英語力を理解するための指標として、学生や社会人など一般的にTOEICが広く使われています。
高得点をとれば進学や就職で有利になりますが、TOEICの問題傾向や難易度についてわかっていないと対策が難しいです。
また、自分が立てた目標スコアのレベル感がわからないと受験をためらう方もいるかもしれません。
今回は、TOEICの点数別の難易度や対策ポイントを解説します。
TOEIC受験に向け、スコア別のレベルを理解して、勉強の参考にしてみてください。
受験したことがない方は不安の払拭に、受験したことがある方は次のステップに向けた指針になるでしょう。
TOEICの難易度が上がっている?
日本でのTOEICスコアは受験者全体の平均が、580点前後で推移しています。
満点が990点のため、およそ60%が平均スコアといえます。
一方で、2021年の国別平均スコアでは45位中、日本は31位でした。
この結果からTOEICは日本人にとって難しいといえるでしょう。
さらに、TOEICでは定期的に問題や構成を見直しているため、難易度が変化するといわれています。
難易度の傾向
直近では2016年に問題が改定され、10年ぶりに問題の構成や内容が大きく変わり、難易度が上がりました。
とくにリスニングパートの難易度が上がっており、スコアアップに苦労している受験者は多いでしょう。
リスニングパートでは、問題数と内容が具体的に変更されました。
問題構成と内容がどのように変更されたのか、以下でそれぞれ解説します。
問題数
リスニングパートでは、Part1、Part2の問題数が減り、Part3の会話問題数が増えました。
Part4の変更はありません。
以下に、問題数の変更前と変更後のまとめてみました。
パート | 変更前 | 変更後 |
Part1(写真描写問題) | 10問 | 6問 |
Part2(応答問題) | 30問 | 25問 |
Part3(会話問題) | 30問 | 39問 |
Part4(説明文問題) | 30問 | 30問 |
Part1・Part2は、それぞれ点が取りやすいパートといわれています。
一方でPart3は、3人での会話がプラスされ、難易度が上がっています。
そのため、点をとりやすい問題数が減り、点をとりにくい問題数が増えたため、相対的な難易度が上がったということです。
内容
Part3の問題内容は、男女2人の会話のみでしたが、男女3人での会話問題が追加されました。
声色やアクセントが違うためスピーカーの判別はしやすいですが、情報量が増えた分、判断力や情報に対応する力が求められます。
Part4は問題内容には変更がないものの、図表を見て答える問題が追加されています。
図表を見て答える問題はPart3にも追加されており、全体的に難易度が上がっているといえるでしょう。
\ リスニングで満点を取るには?/TOEICの点数の仕組み
TOEICはリスニングセクション・リーディングセクションそれぞれ495点の、合計990点満点で採点されます。
100点満点や、1,000点満点のようにキリが良くないのはなぜなのでしょうか?
理由は以下の3つです。
990点満点の理由
- 受験者全体の正答率などから評価する計算方式(相対評価)を導入しているため
- 全体の正答率から難易度を計算して、そのあとに点数を計算しているため
- 正解数が点数になるわけではないため
上記のような理由から、正確な英語力を図るため、合計スコアが990点に設定されています。
全問正解しても必ず990点になるわけではなく、数問間違えても990点になる場合もあります。
また、TOEICでは試験のたびに問題が変わります。
統計処理を使った独自の採点システムを活用することで、試験回ごとの難易度のバラつきをなくしています。
\ さらに詳しく解説! /受験者の平均点
次に2021年度のデータを見てみましょう。
社会人は受験者数も多く、全体の平均点よりも上なことがわかります。
これから受験しようと思っている社会人の方は、まず全体の平均点よりも上回れるよう目指して勉強することをおすすめします。
平均スコア | 受験者数 | |
全体 | 611 | 900,684 |
学生 | 586 | 411,745 |
社会人 | 640 | 353,397 |
【スコア別】TOEICの難易度
次に、スコア別にTOEICの難易度を解説します。
目標スコア到達のために必要な勉強時間や、英検に換算したレベルも紹介します。
すでに英検を取得している方は、目標スコアの参考にしてみてください。
400点未満
日常会話で最低限のコミュニケーションがとれるレベルです。
英検に換算すると3級レベルのため、中学校で習う英語が理解できるレベルです。
短い文章でゆっくり話してもらえれば、外国人とコミュニケーションができるでしょう。
しかし就職や昇進でアピールするには足りないレベルのため、基礎を固めて600点を目指しましょう。
