- 留学や海外移住に必要な英語試験って何があるの?
- IELTSってよく聞くけど、TOEICやTOEFLとどう違うの?
- 初心者はどこから勉強を始めればいいの?
IELTSは、英語圏への留学や移住、就職を目指す人にとって重要な英語試験です。
本記事では、IELTSの試験内容や種類、バンドスコアの仕組みから初心者が押さえるべき対策ステップ、おすすめの参考書・問題集まで、わかりやすく解説します。
これからIELTSに挑戦する人は、ぜひ参考にしてください。
IELTSとは?初心者が知っておくべき基本情報

まずはじめに、IELTSの特徴やほかの試験との違い、そしてどんな人に向いているのかを、初心者にもわかりやすく解説します。
IELTSとはどんな試験?TOEFLやTOEICとの違いは?
IELTSは、英語を母語としない人々の英語運用能力を測定するための国際的な試験です。
リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能を総合的に評価します。
イギリスをはじめ、オーストラリアやニュージーランドなど、140か国以上で認められており、海外留学や移住の際に英語力を証明する試験として広く利用されています。
ほかにも代表的な英語試験として、TOEFLやTOEICがあります。
TOEFLは、アメリカの非営利教育団体「ETS」が実施する試験で、アメリカやカナダなど北米の大学で入学基準として重視される傾向があります。
IELTSはペーパー受験・コンピューター受験のいずれかを選べますが、TOEFLは基本的にパソコン上で受験します。
スピーキング試験では、IELTSは試験官と1対1の対面形式、TOEFLはコンピューター上でおこなわれる点が大きな違いです。
一方、TOEICとの違いは「評価の目的」にあります。
TOEICはビジネス英語に特化した内容が中心で、日本国内の就職活動などで英語力を示す際によく利用されます。
リスニングとリーディング、文法問題が中心で、ライティングやスピーキングは含まれていません。
IELTSについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください!
| IELTS | TOEFL iBT | TOEIC | |
| おもな地域 | イギリス・オーストラリア・ニュージーランドなど | 北米(アメリカ・カナダ)など | イギリス・オーストラリア・ニュージランドなど |
| アクセント | おもにイギリス英語 | おもにアメリカ英語 | アメリカ英語、イギリス英語 |
| 試験内容 | 4技能 | 4技能 | リーディング、リスニング、文法 |
| 試験形式 | パソコン、ペーパー | パソコン | ペーパー |
| おもな地域 | イギリス・オーストラリア・ニュージーランドなど | 北米(アメリカ・カナダ)など | 日本、韓国の受験者数が多い |
| 面接形式 | 試験官との対面形式 | パソコンで録音形式 | なし |
IELTSはどんな人に向いている?どんな場面で活躍する?
IELTSは、140か国以上・1万を超える教育機関や政府機関で英語能力証明として採用されています。
海外の大学・大学院への進学、海外移住、グローバルなキャリアを目指す人にとくに向いています。
たとえば、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどの大学出願や、永住権・就労ビザ申請の際にIELTSスコアを求められるケースが多くあります。
また、日本国内でも英語系の学部や留学プログラムの応募条件としてスコアを設定している大学も増えています。
さらに、IELTSのスコアは就職・転職活動にも活かせます。
特に外資系企業や国際業務をおこなう企業では、実践的な英語力を示す指標としてIELTSスコアを重視する傾向があり、履歴書や職務経歴書に記載することで強いアピールポイントになります。
このように、IELTSは学業・移住・キャリアなど幅広い目的に対応できる試験で、将来英語を使ってグローバルに活躍したい人に最適です。
アカデミック、ジェネラルって?IELTSの種類
IELTSには、「アカデミック」と「ジェネラル・トレーニング」という2つのモジュールがあります。
また、コンピューター版とペーパー版の試験形式を選択できます。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
