本記事は、初めてのIELTS受験を検討されている方向けに「IELTSとはなにか?」「初受験に向けてするべきこと」「学習計画」について書いていきます。
そもそもIELTSとは?
IELTSとは” International English Language Testing System”の略称で、ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュ・カウンシル、IDP Educationが共同で作成、運営している国際的な英語試験です。
受験者数は全世界で年間350万人以上、スコアは140か国10,000以上の教育機関などで採用されているため、世界で最もメジャーな英語試験の1つといえるでしょう。
ほかの世界的にメジャーな英語試験でいうとTOEFLがあります。これを作成、運営しているのはアメリカのETSという団体で、TOEICもこの団体の試験です。
ざっくり言うとIELTS=イギリス系、TOELF/TOEIC=アメリカ系というようなイメージです。
実際に使用しているトピックや英語もそれぞれ英国と米国に寄っている印象です。
リスニングは特に、それぞれの国のアクセントに対応していないと厳しいので対策が必要なところです。
IELTSのスコアは何に使うの?
IELTSのスコアは140か国10,000以上の教育機関などで留学や移住のために使用することができます。
この試験は大きく見ると「アカデミック」と「ジェネラル」の2つのモジュールに分かれており、主に「アカデミック」は留学のために、「ジェネラル」は移住のために使用します。
「アカデミック」と「ジェネラル」では、リーディングとライティングの試験内容が少しだけ異なるため、事前にどちらを受ける必要があるかを明確にして準備する必要があります。
ちなみに、アカデミックの方が比較的難易度は高いです。それぞれの試験内容の詳細については下記リンクを参考にして下さい。
また、それぞれのモジュールにおいて、何を目的にするかで必要なスコアは変わります。
以下の表が大まかなイメージです。
大学 | 5.5~6.0 |
大学院 | 6.5~7.0 |
専門学校 | 5.0~6.0 |
語学学校 | 4.5~ |
移住 | 5.0~ |
また、提出先のレベルなどによってもスコアは変わってきます。
例えば、多くの大学はだいたい6.0があれば入れますが、トップ大学であれば6.5以上を要求してくることも珍しくありません。
移住の場合は申し込むVISAの種類によって必要なスコアが変わってくるでしょう。
オーストラリアやカナダのようにポイントシステムを導入している国では高スコアを持っている方がVISAの申請において有利になります。
イメージとして、IELTSのOverall 5.5~6.0で「英語力中級」というレベル感です。
日本人受験者の平均スコアはだいたいOverall 6.0くらいというデータがありますが、下記のIELTSとほかの試験のスコア換算表をもとにすると、IELTS6.0は英検準一級、TOEIC740点オーバーなので、日本人英語学習者の全体から言うとそれなりに学習を積んでいる方というイメージです。
IELTSとほかの試験のスコア換算表
CEFR | IELTS | 英検 | TOEIC | TOEFL ibt |
B2 | 6.0 | 準1級 | 740-820 | 60-78 |
5.5 | – | 600-740 | 46-59 | |
B1 | 5.0 | 2級 | 550-600 | 35-45 |
4.5 | – | 500-550 | 32-34 | |
4.0 | 準2級 | 450-490 | -31 |
IELTSはどんな試験内容?何技能?
