2025/03/14

留学中の住民税、払うべき?免除条件と手続き方法をわかりやすく解説

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バークレーハウス編集部 BerkeleyHouse
東京・市ヶ谷にある語学スクール。IELTS公式テストセンターの運営のほか、IELTSやTOEFLの対策講座、英語や中国語をはじめとする40言語に対応した語学教育を提供。

留学を控えている方にとって、住民税は事前に確認しておくべき問題の一つです。

  • 留学中も住民税は払わないといけない?
  • 住民税を免除してもらえる条件は?
  • 免除にはどんな手続きが必要?

このような疑問をもつ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、留学期間中の住民税の取り扱いや、免除を受けるために必要な手続きについて具体的に解説します。

また、住民税以外の税金や社会保険の扱いについても詳しく解説していくため、ぜひ留学準備に役立ててください。

目次

留学中の住民税、払う?払わない?

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住民税とは、1月1日時点で住民票がある市区町村に対して納める税金です。

そのため、海外転出届を提出し、1月1日時点で日本に住民票がない場合は、その年の住民税の支払いをする必要はありません。

しかし、年の途中で海外に転出した場合、その年度の住民税は全額課税されます。

以下では、1年未満の短期留学と1年以上の長期留学それぞれの場合で、住民票をどのように扱うのが一般的かを詳しく解説します。

【ケース①】1年未満の短期留学の場合

1年未満の短期留学では、かならずしも海外転職届を出す必要はなく、日本に住民票を残したまま渡航することが一般的です。

ただし、1月1日時点で日本に住民票が残っている場合は、たとえ留学中であっても住民税の支払い義務は継続されます。

そのため、自治体から住民票の支払いに関する通知も通常通り届きます。

短期留学中の住民税納付方法には、以下のような選択肢があります。

  • 納付書で一括払い:出発前に年間分をまとめて支払える
  • 口座振替:日本の口座から自動的に引き落としされるため、海外にいても安心
  • 家族による代理納付:家族に納付を依頼できる

留学中であっても住民税を延滞すると、帰国後に延滞金が発生する可能性もあるため、注意しましょう。

【ケース②】1年以上の長期留学の場合

基本的に、1年以上の海外滞在を予定している方は、「海外転出届」の手続きをおこなう必要があります。

海外転出届を提出することで、住民票が日本から抜かれ、非居住者として扱われます。

住民税は、1月1日時点で日本に住民票がある方に課されるため、海外転出届を提出して日本に住民票がない状態であれば、翌年の住民税の支払い義務はなくなります。

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住民税の免除条件と手続き方法

留学中の住民税免除を受けるためには、適切な手続きが必要です。

次に、免除の条件と手続きの手順を具体的に解説します。

海外転出届の提出=住民票を抜く

住民税を免除してもらうためには、住民票を抜くために「海外転出届」を提出する必要があります。

この手続きをおこなうことで非居住者となり、日本での住民税の支払い義務がなくなります。

なお、海外転出届は、出国予定日の14日前から提出できます。

ただし、住民税はその年の1月1日時点で日本に住民票がある方に課されるため、年度の途中で海外転出届を提出した場合は、その年度の住民税は課税されることとなります。

また、届出後は、マイナンバーカードの返納や国民健康保険の脱退手続きなども必要となるため注意しましょう。

海外転出届の提出をすると国民健康保険や国民年金の加入義務もなくなるため、これらの支払いも軽減できます。

提出のメリット・デメリット

海外転出届の提出には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

留学前にかならず確認しておきましょう。

【メリット】

・住民税の支払い義務がなくなる
・国民健康保険の加入義務がなくなる
・国民年金の支払いが任意になる>
・帰国後の手続きがスムーズになる

【デメリット】

・日本国内での住民票の発行ができなくなる
・日本の公的医療保険が使えなくなる
・マイナンバーを使った行政手続きが制限される>
・帰国後2週間以内に再度住民票の登録が必要となる

メリット・デメリットを考慮しながら、自身の状況に合わせて判断することが重要です!

必要な書類と提出先

海外転出届の提出には、主に以下の書類が必要となります。

海外転出届に必要な書類

  • 海外転出届(市区町村役場で取得)
  • 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
  • 印鑑(シャチハタ以外)
  • 委任状(代理人が手続きをおこなう場合)

また、以下の書類を持っている方は、海外転出届の提出時に窓口へ返却する必要もあります。

  • マイナンバーカード
  • 住民基本台帳カード
  • 国民健康保険被保険者証
  • 国民健康保険退職被保険者証
  • 後期高齢者医療被保険者証
  • 介護保険被保険者証
  • 印鑑登録証

届出は出国予定日の2週間前から提出可能で、現住所の市区町村役場に提出します。

なお、地域によって窓口の名称や必要書類が異なる場合があるため、申請する際は事前にお住まいの市区町村役場の情報を確認しましょう。

住民税以外の税金や社会保険

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留学中は住民税以外にも、さまざまな税金や保険料についての確認が必要です。

たとえば、所得税や国民健康保険、国民年金などが挙げられます。

留学する期間や日本での収入状況によって対応が異なるため、事前に確認しておきましょう。

所得税

1年以上の留学で非居住者となる場合、原則として日本での所得税は課税されません。

しかし、留学中であっても日本国内に収入がある場合は、非居住者であっても所得税の申告と納税が必要になることがあります。 

とくに、国内での給与収入や投資収益がある場合は注意が必要です。

なお、留学中で納税手続きを自分でおこなえない方は、納税管理人を指定して代わりに申告と納税をしてもらう方法が一般的です。

国民健康保険

住民票を残したままにすると、国民健康保険への加入が義務付けられます。

一方、海外転出届を提出して住民票を抜けば、自動的に国民健康保険は脱退となり、 保険料の支払いは不要になります。

手続きの際には保険証はかならず返納し、未払いの保険料がある場合は精算が必要です。

また、帰国後に再加入する際は、留学中に海外の医療保険に加入していたことを証明する書類が求められる場合があります。

国民年金

海外転出届を提出すると、国民年金の加入義務はなくなります。

しかし、将来の年金受給額を減らさないために、留学中は「任意加入」することも可能です。

もともと学生納付特例制度を利用していた場合は、留学中も適用を受けられる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

帰国後の年金受給に影響が出る可能性も考慮し、できるだけ「任意加入」を検討することがおすすめです。

自動車税

自動車を所有したまま出国する場合、海外転出届を提出したとしても、留学中も自動車税の支払いが必要です。 

支払い方法は、口座振替や家族による代理納付が一般的です。

長期留学などで車を手放す場合は、出国前に廃車手続きや名義変更を済ませておきましょう。

固定資産税・都市計画税

日本国内に不動産を所有している場合、海外転出届を提出し住民票を抜いた場合でも、固定資産税や都市計画税を支払う必要があります。

支払い方法は、自動車税と同様、口座振替や家族による代理納付が便利です。

なお、納税通知書の送付先を国内の家族の住所に変更することも可能なため、必要に応じて手続きをおこないましょう。

留学準備は計画的に!

留学準備を進める際は、学費や生活費だけでなく、日本で発生する税金や社会保険などの負担も考慮し、計画的に手続きを進めましょう。

住民税をはじめとする税金や社会保険の仕組みについて正しく理解し、事前に必要な手続きを済ませることで、無駄な出費を防げます。

税金関連の手続きは複雑で分かりにくい部分も多いですが、本記事を参考に、情報を事前に収集し、計画的に対応することが重要です。

不明な点がある場合は、かならず市区町村の窓口や税務署に確認するようにしましょう。

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