- 勉強時間の目安:約200時間
- 英検:3級レベル
400〜500点
高校英語が一通り理解できているレベルです。
英語の基礎が固まっており、単語やイディオムがある程度備わっていて、自信をもって会話できる場面もあるでしょう。
しかし、履歴書に書いて英語力をアピールするにはまだ難しいスコアのため、学習を継続し、表現のバリエーションを増やしましょう。
- 勉強時間の目安:約450時間
- 英検:3級レベル
500〜600点
受験者全体の平均スコアに近く、履歴書に書いてもマイナスイメージをもたれないレベルです。
正答率が上がり、英語の理解力に自信がついてくるスコアです。
平均スコアを超えていれば、履歴書に書いてマイナスになることはありません。
英語をあまり使わない企業や職種であれば評価の対象となりえます。
しかし、英語を頻繁につかう職種であれば、英語力のアピールには物足りないレベルです。
基礎は固まっているため、引き続き学習を続けて英語力向上を目指しましょう。
- 勉強時間の目安:約450〜700時間
- 英検:2級レベル
600〜700点
全体平均・社会人平均よりも上のスコアのため、実践的な英会話が可能なレベルといえるでしょう。
海外旅行や職場で必要なコミュニケーションには対応できるレベルです。
就職や転職のときに、有利に評価してくれる企業が増えるでしょう。
基礎的な英語力はついていると思われるため、公式問題集などでTOEICの傾向を掴めば、さらなるスコアアップが期待できます。
- 勉強時間の目安:約950時間
- 英検:2級〜準1級レベル
700〜800点
海外事業部や貿易商社など、ビジネスの場面において英語を使いこなせるレベルです。
企業によっては700点を、課長や管理職への昇進時の目安としています。
海外出張も問題なく対応できるレベルです。
日系企業へ就職、転職する場合は十分にアピール材料となりますが、外資系企業への転職を考えている方は、もうすこし努力が必要です。
多くの英文に触れて語彙力をアップすると、英語上級者になれるでしょう。
- 勉強時間の目安:約1,125時間
- 英検:準1級レベル
800〜900点
外資系企業への就職時に高く評価されるレベルです。
TOEICを運営しているETSの公式サイトでは、「Non−Nativeとして十分なコミュニケーションができる」レベルとして860点を挙げています。
860点を超えれば、英語を武器にした就職や転職が有利になります。
本格的なビジネスで英語を使うことにためらいがなくなり、さらには海外で働くことが視野に入ってくるでしょう。
英語を使った会議で理解できない部分が多少あるかもしれませんが、おおむね理解できるレベルです。
- 勉強時間の目安:約1,550時間
- 英検:準1級〜1級レベル
900点以上
細かい部分まで正確に英語を聞き取れるレベルです。
外資系企業では900点以上を応募条件としている企業もあるため、就職しても問題なく業務をこなせるでしょう。
900点以上はTOEIC受験者全体の4%しかいないため、就職でかなり有利になります。
- 勉強時間の目安:約1,750時間
- 英検:1級レベル
TOEICの対策ポイント
ここまでの説明で、TOEICは難易度が高いのではないかと感じた方もいるかもしれません。
しかし、対策ポイントをおさえて学習すれば、着実にスコアは上がります。
次に紹介する対策ポイントを参考に、じっくりと学習を進めましょう。
試しに受験してみる
現在の自分のスコアを確認するために、まずは受験してみるのも一つの手です。
TOEICを受験したことがなければ、自分の実力がわからず不安になる方もいるかもしれません。
まずは受験し、そこから自分のスコアを目安に目標を立てるのが良いでしょう。
TOEIC受験の際には目標を立てる
TOEICには英検のように合格、不合格がなくスコアで判定されるため、目標を立てて勉強をスタートしましょう。
その際、無理のない目標を設定することで、挫折することを防げます。
学習スケジュールを立てる
目標が決まったあとは、学習スケジュールを立てましょう。
どの程度の期間、基礎を固める勉強に費やし、いつ応用問題の対策をするか、など試験スケジュールをみながら逆算して決めます。
TOEICは毎月2回試験があり、自分の都合で試験日を決められるのが良い点です。
しかし、「実力がついてから受験しよう」と考えると先延ばししてしまう方もいるでしょう。
実力がついてから受験日を決めるのではなく、受験日を決めてから学習スケジュールを立てることが重要です。
足りない部分を把握して勉強する
自分の苦手な箇所を把握したうえで、その部分を重点的に勉強すると効率良くスコアアップを狙えます。
苦手な箇所に意識を向けると、その箇所を覚えやすくなるからです。
何度も弱点を意識し、繰り返し勉強することで、克服の近道になります。
スコアアップのための勉強法は?
