TOEFL iBT®やIELTSをはじめとした「英語力をスコアで算出する英語試験」は、英検®のように級位別の試験が存在せず、すべての受験者が同じ試験を受けるのが特徴です。そのためTOEFL iBT®やIELTSなどの試験は、試験対策や学習法なども目標とするスコアによって大きく変化します。端的に言えば目標とするスコアが低い場合は、英語の基礎を身につけることを重視し、目標とするスコアが高い場合は、より試験の内容に沿った高度な対策が必要となります。
今回は最高スコアが120点のTOEFL iBT®において、100点を目指す難易度や勉強方法などを詳しく紹介します。TOEFL iBT®で100点以上のスコアを狙っている方や、100点を目指せる対策方法などが知りたい方は、ぜひご参考ください。
TOEFL iBT®の100点はどのくらいのレベル?
英語試験 | TOEFL iBT®100点相当の級位・スコア |
---|---|
英検®(実用英語技能検定) | 1級 |
TOEIC L&R/TOEIC S&W | 1845~1990 |
IELTS | 7.0~8.0 |
ケンブリッジ英検 | 180~199 |
具体的な勉強方法を解説する前に、TOEFL iBT®の100点がどのくらいのレベルに該当するのかを紹介しましょう。文部科学省が公開している「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」によると、TOEFL iBT®の100点はCEFR換算でC1レベル相当となります。さらに、このC1を他の英語試験に置き換えるとIELTS7.0以上、TOEIC®L&R1845点以上、英検®に至っては最高級位にあたる1級になる計算です。
結論から言うと、TOEFL iBT®の100点は「かなり高度な英語力を備えている」という証明に繋がります。先に挙げた対照表では、TOEFL iBT®はC1相当で95~120点となるため、TOEFL iBT®の100点は「ほとんど満点に近いスコア」といっても過言ではないでしょう。
ちなみに、TOEFL iBT®の満点については以下のページでも公開しているので、満点を目指すのに必要な英語力や勉強法を知りたい方は、ご参考ください。
TOEFL iBT®で100点の取得を目指すための勉強方法とは?
TOEFL iBT®は、「リーディング(読む)」「リスニング(聞く)」「スピーキング(話す)」「ライティング(書く)」の4技能の合計点でスコアが決まる仕組みです。単純計算で、セクション別に25点の取得が目安となります。以下では、セクションを分けたうえで合計100点以上を目指せる勉強方法を解説しましょう。
リーディングの勉強方法
- 英文をスムーズに読むために単語力を強化する
- 1問あたり2分以内で解くことを心掛ける
- 公式問題集や過去問を繰り返し解いて体感的な解答速度を身につける
リーディングセクションは英語の長文を読み取り、文章別に提示された10問ずつの問題に解答する試験です(合計30~40問)。英文や単語の意味が分からないと、英語を読み取ることもスムーズに解答をすることも難しくなり、高得点を狙いにくくなります。
そのためリーディングは、読めない英語を減らすために、単語力を強化するのがおすすめです。読み解くスピードが速くなれば、それだけ余裕をもって解答がしやすくなります。目安としては、1問あたり2分以内で解くようにしましょう。適切な解答速度を体感的に習得するには、公式問題集や過去問を繰り返し解くのも良い方法です。
また、英文をすべて読もうとすると、解答の際に要点を思い出すのに時間がかかるケースもあります。そのため、最初に解答の選択肢に目を通しておき「何を問われているのか」をある程度把握しておくのも良いでしょう。英文を読む時に解答を見つけやすくなり、スピードアップに繋がりやすくなります。
リスニングの勉強方法
- リスニングの音源を聞いて英語をキャッチする力を鍛える
- 「問題でどんな情報が問われやすいか」を把握する
- リスニングを聞いている最中にメモは取らない
リスニングセクションは、先に挙げたリーディングと異なり、最初に問題を読むことができません。そのため、どんな問題が提示されても良いように「会話や講義の内容を正しく聞き取ること」、いわゆるリスニング力の強化が重要となります。
リスニング力を鍛えるには、公式問題集や過去問演習の音源を聞いて問題を解くことに加え、単語別に発音の違いなどを学んでおくことが大切です。英語は単語の発音とセンテンスの発音が異なるケースが多いため、「発音が変わること」を知っておくと、英語の音声をよりキャッチしやすくなります。
また、会話や講義の内容から「どんな情報が問題で問われやすいか」を把握しておくのも良い方法です。「講義のメイントピックは何か」「生徒が教授のもとに訪れた理由は」など、リスニングは問題の内容がパターン化しやすい特徴があります。リスニングの問題を繰り返し解くことで、リスニングを聞きながら問題の予測を立てやすくなります。
なお、リスニングセクションは「集中して聞き取ること」が肝となるため、メモを取りながら聞くことはあまりおすすめしません。メモを取ることに集中力を割いてしまうと、聞き漏らしが発生しやすくなり、解答の際に手が止まってしまうケースがあるためです。メモとして書いた部分が出題されるか否かは運に左右されるため、メモに費やした労力が骨折り損となることもあります。リスニングに挑む際は、聞くことに集中し、内容を理解することに努めてください。
スピーキングの勉強方法
- 課題に対する解答を時間内に話せるように練習する
- 話すスピードは1秒あたり2語の速度を目安にする
- 発音とイントネーションをチェックしてくれるアプリを使うのも手
スピーキングセクションで高いスコアを狙うためには、言うべき内容をすべて話せていることと、流暢に話せていることの2点が重要です。この「言うべき内容」とは、課題に対する自分の答え、答えに対する理由、例、結論の4つになります。解答時間である45~60秒の間で、順番通り解答できるようにトレーニングをするのが理想です。英語を話すスピードとしては、1秒あたり2語の速度を目安に話すことを意識しましょう。