アカデミックとジェネラルの2種類がある
IELTSには「アカデミック(Academic)」と「ジェネラル・トレーニング(General Training)」の2種類があり、受験する目的によって選ぶべき形式が異なります。
アカデミックは、海外の大学や大学院への進学を目指す人向けの試験です。
大学レベルの講義やアカデミックな文章を理解・作成する力が求められるため、リーディングやライティングでは専門的で論理的な内容が出題されます。
一方、ジェネラル・トレーニングは、英語圏への移住や就労、または日常英語力の証明を目的とする人向けです。
リーディングとライティングでは、職場や日常生活で使われる実践的な英語表現が中心に出題されます。
なお、リスニングとスピーキングはどちらの形式でも同じ問題が使用されます。
コンピューター版テストとペーパー版テストがある
IELTSは「コンピューター版(Computer-delivered)」と「ペーパー版(Paper-based)」の2つの受験形式があります。
試験内容や難易度はどちらも同じですが、受験方法や試験環境にいくつか違いがあります。
| コンピュータ版 | ペーパーテスト版 | |
| 解答形式 | すべてコンピュータ上でおこない、ライティングはタイピング解答 | 紙の問題用紙に鉛筆で書いて解答 ※リスニングは、出題後に解答転記の時間が10分設けられる |
| スピーキング | 試験官と対面で1対1 | 試験官と対面で1対1 |
| 試験結果 | 通常3〜5日以内 | 通常13日程度 |
コンピューター版では、リスニング・リーディング・ライティングの3セクションをパソコンで受験します。
タイピングが得意な人は、ライティングがスムーズに進めやすいでしょう。
また、試験結果が早く確認でき(通常3~5日以内)、スケジュール調整がしやすい点もメリットです。
一方、ペーパー版は従来どおり紙に書き込む形式です。
鉛筆で書くことに慣れている人や、タイピングが苦手な人に向いています。
結果発表までにやや時間がかかり、通常13日ほどで通知されます。
どちらの形式を選べるかは試験会場によって異なるため、申し込み前に確認が必要です。
自分の得意・不得意や学習スタイルに合わせて、最適な受験形式を選びましょう。
IELTSの試験構成とバンドスコアの仕組み
続いては、アカデミック・ジェネラルそれぞれの試験構成や、バンドスコアの仕組みを詳しく解説します。
IELTSアカデミック・ジェネラルの構成と問題形式
IELTSの試験は、アカデミックとジェネラルのいずれを選んでも、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を測定します。
ただし、リーディングとライティングの問題内容には違いがあります。
| アカデミック | ジェネラルトレーニング | |
| リスニング | 共通問題 | |
| スピーキング | 共通問題 | |
| リーディング | 長文3題 (学術的な内容) | 短文4題+長文1題 (仕事・一般的な内容) |
| ライティング | 図表の読み取り + エッセイの作成 | 手紙の作成 + エッセイの作成 |
アカデミックは、大学や専門機関での学習に必要な語彙や内容を想定しており、留学や大学進学を目指す人に向いています。
リーディングでは学術的な長文読解、ライティングではデータ分析や意見論述など、より高度な英語力が求められます。
一方、ジェネラルは日常生活や職場で使う実用的な英語力を測る試験で、移住や就労を目的とする人に適しています。
リーディングでは広告や手紙などの実用文、ライティングでは日常的な手紙や短いエッセイが中心です。
スピーキングとリスニングは共通で、日常会話や身近なトピックをもとにした受け答えが求められます。
とくにスピーキングは試験官と1対1の対面形式で実施され、自然なコミュニケーション力が重視されます。
IELTSは4技能すべてをバランスよく評価する試験なので、どのセクションにも偏りなく対策をおこなうことが大切です。
IELTSの試験時間が知りたい方はこちら!バンドスコアの仕組みと英語力の目安
IELTSの各セクションは、0.5刻みの9段階(0.0〜9.0)で評価されます。
4つのセクションの平均点を「オーバーオール・バンドスコア」と呼び、これが総合的な英語力を示す指標となります。
