TOEFL®をはじめTOEIC®やIELTSなど、受験者の英語力を級位ではなく「スコア」で算出する英語試験は、様々なものが存在します。試験によってスコアの算出方法や評価は異なりますが、どの英語試験でも「満点のスコア」は、容易に到達できるものではありません。ですが、英語を追求したい方やハイレベルな英語を身につけたい方の中には「英語試験で満点を取りたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
今回は、英語試験の中でもTOEFL ITP®にスポットを当てたうえで、TOEFL ITP®で満点を目指す難易度や勉強方法、スコアの用途などについて詳しく紹介します。TOEFL ITP®で満点のスコアを目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
TOEFL ITP®とはどんな英語試験?
TOEFL®(Test of English as a Foreign Language)とは、英語を母国語としない方々を対象に「英語でのコミュニケーション能力を測る」という目的で制作された英語試験です。このTOEFL®には個人向けのTOEFL iBT®をはじめ、いくつかの種類が存在しますが、中でもTOEFL ITP®は「団体向けに開催されるTOEFL®」という特徴があります。このTOEFL ITP®の大まかな概要は以下の通りです。
TOEFL ITP®とは | |
---|---|
対象 | 教育機関や企業をはじめとした団体向け |
受験方法 |
ペーパー受験 デジタル受験 |
セクション |
リスニング グラマー(文法) リーディング |
スコア範囲(合計) |
Level1:310点~677点 Level2:200点~500点 |
試験時間 |
Level1:約115分 Level2:約70分 |
受験料(一人当たり) |
約2,500円~3,000円 (レベルや受験者数などで変化) |
図のようにTOEFL ITP®は、難易度によって2種類のレベルに分かれるほか、試験で出題されるセクションも3種類だけとなっています。個人向けのTOEFL iBT®のように、スピーキングやライティングといったセクションは存在しません。そのほか、TOEFL ITP®について知りたい方であれば、以下のページをご確認ください。TOEFL ITP®の基本情報やTOEFL iBT®との違いなどを詳しく紹介しています。
TOEFL ITP®は何点満点の英語試験?
Level1 | Level2 | |||
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セクション | 問題数とスコア | 制限時間 | 問題数とスコア | 制限時間 |
リスニング | 50問(31~68点) | 約35分 | 30問(20~50点) | 約22分 |
グラマー(文法) | 40問(31~68点) | 25分 | 25問(20~50点) | 17分 |
リーディング | 50問(31~67点) | 55分 | 40問(20~50点) | 31分 |
合計 | 140問(310~677点) | 約115分 | 95問(200~500点) | 約70分 |
参考:TOEFLテスト日本事務局「テスト構成 | TOEFL ITPテスト(団体向けTOEFLテスト)」
TOEFL ITP®の最高点はLevel1が677点、簡易版であるLevel2が500点となっています。このTOEFL ITP®は、英語試験の中でも珍しく最低スコアがゼロではありません。仮に、Level1の試験ですべての問題に不正解したとしても、310点のスコアが算出される仕組みとなっています。
スコアの具体的な算出方法は複雑なため、当コンテンツでは割愛しますが、詳しく知りたい方はTOEFL ITP®のスコア解説のページをご確認ください。
スコアの算出方法が複雑とはいえ、TOEFL ITP®で満点を取るには、全問正解を目指す必要があるのは言うまでもないでしょう。ちなみに、TOEFL ITP®(Level1)で満点を取る難易度は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)で判定すると、C1相当となります。このC1をほかの英語試験に置き換えると、TOEFL iBT®は95点以上、IELTS7.0以上、英検®では1級となる計算です。
もちろん、試験によって内容や判定基準は異なるため、難易度の単純な比較は困難です。とはいえ、TOEFL ITP®で満点もしくは満点に近いスコアを取るのは、ネイティブスピーカーに負けない英語力が必要なのは間違いありません。
TOEFL ITP®で満点を目指すための勉強方法とは?