IELTSはL(リスニング)/R(リーディング)/S(スピーキング)W/(ライティング)の4技能で構成される試験です。
普段、TOEICなどLRのみの学習をしている方にとってはSWがある分、少しハードルの高い試験と言えるでしょう。
試験時間はLRW(約2時間半)+S(約15分)と、合計で3時間弱の試験時間になっています。
各4技能の試験内容の詳細については以下ブログでご紹介しています。
リンクにまとめてあるので参考にしてみて下さい。
スコアリングについて
各技能はBandスコアと呼ばれる点数で1.0~9.0まで0.5刻みで採点され、その4つの平均値がOverallスコアと呼ばれる最終スコアとして算出されます。
このOverallスコアこそ、皆さんが留学や移住をする時に受け入れ先が求めてくるものになります。
Overallスコアは4技能の平均値ですが、ただの平均ではなく0.25ずつ切り上げなので6.0が2つ、5.5が2つでもOverallは6.0として計算されます。
スコアの提出先によっては「Overallスコアは6.0だけれども、ライティングとスピーキングは絶対に6.0を超えて下さい」というような指定をしてくる場合もあるので、事前にスコアの提出先に確認が必要です。
IELTS受験に必要なもの
IELTSは受験申し込みの際に「試験日当日まで有効期限が残っているパスポート」が必要となります。
そのため、受験を考えているけどパスポートがない、有効期限が迫っているという方は事前に準備が必要でしょう。
また、IELTSの受験方法には「ペーパー」と「コンピューター」の2通りがあります。
どちらで受けても試験内容や難易度、スコアの有効性は変わりませんが、スピーキングを除いた3技能の順番が異なります。
パソコンはL→R→W→S、 ペーパーはW→R→L→Sの順番です。
コンピューター受験は現時点(2020年11月)では「東京」と「大阪」だけに受験地域が限られているため、お住いの地域によっては選択肢に入って来ないかもしれませんが、試験結果が5日程度で出ること、ライティングで修正をしたい時にテキストのコピー&ペーストが出来ること、リーディングなどで文章に黄色のハイライトが引けることなど、一定のメリットがあります。
こちらのサイトでPC受験のIELTSがどういったものなのか、LRWの3技能で試すことが出来るのでやってみてください。
あとひとつ、IELTSにはIELTS for UKVIというものがあり、これは通常のIELTSより受験料が数千円高く、セキュリティも少し厳しいバージョンになります。
これを受けないといけないのは主に「英国へ渡航する方」に限られてきますが、英国へ行く方でもスコアの提出先が通常のIELTSを認めている場合はIELTS for UKVIを受ける必要はありません。
そのほか、IELTS for UKVIについての詳細はこちらのブログ記事が参考になります。
IELTS初受験~目標達成までの学習フロー
IELTSの概要について把握したところで、次は初受験~目標達成までの学習フローについてみていきましょう。
- 1. 目標スコア、期日の設定
- 2.4技能の試験内容を大まかに把握
- 3. 現状把握(テスト受験)
- 4. 現状と目標の開きを元に学習プランを作成
- 5. テスト受験
- 6. 軌道修正
1. 目標スコアと期日の設定
まずは目標スコアを決めましょう。これはそれぞれ目的によって異なると思いますが、ポイントは「一度決めた目標を途中で変えないこと」です。
「最初はOA6.5を目指していたけど、無理そうだからOA6.0にしよう…。」というような事をしてしまうと、なし崩しにスコア目標を下方修正してしまいかねません。
特に大学や大学院に正規留学しようとしている方は入学準備コース(正規課程に入る前に留学生が英語を学ぶコース)であれば正規課程に必要なスコアの-0.5~-1.0程度でとりあえず入ることができます。
しかし、これには余分にお金と時間がかかってしまいますし、下方修正したスコアにすら届かないという事態も起こりかねません。
海外留学が初めてで、なおかつ予算に余裕があるという方は、海外生活に慣れるという意味でも準備コースに入学することを想定していても良いかもしれませんが、基本的には一度決めた目標は動かさないようにしましょう。
2. 4技能の試験内容を大まかに把握
目標スコアが決まったら、まずはテスト作成団体であるCambridgeが出版している公式問題集を入手しましょう。
これがIELTS学習の柱になるテキストです。
最近は日本語でも様々な教材が出ていますが、やはり難易度や試験の形式が限りなく本番に近いという意味では、これ以上に試験準備に適した教材はないでしょう。
現時点(2024年2月)では、IELTS16というナンバーまで出ています。
ただ、このテキストには「解説がほとんどない」という大きなデメリットがあります。
IELTS 15からは少しは解説が追加されましたが、かなり簡素なものになっており、親切に一つ一つ解答の根拠などの説明はしてくれていません。
