近年、グローバル化が進む環境で体験したライフスタイルや多様性などから、海外移住を検討している方もいるのではないでしょうか。
海外に移住するためには、相応の英語能力が求められます。
世界で最も知名度が高い英語の資格試験の1つである「IELTS(アイエルツ)」には、アカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールの2つの種類があります。
アカデミック・モジュールは主に海外留学を目的として、ジェネラル・トレーニング・モジュールは海外移住・永住権申請・海外赴任などで、英語力を証明するために受験されています。
本記事では、IELTSのスコアが海外移住に必要な理由と難易度、求められるスコアを取るための勉強方法について詳しく紹介していきます。
海外移住に必要なIELTSのスコアは何点なの?
主にアメリカ以外の英語圏に海外移住をするためには、IELTSのスコアが必要です。
要求されるスコアについては、移住先や移住する目的(移住のみなのか、就労するのか)によって異なります。
オーストラリア
オーストラリアへ移住を希望する際は、オーストラリア移民・国境警備省より、ビザ申請手続きの条件の中に、英語能力を証明するためにIELTSが認められています。
移住(永住権)申請にはジェネラルのスコアが必要となり、IELTS全セクションで6.0以上のスコアが必須条件です。
オーストラリアでの就労を希望する場合も移住同様、オーストラリア移民・国境警備省より、ビザ申請手続きの条件として、英語力の証明を求められます。
就労ビザ取得にも、IELTSのジェネラルのスコアが必要とされています。
就労ビザのタイプによって必要なスコアは異なりますが、おおむねIELTS全セクションで5.0以上とされています。
就職の際に企業が求めるスコアは、ビザ申請の基準以上になるケースもあるので、就職を希望する企業で必要なスコアもあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
ニュージーランド
ニュージーランドへの移住を希望する場合も、ニュージーランド政府が求める英語能力の最低基準を満たす必要があります。
ニュージーランドではビザにさまざまなカテゴリーが設けられています。
技能移民、ビジネス、両親、就労からの定住など、多くのカテゴリーで、IELTSのスコアによる英語力の証明が必要とされています。
<ニュージーランド移住の際に各ビザのカテゴリーで求められるIELTSスコア>
ビザのカテゴリー | 求められるIELTSスコア |
---|---|
Skilled Migrant(技能移民) | 申請者本人は、オーバーオール6.5以上が必要とされています。申請者のパートナーおよび子どもは、オーバーオール5.0以上が求められます。 |
Business(ビジネス) |
申請者本人に必要なIELTSのオーバーオールはさらに細かいカテゴリーごとによって異なります。 オーバーオール3.0〜5.0以上が求められますが、事業者、起業家、投資家によって異なります。 事業移転就労カテゴリーが最も高いオーバーオール5.0以上、起業家定住または起業家ワークビザカテゴリーではオーバーオール4.0以上、投資家(投資家2カテゴリー)ではオーバーオール3.0以上が求められます。 申請書に記載されたパートナーおよび16歳以上の子どもも、英語能力の最低基準を満たすことが要求され、オーバーオール4.0以上が必要です。 |
Parent(両親) |
Parent(両親)カテゴリーとは、「呼び寄せビザ」と呼ばれる、永住権(または市民権)を持つ移住者が両親の永住権をサポートするというビザのことです。 このカテゴリーの申請者は、IELTSの最低2つ以上のセクションで4.0以上である証明を提出することが求められます。 |
Residence from Work(就労からの定住) | 申請者本人は、オーバーオール5.0以上、申請者のパートナーおよび子どもも同様にオーバーオール5.0以上が求められます。 |
ニュージーランドでの就労を希望する場合も、ニュージーランド政府が求める英語力の最低基準を満たす必要があります。
求められるスコアは、ビザのカテゴリーによって異なりますが、移住の際に必要なスコアとほぼ同様です。
イギリス
イギリスに移住を希望する際には、英国ビザイミグレーション(UKVI)が認める英語能力証明テスト「Secure English Language Tests(SELT)」を受験する必要があります。
IELTSはこのSELTのうちの1つとして採用されています。
英国への移住を希望し、UKVIへの申請のための英語力の証明が必要な場合は、UKVIが認定したテストセンターで受験する必要があります。
