IELTSの学習方法
IELTSの学習をどのように進めて行くかを徹底解説。モデルケースを挙げて紹介します。
IELTSが公式に発表している母国語別のランキングによると、日本語話者のIELTS受験者平均スコアは、OA5.8と言われています。
弊社にレッスンを受けに来る生徒を見ていると「現在のスコアがOA5.0-5.5」の方が
「目標スコアOA6.0-6.5」を目指すことが多いと感じており、統計データと近しいと感じています。
ここでは、以下のようなモデルケースを想定して、実際にどのようにIELTSの自己学習を行い
スコアアップに繋げていくかを解説したいと思います。
モデルケース
- 現在スコア OA5.0
- 目標スコア OA6.0
- スコア取得期限 3か月
- IELTSスコア取得理由 大学進学(大学院)
- 通学(通勤)時間 片道45分
通学時の学習
通学や通勤にある程度の時間がある場合、その時間を有効に使って自己学習に繋げましょう。
モデルケースの場合、片道45分の時間がありますので、有効に活用します。
お勧めの学習法
1単語帳を使っての語彙力強化
まずは何といっても、基本的な語彙力は必要です。とはいえ、難解単語のようなレベルの高い単語を勉強する必要は無く、基礎レベルの単語をしっかり学習しましょう。
お勧めの単語帳
目標スコアが、6.0くらいであれば、難解な単語を使うより先に取り組むべき方法が他にも沢山あります。スピーキングやライティングで突然難しい単語を使うと、暗記をしているとみなされることがあります。暗記しているとみなされると、スコアアップが難しくなります。
試験官はどういったところで、暗記と判定するのでしょうか?
スピーキングでは、前後の文脈やスムーズさ、使っている単語のレベルなどを見ています。それまで、基礎レベルの単語を使っていたものが、突然難易度の高い単語がそこだけで出現すると「これは暗記したんだな」と試験官に目を付けられてしまいます。
ライティングの場合も同様で、1文だけ難しい単語やイディオムなどが入っていると暗記を疑われてしまいます。
OA6.0を目指すということであれば、基礎レベルの単語をしっかり学習することは必須ですが、難しい単語については必要に応じて覚えるようにしておくと、その単語を自然に使いこなすことができます。
2BBC Learning English
「BBC Learning English」は、イギリスの公共放送BBCが運営するイギリス英語の学習サイトです。その中でもお勧めなのは「6 Minute English」です。
6 Minute Englishをお勧めする理由
- ■ スピーカーの話す速さがちょうど、IELTSの試験と同レベル
- ■ 2人のスピーカーが6分程度話すので、長さ・形式ともにIELTSリスニングのSection3と同じくらい
- ■ エピソードの蓄積が相当数あるため、聴き尽くすことはまずない
- ■ 中級レベルの単語を、簡単に意味を解説しながら紹介していくので、ボキャブラリー改善にも効果的
- ■ 全てのエピソードにスクリプトが用意されていて、シャドーウィングにも対応
- ■ 最後に、登場したボキャブラリーの確認があり、聴いた内容を理解できているかチェックできる構成
- ■ ディスカッションのトピック自体の面白さ
帰宅後の学習
帰宅後についても、毎日のスケジュールを決めて計画的に学習に取り組みましょう。
あまり詰め込み過ぎると、集中力が続かないなどの弊害もあるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
平日は2時間、土日祝は3時間くらいの勉強時間を確保できると、学習効果も期待できます。
1週間の学習スケジュール
-
MON
休み
-
TUE
リーディング
2時間 -
WED
リスニング
2時間 -
THU
ライティング
2時間 -
FRI
休み
-
SAT
リスニング
スピーキング
3時間 -
SUN
リーディング
ライティング
3時間
TUE 2時間
リーディング
リーディングの学習にお勧めの教材は、ケンブリッジのナンバーシリーズです。
リーディングは、日本人が最も平均点の高いスキルになります。
日本人話者の平均スコア
- Reading6.1
- Listening5.9
- Speaking5.6
- Writing5.4
- Overall5.8
リーディングが得意ということであれば、得意なリーディングのスコアを伸ばして、苦手な技能のスコアを補うという作戦もありです。
WED 2時間
リスニング
リスニングについても、リーディングと同様にケンブリッジのナンバーシリーズがお勧めです。
本番テストの作成元である、ケンブリッジが作成している公式本です。IELTSの学習は、この公式本を使って学習するのが、王道です。
近年は、IELTSの試験対策本は海外・国内の大手出版社からかなりの数が発売されていますが、本番試験の難易度を再現できているのは、このシリーズだけです。また、IELTSの試験は試験開始から大きな変更が無いため、過去に発売されていた古いテキストを現在でも利用可能です。
このナンバーシリーズのテキストは比較的高価なので、出費を抑えたり、まだやったことのないペーパーを試したりするために、10年、20年前に発売されたテキストを購入しても全く問題ありません。
問題を解いて、間違ったところを復習するという流れを繰り返します。復習は、復習ノートを作っていくと、自分の弱点を分析して強化することができるのでお勧めです。
THU 2時間
ライティング
ライティングは自習が難しい技能です。それは、決まった正解が無い=書き方は無限大なため、これが満点の正解ですという答えが明確に定まっている訳ではないからです。