IELTSの学習においては「なぜ問題が取れなかったのか?」を考えて復習することが何よりも重要です。
また、前述のCambridge公式問題集はすべて英語で書かれているため、英語初心者には中々チャレンジングになるかと思います。 そんな方にはIELTS運営団体の1つであるBritish Councilの公認問題集がオススメです。 こちらは日本語で4技能の概要から学習法までが簡潔にカバーされており、解答例や解説もしっかりとついています。 特にWritingの書き方などを知りたい人は、まずはこちらの学習書で基礎をカバーするのが良いでしょう。
3. 現状把握(テスト受験)
次に現状把握です。テキストを用いてある程度、試験についての基本的な部分がカバーできたら、とにかく一度試験を受けてみるべきです。
なぜなら、現状のレベルがわからないと学習の計画が立てられないからです。
しかし、IELTSは一回の受験料が約2.5万円と、安くはないので躊躇する方も少なくないでしょう。
そんな方はIELTS運営団体の1つであるBritish Councilが提供している”IELTS Online Practice”というものを受験してみましょう。
これはIELTSの本番と同じような形式で模擬試験が自宅のパソコンから受けられるものです。
あくまでも「模擬テスト」なので、これと同じスコアが本番で出るとは限りませんが、かなり実際のレベルに近いのが出るので、ひとまずの現状把握としては十分でしょう。
IELTSだけに限りませんが、英語試験はとにかく一回で目標を達成しようとしないことが重要です。
英語力以外にも、試験の場馴れというのが意外とスコアに影響してくる部分なので、可能であれば本番のIELTSを一度受けてみるのが良いと思います。
4. 現状と目標の開きを元に学習スケジュールを作成
ひとまず現状のスコアが分かれば、目標と比較して、どの技能がどれくらい欠けているのかが明確になるはずです。
そこで、スコアが必要な期日から逆算して学習スケジュールを立てていきましょう。
この際、スケジュールはできるだけ中期間(3ヶ月程度)で区切っていきましょう。
あまりスパンが長すぎるとモチベーションの維持が難しく、途中で怠けてしまいがちです。
生徒さんを見ていても、結果を出す方というのは短期間でしっかりと集中して学習に取り組まれている方のように思います。
なので、スコア取得まで1年や2年あるという方も、とりあえず3ヶ月ごとに本番受験を想定して、中期目標のスコアを決めていきましょう。
バークレーハウスのレッスンでは、40時間のレッスンを週に2回受講していただき、約3ヶ月でOverall 1.0を上げていくようなイメージで学習プランを立てていきます。
一日に学習時間をどれくらい取れるかというのは人によって違うと思いますが、単語とリーディングはとにかく毎日のタスクに入れておきたいです。
IELTSのリーディングとリスニングでは、TOEICや英検のように直接的に語彙を聞いてくる問題はありませんが、暗示的に語彙力を測ってくる問題がかなり多いので、単語力の強化は必須です。
使用する単語帳については、基礎単語はどの単語帳も同じようなものを収録しているのでIELTSか、単語の傾向が似ている英検用(準一級でIELTS 6.0~6.5程度目安)であればどれを使用しても構いません。
しかし、TOEICやTOEFL用の物は出てくる単語の傾向が少し異なるので、避けたほうが良いでしょう。
また、リーディングはすべての技能のベースとなるため、とにかく毎日何かしら読むということはしたいです。
特に英語初心者は英文を読むということに慣れていない事が多いので、毎日トピックに関わらず英文に触れて、まずは英語そのものに慣れるという作業が必要でしょう。
5.テスト受験
学習スケジュールに沿ってある程度の学習を続けた後は、いよいよ本番の試験です。
IELTSは3時間弱におよぶ試験なので、集中力や体力をつけるために勝負日の1週間くらい前には、テストと同じ流れでLRWの3技能をやってみるという練習をしておいた方が良いでしょう。
その際は前述のCambridgeの公式問題集が最適です。
本番の試験終了直後には、できなかった問題タイプやトピックをメモしておきましょう。次の学習のヒントになります。
6.軌道修正
試験結果と目標を見比べて、学習スケジュールを見直していきましょう。
その際は「具体的に何が足りていないのか」を明確にしましょう。
例えば、リーディングが時間内に終わらなかったのであれば「それはなぜ?」ということを問いかけましょう。
解答の順番など、問題へのアプローチの仕方が悪かったのか、それとも、語彙力が足りずに読解が進まなかったのかなど、原因を明確にして、それらの対策を次の学習プランに盛り込んでいきましょう。
IELTSは英語試験の中でも比較的、難易度が高い方だと思われるので、とにかく一回で目標スコアを取ろうとせず2~3回を目安にして、最低でも3ヶ月程度は学習期間を設けられると良いですね。
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