海外に長期間留学するためには、まとまった資金が必要です。
現地で生活するうえで、お金をどのように管理すればいいのか、疑問や不安を感じる方もいるでしょう。
留学中のお金の管理方法については、利便性だけでなく、安全性も考慮し選択することが大切です。
本記事では、留学中の金銭管理に関する基礎知識、現金や各種カードの特徴、おすすめの銀行口座などについて、詳しく解説します。
海外留学中のお金の管理方法を検討するための参考にしてください!
海外留学、お金はどうやって持っていく?
海外留学に行く場合、お金をどのように持っていけばいいのでしょうか。
以下では、留学先でのお金の管理方法や、現金を持ち運ぶ際の注意点について解説します。
留学先での金銭管理はカードが一般的
留学先での金銭管理は、カードを使用することが一般的で、支払い方法がカードのみの場合も珍しくありません。
また、多額の現金を持ち歩くことは、防犯上のリスクも伴います。
多くの日本人留学生は、日本の銀行にお金を入れておき、銀行口座に紐づけたクレジットカードやデビットカードなどを使用しています。
カードの方が現金より安全性が高いとはいえ、カードが盗まれたり、ロックがかかって使用できなくなる可能性もゼロではありません。
そのため、複数枚のカードを準備し、予備のカードは安全な場所に置いておくと安心です。
カード利用は手数料に注意
留学中に日本からの送金を受け取ったり、日本の銀行口座から現地のATMでお金を引き出す際には、一定の手数料がかかります。
海外送金の手数料は、一般的に1,000円から5,000円程度で、受取手数料は1,500円+送金額の0.05%程度です。
手数料は、留学先の国や使用する銀行によって異なるため、留学先への送金手数料に関しては、各銀行のHPなどで事前に確認しておくといいでしょう。
また、現地のATMでカードを使ってお金を引き出す際には、ATM手数料に加えて、海外事務手数料も発生します。
ATM手数料は1回あたり100円から200円ほどですが、海外事務手数料は引き出した金額の約3%前後が目安です。
留学先で日本からの送金を受け取ったり、カードを利用する際は手数料に注意しましょう。
所持金が100万円を超える場合は税関へ申告を
留学先に持参する現金が100万円を超える場合、税関への申告が必要です。
「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」に必要事項を記入し、空港などで税関に提出してください。
申告しなかった場合、関税法第111条の規定にもとづき、5年以下の懲役、もしくは500万円以下の罰金が課せられます。
該当する方は、かならず申告するようにしましょう!
出典:https://www.customs.go.jp/kaigairyoko/faq_payment.pdf
留学時のお金の管理方法
留学時のお金の管理方法には、現金だけでなく、海外送金や各種カード、現地の銀行口座といった、さまざまな方法があります。
お金の管理方法のそれぞれの特徴やメリット・デメリットについて、詳しく紹介します。
現金
留学中は、最低限の現金は用意しておくことがおすすめです。
とくに、海外ではチップを渡したり、お店がキャッシュレス決済に対応していない場合、現金で支払う必要があるためです。
ただし、多額の現金を携帯することは、防犯上おすすめしません。
留学先で出かける際は、少額の現金とカードを持ち歩くようにした方がいいでしょう。
現金のメリット | 現金のデメリット |
使う場所を選ばない | 多額の現金を持ち歩くのは安全面に不安がある |
盗難の被害に遭ったときの保証がない |
海外送金
留学先へ海外送金する方法は、大きく分けて2つあります。
- 日本の銀行から現地の銀行口座に送金する方法
- 海外送金サービス会社を利用する方法
銀行を利用して海外送金する場合、日本の銀行から、中継銀行を経由して、現地の銀行口座に入金されます。
ただし、送金元の銀行と受取先の銀行の両方で手数料が発生するため、注意してください。
一方で、海外送金サービス会社を使う場合、事前に登録しておくことで、現地に自分の銀行口座がなくても、提携している受け取り拠点でお金を受け取ることが可能です。
海外送金のメリット | 海外送金のデメリット |
