フランス語紹介

学習

  • ドイツ語を話す国はどんな国?

    そもそも世界にはいくつの言語があるのでしょうか。三省堂から『言語学大辞典・世界の言語編』という分厚い5巻の本があります。これには3500の言語の記述があります。ですからまあふつうに言語と思われているものでも最低それだけはあることになります。しかし、後でまたお話ししますように、本当は言語を一つ二つと数えることはできないのです。
    その世界の言語の中でもドイツ語はどの程度大きい言語と考えればよいのでしょうか。ある言語を母語とする人がどのくらいいるかというのは正確には数えられないので、調査によって異なります。でも間違いなく世界で一番多くの話し手を持つ言語は…さて、何でしょう。英語ではありません。そうです。中国語です。中国には10億近くの人がいるからです。その次が英語(約4億)で、あとはスペイン語、ヒンディ語、ロシア語、アラビア語、ベンガル語、ポルトガル語などが続き、日本語、ドイツ語あたりが1億人余りの話し手で10位争いといったところでしょうか。あとは、フランス語、イタリア語などが続きます。 そうすると、ドイツ語も日本語も結構話す人がいるではないかと思われますが、日本語が通じるのは日本だけと思った方がよいでしょうし、ドイツ語が通じるのもドイツとその周辺地区です。中国語でもヨーロッパやアメリカで通じるというわけには行きませんので、やはり地域的に広がりを持っているのは英語でしょうし、学ぶ人の数もダントツでしょう。
    ドイツ語が公用語とされている国はもう少し厳密に言うと、ドイツ(8千万)、オーストリア(800万)、スイス(500万)、リヒテンシュタイン(3万)です。スイスには4つの公用語があります。それは、ドイツ語、フランス語、イタリア語、レトロマン語で、地域によって使われる言語が異なっています。ドイツ語はスイスの約65%の人が使っているとのことです。
    先ほど中国語は世界一だと言いましたが、中国語の中にもいろいろと方言があって、離れた方言同士では通じないとも言われています。実はドイツ語も方言の豊かなところです。北のドイツ語と南のドイツ語では通じません。ところがです。北のドイツ語というのは、オランダ語とほとんど同じなのです。なぜそのようになったのかというと、言語的にはドイツ語とオランダ語は同じものと言ってもいいほどなのですが、オランダという国が独立しているのでオランダ語という別の言語として扱われているのです。つまり、ドイツ語の中に通じないほどの違いがありながら、外国語のオランダ語は通じるドイツ語もある。これは別に珍しいことではなく、言語とはそういうものなのです。ですから、○○語と名前が付いているものを数えれば世界の言語の数がわかるというものでもないし、そもそもどこまで言語を一つと数えるか、客観的基準がないのです。学者の中には日本語を3つくらいに数えている人もいます。

  • ドイツ語

    ドイツ語の成り立ち
  • ドイツ語はインド・ヨーロッパ語族の中のゲルマン語の一つです。このインド・ヨーロッパ語族というのは言語の血縁関係が割とはっきりしているものを集めたもので、東はインドの言語から、西はヨーロッパの数多くの言語を含みます。ここでその全部を上げるわけにも行きませんので、私たちのなじみの深いものだけでもお見せしましょう。
    ●インド語派
    – ヒンディー語
    – ウルドゥー語
    – ベンガル語

