IELTSとTOEFLの違いを徹底比較!どちらを受けるべき?


IELTSとTOEFLは、どちらも「英語力をはかる試験」である点には変わりありません。ここでは、「TOEFLとIELTSはどっちを受けるべきなのか」という点で迷いが生じている人のために、IELTSとTOEFLの具体的な違いを詳しく紹介します。

今日はIELTSとTOEFLの違いについて、解説したいと思います。IELTSとTOEFLは、どちらも「英語力をはかる試験」である点に変わりなく、「有効期限が2年間」で「合否ではなくスコアで英語力を判断する試験」などの共通点が数多くあります。そんなIELTSとTOEFLには、何か明確な違いはあるのでしょうか。ここでは、「TOEFLとIELTSはどっちを受けるべきなのか」という点で迷っている人のために、IELTSとTOEFLの具体的な違いをご紹介します。

英語圏への留学や移住をするなら
IELTSかTOEFLがおすすめ

IELTSもTOEFLも、国内で実施されている数ある英語民間試験のひとつです。英語の民間試験の受験にあたり、複数種類あるなかで「何を受験するべきか?」と考える時、資格やスコア取得の目的に応じて選ぶことが重要です。「自身の英語力を試してみたい」「ビジネスに活用したい」「国内進学で有利に使いたい」「留学に必要」「移住申請に必要」など様々な理由がありますね。

たとえば、日本で一番受験者数の多い英検は受験者のターゲットを限定していません。英検の設問中は日常生活や進学、仕事や旅行など様々な場面で英語を利用するシーンがあり、総合的な英語力を測定する検定とされています。日本で受験できる英語民間試験のうちスタンダードなものについて、試験の目的が各機関のHPや関連機関のHPに記載されているので確認してみましょう。

主たる英語民間試験の試験目的

TOEFL iBT 主に大学・大学院レベルのアカデミックな場面で必要とされる、英語運用能力を測定
IELTS 英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、および米国を含む英語圏の国々に留学、就労または移住を希望する人々の英語力を測定
TOEIC 英語によるコミュニケーション能力を幅広く測定
英検
(実用英語技能検定)
日常生活からアカデミック、ビジネスまで、多岐にわたる分野の英語力を測定
GTEC 現実にあったり起こりうる状況や場面において、実際に英語でコミュニケーションをとることができる力の習熟度を、客観的な尺度で測定
ケンブリッジ英語検定 「実生活のさまざまな場面で、コミュニケーションのために英語をどのように使うことができるか」を適正に評価
TEAP 大学教育で遭遇する語彙・場面・分野を想定したアカデミックな英語力を測定
TEAP CBT グローバル×IT社会を牽引する思考力・判断力・表現力を測定

※2020年9月現在

英語民間試験の受験目的を考えたときに、海外留学や英語圏への移住があがる方は、IELTS もしくはTOEFLの受験をおすすめします。どちらもグローバルスタンダードな試験であり、かつ4技能「聞く(listening)」「読む(reading)」「話す(speaking)」「書く(writing)」の英語力を証明できます。IELTSは、日本ではあまり聞き馴染みのない英語試験かもしれませんが、世界的に見ると140か国、10,000以上の機関で認定されている最もメジャーな4技能英語試験であるといえます。近年では国内大学も推薦入試やAO入試、一般入試の加点等にIELTSとTOEFLを活用しているところが多くありますね。

IELTSとTOEFLは具体的に何が違う?

IELTSとTOEFLの違いの1つとして挙げられるのは「試験が誕生した国が異なる」という点です。具体的には、TOEFLがアメリカで誕生した英語試験であるのに対し、IELTSはイギリスで誕生した英語試験となっています。生まれた国が異なる分「試験で出題される英語問題」や「試験で求められる英語力」にも微妙な差異があるのです。

このように書くと「なぜ国が違うと英語問題が異なるの?」と疑問を覚える方も少なくないでしょう。端的に言えば、アメリカ英語とイギリス英語とでは同じ言葉でも発音やスペルが異なるケースが多く、英語の試験においてもその傾向が反映されているのです。日本国内でも方言や訛りが存在するように、地域によって言葉の使われ方が変化するのは、どこの国でも同じことが言えます。

TOEFLはアメリカ英語で、IELTSはイギリス英語と覚えておくと良いかもしれません。

ただし、TOEFLの問題はアメリカ英語しか出題されないのに対し、IELTSはイギリス英語を中心としつつも、その他様々な国で使われる英語が出題される傾向があります。出題傾向で判断すれば、IELTSのほうが「グローバルに通用する英語力をはかりやすい」とも言えるでしょう。

さらにIELTSとTOEFLは、大きな違いとして「試験の形式や問題構成そのものが違う」という特徴もあるので、以下の項で詳しく紹介します。

IELTSとTOEFLは試験の形式も異なる?

