ■ Task Achievement/Task Response(問題で聞かれたことに正しく答えているか)
  • ■ Coherence and Cohesion(論理的な展開で分かりやすく話が展開されているか)
  • ■ Lexical resource (幅広い語彙力)
  • ■ Grammatical Range and Accuracy(時制が「正確に」使えているか)

ライティング試験の問題形式

ライティング試験

タスク1の問題形式

  • ■ データをまとめる形式
  • ■ 地図についてまとめる形式
  • ■ 工程・サイクルを説明する形式

タスク2の問題形式

  • ■ Aという考えにあなたはどの程度賛成か反対か
  • ■ AとBという考えがある、両方の論点を論じ、且つ自分の意見を述べよ
  • ■ あるトピックに対し、2つの問いがなされる形式

これらの問題に対して、どのように対策を行っていくかについてはブログに記載していますので、こちらをご覧ください。

パラグラフ・ライティング

IELTSのライティングで最初のハードルになるのが、段落分けです。IELTSでは、パラグラフ・ライティングというスタイルで文章を執筆していくことになります。日本では、パラグラフ・ライティングという言葉をあまり聞いたことがない方もいらっしゃるかもしれませんが、欧米では広く使われている文章の書き方です。

バークレーハウスの授業でも、ライティングの1回目の授業は、パラグラフ・ライティングの説明からスタートします。パラグラフ・ライティングの詳しい解説はブログに記載してありますので、詳しくはこちらでご確認ください。

IELTSのスコア

IELTSのスコアは、満点である9.0から非受験者である0までを0.5刻みで表します。聞く(Listening)、読む(Reading)、話す(Speaking) 、書く(Writing)の各技能のスコアと平均スコアOA(Over all)スコアがでます。

タイトル 詳細
9.0 エキスパートユーザー 英語を自由自在に使いこなす能力を有する。適切、正確、流暢、完全な理解力もある。
8.0 非常に優秀なユーザー 不正確さや不適切さがみられるが、英語を自由自在に使いこなす能力を有している。
慣れない状況下では誤解が生ずる可能性もある。込み入った議論にも対応できる。
7.0 優秀なユーザー 不正確さや不適切さがみられ、また状況によっては誤解が生ずる可能性もあるが、英語を使いこなす能力を有する。
複雑な言葉遣いにも概ね対応でき、論理を理解出来る。
6.0 有能なユーザー 不正確さ、不適切さ、誤解もみられるが、概ね効果的に英語を使いこなす能力を有する。
特に、慣れた状況下では、かなり複雑な言葉遣いの使用と理解ができる。
5.0 中程度のユーザー 不完全だが英語を使う能力を有しており、ほとんどの状況でおおまかな意味を把握することができる。
ただし、間違いを犯すことも多い。自身の専門分野では、基本的なコミュニケーションを取ることが可能。
4.0 限定的なユーザー 慣れた状況においてのみ、基本的能力を発揮できる。理解力、表現力の問題が頻繁にみられる。
複雑な言葉遣いはできない。
3.0 非常に限定的なユーザー 非常に慣れた状況において、一般的な意味のみを伝え、理解することができる。
コミュニケーションの断絶が頻発する。
2.0 散発的ユーザー 慣れた状況下で、その場の必要性に対処するため、極めて基本的な情報を片言で伝える以外、現実的なコミュニケーションをとることは不可能。
英語の会話や文章を理解することは困難である。
1.0 非ユーザー 単語の羅列のみで、基本的に英語を使用する能力を有していない。

各スコアのレベルについては、上記に記載してあるとおり、概ね6.0を超えると英語の4技能を使いこなし、適切なコミュニケーションが取れると言われています。その証拠に、多くの大学で、留学生を受け入れる際のIELTSスコアを6点台に設定しています。

IELTSスコアの算出方法

リスニングとリーディングについては、正答数に応じてスコアが算出されます。スピーキングとライティングについては、採点ポイントごとにスコアが算出され、それを平均して最も近い0.5単位に切り捨てとされます。

ライティングでのスコア算出の例

Task Achievement 5.0
Coherence and Cohesion 6.0
Lexical resource 7.0
Grammatical Range and Accuracy 5.0
合計 23

23÷4 = 5.755.5

上記、4つのスコアを合計すると、23となり、4で割ると、5.75となりますが、ライティングとスピーキングのスコア算出時は、切り捨てになりこの場合は、5.5となります。

OAスコアの算出の例

リスニング(Listening) 6.5
リーディング(Reading) 6.0
スピーキング(Speaking) 5.0
ライティング(Writing) 5.5
合計 23

23÷4 = 5.756.0

上記の各技能のスコアを合計すると、23となり4で割ると5.75となります。OAの場合は最も近い0.5単位に切り上げることになるので、OA6.0となります。

IELTSスコアと他試験のスコア比較

IELTSのスコア算出方法が分かりましたので、次はIELTSのスコアは、他の試験と比較してどのくらいのスコアなのかを記載したいと思います。

IELTS 9.0 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5 6.0 5.5 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0
TOEFL iBT 118-120 115-117 110-114 102-109 94-101 79-93 60-78 46-59 35-45 32-34 -31
TOEIC 970-990 870-970 820-870 740-820 600-740 550-600 500-550 450-490 300-440 291-299
英検 1級 準1級 2級 準2級 3級
CEFR C2 C1 B2 B1

※表を右にスクロールできます

こちらの換算表はあくまでも目安と思ってください。TOEICについてはそもそも2技能(リスニング、リーディング)の試験で、スピーキングやライティングの実力は反映されていません。また、各テストそれぞれで、細かな採点基準が異なるためです。 ただし、IELTS、TOEFL、英検については概ね本人の総合的な英語力が正しく反映されているので、英検準1級の方が、IELTSを受けたからといってスコアが1段階、2段階上がるということはありません。あくまでも、自身の英語力で獲得できるスコアの範囲内で、スコアが上下するということはあります。IELTSをおススメする理由は、これら英語試験の中で総合的な英語力が一番スコアに反映されると思っているからです。

  • IELTS

    70%

    30%

  • TOEFL

    60%

    40%

  • TOEIC

    20%

    80%

  • 総合的な英語力
  • 試験独自のテクニック

上記の表は、弊社が独自に算出した表にです。各試験でどれだけ固有の試験対策が必要になるかを示しています。IELTSの場合、70%が総合的な英語力となるので、抜本的にスコアアップをするためには、総合的な英語力を伸ばしていく必要があります。逆にTOEICの場合は、試験独自のテクニックが80%もあるので、英語力とは無関係なTOEIC対策を専門的に学習する必要があります。

先にも記載していますが、IELTSは満点を取得するためのテストではありません。自身の英語力をいかに正確にスコアに反映させるか?が重要にです。そのため、得意な問題に時間をかけて、苦手な問題は捨てるなどの、スコアを効率的に取得するための、戦略も需要になってきます。