2020/09/25

IELTSとTOEICに違いはあるの?受験するならどっち?

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バークレーハウス編集部 BerkeleyHouse
東京・市ヶ谷にある語学スクール。IELTS公式テストセンターの運営のほか、IELTSやTOEFLの対策講座、英語や中国語をはじめとする40言語に対応した語学教育を提供。

日本国内で普及しているTOEICは、入試対策や就職試験に役立つ英語試験として、高い人気があります。

昨今は、国際社会で広く普及している「IELTS」などの英語試験も登場しているため、TOEICの受験を検討している方の中には、「どっちを受けるべき?」と迷っている方も多いでしょう。

そこで今回は、IELTSとTOEICの違いを解説しつつ、「IELTSとTOEICのどちらが役立つか」を詳しく解説します。

当コンテンツをご覧いただくことで、本当に受験すべき英語試験が明確になりますよ。

目次

TOEICはどんな英語試験?IELTSと何が違うの?

  • ・TOEICは「ビジネスや日常生活における英語によるコミュニケーション力をはかる試験」
  • ・IELTSは「海外移住や海外の大学に通う際に求められる英語力をはかる試験」

TOEICとは、「Test Of English International Communication」の頭文字から、その名が付けられています。
「Communication」の言葉が示す通り、TOEICは「ビジネスや日常生活における英語によるコミュニケーション力をはかる試験」です。

一方のIELTSは、「海外移住や海外の大学に通う際に求められる英語力をはかる試験」となっています。

分かりやすく言えば、TOEICとIELTSのどちらも「英語力をはかる試験」であることに違いはありませんが、「どんな英語力をはかるのか」という点に関しては、それぞれで目的が異なるのです。

このほかTOEICとIELTSは、試験内容やスコアにも細かな相違点があるため、以下の項で詳しく紹介します。

TOEICとIELTSは試験内容も違う?

試験の種類 区分 詳細
TOEIC TOEIC Listening & Reading Test 英語を母国語としない国の人の「聞く」「読む」英語力をはかるテスト
TOEIC Speaking & Writing Tests 英語を母国語としない国の人の「話す」「書く」英語力をはかるテスト
TOEIC Speaking Test 英語を母国語としない国の人の「話す」英語力をはかるテスト
TOEIC Bridge Listening & Reading Tests 初・中級者の「聞く」「読む」英語力をはかるテスト
TOEIC Bridge Speaking & Writing Tests 初・中級者の「話す」「書く」英語力をはかるテスト
IELTS IELTS アカデミックモジュール 英語圏への留学を希望する人の「聞く」「読む」「話す」「書く」英語力をはかるテスト
IELTS ジェネラルモジュール 英語圏への移住を希望する人の「聞く」「読む」「話す」「書く」英語力をはかるテスト

ひと口にTOEICと言っても、試験内容や目的によって5つの種類に分けられます。

ただしTOEICは「TOEIC Listening & Reading Test(以下TOEIC L&R)」のスコアが求められるケースが多く、大学入試や就職においてはTOEIC L&Rを受験する方が大半です。

そのため、単純にTOEICと言うと、「聞く」と「読む」の技能をはかるTOEIC L&Rのことを指すケースが一般的となっています。

一方IELTSの試験も、移住用のジェネラルモジュールと留学用のアカデミックモジュールの2種類に分類されますが、試験の内容自体は、どちらも「聞く」「読む」「話す」「書く」のセクションに分けた4つの技能をはかるテストになっています。
一つの試験で出題されるセクションの多さで判断すると、TOEICよりもIELTSのほうが「汎用的な英語力をはかりやすい」と言えるでしょう。

TOEICとIELTSのスコアに違いはある?

TOEICとIELTSのどちらも、検定級の合否ではなくスコアによって英語力を判定する仕組みです。

TOEICが990点満点(1点刻み)であるのに対し、IELTSは9.0(0.5点刻み)が満点となっています。

それぞれが「どの程度のスコアに相当するか」については、以下をご参照ください。

スコア換算表
IELTS TOEIC(L&R)
8.0-9.0
7.5 970-990
7 870-970
6.5 820-870
6 740-820
5.5 600-740
5 550-600

※IELTSの4技能試験(L,R,S,W)に対し、TOEICは2技能(L,R)の試験であり、S,Wの英語力を測定できないため、あくまで参考としてください。

ただし、英語試験は人によって得手不得手があるので、体感的な難易度は試験ごとに大きく異なります。
そのためWeb上で公開されているスコアの対照表は、絶対的な基準にはならず、あくまでも目安であることを留意しておきましょう。