英語を流暢に話せているか否は、ネイティブに近い発音とイントネーションを習得することが不可欠です。英語のドラマや映画を見ながらシャドーイングをしたり、話した内容をスマホで録音して正しく発音できているか確認したり、スムーズに英語を話す練習を重ねましょう。これらの方法は古典的ですが、正しい発音とイントネーションを身につけるのに極めて有効な方法です。
この他、スピーキングセクションの英語学習に役立つアプリを利用するのも良いでしょう。音声認識の技術が進歩した現代では、英語の発音やイントネーションをチェックしてくれるアプリなどがリリースされているため、スピーキングのトレーニングにも活用できます。
ライティングの勉強方法
- 理論的に文章やパラグラフを構成できる力を養う
- 正確に素早く文字が打てるようにタイピングの練習をする
- 添削サービスを利用して採点基準に沿った文章を書けるようにする
ライティングセクションで提示される課題は様々ですが、いずれも制限時間内に「いかに説得力のある主張ができるか」が重要です。TOEFL iBT®の公式問題集や過去問演習などを使って、理論的に文章やパラグラフ(文章の段落)を構成できる力を強化する必要があります。また、細かい文法ミスやスペルミスは減点の対象となるため、100点のように高いスコアを目指す場合であれば、正確に文字が打てる能力も重要です。時間内に規定の分量(300~500語)でライティングができるよう、タイピングの練習をするのも良いでしょう。
また、TOEFL®だけに限った話ではありませんが、ライティングは「正しい文章を書けているかどうか」を個人で判断するのが難しいセクションです。そのため、学習をするうえでTOEFL iBT®に特化した添削サービスを利用するのも良い方法です。書いた文章に対し、TOEFL iBT®の採点基準に沿って添削をしてくれるので、細かな間違いにも気付きやすくなります。
TOEFL iBT®は独学でも100点を目指せる?
セクション別の勉強方法まとめ | |
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リーディング | 英文をスムーズに読むために単語力を強化する |
1問あたり2分以内で解くことを心掛ける | |
公式問題集や過去問を繰り返し解いて体感的な解答速度を身につける | |
リスニング | リスニングの音源を聞いて英語をキャッチする力を鍛える |
「問題でどんな情報が問われやすいか」を把握する | |
リスニングを聞いている最中にメモは取らない | |
スピーキング | 課題に対して言うべき内容を時間内に話せるように練習する |
話すスピードは1秒あたり2語の速度を目安にする | |
発音とイントネーションをチェックしてくれるアプリを使うのも手 | |
ライティング | 理論的に文章やパラグラフを構成できる力を養う |
正確に素早く文字が打てるようにタイピングの練習をする | |
添削サービスを利用して採点基準に沿った文章を書けるようにする | |
先に挙げたセクション別の勉強方法をまとめると、図の通りになります。
とはいえ、TOEFL iBT®をはじめとした英語試験は、高いスコアを目指そうとするほど、独学だと行き詰るケースが多くなります。
これは、英語試験によって採点基準が大きく異なるためです。もちろん、独学でもある程度の英語力を身につけることはできますが、英語試験別に「どの部分が点に繋がるか」を把握していないと、どうしてもハイスコアを狙いにくくなってしまうのです。そのため、英語試験対策として効率的な学習をするには、試験の採点基準を考慮した英語学習が必要となります。
英語スクールの中には、試験別の対策講座を用意しているケースが多いため、学習の効率性を求めるならTOEFL iBT®に強い英語スクールの受講を検討しても良いでしょう。TOEFL®に強い英語スクールをお探しの方であれば、バークレーハウスのTOEFL®対策講座を利用してみてはいかがでしょうか。
TOEFL®に精通した講師陣を揃えるバークレーハウスでは、受講者の英語力に合わせてTOEFL iBT®の採点基準に則したレッスンプランを提供しています。ご要望や学習スタイルに応じて、スクールレッスンやZoomレッスンなど、多彩なコースをご用意。苦手なセクションを克服して、効率的に100点突破を目指すことが可能です。レッスンプランの内容やご利用までの流れなど、より詳しい情報を知りたい方は、以下のページをご確認ください。
TOEFL iBT®の100点はどんな用途に使える?
セクション別の具体的な勉強法を紹介できたところで、TOEFL iBT®における100点の用途について言及しておきましょう。国際的な英語力を証明できるTOEFL iBT®は、国内外への大学の進学および就職活動など幅広い用途に使用できます。
中でも100点以上というスコアは、TOEFL iBT®を採用している教育機関(または企業)であれば「ほぼすべて通用するスコア」と言っても過言ではありません。「ネイティブスピーカーに匹敵する」「不自由なく英語を駆使できる」という限りなく高い評価となるため、100点以上を取れていれば、大抵の教育機関や企業の条件はクリアできるでしょう。この点を踏まえれば、TOEFL iBT®の100点は英語力を証明するうえで、実質的なゴール地点とも言えるスコアとなるでしょう。
もちろん教育機関によっては、そこまで高いスコアは求められません。TOEFL iBT®であれば60点や70点でも、入学に必要な英語力を証明できるため、TOEFL iBT®を受験する際は進路に合わせて目標とするスコアを決めることをおすすめします。
ちなみに、入学にTOEFL iBT®を採用していない場合は、たとえTOEFL iBT®で満点を取得しても英語力を証明できないため注意が必要です。教育機関の募集要項をよく確認し、必要に応じて英検®やIELTSといった他の英語試験を受けるようにしましょう。