IELTSとTOEFLはどちらも4技能の試験です。試験の流れや問題数を見てみましょう。

比較項目 TOEFL® iBT TEST IELTS アカデミック
受験目的
北米への留学

英語圏や欧州への留学・移住
テスト全体の所要時間
約3時間(チェックインを含めおよそ4時間半)

約3時間(受験機関によってSpeaking試験まで待ち時間があったり、別日程になることがある)
Reading
問題数・所要時間

  • アカデミックな長文読解問題(1パッセージ約700語)
  • 自然科学、社会科学、芸術など幅広い分野の教養科目を題材に出題
  • 3~4パッセージ各10問
  • 全30-40問
  • 全54-72分

  • 実際に使用されている書籍、雑誌、新聞からの抜粋
  • 長文読解問題
  • 幅広い学術的な事柄を題材に出題
  • 3パッセージ
  • 全40問
  • 全60分
Listening
問題数・所要時間

  • 講義問題数:3または4題 設問数:各6問
  • 会話問題数:2または3題 設問数:各5問
  • 全28-39問
  • 全41-57分

  • Part12者の日常的会話
  • Part21者の日常的説明
  • Part3複数名の教育や研修についての会話
  • Part4学術的なテーマに関するモノローグ
  • 音声にイギリス、オーストラリア、アメリカ等英語圏の様々な国の発音が含まれる
  • 全40問
  • 全30分+回答の見直し時間
Speaking
問題数・所要時間

  • Independent task1問
  • 身近なトピックについて意見を述べる
  • 準備15秒 解答45秒
  • Integrated tasks3問
  • 読んだり聞いたりした内容を要約して話す
  • (1)Read+Listen→Speak 2問
  • 準備30秒 解答60秒
  • (2)Listen→Speak 1問
  • 準備20秒 解答60秒
  • 全4課題
  • 全17分

  • Part1自己紹介とインタビュー(4~5分)
  • 自己紹介、本人確認、身近なテーマ(家族、仕事、研究、興味など)に関して一般的な質問
  • Part2スピーチ(3~4分)
  • タスクカードのテーマについてスピーチ
  • その後1~2つ試験官から質問
  • 準備1分 回答1~2分
  • Part3ディスカッション(4~5分)
  • パート2のテーマに関連した質問に回答
  • 全3Part
  • 全11~14分
Writing
問題数・所要時間

  • 【Integrated task】 1問 20分
  • 読んで聞いた内容を要約してエッセイ形式で書く(150~225 words)
  • 【Integrated task】 1問 30分
  • 設問に対する自分の意見を書く(300 words以上)
  • 全2Part
  • 全50分

  • Task1グラフ、表、図の要約
  • データの選択と比較、プロセスの説明、オブジェクトの説明(150~ words)
  • Task2意見、論点、問題についてエッセイを執筆
  • 学部や大学院への進学、職業登録を希望する受験者向けの一般的な内容(250~ words)
  • 全2課題
  • 全60分
ライティング試験形式
標準の英語PC キーボード (QWERTY 配列) を使用して解答

2種の試験方式

  • ペーパー形式紙に黒鉛筆で記入して解答
  • コンピューター形式標準の英語PC キーボード (QWERTY 配列) を使用して解答
スピーキング試験形式
PCに向かって、ヘッドセットを使い解答を録音

試験官との1対1のインタビュー形式
身分証明用書類
パスポート、運転免許証 等

パスポート
採点結果

テスト結果は1点刻みで、総合スコアは、4セクションの得点を合計した、120点満点で示される。

  • Reading セクション30点満点
  • Listening セクション30点満点
  • Speaking セクション30点満点
  • Writing セクション30点満点

総合スコア120点満点


テスト結果は0.5ポイント刻みで、1.0から9.0のバンドスコアで示される。総合スコアは4つのセクションの平均点となる。

  • Reading セクション1.0~9.0
  • Listening セクション1.0~9.0
  • Speaking セクション1.0~9.0
  • Writing セクション1.0~9.0

総合スコア1.0~9.0

受験料
$235

  • ペーパー形式25,380円(税込)
  • コンピューター形式26,400円(税込)
スコア通知のタイミング
(オンライン)

