TOEICは、問題の形式によって7つのパートに分かれており、Part1~Part4はリスニング、Part5~Part7はリーディングの分野で出題されます。
過去問は公開されていませんが、各パートの出題形式、問題数は決まっているため、ある程度出題される問題を予測でき、パートごとの対策が可能です。
この記事では、TOEICで出題される問題、各パートの出題傾向と対策、TOEIC対策におすすめのサイト、アプリを紹介します。
TOEICではどんな問題が出る?
TOEICは、リスニングとリーディングの2つのセクションから構成されており、各セクション内にそれぞれパートが設けられています。
パートごとに問題形式が変わりますが、毎回同じ構成で出題されるため、それぞれのパートでどんな問題が出題されるのかをおさえておく必要があります。
リスニング問題の構成と傾向
TOEICのリスニング問題は、Part1~Part4までの4つのパートからなり、45分間で100問に解答します。
ナレーションや会話を聞いて解答する形式で、それぞれのパートは以下のような構成になっています。
出題内容 | 問題数 | |
Part1 | 写真描写問題 | 6問 |
Part2 | 応答問題 | 25問 |
Part3 | 会話問題 | 39問 |
Part4 | 説明文問題 | 30問 |
Part1:写真描写問題
写真描写問題は、問題ごとに1枚の写真が用意されており、写真についての4つの説明文が一度ずつ読みあげられます。
そして、4つの説明文の中からもっとも適切なものを選びます。
問題自体はそれほど難しくありませんが、短文ゆえに一語でも聞き逃してしまうと正解することは難しく、使用される語彙のレベルが高いので注意が必要です。
Part2:応答問題
応答問題は、ある文章とそれに対する3つの返答が1度ずつ読みあげられます。
もとの文章は平叙文の場合も、疑問文の場合もあります。
なお、返答の文章も読みあげられたものから選ぶ形式のため、Part1のような視覚的に得られる情報はありません。
Part2は比較的スコアを稼ぎやすいパートともいわれており、はじめに対策すべき部分です。
Part3:会話問題
会話問題は、2人、または3人による会話が1度だけ読みあげられます。
問題用紙には設問と4つの選択肢が記載されており、その中からもっとも適したものを選びます。
1つの会話につき3つの設問が用意されており、13種類の会話を聞いて39問に解答します。
また、問題用紙に記載されている図表についての会話が出題されることもあります。
ビジネス英語に特化しているTOEICのPart3で登場する会話は、同僚どうし、店員と客の会話であることがほとんどです。
よく出題されるシチュエーションを把握しておくこともリスニング対策として有効です。
Part4:説明文問題
説明文問題は、30~60秒ほどの長文が1度だけ読みあげられます。
問題用紙には設問と4つの選択肢が記載されており、その中からもっとも適したものを選びます。1つの長文につき3つの設問が用意されており、10の長文を聞いて30問に解答します。
Part4は読みあげられる文が長いため、しっかり対策をしておかないとスコアを落としてしまう可能性が高いパートです。
シチュエーションについての説明はされないまま、長文が読みあげられるため、どんな場面で誰が誰に話しているのかを理解しなければなりません。
電話、会議、案内、広告などのシチュエーションで出題されることが多い点をおさえておくと、状況を把握しやすくなるでしょう。
リーディング問題の構成と傾向
TOEICのリーディング問題は、Part5~Part7までの3つのパートからなり、75分間で100問に解答します。
穴埋め形式や長文を読んで内容についての設問に解答する形式で、それぞれのパートは以下のような構成になっています。
出題内容 | 問題数 | |
Part5 | 短文穴埋め問題 | 30問 |
Part6 | 長文穴埋め問題 | 16問 |
Part7 | 長文読解問題 ・シングルパッセージ ・ダブル、トリプルパッセージ | 29問 25問 |
Part5:短文穴埋め問題
短文穴埋め問題では、1か所の空白を含む短文と4つの選択肢が記載されており、空白を埋めるのにもっとも適したものを選びます。
語彙力、品詞の使い分け、前置詞の用法についての出題が多く、そのほかには動詞の態、時制、接続詞などが問われます。
とくに、語彙力についての出題が約1/3を占めるため、Part5で安定したスコアをとるには頻出単語をおさえておく必要があります。
