近年、ビジネスや大学受験などでTOEICが活用されるケースはどんどん増えています。
そんな中、受験者の方々を悩ませているのは、どう対策すべきかという点でしょう。
実際、英語学習者の方々から以下のような悩みを聞くことが多くあります。
- リスニングが聞き取れない
- リーディングが解き終わらない
- 苦手なパートがあるが問題集を解いてもスコアが伸びない
これらの悩みはすべて、正しい学習法でトレーニングすることで解決できます。
この記事では、TOEIC対策における注意点、特定の悩みを抱える方に効果的な学習法、パートごとの対策について解説します。
TOEIC対策をするうえでの注意点
TOEIC対策をするうえでの注意点は、現状のスコアによって異なります。
理由は、英語力のレベルによって課題や解決策もさまざまであるためです。
TOEICスコアを目安に英語力のレベルを分類するのであれば、以下のようになります。
- 初心者(~500点)
- 中級者(500~700点)
- 上級者(700点~)
それでは、3つのレベル帯ごとに学習における注意点をまとめていきます。
初心者(~500点)は基礎文法・単語に注意
このレベルの学習者は「基礎力」が課題です。
TOEICスコアが500点の場合、リスニングとリーディングをイーブンで得点していたとして250点ずつです。
しかし、おそらくリスニングの方がわずかながらリーディングより点数が高いのではないでしょうか。
その理由は、基礎文法や語彙力の欠如です。
リーディングの方が基礎文法や語彙力の欠如が得点に響きやすいので、そのような点数配分になります。
基礎文法は中学レベルからしっかり復習
文法に関しては、中学3年分で構わないので基本の文法をカバーした文法書をやることです。
ポイントは1周目ですべて覚えようとせず、とにかく1周をやりきることを目標にしましょう。
もし不明な点があっても1周目は飛ばしてしまって、2周目、3周目で解消していけばOKです!
単語は基礎レベルを中心に2,000語
単語に関しては、まず英語の基礎である2000単語を覚えましょう。
ただし、ポイントは「1度で覚えようとしないこと」です。
文法書と同じですが、どんどん先に進んでいって周回するうちに覚えていけばよいです。
もう1つのポイントは「必ず音声を使うこと」。
発音がわからなければリスニングで使えない単語になってしまいます。
中級者(500~700点)は基礎力のさらなる向上で得点アップ
このレベルの学習者は英文法や語句の基礎はあるものの、関係詞などの少し高度な文法が出てくると、理解があいまいになりやすいです。
課題は「基礎力のレベルアップ」です。
苦手な文法を1つずつなくしていく
リーディングにおける学習の目標は、文法の穴をできる限りなくすことです。
どこかに文法の理解があいまいな部分があるので、まずは文法書をひと通り復習してみて、自分がどの項目がわからないのかを明らかにすることです。
そのため、文法書は問題付きのものを使うことをおすすめします。
音声のリズムや発音をおさえる
リスニングに関しては、まだ音のキャッチがままならない部分があるはずです。
おすすめの学習法は、以下の順番でトレーニングを積むことです。
- ディクテーションをして「どこが聞きとれて、どこが聞きとれないのか」を明らかにする
- 聞きとれなかった部分を何度もスクリプトを見ながら聞く
- 音声を真似しながら音読をする
音声のリズムや発音を真似しながら、英語の音感を身につけることが大切です!
上級者(700点~)は英語を英語のまま理解できるように
このレベルの学習者は、文法や単語に関してはそれなりのレベルでカバーできているはずです。
あとはリーディングでは読むスピード、リスニングでは細部を聞く力が勝負になってくるでしょう。
この2つの能力を高めるには、文法読解の精度と英語の語順で理解することがポイントとなります。
複雑な文も構造や品詞を意識してスムーズに読解
1つめのポイントは「文法の精度を高めること」です。
少し複雑なセンテンスになると返り読みをしてしまう方は、英文を目にしたらすぐに分構造を把握できるように文法力を高めましょう。
学習方法としては、やや難しい英文を読んでいき、主語や動詞、目的語、修飾部など、パーツを特定していく練習が効果的です。
英語の語順のまま理解できるように
2つめは「英語のまま理解すること」です。
これはリーディングとリスニングのどちらにも重要です。
とくにリスニングの場合、頭の中で日本語に訳しているうちに音源が流れて、結果的に細部の理解度が低くなってしまうケースが多いでしょう。
学習方法としては、少し簡単な英文をできる限り速く、返り読みをせずに読むトレーニングが効果的です。
返り読みによる時間のロスを減らせれば、TOEICは時間内に解き終わります!