IELTS for UKVIは、通常のIELTSとテストの形式、内容、採点方法、難易度のすべてで共通しています。
異なる点を挙げるとすれば、IELTS for UKVIは、イギリスでの就労、就学、移住の目的でビザを申請する際に、英語力を証明するための検定として、英国内務省に認定されていることいえます。
イギリスへの移住では、取得するビザによって求められるスコアが異なります。
たとえば、起業家や一般ビザでは4.0以上、宗教活動家ビザは5.5以上が必要です。
就労する場合も同様のスコアが必要です。
IELTS for UKVIに関する詳しい解説は、以下のリンクから、ご覧いただけます。
イギリスへの移住をはじめ、イギリスでの就労や就学を検討している方は、チェックしてみてください。
IELTSジェネラルを受験しなければならない理由
海外に移住するために、IELTSジェネラルを受験しなければならないのはなぜなのでしょうか。
それは、海外に移住や就労する場合、ビザを発行する必要があるためです。
ビザについては前述でも少し触れましたが、そもそもビザとは渡航先の政府が外国籍の市民に対し、入国を認めるために発行する入国許可証のことをさします。
書類や面接などを通じて事前審査を行い、承認された方にのみビザが発行されます。
ビザの申請方法や条件は国によって異なり、滞在の目的に応じたビザが求められます。
海外で就労するためには、就労ビザや起業ビザ、永住するためには永住ビザ、または投資ビザが必要です。
このビザを発行するには、要求されているIELTSスコアを満たし、英語力を証明する必要があるため、海外移住をする際にはIELTSジェネラルを受験する必要があるのです。
IELTSジェネラルの難易度
IELTSジェネラルは、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4セクションで構成されています。
これは主に留学に必要なアカデミックと同様です。テストの所要時間はアカデミックと変わらず、合計約2時間45分で実施されます。
アカデミックと異なる点は、リーディングとライティングの問題の内容です。
アカデミックは、学術的で難易度の高い内容が多い傾向にありますが、ジェネラルでは日常生活や職場でのやり取りを想定した設問や課題が多く出題されます。
日常生活に則した読みやすい文章が出題されるため、「問題文が読みやすい」「内容が理解しやすい」といった特徴があります。
そのため、ジェネラルはアカデミックと比較して、内容も理解しやすく、全体的な難易度は低いといわれています。
しかし、スコアを獲得するための正答率はアカデミックより高く設定されているため、一問のミスが致命的になりやすいという面も持ち合わせています。
IELTSジェネラルについては、IELTSアカデミックと比較しながら、以下のページで詳しくご紹介しています。
海外移住のために、IELTSジェネラルの受験を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
海外移住で要求以上のIELTSスコアを取るためには?
海外移住のために必要なスコアとして紹介した要求スコアは最大で6.5以上であるため、7.0以上のスコアを目指す勉強法がおすすめです。
前述でも少し触れましたが、海外移住が目的で受験するIELTSジェネラルはアカデミックとはリーディングとライティングの問題の内容が異なります。
そのため、教材・テキストはIELTSジェネラルに対応したものを選ぶ必要があるといえるでしょう。
IELTSジェネラルのリーディングとライティングのそれぞれのセクションでスコアアップができる勉強方法についてご紹介します。
リーディング
リーディングはIELTSジェネラルの中で、スコアアップが難しいといわれているセクションです。
アカデミックと比較すると、内容は比較的やさしいといわれていますが、他の英語の資格試験と比較すると、文章が長めで内容も環境問題や化学、生物、地学や歴史など、難しい内容が多い傾向にあります。
IELTSは、英検®のように級ごとに分かれていないため、簡単な問題も難しい問題も混在しています。
ハイスコアを狙うためには、語彙力を強化することが大切です。
また、読解力も求められるため、IELTSジェネラルのリーディングの問題集を使って、まとまった文章を決まった時間で毎日1つ読む習慣をつけましょう。
通勤や通学時間などの隙間時間に、スマホでBBC(British Broadcasting Corporation)のアプリを使ってニュースを読む勉強方法も効果的です。
ニュースはIELTSのリーディング内容とも合致しやすいため、おすすめです。
IELTSはイギリス英語がメインですので、アメリカ英語のABC(ABC News)ではなくBBCを利用するようにしましょう。
