2021/06/02

IELTSとは?出題内容やスコア基準について詳しく紹介!

この記事を書いた人

バークレーハウス編集部 BerkeleyHouse
東京・市ヶ谷にある語学スクール。IELTS公式テストセンターの運営のほか、IELTSやTOEFLの対策講座、英語や中国語をはじめとする40言語に対応した語学教育を提供。

「そもそもIELTSって何?」「IELTSを受験したいけど、どういうテストなのか分からない」と、疑問をお持ちの方もおられると思います。

今回はそんな方へ向けて、IELTSが何の試験で、どのような問題形式で出題されるのか、取得したスコアは何に用いるのかをご紹介します。

目次

【IELTS試験概要】

IELTSとは

IELTSは” International English Language Testing System”の略称で、ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュ・カウンシル、IDP Educationが共同で作成、運営している国際的な英語試験です。

受験者数は全世界で年間350万人以上、スコアは140か国10,000以上の教育機関などで採用されているため、世界で最もメジャーな英語試験の1つといえるでしょう。

ほかの世界的にメジャーな英語試験でいうとTOEFLがあります。

これを作成、運営しているのはアメリカのETSという団体で、TOEICもこの団体の試験です。

ざっくりいえば、IELTS=イギリス系、TOELF/TOEIC=アメリカ系というようなイメージです。

実際に使用しているトピックや英語もそれぞれ英国と米国に寄っている印象です。

リスニングは特に、それぞれの国のアクセントに対応していないと厳しいので対策が必要なところです。

IELTSのスコアは留学・移住にも使える!

IELTSのスコアは140か国10,000以上の教育機関などで留学や移住のために使用することができます。

この試験は大きく見ると「アカデミック」と「ジェネラル」の2つのモジュールに分かれており、主に「アカデミック」は留学のために、「ジェネラル」は移住のために使用します。

「アカデミック」と「ジェネラル」では、リーディングとライティングの試験内容が少しだけ異なるため、事前にどちらを受ける必要があるかを明確にして準備する必要があります。

ちなみに、アカデミックの方が比較的難易度は高いです。

それぞれの試験内容の詳細については下記リンクを参考にして下さい。

また、それぞれのモジュールにおいて、何を目的にするかで必要なスコアは変わります。下記表が大まかなイメージです。

大学5.5~6.0
大学院6.5~7.0
専門学校5.0~6.0
語学学校4.5~
移住5.0~

また、提出先のレベルなどによってもスコアは変わってきます。

たとえば、多くの大学は6.0があれば入れますが、トップ大学であれば6.5以上を要求してくることも珍しくありません。

それに対して、移住の場合は申し込むVISAの種類によって必要なスコアが変わってくるでしょう。

オーストラリアやカナダのように、ポイントシステムを導入している国では、高スコアを持っている方がVISAの申請において有利になります。

メージとして、IELTSのOverall 5.5~6.0で「英語力中級」というレベル感です。
日本人受験者の平均スコアはだいたいOverall 6.0くらいというデータがありますが、下記のIELTSと他試験のスコア換算表を元にするとIELTS6.0は英検準一級、TOEIC740点オーバーなので、日本人英語学習者の全体からいうとそれなりに学習を積んでいる方というイメージではないでしょうか。

CEFRIELTS英検TOEICTOEFL iBT
B26.5準1級740-82060-78
5.5600-74046-59
B15.02級550-60035-45
4.5500-55032-34
4.0準2級450-490-31
* IELTSと他試験のスコア換算表

受験料について

IELTSの受験料は受験形式によって異なります。
ペーパー試験は¥25,380(税込)
PC試験は¥27,500(税込)(2023年7月時点)

【4技能のサンプル問題と解説】

Readingサンプル問題

まずはReadingの問題を見ていきましょう。

Making time for science

Chronobiology might sound a little futuristic – like something from a science fiction novel, perhaps – but it’s actually a field of study that concerns one of the oldest processes life on this planet has ever known: short-term rhythms of time and their effect on flora and fauna.

This can take many forms. Marine life, for example, is influenced by tidal patterns. Animals tend to be active or inactive depending on the position of the sun or moon. Numerous creatures, humans included, are largely diurnal – that is, they like to come out during the hours of sunlight. Nocturnal animals, such as bats and possums, prefer to forage by night. A third group are known as crepuscular: they thrive in the low light of dawn and dusk and remain inactive at other hours.