TOEIC対策に効果的な学習法
英語学習は、学習時間や勉強量よりも「学習方法」が重要です。
間違った学習方法でどんなに頑張っていてもなかなか英語力は身につきません。
以下では、リスニング、リーディング、単語の3つの観点から、それぞれの学習法について紹介します。
リスニングが聞きとれない方
リスニングが聞きとれない方は、まず「なぜ聞き取れないか」を考えるようにしましょう。
主な理由は、以下の3つです。
- 単語や文法の理解が不足している
- 音をキャッチできていない
- 英語の理解スピードに追いついていない
発音を含めて単語や文法を理解する
1つめは「単語や文法を知識不足」です。
当たり前ですが、知らない単語や文法を聞き取って理解することは不可能です。
対策はシンプルで、スクリプトを見て単語や文法を調べることです。
スクリプトを見る中で発音がわからなければ、必ずチェックしておきましょう!
英語のリズムに慣れる
2つめは「音をキャッチができていないこと」です。
スクリプトを読んだら意味がわかるが、音で聞くとわからない方は、音をキャッチできていないパターンです。
英語は日本語のように一音ずつはっきりと発音する言語ではないため、日本語の耳のまま聞いていると単語がかなり落ちてしまいます。
この問題を解消するには、英語のリズムに慣れることが必要です。
聞きとれなかった部分を何度もスクリプトを見ながら再生し、聞きとれるようになってきたら発音を真似してみましょう!
英語を理解するスピードを養う
3つめは「英語の理解スピードが追いついていないこと」です。
リーディングのときに返り読みをしてしまう方に多いパターンです。
リーディングは理解できない部分を返り読みできますが、リスニングの音源は止まることなく流れ続けます。
いわば返り読みができない状態でリーディングをしているのに近い状態です。
この問題を解決するためには、リーディングを返り読みせず理解できるようになることです。
学習方法としては、自分のレベルよりやや低いパッセージを、できる限りスピーディーに読んでいくことです。
ここでのポイントはスピードなので、以下の2つのポイントを意識しつつ取り組みましょう。
- わからない単語があっても止まらないこと
- きれいな日本語にする必要はないということ
ざっくりとニュアンスがわかればいいので、前から1つずつ単語を訳して進んでいきましょう!
リーディングが解き終わらない方
リーディングが解き終わらない方は、根本的に読むスピードを上げる必要があります。
そのために大切なことは、以下の2つです。
- 文法の理解を高めること
- 英語を英語のまま理解すること
文法やコロケーションを意識すると文構造の理解につながる
文法力を向上させるためには、文の構造に気をつけながら読んでいくことが重要です。
英文を読んでいると、よく出会う文章構造やコロケーション(語と語の繋がり)があるはずです。
よく出会うということは、それだけ頻繁に使用されているわけです。
その構造をしっかりとインプットできれば、いちいち出くわすたびに構造を考えなくても済むので、時間の短縮になります。
また、関係詞や分詞構文、仮定法などの複雑な文法表現は、理解があいまいだと文を読むのに時間を要してしまいます。
苦手な文法事項は、文法書でカバーしておきましょう。
とくに関係詞や分詞での修飾が入ってくると、センテンスが長くなるのも理解を妨げるポイントです。
文における重要な要素である主語や、動詞のつながりが見えにくくなってしまうので、この点を意識しましょう!
200WPMを目指してスピードリーディングに取り組む
文構造の理解とは別に、読むスピードを鍛えるトレーニングも重要です。
できる限り速く英文を読み、その速度を徐々にあげていくスピードリーディングが効果的です。
スピードリーディングに取り組むうえでは、WPM(Words Per Minutes)と呼ばれる指標が役立ちます。
WPMは、1分間あたりにいくつの英単語を読み進められるかを表します。
TOEICで試験時間内に全問を解き終わるには、150~200WPMが目安となります。
TOEIC対策用の問題集や同レベルのテキストを使って、WPMを測りつつスピードリーディングに取り組みましょう。
止まらずに読むためには文章構造を一発で見抜く必要があるので、文法学習も併せて行っていく必要がありますよ!