要注意!IELTSの受験で気をつけたいポイント

ここまで読まれた方の中には、その優れた有用性から「IELTSの受験を決めた!」「試験に向けて勉強しよう」という方もいるかもしれません。

ですが、IELTSは受験するうえで注意しておきたいポイントが2つ存在します。

受験対策が必要な範囲が広い

1つ目の注意点は、「TOEICよりも受験対策が必要な範囲が広い」という点です。

IELTSは、幅広い英語力が証明できる一方、TOEICより試験のセクションが2倍も多くなっています。

試験の難易度は受験者ごとに異なりますが、「対策に必要な労力」に関してはTOEICよりもIELTSのほうが上です。

おまけにIELTSは、「4つのセクションの平均点」で受験者の英語力を測定する特徴があります。

したがって、苦手なセクションが1つでもあると、IELTSは高いスコアを狙いにくくなってしまうのです。

用途によって「IELTS for UKVI」のスコアが必要となる

IELTSには、一般的なIELTSとは別に「IELTS for UKVI」と呼ばれる試験が存在します。

このIELTS for UKVIは、「英国(イギリス)ビザの申請用に作られた英語試験」で、イギリスへの留学の際に用いられます。

イギリス留学であれば必ず必要となるわけではありませんが、教育機関によってはIELTS for UKVIのスコアが求められます。

そのため、イギリスへの留学を検討している方であれば、英語力の証明にIELTS for UKVIが必要かどうか、事前に調べておきましょう。

なお、IELTSとIELTS for UKVIは試験の種類こそ違うものの、出題されるセクションや試験問題、試験時間などはまったく同一です。

したがって、IELTSとIELTS for UKVIのどちらを受験する場合も、同じ学習で両方の試験を対策することができます。

IELTSを学習していて「急きょIELTS for UKVIの受験に切り替える」というケースにおいても、培った英語力は無駄にならないので安心です。

TOEICとIELTSはどっちが難しいの?

IELTSの最高スコア(9.0)は、TOEICのスコアでは測定が難しいという点で判断すると、「満点を取得する難易度」自体はIELTSのほうが高いと言えるでしょう。

また、試験内容の項で紹介した通り、TOEICは「聞く能力」と「読む能力」の2つの技能をはかるテストとなっています。

4つの技能をはかるIELTSよりもセクションが少ない分、「IELTSよりもTOEICのほうが対策が簡単である」と言えます。

TOEICとIELTSにおける難易度の違いを挙げるのであれば、高いスコアを獲得するために「TOEICは試験対策の技術が重視される」のに対し、「IELTSは総合的な英語力が重視される」という違いがあります。

端的に言えば、TOEICは英語力よりも試験対策を重点的に行うことでスコアが伸びやすく、IELTSは自身の英語力を身に付けることで、スコアを獲得しやすくなるのです。

とはいえ、繰り返しになりますが、英語試験の体感的な難しさは個人差によるものが多く、単純な難易度に関しては比較が困難です。
この「難易度の比較が難しい」というのは、TOEFLやケンブリッジ英語検定など、ほかの英語試験においても同じことが言えます。

TOEICやIELTSはどのくらいのスコアを取ればいい?

IELTSとTOEICの違いについて紹介できたところで、進学や就職、留学に必要なIELTSのスコアについて解説をしておきましょう。

多くの企業や大学では、「就職や入学に必要となる英語力の目安」として、TOEICやIELTSといった英語試験のスコアや検定級を採用しています。

もしも、企業への就職や海外への留学を目的に、TOEICまたはIELTSを受験する場合は「企業や大学が提示しているスコア」を取得してください。

たとえば、大学が入学の基準として「IELTSスコア6.0以上」を提示しているのであれば、IELTSを受験するうえで6.0以上のスコアを目標にしてください。
スコアの基準が明確だと、目標設定も立てやすくなるので、英語学習を行うモチベーションも確保しやすくなるでしょう。
もちろん、提示しているスコアはあくまで目安なので、基準よりも高いスコアを取得できれば、それだけ英語力を評価されやすくなります。

ただし、基準となるTOEICやIELTSのスコアは、企業や大学によって異なります。

そのため「どのくらいのスコアを取ればいいか」は、まず「どの企業へ就職したいか」、「どの学校へ留学したいか」を明確に決めたうえで判断するのが賢明です。

国内企業と比較をしても、海外の学校は情報収集が難しいため「留学にどのくらいのスコアとなるのか」については、以下のページをご参照ください。

なお、IELTSは、英語圏を中心に「移住希望者の英語力をはかる」という目的でも使用されますが、必要なスコアは国や移住目的によって変動します。

具体的なスコアについては、各国大使館のオフィシャルサイトなどに掲載されているので、目標を立てるうえでの参考としてください。

結局TOEICとIELTSのどっちを受けるべきなの?

最後に、TOEICとIELTSのどちらを受験すべきかを紹介しておきましょう。
TOEICとIELTSのどちらも、国際的に認められた英語試験であることに変わりはなく、どちらを受けるべきか迷ってしまう方も少なくありませんが、英語試験は「目的にあわせて選ぶ」のが理想です。

先の項で紹介した通り、留学先の学校や就職先の企業によって「英語力を証明する手段として採用している英語試験」は異なるため、目的に合わせて受験する試験を選択してください。

分かりやすく言えば、IELTSのスコアを採用しているケースであればIELTSを、TOEICのスコアを採用しているのであればTOEICを受けて、要求されているスコアの達成を目指しましょう。

このほか、「留学のため」もしくは「就職のため」といった、漠然とした目標を決めたうえで、どちらの試験を受けるか検討しても構いません。

これは、就職者や転職者に対する英語力の判断にはTOEICのスコアが用いられ、留学生や海外移住を希望する方にはIELTSのスコアが用いられるケースが多いためです。

端的に言えば、就職や転職が目的ならばTOEICを、留学や海外移住が目的ならばIELTSを受けることを推奨します。
なかには「TOEICとIELTSの両方を採用している」というケースもありますが、これに関してはどちらを選んでも英語力を証明できるので、「好きなほうの試験」や「スコアを取りやすいと感じるほうの試験」を受験可能です。

今回は、TOEICとIELTSの違いや試験内容について紹介しました。

TOEICやIELTSだけに限らず、英語試験は世界規模で受験されているものが多いため、「どれも似ている」という印象を受けがちです。

しかし、資格の用途や試験の難易度が細かく異なる分、受ける試験によっては英語力が正しく評価されないことも少なくありません。

したがって「英語の資格を取得しよう」と思い立った時こそ、それぞれの違いをしっかりと把握したうえで、受ける試験を選択しましょう。

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