Questions 1–7

Do the following statements agree with the information given in Reading Passage 1?
In boxes 1–7 on your answer sheet, write

TRUE : if the statement agrees with the information
FALSE : if the statement contradicts the information
NOT GIVEN : if there is no information on this

1 Chronobiology is the study of how living things have evolved over time.
2 The rise and fall of sea levels affects how sea creatures behave.
3 Most animals are active during the daytime.
(引用:British Council

今回はReadingで、典型的なTFNG(True/ False/ Not Given)問題を見ていきます。それぞれ解答は以下のようになります。

. False
. True
. Not Given

この問題タイプは問題文の意味をしっかりと把握することと、解答の根拠になる箇所をしっかりと特定することが重要です。
もし根拠文がずれていれば、たとえ正解だったとしても読解を間違っている可能性があるので意味がありません。
そこで根拠文と解答を照らし合わせていきましょう。

まず1のステイトメントは

1 Chronobiology is the study of how living things have evolved over time.

「クロノバイオロジーというのは生物が時間を経てどのように進化してきたかについての学問である」
といっています。

それを踏まえて、パッセージで大事なのはこの部分です。

but it’s actually a field of study that concerns one of the oldest processes life on this planet has ever known: short-term rhythms of time and their effect on flora and fauna.

ここの箇所は、
「しかし、それ(クロノバイオロジー)は実は地球上の生命が知っている最古のプロセスの一つについて扱う学問である。短い時間の周期があり、それらが与える植物と動物への影響について」
とあります。

これは1のステイトメントと矛盾していることをいっているため解答はFalseとなります。Falseのポイントは
ステイトメントと相容れない事をいっている
というところです。

次に2のステイトメントは

2 The rise and fall of sea levels affects how sea creatures behave.

(海の満ち引きは海の生き物がどのように行動するかに影響する)
といっています。

解答はTrueで、該当箇所はここ。

Marine life, for example, is influenced by tidal patterns. Animals tend to be active or inactive depending on the position of the sun or moon.

(たとえば海の生き物は潮のパターンによって影響されている。動物は月や太陽の位置関係によって行動的になったり、そうでなくなったりする傾向がある。)

ここで大事なのが、パラフレーズ(単語の言い換え)です。ステイトメントと全く同じ事をいっていますが、使用している単語がかなり違います。

たとえば、
sea creatures ⇒ marine life
the rise and fall of sea levels ⇒ tidal patterns
affect ⇒ influence
behave ⇒ active or inactive
などです。

このようにして問題の中でパラフレーズを行うことで、受験者の文法、語彙力を測るというのがIELTS試験のベースになっています。

次に、3のステイトメントは

3 Most animals are active during the daytime.
ほとんどの動物は日中に行動的になる。

といっており、解答はNot Givenです。

この場合は書いていない、情報が与えられていないということなので根拠文はありません。

Not GivenとFalseの見分け方が難しいと思いますが、判断の基準はFalseのところでいっていたように「矛盾しているかどうか」というところになります。

Listening サンプル問題

次はListeningを見ていきましょう。

問題と音声はこちらからアクセスして下さい。

Section 1 Question 1-10

Question 1-5
Complete the note below.
Write no more than two words and / or a number for each answer.

今回は試験の最初のパートであるPart1を使用します。

このパートは典型的にこのような穴埋め問題が出題されます。

音声を聞きながら該当箇所にワードを入れていく問題で、IELTSのListeningの中では最も難易度が低いものになります。

では、スクリプトを見ながらいくつか問題を見ていきましょう。

まずはの問題です。スクリプトの該当箇所はこちら。

Woman: Well, if you catch a railway express, that’ll get you there in under an hour … Let’s see – yes, if you can make the 9.30am express, I’d recommend you do that.

(電車を使用すれば一時間以内に到着することが出来るでしょう。

もし9時30分の急行に乗ることができるのであれば、それをおすすめします。)

とあるので、解答は「9:30」です。

次に、2の解答は「Helendale」となっています。

この問題はIELTSで特徴的な問題タイプなので、ぜひカバーしておきましょう。

パート1ではかなり高い確率でこのようなスペリングの問題が出てきます。
書き取るものは人や場所の名前、電話番号など様々ですが、特徴としては、一度フルで単語を読み上げてから一つずつスペルや数字を読み上げてくれるというところです。
スクリプトでの該当箇所はここです。

Man: Great. Which station does that leave from?
Woman: Helendale is the nearest train station to you.
Man: Did you say Helensvale?
Woman: No, Helendale – that’s H-E-L-E-N-D-A-L-E

この問題は読み上げた音を書き取るだけで点数が取れるので、必ず落とさないように練習しておきましょう。

最後に3の問題を見ましょう。

解答は「Central Street」ですが「Shopping Centre」と入れてしまった人は少なくないと思います。

該当箇所のスクリプトを見ていきましょう。

Woman: Well, hang on a minute while I look into that … Now, it seems to me that you have two options. Option one would be to take the 706 bus from the Bayswater Shopping Centre to Central Street. When you get there, you transfer to another bus which will take you to the station. Or, the second option, if you don’t mind walking a couple of kilometers, is to go directly to Central Street and get straight on the bus going to the train station.