現地のATMでお金をおろす際の手数料が抑えられる | 送金手数料や受取手数料がかかる |
送金後は為替レートを気にしなくて済む | 送金には本人確認書類が必要 |
クレジットカード
海外での決済方法は、クレジットカード払いが主流です。
クレジットカードを持っていることは、支払い能力があることの証明でもあります。
さらに、身分証明としても使えるため、クレジットカードは海外留学に必須といえるでしょう。
また、クレジットカードのブランドは、VISAかMasterがおすすめです。
日本のカードブランドであるJCBは、海外では使えないことも多いため、注意してください。
海外キャッシングの機能がついているクレジットカードの場合、現地の提携ATMから、現地通貨を引き出すことが可能です。
ただし、借り入れの扱いとなるため、利息がかかる発生する可能性がある点に注意しましょう。
クレジットカードのメリット | クレジットカードのデメリット |
身分証明、支払い能力の証明にもなる | 使用金額が見えにくいため、使いすぎる恐れがある |
不正利用の被害に対する補償がある | 海外キャッシングはATM手数料だけでなく利息もかかる |
提携ATMから現地通貨が引き出せる |
デビットカード
デビットカードは、VisaやMasterの加盟店では、クレジットカードのように利用できます。
クレジットカードがあと払い体系であるのに対し、デビットカードは即時決済のため、利用した瞬間に銀行口座からお金が引き落とされます。
そのため、銀行口座の残高以上の支払いはできないため、使い過ぎの心配がありません。
デビットカードも現地の提携ATMからお金を引き出すことが可能です。
クレジットカードの海外キャッシングとは異なり、利息は発生しません。
デビットカードのメリット | デビットカードのデメリット |
即時決済のため、残高が把握しやすい | 口座が残高不足だと支払いできない |
クレジットカードと同じように買い物できる | 一括払いのみで、支払い回数の選択はできない |
不正利用の被害に対する補償がある |
プリペイドカード
プリペイドカードも、クレジットカードやデビットカードと同じように、VisaやMasterの加盟店で利用できます。
前もって入金しておく方式のため、事前に入金した金額分のみ使用可能です。
また、プリペイドカードは入会時の審査が不要で、銀行口座も必要ありません。
さらに、年会費無料のカードが多く、小中学生など、お子様でも安心して使えるでしょう。
プリペイドカードのメリット | プリペイドカードのデメリット |
銀行口座を開設しなくても使える | チャージする手間がかかる |
事前に入金した分のみ使用可能なため、使いすぎ防止になる | 残高不足だと支払いできない |
現地の銀行口座
長期留学を予定している方は、現地で銀行口座を開設することがおすすめです。
現地に銀行口座があると、ATM手数料や為替レートの心配がなくなります。
また、現地でアルバイトすることを検討している場合、給与振り込み先が必要となるため、銀行口座を開設した方がいいでしょう。
預金の金利が高い国の場合、お金を銀行口座に預けることで、利息を得られるメリットもあります。
現地の銀行口座のメリット | 現地の銀行口座のデメリット |
海外送金先として使える | 口座開設に手間と時間がかかる |
アルバイトの給与振込先として使える | 帰国時に解約の手続きが必要となる |
ATM手数料が抑えられる |
海外留学に便利な日本の銀行口座
海外留学では、かならずしも現地で銀行口座を開設する必要はありません。
アルバイトをする予定がなく、給与の振込先が必要ない場合は、日本の銀行口座をそのまま利用することも可能です。
日本の銀行口座であっても、海外のATMからの引き出しやインターネットを通じた口座管理がおこなえます。
ただし、1年以上の海外留学を予定している場合、日本の「非居住者」として扱われることがあります。
1年以上留学する予定で、かつ日本の銀行口座を使いたい場合は、「非居住者」向けのサービスを提供している銀行を選ぶことがおすすめです。
以下では、海外留学時に便利なおすすめの日本の銀行を4社紹介します。
各銀行のサービスの特徴やメリット、注意点を紹介するため、ぜひ参考にしてください!