    ●バルト語派
    – ペルシア語

    ●スラブ語派
    – ロシア語
    – チェコ語
    – スロバキア語
    – ポーランド語

    ●ゲルマン語派
    – 東ゲルマン語
    – 西ゲルマン語
     - ドイツ語
     - 英語語

     - オランダ語
     - アフリカーンス語
    – 北ゲルマン語
     - ノルウェー語
     - スウェーデン語
     - デンマーク語

    ●ロマンス語派
    – フランス語
    – イタリア語
    – スペイン語
    – ポーランド語
    – ルーマニア語

    ここで見てわかるように、ドイツ語と英語、オランダ語はインド・ヨーロッパ語の中でもきわめて近い関係にあります。
    インド・ヨーロッパ語のこれら言語がもともとどんな形をしていたかということはわかりません。でも残っているサンスクリット語とか、ギリシャ語とか、ラテン語の古い資料を基に、理論的に再建されています。そのインド・ヨーロッパ語からゲルマン語が生まれるときに次のような音の変化が生じたとされています。これが「グリムの法則」と呼ばれるものです。
    p, t, k という音は、ph, th, kh経て、f, θ, x という音に変わりました。このうち、xという音は今のドイツ語のchのような音だと思われますが、これはhの音に変わっています。インド・ヨーロッパ語の音が残っていると思われるラテン語と比べてみます。(Lat.はラテン語、Dt.はドイツ語、Eng.は英語)
    ・Lat. pater → Dt. Vater(=[f]), Eng. father
    ・Lat. tres → Eng. three
    ・Lat. centum → Dt. Hundert, Eng. hundred
    b, d, g は p, t, k に変わりました。
    ・Lat. decem → Eng. ten
    ・Lat. gustus → Dt. kiesen, kosten
    ・bh, dh, gh は (摩擦音の)b, d, g に変わりました。
    ・Lat. fero  → Eng. bear
    ・Lat. hostis → Dt. Gast, Eng. guest
    さらに、ゲルマン語の中でも分化が起こります。これによって、今の英語とドイツ語が分かれ、ドイツ語の中の方言も生じました。これは「第二次子音推移」と呼ばれています。
    母音の後の、p, t, k は f, θ, x(=Dt.ch) になりました。(Hol.はオランダ語です。)
    ・Hol. schip, Eng. ship → Dt. Schiff
    ・Hol. water, Eng. Water → Dt. Wasser
    ・Dut. maken, Eng. make → Dt. machen
    語頭、子音の後、重子音の p, t, k は pf, ts(=Dt.z), kx(=Dt.kch)になりました。
    ・Eng. penny → Dt. Pfennig
    ・Hol. twee, Eng. two → Dt. zwei
    b, d, g は p, t, k になりました。
    ・Hol. dag, Eng. day → Dt. Tag[=k]
    このように、英語とドイツ語の間の音は対応しているものがたくさんあります。自分でいろいろな例を見つけていくとおもしろいと思います。ただし、英語にはフランス語からの借用がたくさんありますので、そのようなものはもちろん対応していません。

