TOEIC Bridgeとは、初学者向けのTOEICです。
問題構成や出題形式はTOEICとよく似ていますが、単語、熟語や問題の難易度がやさしくなっています。
ビジネスシーンを中心としたTOEICとは異なり、日常的な英会話に即した内容となっており、問題数が少なく、試験時間が短くなっているため、改めて英語を学びはじめた大人の方や、英語力はあるけれどTOEICを受験するには早い学生に向いています。
この記事では、TOEIC BridgeとTOEICの違い、TOEIC Bridge対策におすすめの問題集を紹介します。
TOEIC Bridgeとは
TOEIC Bridgeとは、まだTOEICに挑戦するには実力が十分でない英語初学者でもTOEIC受験のための準備として安心して受けられるよう、比較的やさしい問題で作成されたテストです。
TOEIC Bridgeには、以下の2種類の試験形式があり、スコアは30点から100点で算出されます。
- TOEIC Bridge Listening & Reading Tests
- TOEIC Bridge Speaking & Writing Tests
名称 | スコア刻み | 最低点 | 最高点 |
TOEIC L&R | 5点刻み | 10点 | 990点 |
TOEIC S&W | 10点刻み | 0点 | 400点 |
TOEIC Bridge L&R | 1点刻み | 30点 | 100点 |
TOEIC Bridge S&W | 1点刻み | 30点 | 100点 |
TOEICとの違い
TOEIC Bridgeは、TOEICに比べて試験内容がやさしく設定されており、問題数が少なく、試験時間が短くなっています。
TOEIC Bridge L&Rは、TOEIC L&Rと同じくリスニングパートとリーディングパートから、TOEIC Bridge S&Wは、TOEIC S&Wと同じくスピーキングパートとライティングパートから構成されています。
TOEICがビジネスシーンをはじめ、幅広い内容を扱っているのに対し、TOEIC Bridgeではより身近な日常生活にもとづいた内容が出題されます。
名称 | 構成 | 問題数 | 試験時間 |
TOEIC L&R | リスニングパート リーディングパート | 100問 100問 | 約45分 75分 |
TOEIC S&W | スピーキングパート ライティングパート | 11問 8問 | 約20分 約60分 |
TOEIC Bridge L&R | リスニングパート リーディングパート | 50問 50問 | 約25分 35分 |
TOEIC Bridge S&W | スピーキングパート ライティングパート | 8問 9問 | 約15分 約37分 |
TOEIC Bridgeのスコアからみる英語力レベル
TOEIC Bridgeは2019年6月に新形式に移行しており、以前の180点満点から100点満点に最高スコアを変更しています。
新形式のTOEIC Bridgeでは、スコア別の英語力レベルについて公式なデータは公開されていませんが、旧形式の基準にならって算出すると、55点で中学1年生レベル、65点で中学卒業レベルです。
旧形式では150点前後(TOEIC470点前後のレベル)が取れれば、TOEICを受験した方がより正確に英語力を測れるとされていたため、新形式においては最終的な目標を85点前後にするとよいでしょう。
TOEIC Bridgeで85点前後を取れるようになったらTOEICに挑戦することをおすすめします!
TOEIC BridgeのスコアをTOEICのスコアに換算すると
旧形式のときは、TOEIC BridgeのスコアとTOEICのスコアを比較する表が同封されていました。
その表によれば、TOEIC Bridgeでの正答率85%がTOEIC500点前後に相当し、正答率90%がTOEIC600点前後に相当するそうです。
なお、2019年に新形式に移行してからは、TOEICとのスコア換算は公式には発表されていません。
しかし、旧形式と新形式とでテストの難易度に大きな差はみられないため、上記の換算指標はおおよそ正しいといえるでしょう。
ただ、出題される単語や熟語が難しくなるため、実際にはTOEIC bridgeで90点を取得できてもTOEICで600点を取るのは難しいかもしれません…
あくまで「英語を運用する能力の目安」ですね!