単語や熟語がわからない方
単語や熟語の対策には、単語帳を用いるのがベストです。
リーディングやリスニングの学習の中で、出てくる単語を覚えていくやり方もありますが、短時間で英語力を向上させるうえでは向いていません。
学習効率を考えるのであれば、必要な単語を一挙にリストしてくれている単語帳の使用をおすすめします。
しかし、ここでもポイントとなるのは「学習方法」です。
まず、書いて覚える方法は絶対にやめましょう。
単語学習において大切なのは「いかに短期間で同じ単語に複数回出会うか」です。
単語を1つずつ書いていると時間がかかってしまい、結果的に同じ単語に出会う回数が減ってしまいます。
それよりも繰り返し読むことによって、短い期間で何度も同じ単語を目にする習慣をつけましょう。
また、単語学習では以下の2つを意識することをおすすめします。
- 1つの単語につき、覚える訳語は1つ
- 音声を必ずチェックする
複数の訳を覚えようとすると、それだけで覚える量が2倍、3倍になってしまいます。
はじめはもっともよく使われる意味を覚え、1つ定着したらそのほかにどんな意味があるかを覚えていきましょう。
それから単語を覚える際は、発音できるようにしなければ意味がありません。
発音がわからない単語は、リスニングで使えない単語になってしまうので致命的です。
毎回発音をチェックしながら覚える必要はないですが、単語を見て一瞬で発音が浮かぶ程度までは刷り込むようにしましょう。
ときには自分で発音してみることも記憶には効果的です。
【TOEIC・リスニング】パート別対策
TOEICのリスニングでは、45分間にわたってさまざまな問題が出題されます。
しかし、基本的なポイントやひっかけパターンは共通しているため、出題傾向を理解しておけばぐっと聞きとりやすくなるでしょう。
以下では、TOEICのリスニングセクションにおけるパート別対策について解説します。
Part1(写真描写問題)の対策
まず、このパートは選択肢が問題用紙に書かれていないうえ、選択肢の音声が流れるのは1度だけです。
そのため、選択肢を聞き逃さないようにしましょう。
そのほかのポイントは、以下の3つです。
- 明らかに登場しない単語の入った選択肢は除外する
- 発音が似ている単語に注意する
- 単語の言い換えに注意する
1つめは「写真に存在しない単語が入っている選択肢は除外すること」です。
たとえば、駅で男性が電車に乗り込むところを描写した写真があったとして、写っていないstair(階段)やticket(きっぷ)などの単語が出てきた場合、正答にはなりえないので選択肢からはずしましょう。
2つめは「発音が似ている単語に気を付けること」です。
たとえば、coffeeとcopy、washとwatch、safeとsaveなど、発音が似ている単語をダミーで出題するひっかけパターンがあるので気をつけましょう。
3つめは「単語の言い換えに注意すること」です。
これはリスニングの音源と問題文で同じものを指しているけれども違う表現を使用している場合です。
たとえば、ギターをguitarではなくmusic instrumentと言ったり、車や電車をcarやtrainではなく、transportationと言ったりする場合です。
Part2(応答問題)の対策
パート1と同じく、選択肢が問題用紙に書かれておらず、選択肢を聞き漏らさないよう注意すべきパートです。
また、パート2では疑問文に対する応答を選択するため、最初の疑問文をしっかりと聞いて、質問のポイントをつかみましょう。
もっともよく出てくるのは、whyやwhereなどで聞いてくるWH~?のタイプの問題です。
最初の疑問詞をつかめると、何を集中して聞き取らないといけないのかが明確になります。
たとえば、Where~?なら場所で、Who~?なら人です。
次によく出てくるのはDo~?(~しますか?)やIs~?(~ですか?)などの聞き方をしてくる問題です。
このタイプはシンプルにYES/NOで答えて来る場合もありますが、そうではない場合もあるのでYES/NOが来たからと言って正解だと思わないようにしましょう。
あくまでもYES/NOの後ろに続く言葉が疑問文と文脈的にあっているかどうかが重要です。
そのほかにパート2で気を付けないといけないのが、音源と選択肢で同じ単語がそのまま使われるケースです。
はじめの問いかけと選択肢で同じ単語が使用されている選択肢はひっかけである可能性が非常に高いので、迷った場合は切ってしまってもよいでしょう。
パート1と同じく、発音が似ている単語にひっかからないように注意することも大切です!