ソニー銀行
ソニー銀行の「Sony Bank Wallet」は、ソニー銀行の口座から即時決済される、VISAデビット付きのキャッシュカードです。
外貨にも対応しており、外貨預金口座を開設することで、貯めた外貨をそのまま海外で利用できます。
外貨口座からの引き落としにより、海外での利用手数料を抑えることができるため、大きなメリットといえます。
対象となる外貨は、米ドル、英ポンド、カナダドル、豪ドル、NZドル、ユーロなど、合計10通貨です。
ソニー銀行は、すでに日本で口座を開設しており、日本国籍をもっている方であれば、「非居住者」であっても引き続き口座が利用できます。
ただし、日本国内の連絡先となる人物の登録が必要です。
三菱UFJ銀行
海外で三菱UFJ銀行の口座を利用する場合は、「三菱UFJデビット」がおすすめです。
三菱UFJデビットは、海外でのショッピングや現地のATMでの通貨引き出しに使えます。
また、VISAとJCBの2種類から選択可能で、Apple PayやGoogle Payといった、スマートフォンのタッチ決済にも対応しています。
Apple PayはJCBデビットのみ、Google PayはVISAデビットとJCBデビットのどちらでも登録可能です。
さらに、三菱UFJ銀行は、インターネットバンキング「三菱UFJダイレクト」を海外でも利用できる、「グローバルダイレクト」というサービスも提供しています。
留学期間が1年以上の「非居住者」であっても、日本に帰国予定がある場合に利用が可能です。
利用手数料は月額300円で、日本出国前に窓口でのお申し込みが必要となります。
楽天銀行
楽天銀行の口座を海外留学中に利用する場合は、楽天のデビットカードやクレジットカードを持参するといいでしょう。
現地での買い物や、海外ATMでの引き出しがスムーズにおこなえます。
デビットカードとクレジットカードともに、利用額の1%分のポイントが還元されます。
そのため、楽天のサービスを頻繁に利用する方にとっては、楽天ポイントが貯まる楽天銀行はメリットが大きいといえます。
ただし、楽天銀行では、「非居住者」の方が口座を継続利用できない規定があります。
1年以上の長期留学を予定している場合は、解約が必要となるため注意してください。
SMBC信託銀行プレスティア
SMBC信託銀行プレスティアは、シティバンクの事業を三井住友グループが引き継いで新たに立ち上げたブランドです。
外貨預金は17通貨に対応しており、外貨に強い信託銀行として評価されています。
また、海外留学中に利用する場合は、VISAデビットカード「GLOBAL PASS」がおすすめです。
GLOBAL PASSは、あらかじめ外貨で積み立てた資金を、現地でそのまま使用でき、お買い物やATM引き出しの手数料を抑えることが可能です。
1年以上の長期留学で「非居住者」となる場合でも、住所変更することで口座の継続利用が可能です。
ただし、SMBC信託銀行プレスティアの口座維持手数料は、毎月2,200円(税込)かかる点に注意しましょう。
外貨預金残高が20万円以上、もしくは総残高が50万円以上であれば、口座維持手数料は免除されます。
留学先での銀行口座開設に関する基礎知識
日本の銀行を海外で継続して使うことも可能ですが、留学先で銀行口座を開設したほうが良いケースもあります。
以下では、現地で銀行口座を開設するべき場合や、口座開設時のチェックポイント、口座開設の流れなどについて紹介します。
留学先で口座を開設した方がよいケース
留学先で銀行口座を開設した方がよいケースと、口座開設が不要なケースを比較してみましょう。
口座開設した方がよいケース | 口座開設が不要なケース |
3か月以上の長期留学を予定している | 3か月以内の短期留学を予定している |
現地でアルバイトや有給インターンの予定がある | 現地で働く予定がない |
授業料や滞在費を現地口座から支払う必要がある | 現地口座から支払う必要がない |
日本から海外送金してもらいたい |
前述したとおり、海外留学中は日本の銀行口座をそのまま使うことも可能です。
3か月以内の短期留学であれば、現地の銀行口座を開設しなくても困ることはないでしょう。
ただし、現地でアルバイトや有給インターンとして働く場合は、給与振込先として、銀行口座を開設する必要があります。
また、日本のカードを海外で使用する場合、海外手数料が発生するケースが一般的です。
1回あたりの手数料はそれほど高くなくても、長期間の合計額となると負担が大きくなるでしょう。
そのため、長期留学の際には現地に銀行口座を開設することで、手数料や為替レートの心配をせずにお金の管理ができます。
口座を開設する際にチェックすべきポイント
現地で口座を開設する際は、以下の3点についてあらかじめ確認しておきましょう。