TOEIC Bridgeの問題構成
TOEIC Bridgeの問題構成は下記のようになっています。
- TOEIC Bridge L&R:約25分間のリスニングパート、35分間のリーディングパート
- TOEIC Bridge S&W:約15分間のスピーキングパート、約37分間のライティングパート
以下では、問題構成を詳しく解説します。
TOEIC Bridge L&Rの問題構成
リスニングパートは、Part1からPart4の4つに分けられています。
パート | 問題数 | 内容 |
Part1 | 6問 | 句や文を聞いて、4つの画像の中からもっともよく表す絵を選ぶ |
Part2 | 20問 | 質問や発言を聞いて、4つの選択肢の中からもっとも適した応答を選ぶ |
Part3 | 10問 | 2者間の短い会話を聞いて、内容に関する2つの設問に解答する |
Part4 | 14問 | 1人の話し手による短いメッセージやおしらせなどを聞いて、その内容に関する2つの設問に解答する |
リーディングパートは、Part1からPart3の3つに分けられています。
パート | 問題数 | 内容 |
Part1 | 15問 | 語や句が1か所抜けている文章を読み、空欄にもっとも適した選択肢を選ぶ |
Part2 | 15問 | 語や句、文章が3か所抜けている長文を読み、空欄にもっとも適した選択肢を選ぶ |
Part3 | 20問 | 1つの文書を読んで、内容に関する2つ、または3つの設問に解答する |
TOEIC Bridge S&Wの問題構成
スピーキングパートは、6つの問題で構成されています。
問題 | 問題数 | 内容 |
Read a Short Text Aloud | 2問 | 短い文章を音読する |
Describe a Photograph | 2問 | 写真を見て内容を説明する |
Listen and Retell | 1問 | ある場面のメッセージやおしらせを聞いて、その趣旨や要点を第三者に伝える |
Short Interaction | 1問 | メモなどの資料にもとづいて、情報の要求、依頼、申し出、提案、招待などをする |
Tell a Story | 1問 | 一連の絵にもとづいてストーリーを順序だてて述べる |
Make and Support a Recommendation | 1問 | 比較対照できる選択肢について示された情報を用いて、自分がすすめる選択肢と理由を述べる |
ライティングパートは、5つの問題で構成されています。
問題 | 問題数 | 内容 |
Build a Sentence | 3問 | ばらばらに並んだ語や句を並び替えて、正しい文を作る |
Write a Sentence | 3問 | 提示された2つの語や句を用いて、写真の内容を説明する1つの文章を作る |
Respond to a Brief Message | 1問 | 短いメッセージを読んで示された2つの要件を満たす返信を作成する |
Write a Narrative | 1問 | 提示された内容に基づいてストーリーを記述する |
Respond to an Extended Message | 1問 | 長文メッセージを読み、指示にしたがって返信を作成する |
TOEIC Bridgeを受験するメリット
TOEIC Bridgeには英検やTOEICとは異なるメリットがあります。以下では、詳細を解説します。
TOEICの試験形式に慣れる
TOEIC BridgeはTOEICに比べて、問題の難易度がやさしく、問題数も減らされているものの、出題形式や求められる能力はTOEICとあまり変わりません。
そのため、将来的にTOEICスコアの取得を視野に入れているものの、まだTOEICを受験するだけの実力に自信がない方におすすめです。
4技能の実力を正確に測れる
英検にも中学初級程度とされる5級、中学中級程度とされる4級などの英語初学者向けの試験があります。
しかし、英検は3級以上でないと面接試験が課されないため、4級、5級はスピーキングの能力を十分に測ることができず、またライティングの試験も乏しいものになっています。
そのため、4技能の実力を適切に測ることができません。
一方、TOEIC BridgeであればL&RとS&Wを両方受験することにより4技能の実力を高い精度で測ることができます。
小学生や中学生でも受験しやすい
TOEICは、英語におけるコミュニケーションやビジネス能力を検定するための試験です。
そのため、ビジネスシーンを想定した問題が多く、こうしたシーンに馴染みのない小中学生の受験者には厳しい面がありました。
その点、TOEIC Bridgeはより身近な日常生活を題材にした問題が多く、小中学生でも安心して受験しやすいものになっています。
また、TOEICはL&Rのみでも2時間という長丁場の試験であり、大人でも集中しつづけるのは難しいほどです。
その点、TOEIC Bridgeでは試験時間が半分となっているため、より低年齢層の受験者に適しています。
さらに、試験日時点で12歳以下の受験者に対しては、低年齢の受験者専用の環境が用意されます。
TOEIC Bridge対策のポイント
TOEIC Bridgeは、そのほかの英語試験と同様、高スコアを取得するには対策が必要です。
以下では、学習に取り組むうえでの学習方法や事前準備について解説します。
時間配分に注意
TOEIC Bridgeは、TOEICに比べて問題数が約半分とはなっていますが、1時間でリスニング50問、リーディング50問を解かなければならず、時間的に厳しい試験であることには変わりありません。
リスニングパートでは、放送される音声にしたがって一定のスピードで進められるので時間配分を気にする必要はありませんが、リーディングパートでは、事前に各partの出題内容を把握したうえで、自分にとって理想的な時間配分を構築しておく必要があります。
時間配分を決める際は、問題集を使用して演習してみるのがおすすめです!