Part1、Part2と並んで満点をとりやすいパートといわれており、高スコアを目指すのであればPart5は全問正解できるよう対策すべきです。
Part6:長文穴埋め問題
長文穴埋め問題では、4か所の空白を含む長文とそれぞれ4つの選択肢が記載されており、空白を埋めるのにもっとも適したものを選びます。
4問中3問は適切な単語・熟語を選ぶ問題ですが、残りの1問は適切な文章を選ぶ問題です。
Part6の出題傾向は、文法・語彙を問うタイプ、文脈の理解を問うタイプ、文章を挿入するタイプの3タイプに分けられます。
- 文法・語彙を問うタイプ:Part5のような形式で、空白の文章のみを見て解答できます。
- 文脈の理解を問うタイプ:空白を含む文章だけでは判断できず、前後の文脈を理解した上で正しい接続詞や表現を選びます。
- 文章を挿入するタイプは、空白が長文全体のうち、序盤、中盤、終盤のどこにあるかを確認しておきましょう。序盤の場合は先に解いてもいいですが、中盤や終盤の場合は全体を読んでから最後に解くことをおすすめします。
Part7:長文読解問題
長文読解問題では、1~3つの長文を読み、その内容についての設問に解答します。
長文の数によってシングルパッセージ、ダブルパッセージ、トリプルパッセージの3種類に分けられます。それぞれの出題数は以下のとおりです。
- シングルパッセージ:10題出題されるため、計10個の文章を読む
- ダブルパッセージ:2題出題されるため、計4個の文章を読む
- トリプルパッセージ:3題出題されるため、計9個の文章を読む
上記の計15題から構成されており、各題ごとに2~5問の設問が用意されています。
シチュエーションは、メールや記事、Webサイト、広告、チャットなど、多岐にわたります。
リーディングセクション100問のうち、54問と非常に大きな割合を占めており、Part7のできがTOEICスコアに直結するといっても過言ではありません。
TOEICでは過去に出題された問題も出る
TOEICは、毎年10回前後開催されているため、試験によって問題の難易度に若干の差があります。
しかし、英語力が同じであればどの試験を受けても同じスコアが出るようになっています。
これは回答の正答数をそのままスコアとするのではなく、統計処理によってスコアの同一化(Equating)を行っているためです。
たとえば、難易度が高い試験で200問中100問正解した人と、難易度が低い試験で200問中100問正解した人では、前者の方がスコアが高くなります。
TOEICでは、統計処理を行う都合上、難易度を測るために過去の試験で出題された問題が再度出題されることがあります。
しかし、過去問は公式には公開されていないため、過去問を解いて対策をすることはできません。
TOEICの問題演習ができるおすすめサイト
無料でTOEICの問題演習に挑戦してみたい場合は、Webサイトの利用がおすすめです。
公式サイトをはじめ、さまざまなサイトがTOEIC対策の問題をリリースしており、中には無料で利用できるものも多くあります。
TOEIC Listening & Reading Tests
TOEICの公式サイトでは、サンプル問題が公開されています。
サンプル問題はパートごとに受けることができ、試験1回分の問題数しかないものの、公式ホームページに掲載されていることもあり、本番の試験にもっとも近い形式です。
TOEIC対策に取り組む際は必ず挑戦しておきましょう。
英語学習お助けサイト
英語学習お助けサイトでは、TOEICのPart5で出題される文法問題が日替わりであがっています。
1日1問と問題数は多くありませんが、毎日継続して勉強する習慣をつけるにはおすすめです。
練習問題以外にも映画や海外ドラマで使用されているフレーズ、有名人のインタビュー、スピーチなどを用いたリスニングコンテンツや表現解説などを掲載しており、「生きた英語」を学ぶことにフォーカスしています。
アルク練習問題
『起きてから寝るまで』シリーズや『ユメタン』、『キクタン』シリーズなどを出版するアルクが運営するサイトです。
パートごとに練習問題を掲載しており、解説の内容が丁寧かつ豊富な点が最大の特徴です。
練習問題以外では、日常会話で使えるフレーズや単語の特集、英語学習に関する本やアプリのレビューなどのコンテンツをあげています。
英語学習本を数多く出版している企業が運営しているため、サイトのコンテンツも書籍を執筆した専門家による監修が多く、充実した内容となっています。