  • ドイツ語の性格

    インド・ヨーロッパ語は本来は語自体がさまざまに変化をして、文の中でのその語の働きを示していたと考えられます。それはラテン語、ギリシャ語、サンスクリット語などを見てみるとわかります。
    世界の言語を見てみると、語自体が複雑に変化するものもあるし、語はまったく変化しないというものもあります。言語の血縁関係は無視して、その性質だけに注目して言語を分類しようという学問があります。それは、類型論(typology, Typologie)と呼ばれるものです。人によって、さまざまな分類の仕方がありますが、よく言われるのは次の三つのタイプです。
    •孤立語(isolating language, isolierende Sprache)
    •膠着語(agglutinating language, agglutinierende Sprache)
    •屈折語(inflectional language, flektierende Sprache)
    孤立語とは語が変化しないで、順序によって語の働きを示そうとする言語です。この代表にあげられるのは中国語ですが、英語でも Tom loves Maryと Mary loves TomではTomとMaryは変化しないので、語順で主語か目的語かが決まるのです。
    膠着語とは名詞や動詞などの基本となる語にさまざまな要素をくっつけてその語の働きを示そうというものです。たとえば、日本語では、 watashi-wa anata-o aishi-te-iruというよに、助詞や助動詞が豊富に使われます。トルコ語でもそうです。 sev-dir-il-me-mek(愛させられないこと)ではsevが動詞で、dirは使役、ilは受動、meは否定、mekは不定詞であることを表します。 名詞の例も見ておきましょうか。
    ev-in 家の、ev-e 家へ、ev-i 家を、ev-de 家に、ev-den 家から、ev-im 私の家、ev-in 君の家、ev-ler-iniz-e 君達の家々へ 屈折語とは前にも述べたように、語自体が変化します。たとえば、ラテン語の puer puellam amat(少年は少女を愛している)では、puerという形は主語であることを、puellamという形は目的語であることを表しています。このような言語は名詞や動詞の変化を覚えるのが大変です。たとえば、agere (行う)という動詞は、
    ・現在形で:ago, agis ,agit agimus, agitis, agunt
    ・未完了過去という形で:agebam, agebas, agebat, agebamus, agebatis, agebant
    ・未来形で:agem, ages, aget, agemus, agetis, agent
    ・完了形で:egi, egisti, egit egimus, egistis, egerunt
    のように変化します。それぞれ6個の形が書いてあるのは、主語によって違う形を用いるからです。これらはもちろん変化の一部にすぎません。
    英語はこのような変化を名詞ではほとんど失っていますが、動詞には eat ate eatenのような形で残っています。英語は一部屈折語の性質も残していますが、今ではむしろ孤立語的な性格が強いということになります。 ドイツ語は基本的には主語によって動詞の形が違います。
    たとえばsehen(見る)という動詞は次のように変化します。
    ich sehe → wir sehen
    du siehst → ihr seht
    er sieht → sie sehen

    名詞のder Tisch(机)は次のように変化します。
    単数 → 複数  
    der Tisch → die Tische 机が
    des Tisches → der Tische 机の
    dem Tisch → den Tischen 机に
    den Tisch → die Tische 机を

    ドイツ語はラテン語やギリシャ語、ロシア語などに比べると、その屈折語的性格は弱まっていますが、英語に比べるとまだまだ変化が多く、ドイツ語の文法の授業ではこの変化を覚えていくことが中心になります。しかし、ただ単に変化を丸暗記するのではなく、徐々に慣れていくのがよいだろうと思われます。 ドイツ語には、「定型第2位」と言う約束があります。
    定型第2位とは、定型( = 主語に応じて人称変化した動詞)が文の2番目に置かれる、という意味です。 英語でも、動詞は多くの場合2番目に置かれますね、しかし、ドイツ語の場合、「定型第2位」の法則さえ守れば、かなりフレキシブルに文を組み立てる事ができます。
    「私は今日、おじさんのところに行きます」という意味の文を例にして見てみましょう。
    1.Ich gehe heute zu meinem Onkel.
    2.Heute gehe ich zu meinem Onkel.
    3.Zu meinem Onkel gehe ich heute.
    まず、1は基本型です。Ichが文の一番始めに置かれ、「行く」を意味する動詞、gehen は2番目になっていますね。 動詞は、1人称代名詞 ich に合わせて変化していますが、今後勉強するので、今は気にしないでください。
    2は、「今日」と言う意味の heute が文頭に置かれています。これにより、いつ行くのか、を強調しています。 一番目の場所を取られてしまった ich は右にずれますが、定型第2位の約束によって、動詞の位置は変わらないので、3番目に置かれます。 3は、誰のところに行くかを強調した文です。
    あれ? 動詞が4番目になってるよ、と思うかもしれませんが、これでいいのです。 というのも、「2番目」というのは、単語を数えて二つ目という意味ではなく、2番目の文節という意味だからです。
    なので、「おじさんのところに」を表わす zu meinem Onkel (to my uncle)は、ひとつの文節として数えられ、動詞はそのすぐ後に置かれます。