①日本支店の有無
海外の銀行には、日本に支店をもつ銀行もあります。
たとえば、香港で設立され、現在はロンドンに本社があるHSBCは世界最大級のメガバンクであり、東京にも支店があります。
日本にも支店がある銀行は、帰国時に口座を解約する必要がなく、帰国後も使い続けることが可能です。
また、世界中に支店があるため、ほかの国へ留学や旅行に行く際も使いやすいでしょう。
②ATMの数
現地にどれくらいATMがあるか、自分の住む場所の近くにATMがあるかどうかも大切なポイントです。
ATMが豊富であれば、出先で急にお金が必要になったときも、すぐに引き出すことが可能です。
たとえば、学校やスーパーの近くなど、普段の生活圏内にATMがあると便利です。
また、ATMの数や場所だけでなく、利用手数料もチェックしましょう。
出金回数が多い場合、手数料だけでも負担が大きくなります。
なかには出金手数料が無料の銀行もあるため、事前に確認が必要です。
③日本語対応の有無
留学先で銀行口座を開設する場合、英語での手続きに不安を感じる方もいると思います。
しかし、海外の銀行のなかには日本語で対応してくれる銀行もあり、疑問点も日本語で説明してもらえるため、安心です。
英語力に自信がない方は、日本語で対応している銀行を優先的に選ぶといいでしょう。
口座開設の流れと必要なもの
海外での口座開設の主な流れは以下のとおりです。
口座開設の流れ
- 現地銀行の窓口に行く
- 口座を開設したいことを係員に伝える
- 申込書に必要事項を記入する
- 必要書類を提出する
- 現金を預ける
- 口座開設完了
- 後日郵送でカードを受け取る
留学生は、通常の口座開設とは異なる対応になるケースもあります。
オンラインで口座開設できる場合でも、窓口に行って手続きをした方が無難でしょう。
また、銀行口座開設に必要な書類は、以下のとおりです。
銀行口座開設に必要な書類
- 身分証明書
- 住所を証明できる郵便物
- 在学証明書
- 学生証
銀行口座開設に必要な書類は、銀行会社によって異なる場合もあるため、事前に確認しておきましょう!
留学先での金銭管理についてよくある質問
留学先での金銭管理について、よくある質問にお答えします。
持っていくべき所持金の目安や、想定される金銭トラブルなどについて解説します。
現金はどのくらい持っていくべき?
短期留学の場合、持っていく現金は3万円〜5万円が目安です。
普段はクレジットカードやデビットカードなどで支払い、現金は必要なときのみ使うようにしましょう。
長期留学の場合も、現金は短期留学と同程度の額で十分です。
足りなくなれば、カードで現地のATMから引き出すといいでしょう。
多額の現金を持ち歩くのはリスクが多いため、基本的にはキャッシュレス決済で生活することがおすすめです。
留学先でのお金にまつわるトラブル例と注意点は?
海外では、日本では想像できないようなトラブルに巻き込まれてしまう可能性も少なくありません。
以下では、留学中に起こりがちな、お金にまつわるトラブルの事例を2つ紹介します。
【トラブル例①】
財布に手持ちの現金とカードをすべて入れて鞄に入れていた。
お店で鞄を席に置いたままトイレに行き、戻ってきたら財布が盗まれていた。
【トラブル例②】
日本から現金3万円と、クレジットカード1枚を持って行っていた。
現金が少なくなり、クレジットカードを使ってATMから現地通貨を引き出そうとしたところ、暗証番号を既定の回数以上押し間違えてしまい、ロックがかかってしまった。
海外では、スリや盗難に遭う可能性が日本より高いと思ってください。
そのため、外出先では、貴重品を肌身離さず持ち歩くようにしましょう。
とくに、財布は分けて、その日使わないお金は家に置いておくことがおすすめです。
また、暗証番号の押し間違いなどで、カードが使えなくなる可能性もゼロではありません。
そのため、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードといったカード類は、念のため複数枚持っていくと安心です。
日常的に使うカードを1枚持ち歩き、それ以外のカードは予備として家で保管しておくといいでしょう。
留学中のお金の管理は慎重に
海外ではキャッシュレス決済が広く普及しており、カードを使用することが一般的です。
多額の現金を持ち歩くことは、スリや盗難のリスクが高まるため、少額の現金とカードを持ち歩くようにするといいでしょう。
また、留学中は、現地で銀行口座を開設した方がよいケースと、開設が不要なケースがあります。
留学期間や、現地で働く予定があるかどうかなどを考慮し、自分に合う最適な方法を選択してください。
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