スクリプトの赤い部分を見ると、
一つの選択肢はBayswater Shopping CentreからCentral Streetへ行く706のバスを使うこと
とあります。つまり、このバスは
Central Street行き
ということになり、Shopping Centreは出発地になります。

このような形でListeningにはDistractorsと呼ばれる、解答を妨げるひっかけの音が出てきます。
これをうまく避けていくことがListeningで得点するために重要なポイントなので、学習する際は必ずスクリプトで確認するようにしましょう。

Speaking サンプル問題

次はSpeakingについてです。
まずは下記のリンクから採点基準を把握しましょう。

Speakingは、
Fluency and Coherence(流暢さと一貫性)
Lexical Resource(語彙の幅広さと正確性)
Grammatical Range and Accuracy (文法の幅広さと正確性)
Pronunciation (発音)
この4つの採点基準があります。

それらを踏まえた上でこちらの動画を御覧ください。

こちらの動画のSpeakingは元試験官が採点を行い、6.5-7.0あたりのスコアが出ています。

動画内にも解説がありましたが、ここでも各採点基準に従ってパフォーマンスを見ていきましょう。

まず発音はある程度英語のリズムや音の特性を捉えて発音する必要はあります。

そういう意味では完全なカタカナ英語の発音では厳しいです。

特に相手の理解を妨げてしまうくらいの訛りがあると点数には繋がりにくいでしょう。

とはいえ、ネイティブのように話せる必要はなく、動画内のスピーカーのように母国語の訛りがあっても構いません。

文法に関しては、出来る限りバリエーションを出したいので時制は幅広く使用しましょう。
現在形、過去形は簡単だと思いますが、Part2に出てくる“Japanese economy has been suffering over last the 20, 30 years.”のような現在完了形なども入っていると良いですね。
また、受動態や、Part3であった”There are many athletes that are famous.” のような関係詞も使用できると文法の高度さをアピールできます。

語彙に関しては、試験官の使った言葉をいくつか言い換えるところもありましたが(Part 3 でpeople⇒the general public / a lot of money⇒fortuneなど)そこまで無理をして言い換え表現を探す必要はなく、適度にパラフレーズすることができれば十分このスコアには到達可能です。

パラフレーズを行った結果、意味が通じないというのが最も避けたいことなので正確性を重視しましょう。

最後に流暢さという点で見ると、今回はかなりスムースで止まることが無かったので、かなりレベルは高いかと思われます。
この点に関しては英語力もそうですが、解答のアイディアを即座に出せるかという点も重要なため、解答の方向をうまく自分なりに持っていくことが重要です。

Writing サンプル問題

最後にWritingの問題を見ていきましょう。

Task 1

The graphs above give information about computer ownership as a percentage of the population between 2002 and 2010, and by level of education for the years 2002 and 2010.

Summarise the information by selecting and reporting the main features, and make comparisons where relevant. Write at least 150 words.

サンプルアンサー

The bar charts show data about computer ownership, with a further classification by level of education, from 2002 to 2010.

A steady but significant rise can be seen in the percentage of the population that owned a computer over the period. Just over half the population owned computers in 2002, whereas by 2010 three out of four people had a home computer.

An analysis of the data by level of education shows that higher levels of education correspond to higher levels of computer ownership in both of those years. In 2002, only around 15% of those who did not finish high school had a computer but this figure had trebled by 2010. There were also considerable increases, of approximately 30 percentage points, for those with a high school diploma or an unfinished college education (reaching 65% and 85% respectively in 2010). However, graduates and postgraduates proved to have the greatest level of ownership in 2010, at 90% and 95% respectively, 20 percentage points higher than in 2002.

The last decade has seen a substantial growth in computer ownership in general, and across all educational levels.
(引用: British Council)

Writingには4つの採点基準があり、上記のサンプルエッセイはそれらの点をうまくカバーしています。

採点基準についてはこちらからアクセスすることができます。

簡単に採点基準を見ると
「Task Response/ Task Achievement(データを上手く要約できているか)」
「Coherence and Cohesion(一貫性とまとまりがあるか)」
「Lexical Resource (語彙や表現の精度と幅広さはあるか)」
「Grammatical Range and Accuracy (文法の精度と幅広さはあるか)」
という4つのポイントになります。

それらの観点でいうと、上記のサンプルエッセイは全てのポイントにおいて高いレベルを達成しています。

まずトピックが何かということをイントロダクションで明確に提示し、それぞれのグラフにボディパラグラフを割り当てているため、構成と流れが非常に明確です。

また、最後のパラグラフで、
過去10年で、パソコンの所持率はすべての教育レベルにわたって大きく上昇した。
という全体像が非常に明確に提示されています。

この点は採点基準のTask Achievementを稼ぐためには重要な点なので、カバーしたいところです。

あとは文法や語句の精度が高く、幅広いものが使用されているのもポイントです。

たとえば、受動態や関係詞、従属接続詞などの複雑で高度な文法が正確に使用されています。

また、”but this figure had trebled by 2010.”のように過去完了形を用いているのもポイントが高いですね。

語彙ではtreble(3倍になる)や、substantial growth/ significant riseなどバリエーションをつけつつ高度な語句も使用されています。

このように、文法や語句のポイントを絞って意識的に使用していくことによって、効果的に点数を稼いでいくことができます。

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