イギリス英語がメインではありますが、試験でアメリカ・オーストラリア英語の言い回しをしても減点対象となることははありません。
ただし、文法の使い方が一定していないと減点の対象になってしまうかもしれないので、注意してください。
ライティング
IELTSジェネラルのライティングでは、タスク1で手紙を書く問題が、タスク2でエッセイを書く問題が出題されます。
タスク1の勉強方法としては、まずはIELTSジェネラルに対応した教材やテキストを利用して、英語で手紙を書く手順や様式を理解しましょう。
次は手紙に書く内容を整理する練習をします。
文章構成や、伝える力が問われるため、相手に何を伝えるための手紙なのか、ということをしっかりと意識することが大切です。
タスク2ではエッセイを書くことが求められます。
タスク1同様、様式はIELTS専用の問題集を使って暗記しておきましょう。
問題集には使える決まり文句や単語、イディオムなどが掲載されていますので、一通り覚えておくことがおすすめです。
海外移住をするうえで、ビザ申請に必要となるIELTSの受験を検討されている際に、日本で働きながらでは勉強する時間を確保するのが難しいですよね。
目標スコアを達成するために勉強の指導をして欲しい方は、バークレーハウスのIELTS対策講座がおすすめです。
限られた時間でも、レベルに合わせて、個別に効率的かつ効果的なレッスンプランをご用意します。
以下のページでは、IELTS対策講座のレッスンプランの一例がご覧いただけます。
ぜひIELTS対策のご参考のためにも、チェックしてみてください。
IELTSジェネラル対策ができる学習教材
IELTSジェネラルの対策を効率的に行うための学習教材をご紹介します。
Cambridge English「IELTS 16 General Training Student’s Book with Answers with Audio with Resource Bank」
IELTSの学習には、公式の数字シリーズを使うのが非常に効果的です。
こちらの学習教材は、受験英語でいうと、「赤本」の位置づけだといわれています。
数字が大きくなるごとに、新しいバージョンになるため、これから取り組むという方は最新の16を選びましょう(2022年7月時点の情報)
11〜16については、ジェネラルのテストが4セット、リスニングの解答とスクリプト(脚本)、リーディングの解答、ライティングのサンプル解答と模範解答で構成されています。
テストを活用する際には、実際の試験と同じ時間を計って取り組みましょう。
ただ解くだけでは身につきづらいので、完全に理解をすることと、反復練習をすることを心がけることが重要です。
Cambridge University Press「ケンブリッジのIELTS公式ガイド アカデミック&ジェネラル・トレーニング」
ケンブリッジが公式で発行しているIELTSの練習本で、日本語版が出版されています。
練習問題が8セットあり、そのうちジェネラルの問題は2セットのみですが、実際の試験に臨むためのトレーニングとしては、かなり使える教材です。
Barrons Educational Series; Third版 「Essential Words for the IELTS: With Downloadable Audio」
こちらは、IELTSの単語にフォーカスしたテキストです。
この単語集は、トピックごとに分かれている点と、Word Family(共通の語源を持つすべての単語の基本形)が優れている点がおすすめの理由として挙げられます。
IELTSのスピーキングやライティングにおいては、トピック特有の単語を知らないとまったく話せない、書けないということが起こり得ます。
その点、この単語集ではトピックごとの単語を学べるため、効率良く勉強することができます。
Word Familyはいわゆる派生語のことを指しますが、新しい単語を覚える時には、Word Familyを同時に覚えるのが、効率が良いといわれています。
ただし、公式の教材ではないので、練習テストの形式が若干本番と異なるため注意しましょう。
まとめ
海外に移住を希望している場合、IELTSジェネラルのスコアが必要です。
求められるスコアは、国や目的によって異なりますが、最大で6.5以上とされているため、7.0を目指すように勉強するとよいでしょう。
IELTSのジェネラルを受験する際には、ジェネラルに特化した教材を使用した勉強方法が効果的です。
とはいうものの、独学でのスコアアップが難しい、という方にはIELTS対策を専門に行っている語学スクールに通う方法も1つの手です。
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