スコアアップのための勉強法を紹介します。
基礎を固める、実力を伸ばすなど、状況に応じて学習の参考にしてください。
中学・高校英語の基礎を復習する
600点以下の方は、まず中学英語の基礎を固めることが重要です。
基礎が固まっていないと、問題文を理解することも難しくなるからです。
たくさんの参考書を使うよりも、中学や高校英語の頻出単語集や基礎文法の本を一冊ずつ繰り返してマスターすることをおすすめします。
TOEICの問題形式に慣れる
基礎が固まったあとは、TOEICの公式問題集や出題傾向に合わせた問題集で対策するのが効果的です。
同じ問題集を繰り返し解いていくことで、TOEICの問題形式・傾向に慣れるからです。
できるだけ最新の公式問題集で勉強して、出題傾向をつかみましょう。
速読の力をつける
リーディングセクションでは、長文を速く・正確に読む力が必要です。
中級者レベルではリーディングセクションの時間が足りないと感じる方が多いかもしれません。
スキマ時間を活用して単語を覚えたり、文法などの基礎力をトレーニングをするのが効果的でしょう。
苦手分野を克服する
800点以上のスコアを取得している方は、あまり苦手分野がないことが多いです。
正答率を上げるために、とくにスコアが取れなかった部分を集中的に対策するのがおすすめです。
得意分野と苦手分野を分析し、伸び悩むパートは基礎に戻って反復練習しましょう。
TOEIC対策におすすめの問題集・スクールを紹介
最後に、TOEIC対策におすすめの問題集、スクールを紹介します。
【単語帳】キクタンTOEIC L&Rテスト SCORE 500
まずは500点を目指したい、初心者におすすめの一冊です。
語彙力に関係なく「本当に必要な448語」を収録しているため、上級者も使えます。
1日最短2分、最長15分で熟語も覚えられ、短期集中で勉強したい方におすすめです。
【問題集】TOEIC L&Rテスト究極の模試600+
本番に似た形式の模試3回分と復習用模試で、実践的な練習ができる一冊です。
模試3回分の解説動画を視聴できます。
問題を解いて終わりではなく、正解へのプロセスがわかる復習ができます。
【問題集】公式TOEIC Listening & Reading 問題集10
TOEICの実施団体であるETSが、本番と同じプロセスで作成した問題を収録しています。
TOEICの問題傾向を把握するには、もっとも適している問題集です。
リスニング音声はTOEICと同じ公式スピーカーによって作成されており、本番を体験するにはピッタリでしょう。
【スクール】PRESENCE
全コース対面とオンラインでの受講が可能です。
コーチングスクールのため、勉強法やテクニックのすべてを教えてくれます。
また、目標スコア別にコースが分かれているため、目標に沿った対策ができます。
「2か月で英語力が伸びる」のキャッチコピーのとおり、短期間でも目標スコア到達ができるノウハウを教えてくれます。
\ カウンセリングはオンラインで可能 /【スクール】RIZAP ENGLISH
1日3時間以上の自主学習やストイックな目標管理とサポートで、最短2か月で対策が可能です。
点数保証サービスがあり、期間内に目標スコアを達成できなければ無料でセッション・IPテストを受けることができます。
サービスに満足できなければ、30日以内の全額返金を受けられます。
\ 無料カウンセリングはオンラインでも実施可能 /まずは目標スコア・学習スケジュールを立てよう
今回はTOEICの難易度や、必要な勉強時間や対策法をスコア別に紹介しました。
TOEICは難しいイメージがありますが、合格・不合格での評価ではありません。
仮にスコアが低くても、今回解説したポイントをおさえて、繰り返し学習すれば着実にスコアは上がります。
まずは目標スコアを決め、学習スケジュールを立てることから始めましょう。
そして目標スコア到達に向け、自分は何の英語力が足りないのか分析し、苦手分野を中心に勉強しましょう。
未受験者の方には不安の解消に、受験したことがある方には次のステップへの目安として参考にしてみてください。
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