基礎的な文法や単語を中心におさえる
TOEIC Bridgeは基本的な内容がメインであり、難解な表現や単語が出題されることはまれです。
よって、まずは中学生レベルの基本的な英文法を着実に理解する必要があります。
豊富な語彙力があっても基本英文法を理解していないと文章の意味を正確に理解できず、なかなか得点アップにつながりません。
大人の方の場合、文法学習には中学生時代の教科書を持っていれば、それを使用するのがいいでしょう。
ただ、処分してしまっている方が大半だと思うので、市販されている初学者用の英文法書で基本文法を学びなおしましょう。
文法学習をする中で知らない単語が出てきた場合は、ノートにまとめておき単語学習も並行して進めていきましょう。
TOEIC Bridgeの出題形式に慣れる
TOEIC Bridgeでは一定の出題パターンに沿って問題が出されます。
したがって、十分な実力をもっていたとしても出題形式に慣れていた方が試験では圧倒的に有利です。
公式問題集などを通じて予想問題や模擬試験の演習を重ね、事前に試験慣れしておきましょう。
その際は、実際の試験と同じ制限時間で解くなど、できるだけ実際の試験と同じ環境で解くことが大切です。
TOEIC Bridge対策におすすめの教材
TOEIC BridgeはTOEICに比べると知名度がまだまだ低く、2019年6月のテスト形式変更に対応した教材は以下の2冊のみです(2021年6月現在)。
以下では、それぞれの教材についてメリット、デメリットもあわせて紹介します。
TOEIC Bridge公式ガイドブック
TOEIC BridgeのL&R、S&Wのいずれにも対応できるよう、英語の4技能のすべてを網羅しているうえ、それぞれの問題形式が詳しく紹介されています。
問題の解答および解答例、和訳、音声スクリプトが詳細に掲載され、本番のテストと同じ公式スピーカーによる音声CDも付属されています。音声はダウンロードすることも可能です。
TOEICテスト開発機関であるETSが、本番のテストとまったく同じプロセスで作成した「本家による公式参考書」というだけあり、実際のテストの傾向を把握するには最良のテキストです。
パート別に載せられた解説も詳しく、大変参考になります。
一方、問題ごとの解説は詳しいものの、掲載されている問題数が少ない点はデメリットです。
出題傾向を把握するには最適ですが、演習量としては少し不十分な面も…。
TOEIC Bridge L&R はじめてでも80点突破
数多くの英語学習テキストを執筆してきたTOEIC対策専門講師・早川幸治氏によるテキストです。
英語初学者でも理解できるよう、文法、リスニング、文書読解のポイントが丁寧に解説されています。
問題傾向に合わせた具体的な解説がされているため、短期間でスコアを上げるには最良のテキストです。
また、模擬試験が1回分付いているので、これを解くことで実際の出題形式を体感できます。
一方、解説において記載上の誤りが複数ある、付属された模擬試験用のマークシートが使いにくい、音声はウェブ上でダウンロードできるもののCDが付いていないといった批判があります。
使いにくいと感じる人もいるようですが、スコアアップに適したテキストです!
TOEIC Bridgeは初心者におすすめ!85点を達成できたらTOEICへ
TOEICは、英語試験としての知名度は十分ですが、なかなか難易度が高く、初心者には厳しい面があるのも事実です。
大学入試レベルまでひととおり学習している方であれば、はじめからTOEICを受験して問題ありませんが、正直TOEICの難易度は万人向けとはいえないかもしれません。
まだまだ知名度の低いTOEIC Bridgeですが、TOEICへの「橋渡し」になる試験として今後世に広く浸透していくことが想定されます。
TOEICの受験を考えている初学者の方は、ぜひ腕試しとして積極的に利用してみましょう。