たとえば、各セクションで7.0/6.5/6.0/6.5を取得した場合、平均は6.5となり、オーバーオール・バンドスコアも6.5になります。
また、平均がちょうど0.25または0.75の場合は四捨五入のルールがあり、0.25なら切り捨て、0.75なら切り上げとなります。
スコアの目安としては、
- 5.0:日常的なコミュニケーションがある程度可能なレベル
- 6.0〜6.5:大学や職場で英語を使って問題なく活動できるレベル
- 7.0以上:高度な英語運用能力を持つレベル
大学進学では6.0〜7.0前後、移住や就労目的のジェネラルでは6.0程度を求められるケースが多く、目的に応じた目標設定が重要です。
留学に必要なIELTSスコアとは?詳細はここから!👇️TOEIC、TOEFL、英検とのスコア換算表
IELTSスコアは、日本で一般的な英語試験であるTOEICや英検、また国際的なTOEFLと比較されることがよくあります。
それぞれの試験は形式や評価基準が異なるため正確な換算はできませんが、以下は一般的な目安です。
| IELTS | TOEFL iBT | TOEIC | 英検 |
| 8.5 〜 9.0 | 111 〜 120 | – | – |
| 7.5 〜 8.5 | 100 〜110 | 880 〜 990 | – |
| 6.5 〜 7.5 | 90 〜 99 | 800 〜 879 | 1級 |
| 6.5 | 79 〜 89 | 730 〜 799 | 準1級 |
| 6.0 | 71 〜 78 | 665 〜 729 | 準1級 |
| 6.0 | 61 〜 70 | 590 〜 664 | 準1級 |
| 5.5 | 51 〜 60 | 490 〜 589 | 2級 |
| 5.0 | 41 〜 50 | 410 〜 489 | 2級 |
| 4.0 〜 5.0 | 31 〜 40 | 299 〜 409 | 3級 |
| 1.0 〜 4.0 | 0 〜 30 | 0 〜 298 | 3級 |
初心者がまずやるべきIELTS対策のステップ
IELTSは4技能をバランスよく問う試験のため、やみくもに勉強を始めても効率的にスコアアップするのは難しい試験です。
まずは自分の英語レベルを正確に把握し、目標スコアから逆算して学習計画を立てることが成功の第一歩です。
ここでは、初心者が最初に取り組むべき3つの基本ステップを紹介します。
独学でIELTSスコアアップできる?詳しくはこちら!👇️自分の英語レベルを知る(模試・公式問題集)
IELTS対策を始めるうえでもっとも大切なのは、現在の自分の英語力を客観的に把握することです。
どのセクションが弱点なのかを知ることで、学習の優先順位を正しく決められるからです。
模試や公式問題集を活用すれば、実際の試験と同じ形式・時間配分で実力をチェックできます。
「リスニングは得意だが、ライティングで時間が足りない」、「スピーキングで言葉が出てこない」など、自分の傾向を把握しましょう。
それぞれのセクションのバランスを意識し、どこを重点的に伸ばす必要があるのかを早い段階で見極めましょう。
IELTSの過去問や、模試についてまとめてみました!目標スコアと期限から逆算して学習計画を立てる
IELTSは短期間でのスコアアップが難しい試験です。
そのため、目標スコアと試験日から逆算し、無理のない学習スケジュールを立てることが重要です。
提出期限が決まっている場合は、そこから逆算して受験日を設定するのがおすすめです。
たとえば「半年後に6.5を取得したい」場合、現在のスコアが5.0なら、毎月0.25〜0.5スコアアップを目指すペースで計画を立てます。
「いつまでに何点必要か」を明確にすることで、日々の学習目的が明確になり、モチベーション維持にもつながります。
週に何日、1日何時間勉強するか、どのスキルにどれだけの時間を割くかを細かく決め、学習内容(単語・文法・問題演習など)を具体化しましょう。
明確な計画を立てて継続することが、スコアアップのカギです。
セクションごとの弱点を把握して優先順位を決める
効率よくスコアを伸ばすためには、自分の弱点を明確にし、対策の優先順位を決めることが不可欠です。
IELTSは4技能をバランスよく評価する試験ですが、すべてを同時に伸ばそうとすると非効率になりがちです。
模試や公式問題集の結果をもとに、「どのセクションで点が取れていないか」「どのスキルに時間がかかっているか」を分析しましょう。