テスト日から約6日後にオンライン表示

  • ペーパー形式13日後にオンライン表示
  • コンピューター形式3〜5日後にオンライン表示
支払方法
クレジットカード

クレジットカード、コンビニ現金支払、郵便局ATM
スコアの受付団体/機関
150ヵ国の11,000を超える機関

145ヵ国、合計10,000機関

※2020年9月現在

なかでも特筆すべきは、IELTSとTOEFLとでは試験形式に関して大きく異なる部分があるという点でしょう。たとえば、IELTSのスピーキングの試験がペーパー受験、コンピューター受験のどちらであっても、「試験官と1対1の対面で行う形式」であるのに対して、TOEFLは「コンピューターに向かって一人で解答を録音する形式」です。対面で行う分、IELTSのほうが「実践的なコミュニケーション力をはかりやすい」という特徴があります。回答に足りないところがあれば、試験官が追加で質問してくれることもあり、自分の考えている内容をより正確に伝えやすいでしょう。

このほか、IELTSのライティング試験は、問題文の指示に沿ってエッセイを書くのに対し、TOEFLのライティング試験では、短時間のリーディングとリスニングから情報を整理し、続く20分間で150~220語で要約を解答するという独特の問題形式で出題されます。ライティングやリスニングといった「試験のカテゴリ」に関しては、IELTSとTOEFLとで変わりありませんが、内容を紐解くと細かな違いが見て取れるのです。

IELTSとTOEFLはどちらが簡単ですか?

試験形式や問題構成が異なれば、「じゃあどっちの試験が簡単なの?」と考える方も多いことでしょう。

結論から述べれば、「どちらの試験も自身の英語力をある程度正確に反映しますが、一般的な日本人にとっては、IELTSの方がスコアを伸ばしやすい」と感じるのではないでしょうか。

なぜなら、TOEFLの試験には英語の総合力をはかる「統合問題」という形式で出題されるケースが多く、「苦手分野があるとスコアを伸ばしにくい」という特徴があるためです。一方、IELTSには統合問題がない分、たとえ苦手分野があっても個々のセクションでスコアを伸ばしやすくなっています。また問題の出題傾向においても、TOEFLが歴史や化学のような専門用語を使った問題文が多いのに対し、IELTSは日常的なニュースを模した馴染み深い問題文が多くなっています。問題文の読解や解答がしやすい分、TOEFLよりもIELTSのほうがスコアを取得しやすくなっているのです。

おまけに、TOEFLの試験はキーボードを使用して解答するため、タイピングに不慣れだと試験時間が足りなくなってしまうこともしばしばです。一方、IELTSはキーボードと筆記のどちらかを選べるので、たとえタイピングの速度や正確性に自信がなくても、問題なく試験に挑むことができます。

分かりやすくいえば、IELTSよりもTOEFLのほうが英語以外の知識や技術を求められることの多い分、試験の難易度も高めになっているのです。もちろん人によって得手不得手があるので、両方の試験を受けた方の中には、「IELTSよりもTOEFLのほうが簡単だった」と感じる方もいます。

IELTSとTOEFLは結局
どちらを受けるのが得なの?

IELTSとTOEFLはどちらも国際的に認められた英語試験であることに変わりないため、目的に合わせて受ける試験を決めたほうが賢明です。例えば、海外留学を目的とするならば、「志望する大学や学部がどちらのスコアを受け入れているか?」が重要となります。

要するに、大学がIELTSのスコアを採用している場合はIELTSを、TOEFLを採用していればTOEFLの試験を受けましょう。学校が受け入れていない英語試験は、どれだけ高いスコアを取得しても、留学に必要な英語力を証明できないため注意してください。

なかには、IELTSとTOEFLの両方を採用している学校もありますが、これに関してはどちらを選んでも英語力を証明できる分、純粋に得意なほうの試験を受けたほうが良いでしょう。もしも「どちらの英語試験が得意なのか分からない」という方がいれば、バークレーハウスの無料体験レッスンを受けてみませんか?以下のページで紹介をしている、IELTSとTOEFLそれぞれに対応した無料のレベルチェックを受講すれば、自身の英語力や得意分野を簡単に把握することができます。

試験そのものの難易度や、個人の特性などの要素を踏まえると、「TOEFLしか採用していない学校へ海外留学する」、もしくは「TOEFLのほうが得意」というケースを除いては、IELTSを受けるのが賢明といえます。

今回は、IELTSとTOEFLの違いについて詳しく紹介しました。留学先となる国や学校選びなど担う留学カウンセラーによっては、志望する大学や学部のスコアにより、IELTSとTOEFLのどちらがより取りやすいかというのを見て、どちらの試験を受けるかを決めることもあります。どちらの試験を受けるにしても、どんな試験なのかを知っておけば対策が容易となり、高いスコアを獲得しやすくなるでしょう。