2021/05/27

TOEFL ITPって何? スコア解説と日本人の平均点

この記事を書いた人

バークレーハウスIELTS講師
竹林 駿 Suguru Takebayashi
米国ミネソタ州立大学大学院修了。専門はライティング。大学院在籍時は英語で詩を執筆し、米国の文芸雑誌に応募していた。勉強の傍ら、Diversity Councilにてファシリテーターとしてボランティア活動にも従事し、米国の中学高校などで人種差別などをテーマにしたセミナーに「留学生(=外国人)」として自ら登壇した。帰国後は英検、TOEIC、大学受験などの英語指導に携わったほか、2019年度から都内の私立大学でも教鞭を取る。IELTSでは、4技能(L, R, S, W)全てのセクションで8.0以上を取得。英検1級、TOEFL iBT MyBest 119点。

竹林先生

今回は、日本ではもしかしたらiBTよりマイナーかもしれない「ITP」というテストを見ていきます。学校や職場などで受けることになった時のために、スコアのシステムや目指すべき点数を把握しておきましょう。
目次

TOEFL ITPのスコア解説

どうやってスコアを算出する?

TOEFL ITPというのはあまり聞き慣れませんが、どんなテストなのでしょう?

竹林先生

まずTOEFL ITPは「Institutional Testing Program」の略で、TOEFL iBTと同じETSという団体が運営しています。

TOEFL iBTと何が違うのですか?

竹林先生

違いは主に2つあります。
iBT = 4技能全てのテストあり
ITP = SpeakingとWritingは無し

iBT = 個人でも受験可能
ITP = 学校や職場などの団体受験のみ(個人受験不可)

なるほど、こんな違いがあるのですね。では「ITP」が何点満点なのか見ていきましょう。

リスニング(35分程)50問(31~68点)
文法(25分)40問(31~68点)
リーディング(55分)50問(31~67点)
合計310~677点

全部で140問なのに、「最低310点、最高677点」なんですね?

竹林先生

ITPのスコア算出は非常に複雑なのです。まず、こちらの表をご覧ください。
正解数リスニング点数文法点数リーディング点数
48~50問64~68点– –65~67点
45~47問61~63点– –61~63点
42~44問58~60点– –58~60点
39~41問55~57点– –56~58点
36~38問53~55点63~68点54~56点
33~35問51~53点59~61点53~54点
30~32問50~51点56~58点51~52点
27~29問48~49点53~55点49~51点
24~26問47~48点50~52点48~49点
21~23問45~46点48~49点45~47点
18~20問43~44点45~47点43~45点
15~17問41~42点42~44点39~42点
12~14問37~40点39~42点32~37点
9~11問33~35点34~38点31点
6~8問31~32点31点31点
0~5問31点31点31点

竹林先生

それぞれのセクション(リスニング、文法、リーディング)の自分の素点に対し、その範囲のスコアの、最も低い値の合計点を10倍したものと、最も高い値の合計点を10倍したものを3で割り、その間に最終的な自分のスコアが入ります。例を出すとこんな感じです↓↓

たとえば自分の各セクションの正解数が「45,38,38」だったとする。

正解数リスニング点数文法点数リーディング点数
48~50問64~68点– –65~67点
45~47問61~63点– –61~63点
42~44問58~60点– –58~60点
39~41問55~57点– –56~58点
36~38問53~55点63~68点54~56点
33~35問51~53点59~61点53~54点

それを表に当てはめると、自分がリスニングが61~63点、文法が63~68点、リーディングが54~56点のスコア帯に入っていることになりますね?

3つのセクションのそれぞれのスコア帯の一番小さい値を足すと、61+63+54=178。これを10倍して3で割ります。178×10÷3=593

次に先ほどの自分のスコア帯を見て、それぞれ一番大きい値を3つ足すと、63+68+56=187。これを、先ほどと同じように10倍して3で割る。

187×10÷3=623。つまり、あなたの最終的なスコアは「593~623」のどこかに収まるということになります。

600点かもしれませんし、610点かもしれません。

最終的にどの点数になるかは、実際に受験してみないと分かりません。

iBTとのスコア比較

竹林先生

ITPには、スピーキングとライティングのテストが無いので一概に比較はできませんが、ITPとiBTのスコア比較は、以下のような感じです。
ITPiBT
640-677110-120
600-637100-110
577-59790-99
550-57379-89
527-54771-78
500-52361-70
467-49751-60
437-46341-50

竹林先生

また、ヨーロッパが言語力のレベルを測るのに使う「CEFR(セファール)」にITPを当てはめると、以下のようになります。
CEFRITP
C2– –
C1627-677
B2543
B1460
A2337

TOEFL ITP 日本人の平均スコア

・リスニング = 47点
・文法 = 46点
・リーディング = 47点
■合計 = 467点

竹林先生

TOEFLテストを運営するETSが2019年に出した情報によると、日本語話者のITP平均点は「467点」でした。ちなみに他のアジア諸国と比較すると(中国489、タイ485、フィリピン547)などとなっています。

この「467点」というスコアを、上のiBTとの比較表に照らし合わせると、iBTでは「51点相当」となっていますね。

しかし、iBTの日本語話者の平均点は「72点」だそうです。iBTと比べて、ITPの平均点はずいぶん低めな気がします。

竹林先生

「iBT」は、そもそも海外の大学や大学院に進学する人が主に受けるものです。日本の大学受験でも使えますが、帰国子女などが受けるケースも多く、全体的にiBTを受ける人の方が英語を使う事に慣れていたり、英語に強い熱意を持っていたりします。それに対し「ITP」は、日本の大学や企業研修のクラス分けのレベルを測るのに使われるケースが多く、どちらかというと英語力は初心者レベルが多いと思うので、平均点に差が出るのはある意味自然なことです。

TOEFL ITP 目指すべきスコア

日本語話者の平均は467点とのことですが、実際何点くらいを目標にすればいいのでしょうか?

竹林先生

海外の大学や大学院へ入学する際に提出するのは「iBT」なので、「ITP」のスコアは必要ありません。前述のように、日本の高校や大学でクラス分けのテストの為に使われる事が多いです。また、日本の学校の海外校へ短期留学できる条件としてITPを受けさせる事もあります。いずれにせよ、日本の学生が目指すべきレベルとしては英検2級~準1級くらいが一般的でしょう。そう考えるとITPでは450~530くらいあれば上等だと思います。最高点は677点ですが、学生で600点に達したら、先生たちも驚くレベルではないでしょうか。

問題は過去問の使いまわし?

ITPのテストで出る問題は、過去問の使いまわしという噂は本当ですか?

竹林先生

本当です。ITPの問題は、日本では廃止になった「PBT(Paper-Based Test)」というテストで使われたものを再利用しています。つまり、ITPを何回も受験すれば、同じ問題にあたる可能性もありますので、理論上は過去問を全てこなせば満点も取れるということになります。

TOEFL ITP受験やスコア

竹林先生

今回はTOEFL ITPについてご紹介してきました。ITPは個人での受験はできないため、今所属している学校か職場で団体で受けるよういわれた時のみ受けられる形となりますから、受験する機会が無い方も多いかもしれませんが、点数としては550点くらいまで取れていれば、ほぼどこへ出しても恥ずかしくない点といえます。また、ITPは海外の大学や大学院の入学には使用できないのでご注意を。
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