たとえばリーディングが苦手なら速読力や語彙力を重点的に強化し、ライティングが課題ならテンプレートの活用や添削サービスを使って表現を磨くなど、セクションごとの対策をおこなうことが重要です。
また、「スピーキングが苦手だから毎日音読をする」「リスニングは設問タイプごとに練習する」といったように、課題に応じたトレーニングを継続することで効果的に実力が伸びます。
やみくもに全セクションを同じペースで学ぶのではなく、弱点克服を中心にした戦略的な学習を進めましょう。
IELTSのスコアアップに必要な勉強時間とは?IELTS初心者が活用すべき参考書・問題集
続いては、IELTS初心者の人におすすめの参考書を紹介します。
IELTSではアカデミックとジェネラル、それぞれのモジュールで試験内容が異なるため、参考書を購入する場合は、受験するモジュールにあった教材を選ぶように心がけましょう。
ゼロから始める人にぴったりの公式問題集・公認問題集
IELTSを初めて受験する人には、まず公式問題集や公認問題集から取り組むのがおすすめです。
とくに世界中の受験者に支持されている「IELTS Practice Testsシリーズ(ケンブリッジ大学出版)」や、日本語の解説が充実している「公式問題集(旺文社)」は信頼性が高く、模試としても活用できます。
実際の試験と同じ形式・難易度で構成されているため、本番の出題傾向や時間配分をつかむのに最適です。
最初は全問正解を目指す必要はありません。
まずは問題形式に慣れ、IELTS全体の流れを把握することを優先しましょう。
繰り返し解くことで、自然と回答スピードと理解力が向上します。
苦手対策に役立つセクション別問題集
苦手なセクションがある場合は、その分野に特化した問題集を活用することで、効率よく弱点を克服できます。
たとえば、リスニングが苦手な人には「IELTSリスニング徹底対策」、リーディングが苦手な人には「IELTSリーディング実戦問題集」など、セクションごとに特化した教材が販売されています。
これらの問題集では、出題パターンや設問形式の特徴、正答のコツが丁寧に解説されています。
さらに、分野別の語彙やフレーズを学べる副教材もあり、単なる問題演習だけでなく、背景知識の強化にもつながります。
得意分野を伸ばすだけでなく、苦手を重点的に対策することで、全体のスコアアップを狙いましょう。
語彙力アップを目指すならIELTS単語帳
IELTSではアカデミックな語彙力が求められるため、語彙学習はスコアアップの基礎です。
とくにリーディングやライティングで高スコアを目指すなら、基礎語彙から発展語まで幅広くカバーする単語帳を活用しましょう。
代表的な単語帳には「IELTS英単語3800」や「Barron’s Essential Words for the IELTS」などがあります。これらは出題頻度や分野別に整理されており、効率的に学習できます。
単語を覚える際は、例文やフレーズと一緒に覚えることで記憶に定着しやすく、ライティングやスピーキングでも自然に使えるようになります。
また、音声付きやアプリ対応の教材を選べば、通学中やスキマ時間にも学習でき、リスニング対策にも役立ちます。
語彙力の強化には時間がかかるため、早めに取り組むことが大切です。
オンライン英会話や添削サービス
スピーキングやライティングは、実際にアウトプットしながら学ぶことで飛躍的に伸びます。
独学で限界を感じた人は、IELTSに特化したオンライン英会話や添削サービスの利用を検討しましょう。
たとえば、バークレーハウスでは日英バイリンガル講師によるライティング・スピーキングの添削サービスや、対面・オンラインで完結できるIELTS対策講座を提供しています。
採点基準に基づいた具体的なフィードバックを受けることで、自分では気づけない弱点や表現のクセを修正でき、より効果的な学習が可能になります。
自分のレベルや課題に合ったサポートを受けることで、学習効率が大幅に高まり、確実なスコアアップを目指せます。
まとめ
IELTSは、海外留学・進学・移住など、さまざまな目的で活用される国際的な英語試験です。
試験形式やスコアの仕組みを正しく理解し、自分の目的に合った対策を進めることが、スコアアップへの第一歩となります。
初心者でも、目的や現在のレベルに合わせて適切な学習ステップや教材を選べば、着実に実力を伸ばすことが可能です。
早めの準備と継続的な学習が成功のカギですので、本記事を参考に、自分に合った方法で一歩を踏み出してみましょう。