はじめに、学習に使用する教材は「TOEFL®の公式教材ショップ」で取り扱っているものを使用するのがおすすめです。TOEFL ITP®向けに特化している信頼性の高い教材で、セクション別に英語力をバランス良く強化できます。以下では、セクション別に分けたうえで、TOEFL ITP®(Level1)の勉強方法を紹介します。
リスニング
リスニングセクションは、「英語の内容をいかに聞き取れるか」が肝心です。TOEFL ITP®だけに限らず、TOEFL®は大学の講義やキャンパス内の会話などが問題として出題されることが多い特徴があります。リスニングに特化した公式教材を用いて、教育機関で使用される学術用語や、キャンパスで使われる英語の知識を学びましょう。リスニングを聞きながらシャドーイング(聞こえた英語を追いかけて実際に話すこと)を繰り返し、英語の定型表現を体感的に身につけるのも良い方法です。
グラマー(文法)
文法のセクションは、中学校や高校で学ぶような基礎的な文法問題が多く出題されます。そのため、英語の教科書を復習して文法力を鍛えるだけでも、点数を伸ばしやすいセクションです。とはいえTOEFL ITP®で出題されるのは、アカデミックな英単語や熟語が多いため、単語帳などを用いて、単語の意味や熟語の使い方を根気よく学ぶことが重要となります。問題集を解いている最中に、わからない単語や熟語が出てきたらすぐに調べるようにしましょう。
リーディング
リーディングセクションは、最も解答時間の長い(55分)セクションですが、英文を熟読していると制限時間が足りなくなってしまうことも少なくありません。そのため公式の問題集を解きつつ、時間内にすべての問題を解けるような時間配分を身につける必要があります。単語や英文法を学んでおけば、長文でも英語をスムーズに読みやすくなるため、解答時間にも余裕が生まれやすくなるでしょう。
ここまで挙げた内容をおおまかにまとめると、TOEFL ITP®の勉強法は以下の通りになります。
● 学習を行う際は公式の教材を活用する
● アカデミックな英単語や会話に慣れておく
● 学校で学んだような基礎的な文法力を身につける
● 読めない英単語や熟語を極力なくす
TOEFL ITP®は、スピーキングやライティングのセクションが存在しないため、TOEFL iBT®と比べると学習を進めやすいでしょう。加えてTOEFL ITP®はペーパー形式なので、パソコンの操作スキルやタイピング力などは求められません。
おまけに、解答もマークシート方式という点も相まって、個人向けであるTOEFL iBT®よりも「学習のしやすさ」「解答のしやすさ」に秀でています。
一方、TOEFL®をはじめとした英語学習は、独学だけではスコアが伸ばしにくいのも事実です。とくに満点を目指す場合は、より効果的な学習が行えるよう、英語スクールなどを通じてプロの講師と一緒に学習することをおすすめします。TOEFL ITP®を学ぶうえで、独学でスコアが伸び悩んでいる方であれば、バークレーハウスでTOEFL®のレッスンプログラムを受講してみてはいかがでしょうか。
TOEFL ITP®の満点は入試や就職に役立つ?
具体的な学習方法を紹介できたところで、TOEFL ITP®のスコアは入試や就職に役立つかどうかを解説しましょう。
結論から言えば、TOEFL ITP®のスコアは入試や就職の用途にはあまり活用できません。団体向けであるTOEFL ITP®は、教育機関のクラス分けや海外留学の選考試験など多彩な用途に用いられますが、入試や就職の用途に採用されることはTOEFL iBT®ほど多くありません。
仮に、TOEFL ITP®で満点もしくは満点に近いスコアを取得できても、その評価は受験を受けた教育機関または企業内に限られやすいのです。国内外の大学入試や就職活動の優遇措置などに採用されるTOEFL®は、大半が個人向けのTOEFL®ことTOEFL iBT®となります。
そのため、TOEFL ITP®を受けた方の中で、入試や就職などの英語力を証明する目的があれば、TOEFL iBT®の受験を検討するのも手です。TOEFL ITP®で身につけた英語力は、TOEFL iBT®を受験するうえでも役立ちます。TOEFL ITP®で満点を取得できる英語力を備えていれば、TOEFL iBT®でも高いスコアが期待できるでしょう。
一方、TOEFL iBT®はスピーキングやライティングといった、TOEFL ITP®にはないセクションが増えています。ハイスコアの取得を確実なものとするには、TOEFL iBT®のセクションや学習方法について把握しておくことが不可欠です。
このTOEFL iBT®の基本情報やセクションについては、以下のページで詳しく紹介しています。
TOEFL ITP®は個人でも受験できる?
最後にTOEFL ITP®の受験方法について言及しておきましょう。繰り返しになりますが、TOEFL ITP®は、オフィシャルの問題集が数多く出版されているため、間接的に試験問題に挑戦することはできます。
しかし、TOEFL ITP®は教育機関や企業で開催される試験のため、個人で受験をすることはできません。TOEFL ITP®のオフィシャルサイトでも、教育機関や企業向けの申し込みフォームのみ用意されています。端的に言えば、所属する教育機関や企業がTOEFL ITP®の開催を決定した時に限り、TOEFL ITP®を受験できる仕組みです。
とはいえTOEFL ITP®は、入学生のクラス分けや社員研修など「毎年決まった時期」に開催されるケースが多くなっています。TOEFL ITP®を採用している教育機関や企業であれば、開催時期の予測は立てやすいでしょう。
具体的な日程を知りたい方であれば、所属する教育機関や企業に具体的な開催時期を問い合わせてみましょう。TOEFL ITP®で満点を目指す方であれば、日程を把握したうえで試験学習を進めるようにしてください。