Part3(会話問題)の対策
パート3では、シチュエーションが明確には提示されずに会話が始まります。
しかし、序盤のやりとりでは状況を表すヒントが必ず登場するため、まずはシチュエーションを理解することに集中しましょう。
ポイントは「誰が、どこで、何を話しているのか」です。
また、話し手が2~3人いるのでそれぞれの立場にも注目すべきです。
これらの点をおさえられると、その後の展開についていきやすくなるうえ、出題のポイントにもなってきます。
パート3で難しい出題パターンは「発言の意図」や「話し手の次のアクション」などを尋ねる問題です。
細部まで聞きとったうえで全体の文脈を理解していないと解けないため、初心者には難しいかもしれません。
一方、高得点を目指す上級者は、このような問題をいかに正答できるかにかかっているでしょう。
この手の問題のポイントは「ネガティブかポジティブで判断すること」です。
話し手の発言が文脈的にどちらなのかがわかれば、選択肢をしぼることができます。
Part4(説明文問題)の対策
パート4は、スピーカーが1人で話すのを聞いたあとに連続して3問答える形式です。
ポイントはPart3と同じく、冒頭ですぐにシチュエーションをつかむことです。
とくに問題の先読みをするとシチュエーションを理解しやすくなるでしょう。
しかし、初心者~中級者にとっては、先読みで問題文と選択肢すべてに目を通すのはかなり難易度が高いので、問題文だけを読みましょう。
そうすれば、問題の中でどんな内容が話されるのかわかります。
また、自分なりの解答リズムを作ることも重要です。
問題文は音声で流れますが、問題用紙にも書いてあるので解答ペースを音声に合わせる必要はありません。
とくに上級者の場合は先読みがキーになるので、リズムに乗って解答していくことが大切です。
もし、聞きとれなかったり、選択肢の単語がわからなかったりしても、止まらないようにしましょう。
1問も落とさないように心がけるよりも解答ペースを保った方が、結果的に高得点につながりやすくなります。
【TOEIC・リーディング】パート別対策
TOEICのリーディングでは「時間が足りない」という悩みを抱える人がほとんどでしょう。
一定の英語力があれば、まったく歯が立たない問題はほとんどないはずですが、考える時間が足りなかったり、解き終わらなかったりしてスコアが伸びない方が多いです。
以下では、TOEICのリーディングセクションにおけるパート別対策について解説します。
Part5(短文穴埋め問題)の対策
パート5は、語彙力や文法力がストレートに問われます。
そのため、一目見てわからなければ考えてもわからないものがほとんどです。
ここで悩むのは時間がもったいないので、マークしてテンポよく次の問題へいくことが重要です。
また、空所の前後だけを見て解ける問題も数問出題されます。
パート5を対策するうえで意識すべきポイントは、問題が何を問いかけてきているのかを常に考えることです。
たとえば文法力を問う問題の場合、不定詞の問題なのか、関係詞の問題なのかという点です。
それによってカバーしないといけないポイントは変わってきます。
問題の出題意図を意識しながら、欠けている文法知識を埋めていくことが学習におけるポイントです!
Part6(長文穴埋め問題)の対策
パート5のように単語や文法の力を問う問題もありますが、もう少し広く流れを問いかけてくる問題が多いです。
まず前者の問題ですが、知らなければ考えても解ける問題ではないので、わからなければ潔くマークを付けて次に進みましょう。
後者のような問題は空所の前後の単語だけではなく、前後のセンテンスも読まなければいけないため、文脈を理解できているかが問われます。
とくに、単語だけではなく文章を挿入する問題の場合、より正確に流れを掴まないといけません。
該当センテンスだけではなく、文章をすべて読んでいく解答方法を選んでもよいでしょう。
パート6の文章を読み進める際は、代名詞や接続詞、接続副詞など、ディスコースマーカーを意識して流れをつかんでいくことがポイントです。
とくに、接続詞や接続副詞を選択する問題では、空所を挟んだ前後が順接なのか逆説なのか、ポジティブなのかネガティブに注意しながら読みましょう。
Part7(長文読解問題)の対策
パート7は、リーディングセクションの中でもっとも難易度が高いため、どのレベルの受験者もできるだけ時間を残しておきたいです。
高スコアを目指す上級者の場合、パート7までをどれだけスピーディーに終えられるかが、900点を超えるためのわかれめとなるでしょう。
パート7で出題されるパッセージのタイプは、シングル、ダブル、トリプルというように、後ろに進むにつれてパッセージの数が増えていきます。
読む文章量がほかのパートよりも圧倒的に増えるため、基本的には問題文を先に読み、必要となる情報を特定してパッセージに目を通していくというのがよいでしょう。
その際、人名や地名のような固有名詞はぜひチェックしておくべきです。
とくにトリプルパッセージを読む際は、いかに設問の意図を読みとって、該当箇所に素早く飛んでいくかがキーになります。
初心者~中級者は、時間内にすべての問題を解き終えるのが難しいため、できるだけ解きやすい問題に時間を使うことを意識したいです。
解きやすい問題を探す方法は「細部について聞いているかどうか」です。
パート7で出題される問題文には、大きな情報について問うものと細かな情報について問うものの2つがあります。
大きな情報について問う問題文は答えが見つけやすく、細かな情報について問う問題文は深く読解する必要があるため、解答に時間がかかります。
そのため、問題にアプローチしていく中で難しいと思った問題はすぐに見切りをつけて、解けそうな問題に注力していくことも大切です。
課題を明確にしてから対策に取り組むことが大切
英語学習においては、問題点を明らかにしたうえで最適なアプローチを行っていくことが重要です。
そのため、苦手なパートやつまずくポイントを特定するのが、学習の第一歩です。
また、TOEICをはじめとする試験では、必ず問題の背景に出題意図があります。
どんな能力を問う問題なのかを理解して解き進めることで、高得点をとるうえで必要な力や対策すべきポイントを見極められるでしょう。