  • まとめ情報

    面積: 35.7万k㎡
    首都: ベルリン
    人口: 8,108万人
    言語: ドイツ語。
    通貨: ユーロ
    【為替レート】1ユーロ=約115円(2016年9月現在)
    宗教: カトリック(29.9%),プロテスタント(28.9%),イスラム教(2.6%),ユダヤ教(0.1%)
    時差: 日本とドイツとの時差は、8時間。日本の方が、8時間進んでいます。サマータイム中は、7時間
    気候: 西岸海洋性気候に属し、冷涼、曇りがち、湿潤な冬と夏が特徴。首都ベルリンの平均気温は約9.6℃ 、年間平均最高気温は13.4℃、年間平均最低気温は5.9℃ 。
    チップマナー: レストラン・タクシー・美容院などの「サービスをする仕事」に対してチップを払う文化があります。一般的には値段の10%をチップとすれば良いですが、少なくする、または、渡さなくても大丈夫です。もし、10%以上のチップを渡すと、「サービスが良かった」と表現することができます。
    交通事情: ベルリン市内では、鉄道、バス、タクシー、路面電車など交通機関は非常に良く整っており、特にドイツ鉄道は、ドイツ全土を網羅し、ドイツでは最も重要な交通手段とされています。また、ドイツは環境推進国としても有名です。そのため、踏み切り待ちの時はエンジンを切って待つ、暖気運転は嫌われるなど、日本と違うルールがあります。
    食事: ドイツの食文化を語る上で欠かせないもの、どんなものか想像がつきますか?答えは、『die Kartoffel』(ジャガイモ)です。これには理由があって、近代化する前のドイツはあまり土地が肥沃でなく、取れるものと言ったらジャガイモくらいしかなかったから、と考えられています。その他に、ソーセージやビールも有名ですが、基本的にはジャガイモ+何か、が基本です。また、ドイツ人にとって、一日の食事で一番ウェイトが高いのが、昼食になります。レストランなどに行くと、ランチメニューが豊富で、日本人がびっくりするほど多い量のランチが出てきます。

  • 基礎会話とフレーズ

    【あいさつ】
    おはようございます Guten Morgen (グーテン・モルゲン)
    こんにちちは Guten Tag (グーテン・ターク)
    こんばんは Guten Abend(グーテン・アーベント)
    おやすみなさい Gute Nacht (グーテ・ナハト)
    ありがとう Danke (ダンケ)
    どういたしまして Bitte schön(ビッテ・シェーン)
    さようなら Auf Wiedersehen(アウフ・ヴィーダーセーエン)
    【基本会話】
    はじめまして Ich freue mich, Sie kennenzulernen(イッヒ フロイエ ミッヒ ジー ケネンツーレルネン)
    こちらこそ Sehr erfreut(ゼア エアフロイト)  
    私の名前は~です。Mein Name ist ~(マイン ナーメ イスト ~)
    お名前は? Wie heißen Sie? (ヴィー ハイセン ジー?)
    私は~という名前です wIch heiße ~ (イッヒ ハイセ ~ )
    私は~です。 Ich bin ~(イッヒ ビン ~ ) 
    お会いできてうれしいです。Ich freue mich, Sie zu sehen.  (イッヒ フロイエ ミッヒ ズィー ツー ゼーエン)
    私は日本から来ました。Ich komme aus Japan.  (イッヒ コメ アウス ヤーパン)
    もう一度言ってください。Können Sie das wiederholen?  (ケネン ズィー ダス ヴィーダーホーレン?)
    分かりません。 Ich verstehe nicht.  (イッヒ フェアシュテーエ ニヒト)
    これは何ですか? Was ist das?   (バス イスト ダス?)
    え、本当ですか? Tatsächlich?  (タートゼッヒリヒ?)
    あなたはどこから来ましたか? Woher kommen Sie?  (ヴォーヘア コメン ズィー?)
    少しお聞きしたいのですが。 Darf ich Sie etwas fragen?  (ダルフ イッヒ ズィー エトヴァス フラーゲン?)
    窓を開けてもいいですか? Darf ich das Fenster öffnen?  (ダルフ イッヒ ダス フェンスター エフネン?)
    日本語の新聞はありますか? Haben Sie japanische Zeitungen?  (ハーベン ズィー ヤパーニッシュ ツァイトゥンゲン?)