まずは、本番と同じく時間を測ってライティングを書いてみましょう。指定された時間内で定められた文字数(Task 1は最低150語、Task 2は最低250語)を書き上げるのは大変であると実感するはずです。
まずは、定められた時間内に既定の文字数以上を書けるように練習しましょう。
文字数が足りるようになってから次に気にするポイントは、書きたかったけど書けなかった表現があるはずです。それらを調べて1つ1つ丁寧に確認していきましょう。
また、周囲のお知り合いの方に、英語のネイティブな方や、英語圏で高等教育を受けた方がいらっしゃるようであれば、読んでもらうことも有効な対策です。IELTSライティングは、ネイティブが読んで自然な英語であるかということが求められるので、こういった方が周囲にいる場合は、読んでもらいアドバイスを受けるのも有効な対策です。
周囲に英語のネイティブがおらず、添削も難しいという場合は、IELTS対策のプロフェッショナルに依頼をするのが良いでしょう。
バークレーハウスでは、ライティング添削も含めILETSの4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)の対策が可能です。
SAT 3時間
リスニング
水曜日に解いたペーパーを、シャドーウィングして復習してみましょう。
シャドーウィングとは
シャドーウィングとは、英語学習の手法の1つです。ネイティブスピーカーの発音を聞いて、すぐその後を追いかけるように発音します。聞いた音声を即座に復唱するので、リスニング力とスピーキング力の強化に有効な学習法です。
シャドーウィングのやり方
- 1:音声をリスニングする
- 2:スクリプトを確認する
- 3:スクリプトを読みながら、音声を聴く
- 4:スクリプトを読みながら、音声に自分の声を重ねて発生する
- 5:音源とある程度同じ速さ、抑揚で音読できる様になれば完成
シャドーウィングの効果
- ■リスニング力の強化
- ■スピーキング力の強化
- ■語彙力の強化
- ■アクセント、発音、イントネーションをネイティブスピーカーに近づけられる
スピーキング
スピーキングは相手がいないと会話が成立しないため、自習がやりづらい技能ですが、工夫しだいでは学習可能です。
お持ちのスマートフォンに録音機能があるはずです。その録音機能を使ったスピーキング対策をやってみましょう。
練習方法
- 1:自分のスピーキングをスマートフォンに録音
- 2:録音した音声を聴いてみる
- 3:気になった箇所を調べる
- 4:発音が気になった部分を練習する
- 5:とっさに出てこなかった表現を調べて練習する
相手がいなくても、ここまでの対策は可能です。このような細かな対策を行うことでも、スピーキング力の向上は可能です。とはいえ、相手があっての会話も試したくなるものです。
一昔前は、スピーキングを試そうと思ったら、英会話学校などごく限られた場所しかありませんでしたが、オンライン英会話やカフェ英会話のように手軽にかつ安価に行うことが可能になりました。
身近にネイティブスピーカーがいない場合には、こういったスクールを活用した対策は有効です。ただし、ある一定以上のスコア(スピーキング6.0以上)を目指すのであれば、やはりIELTSを知り尽くした専門家の力を借りることをお勧めします。
SUN 3時間
リーディング
引き続き、ケンブリッジのナンバーシリーズを解いていきましょう。
その際は、本番と同じ1時間という時間で解くようにしてみましょう。3ペーパーくらい解いていくと、自分の課題や自分に合った解き方が見えてくるはずです。
また、復習ノートも有効に活用しましょう。自身の正答率や得意、不得意の把握など、復習ノートを見返すことで出来る事もあります。これらの対策も、スコアアップにつながる重要な取り組みです。
リーディングで6.0を取るには、23-26問程度の正答数が必要です。
リーディングで6.5を目指すには、27-29問の程度の正解が必要です。
IELTSの試験では、限られた時間をいかに使って戦略的にスコアを獲得するかという視点も必要になってきます。
それは、本番試験だけで無く、準備期間にも言えることです。本番試験までの限られた時間をどのように有効に使うかがスコアアップの鍵です。
ライティング
木曜に引き続き、執筆に取り組みましょう。本番試験までには、少なくても10トピックは書いて臨みましょう。
Task 1とTask 2の違いは、前述した文字数の違いの他に、配点についても異なります。
Task 2はTask 1の2倍配点があります。
どうしても本番試験の時間内にTask 1,Task 2が書き上げるのが難しいということであれば、Task 2を優先して、こちらを完璧に仕上げて、残った時間でTask 1を書くという戦略が有効な場合があります。
まとめ
IELTSは、総合的な英語力を求められる試験です。そのため、TOEICのように試験対策に特化した勉強をすれば点数が伸びるというものではありません。自身の英語力をしっかり底上げしてあげることで、初めてスコアに繋がります。
そのためには、しっかりとした勉強時間を確保して取り組んでいくことをお勧めします。
このモデルケースでは、1週間のトータル勉強時間は以下のようになります。
モデルケースの勉強時間
- 通学(通勤)往復90分 × 週5日 = 450分
- ホームワーク(平日)120分 × 週3日 = 360分
- ホームワーク(土日)180分 × 週2日 = 360分
- 合計1,170分 = 19.5時間/週
月約80時間、年間で960時間の勉強時間が確保できる計算になります。
これくらいの勉強時間を確保して、それを習慣化できるようであれば、目標スコアの達成に1歩近づけたと思います。あとは、決めたスケジュールにそって勉強を頑張るのみです。
目標スコアが達成できるよう応援しています。