TOEIC Incomplete Sentences
Part5の穴埋め問題を中心に取り扱うサイトです。10問ずつセットになったものが60セット用意されているため、計600問の練習ができます。
名前とメールアドレスを入力して、フルバージョンでTOEICのテストを受験できる機能もありますが、パートごとに受験する機能がなかったり、設問の構成が最新のものに対応していなかったりと、不便な点もあります。
過去問.com
過去問.comでは、看護師、FP、宅建士などの各種資格試験の過去問や予想問題を取り扱っており、英語関係ではTOEICと英検の過去問・予想問題を公開しています。
Part1、Part2、Part5、Part6の4つのパートについて練習問題が掲載されており、パート別に受けることも、ランダムに受けることもできます。
2021年5月現在、800以上の問題が用意されており、豊富な問題数とわかりやすい解説が魅力です。
4Tests.com
4Tests.comでは、全パートの練習問題が掲載されており、受けたいパートのチェックボックスにチェックを入れて演習ができます。
実際の試験に近い形でありながら、苦手分野を中心に学習することができる点がメリットです。
また、TOEICだけでなくTOEFLの予想問題も掲載されているため、TOEFL対策にも活用できます。
TOEICの問題演習ができるおすすめアプリ
アプリのメリットは通学・通勤の途中や休憩時間など、スキマ時間にサクッと取り組める点です。
忙しいビジネスパーソンや、英語以外にも複数の科目を学習しなければいけない学生にとって、スキマ時間の活用は効率よく学習を進めるうえで非常に重要です。
また、Webサイトの中にも無料で利用できるものはありますが、良質なアプリは有料であるケースも少なくありません。
トレーニングTOEICテスト
トレーニングTOEICテストでは、全パートの練習問題が掲載されており、パートごとに演習ができます。
そのほかにレベル別の単語テストなどもあり、無料とは思えないほどのボリュームです。
パート別練習問題が約800問、単語テストが約2,500問用意されており、TOEIC対策のバイブルとして有名な『金の単語帳』シリーズやその他のTOEIC対策本に出てくるような、頻出単語もしっかりおさえられているため、実用的なトレーニングができます。
一方、無料アプリならではのデメリットもいくつかあります。
次の画面に進む際に広告が表示される点、単語テストの解答は日本語訳のみで例文が紹介されない点、新形式のTOEICに対応していない点などは、デメリットとしてあがることが多い点です。
Rep∞t(リピート)
Rep∞t(リピート)は「短期間でのTOEICスコア向上」をコンセプトに制作されたアプリです。
無料アプリには珍しくフルテストが受験でき、はじめの1回は誰でも無料でお試しできます。
また、Facebookでシェアすると2回目まで無料でお試しできます。3回目以降は有料ですが、2回分が無料で受けられるサービスは貴重なため、試してみることをおすすめします。
なお、600円課金すると5回分のテストを受けられます。
※Androidは非対応です。
レシピー
レシピー(旧POLYGLOTS)は、スキマ時間にスマホを使って英語学習が簡単にできるアプリです。
世界中の英語のニュース記事を読んだり、音声を聞いたりしながら英語学習が気軽にできます。
複数のプランが用意されており、プランによってはスマホでの自習と講師とのレッスンを組み合わせることもできます。
TOEIC対策用の教材には、各パートの模擬問題、レベル別に分けられた単語・熟語・表現などの学習ができます。
各パートの模擬試験も用意されているため、苦手分野を中心に対策するのが良いでしょう。
忙しくてスクールに通えない方や、勉強がなかなか続かない方におすすめのアプリです。
\レシピーについて詳しく知りたい方はこちらをチェック/問題形式の把握はTOEIC対策の基本!出題傾向と対策をおさえよう
各パートの出題傾向や問題数を把握することはTOEIC対策の基本です。
それぞれのパートがどのような問題で構成されているかを知ったうえで、各パートの時間配分、目標正答数などを目標スコアから逆算していきましょう。
また、効率よく学習を進めていくには、問題集だけでなく、サイトやアプリでの対策をおすすめします。
サイトやアプリでスキマ時間をうまく活用できれば、1日あたりの学習時間増加につながります。