  • ドイツ語の文法基礎知識

    ●文字
     ドイツ語で使用する文字はアルファベット26文字、それに、英語にはない「ウムラウト(Umlaut)」(Ä/ä、Ö/ö、Ü/ü)三つと「エス・ツェット」(ß)が加わります。ウムラウトは母音で、ä(アーのウムラウト)は日本語の「エ」に近く、 ö(オーのウムラウト)は、オの口でエ、ü(ウーのウムラウト)は、ユの口でイという感じに発音します。「エス・ツェット」は子音字で、もともとはs(エス)とz(ツェット)の合字で、発音はssと同じ、語頭に置かれることはありません。また大文字はなく、大文字を書く必要があるときはSSと書きます。
    ドイツ語のタイプライターやパソコンのキーボードでは、以上のドイツ文字は右上の方にまとまってあるはずです。キーがなければ、それぞれae、oe、ue、ssで代用します。また、YとZの位置が入れ替わっていることが特徴となっています。その理由は、ドイツ語ではたとえばzで始まる語が多いのです。例えば、Zeit(:time)、Zimmer(:room)、zu(:to, too)、zusammen(:together)、zwei(:two)などの基本語彙がすぐ挙げられます。一方、yを含む語は少なく、ほとんどが外来語や外国の固有名詞で、ドイツ語では、jがその代わりに使われることが多くなります。
    ・例: joga←yoga、 joghurt←yoghurt
     また、固有名詞だけでなく普通名詞も頭文字を大文字で書くというのが、ドイツ語の大きな特徴の一つです。名詞の定義の問題や、タイプやキーボードで打つときの手間といった難点もありますが、文を読んでいて名詞がどれかすぐわかるという利点もあります。この習慣はそれほど古くからのものではありませんが(16世紀末ごろ一般化)、一方で廃止論者もいて、常に論議の的になっている項目です。なお、1994年のドイツ語正書法改革案には、名詞の小文字化は取り上げられなかったようですが、「短母音の後ろのßをなくす」(Kuß:キス→Kuss)ことが含まれているようです。ただ、実際にそうなるのはまだかなり先のことでしょう。

    ●名詞の3つの性
     ドイツ語の名詞には性があることが英語との大きな違いです。男性名詞、女性名詞の2本立てはフランス語やイタリア語にもありますが、ドイツ語ではさらに中性名詞もあります。この三つの性は自然界の性とは関係なく、生物、物体、抽象概念すべてに性があります。いずれの性かは、語尾や接尾辞で機械的に判断できる場合もかなりあります。外来語の場合、ドイツ語の中で生きていく(?)ためには、いずれかの性に属さなければいけないわけですが、その決め手は語尾である場合(“Cola”は女性名詞)と、意味的な類推(「酒」“Sake”は男性名詞;ドイツ語ではビール以外のアルコール飲料は皆男性名詞)と二つありますが、確定するまでに複数の性の間を揺れるケースもあるようです(たとえば“Campus”は語尾‐usゆえ男性名詞と、類義のドイツ語-dasFeld(:field)-ゆえ中性名詞の間を当初は揺れていたが、男性名詞に落ち着いた)。
     名詞の性と関連して、人称代名詞も当然のことながら男性、女性、中性の3つがあり、先行する名詞の性に対応しています。ということは、代名詞erやsieだけを見て自動的に、英語のheやsheのように、「彼」とか「彼女」と理解するとおかしなことになります。つまり、erは「机」とか「犬」であることもあり、sieは「学校」や「自由」を指していることもあり、中性のesが「女の子」を指すこともあるわけです。
     性と並んでドイツ語の名詞で重要なのは、格です。主格、属格、与格、対格(日本ではそれぞれ1格、2格、3格、4格と教えることが多い)の4つの格があり、文の中で名詞は必ずいずれかの格を持っていることになります。例えば、男性名詞である「父」(単数)はder Vater(1格)、des Vaters(2格)、dem Vater(3格)、den Vater(4格)、と変化します。大まかに、英語に対応させると、1格は主語に、3格は間接目的語、4格は直接目的語になります。2格は所有・所属関係を表します。例えば、der Wagen des Vaters:「父の車」のようになります。
     女性名詞、中性名詞はそれぞれ男性名詞とは異なった変化をします。また、形容詞も性・数・格に応じて変化します。例えば、「大きい車」:der große Wagen(1格)、des großen Wagens(2格)となります。ドイツ語ではこのように文中の名詞にはことごとく性や格が表示されるので(無冠詞や複数形の場合は明示はされない)、語順が自由であっても構わないということになります。
     英語では、動詞を挟んで左が主語、右に来るのは目的語と指定されていますが(いわゆる、S+V+O)、ドイツ語にはこういった語順のしばりはありません。例を出せば、英語でThe artist hit the friend.では、主語はartist、目的語はfriendですが、The friend hit the artist.のように、位置を入れ替えても、主語と目的語もそれに応じて変わります。
     一方、ドイツ語では、Der Künstler schlug den Freund.のように英語と同じ語順はもちろん、Den Freund Schlug der Künstler のように主語はKunstler(artist)、目的語はFreund(friend)であることに変わりはなく、ニュアンスは別として、文法的な意味に変化はありません。冠詞によって格が明示されるから可能なことで、これがドイツ語の語順が英語のように固定されていないことの理由になっています。

    ●発音
    原則的にローマ字読みで、英語に見られるような音とつづりの不一致はほとんどありません。たとえば、英語だったらknee、knifeなどの語頭のkは発音されませんが、ドイツ語ではknie[クニー]となります。また、アクセントは第1音節に置かれるのが基本です。外来語は、第1音節以外を強く発音します。  英語を学習してきた人がドイツ語を始めた場合に誤りやすいのは、アクセント以外では、母音の長短です。英語のfallは長母音、同じ意味のドイツ語fallenは、短母音です。長いか短いかは、母音の環境で決まります。母音の次にhがあったら長い(fahren、sehen)、母音の次の子音が2個以上であれば短い(fallen)などが挙げられます。
    個別の音で見ていくと、ドイツ語のvは、英語のf、ドイツ語のwは、英語のvに対応します。また、ドイツ語のrは、「のどひこのr」とか、「巻き舌のr」とか言われますが、演劇や歌などの特別な場合を除いてそれほど大げさに発音せず、語頭でなければほとんど母音のように聞こえることも少なくありません。

    ●動詞の形態
     ドイツ語の不定詞(英語でいう原形)は、語尾がすべて-enか-nで終わっています。辞書ではこの不定詞の形が見出し語になっています。英語と同様に、ドイツ語でも動詞は人称変化しますが、2人称に2種類あるので変化のパターンもその分だけ増えます。つまり、英語のyouに対して、一般に用いられるSie(敬称)と、家族、子ども、友人、恋人、ペット、お祈りなどのときに神様に対して用いられるduはihrという複数形を持っていて、動詞も単数形とは異なった変化をします。
     また、英語の3基本形と同じく、現在(不定詞)-過去-過去分詞と変化します。規則変化と不規則変化がありますが、不規則変化動詞というのは、基本語彙で日常的によく使われる動詞が多いようです。以下、変化の例を挙げます。
    ・規則変化 e.g. lernen-lernte-gelernt(cf. learn-learned-learned)
    ・不規則変化 e.g. trinken-trank-getrunken(cf. drink-drank-drunk)
     時制は、「現在」がかなり幅広く用いられる時制で、英語での「現在進行」も「未来」も、また、「継続」を意味する「現在完了」もドイツ語では「現在」一つでカバーしています。「完了」「過去」を表すときは、日常的には「現在完了」を使うのが普通です。

    ●枠構造と語順
    ドイツ語の大きな特徴として挙げられる枠構造というのは、意味的・文法的に定動詞と関連する要素が文末に置かれることをいいます。例えば、I can speakGerman.は、Ich kann Deutsch sprechen.(私はドイツ語が話せる)のようになり、二つの下線部“Kann”と“sprechen”でいわゆる「枠」を作り、目的語だけでなく、副詞や否定表現などもすべてこの枠の中に入れてしまいます。この枠構造は、上の例のような助動詞-本動詞の関係だけでなく、完了形(Peter ist nicht nach Tokyo gekommen.[ペーターは東京に来なかった])、受動態(Die Stadt wurde gesterndurch Bomben zerstört.[その町は昨日爆撃でやられた])、分離動詞(Ich rufe dich morgen wieder an.[君に明日また電話するよ])などにも見られます。日本語の訳はあえて付けたのですが、述語が最後に来る日本語の特性と、ドイツ語の枠構造に何らかの近さを感じませんか?
    名詞の項で、ドイツ語の語順は自由であると書きました。もうすこし進めていえば、定動詞が2番目でありさえすれば、文頭に来る要素は主語や目的語といった名詞とは限りません。副詞や、前置詞句なども文頭に来ます。
    ・(例)Heute kommt er nicht.(今日は彼は来ない/副詞)
    ・(例)Vielleicht Kommt er morgen.(ひょっとしたら彼は明日来る/副詞)
    ・(例)Auf Peter hat sie lange gewartet.ペーターを彼女は長いこと待った/前置詞句)
    このような自由な語順によって、強調したいこと、話のテーマ、重点などを表現することができるわけです。ところで、ドイツ語の定動詞の位置は平叙文では2番目ですが、文頭と文末に来る場合もあります。文頭に来るときは、命令や決定疑問の場合です。
    ・(例)Komm schnell!(早くおいで)[命令]
    ・(例)Kommen Sie aus Japan?(日本からいらしたのですか)[決定疑問]
    一方、従属接続詞や関係代名詞などで導かれる文の中では、定動詞は文末に来ます。
    (例)Er kommt heute nicht、weil er krank ist.(彼は病気なので今日は来ない)
    (例)Hier gibt es keine Bucher、die ich lesen kann.(ここには私が読める本はない)
    ●造語能力
    ドイツ語は造語能力が豊かな言語で、たとえば、動詞の不定詞はすべて大文字で書き始めることで中性名詞となり、形容詞は名詞化されます。
    (例)essen(食べる)→das Essen(食事)
    (例)klein(小さい)→der Kleine、die Kleine、das Kleine(小さい男/女/もの)
    通常2語ないし3語から成る複合語は理論上無限に作ることが可能です。ですから、複合語のままの形で辞書に載っていないことも多く、そのような場合は語を分解したうえで、改めて意味を考えたり調べたりすることになります。
    (例)der Kinderspielplatz(児童公園)←Kinder(子ども)+Spielplatz(遊び場)←Spiel(遊び)+Platz(場所)


    ●日本語の中のドイツ語
    「アルバイト」(arbeiten)、政治用語の「イデオロギー」(Ideologie)、経済用語の「カルテル」(Kartell)、大学の演習・研究室という意味の「ゼミ」(Seminar)、病院の「カルテ」(Karte),「レントゲン」(röntgen),食べ物の「ヨーグルト」(Joghurt),「グミ」(Gummibärchen)など。

ドイツ語 メニュー
                     東京、市ヶ谷駅から徒歩2分 お電話でのお申し込み・お問い合わせは 受付時間【平日】9:00-21:00【土曜】9:00-18:00
03-3262-2711
無料体験レッスン お申込み