TOEFL iBT®は、大学や大学院などアカデミックな場面で必要とされる英語運用能力を測定する英語試験です。英語圏であればほとんどの国で採用されるといったように、国際通用性の高さに定評があります。このTOEFL iBT®や英検®をはじめとした英語試験は、不定期に「試験内容の改訂」が行われることがしばしばです。
改訂に伴い、試験問題の出題傾向や問題数、試験時間などが変更されるため、試験の対策方法にも影響を及ぼします。複数回試験を受けている方の場合「前に受けた時と試験内容が違う」と感じるケースも多いのではないでしょうか。
今回は、数ある英語試験の中でも、TOEFL iBT®の新形式について解説をしましょう。具体的な変更点や対策方法、対策に役立つ参考書などを詳しく知りたい方であれば、当ページをぜひご参照ください。
TOEFL iBT®の新形式とは?
TOEFL iBT®は、2019年8月に試験内容が改訂され、現在は新形式でTOEFL iBT®の試験が行われています(2021年9月時点)。当ページでは、改訂前後で、便宜上「旧形式」「新形式」という呼び名で区別をします。新旧の具体的な変更点として挙げられるのは、以下の通りです。
- 「試験時間」と「問題数」が減少した
- 「試験の申込み方法」が簡単になった
- 「スコアレポートの表示方法」が変更された
最も大きな変更点として、新形式は旧形式よりも試験時間が短くなっています。旧形式は、全体の試験時間が約4時間だったのに対し、新形式では約3時間から3時間半です。この他、マイページのデザインが変更され、スマホからアクセスがしやすくなった分TOEFL iBT®の申込みが簡単になったり、レポートの表示方法が変更されて取得したスコアが見やすくなったり、細かな変更が加わっています。
いずれの変更点も、TOEFL iBT®の受験者にとってプラスとなるものばかりです。新形式になったのを機に、TOEFL iBT®にチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。ちなみに、新形式に変更された理由は「正確な英語力をはかるため」「試験の品質を維持するため」などが公言されています。
セクション別に変更された所はある?
TOEFL iBT®は、「読む(リーディング)」「聞く(リスニング)」「話す(スピーキング)」「書く(ライティング)」の4つのセクションで構成されています。旧形式と新形式を比較すると、主な変更点は図の通りです。
旧形式と新形式におけるセクション別の変更点 | ||
---|---|---|
旧形式 | 新形式 | |
リーディング |
問題数:12~14問 試験時間:60~80分 |
問題数:10問 試験時間:54~72分 |
リスニング |
レクチャー問題:4~6問 試験時間:60~90分 |
レクチャー問題:3~4問 試験時間:41~57分 |
スピーキング |
タスク数:6問 試験時間:20分 |
タスク数:4問 試験時間:17分 |
ライティング |
タスク数:2問 試験時間:50分 |
タスク数:2問 試験時間:50分 |
全体 | 試験時間:約4時間 | 試験時間:約3時間~3時間半 |
ライティングのように変化のないセクションも存在しますが、前項で紹介した通り、全体的に試験時間と問題数が減少しています。時間が短くなった分、「試験中の集中力が維持しやすくなった」という点は、受験生にとって嬉しいポイントと言えるでしょう。
新形式の具体的な対策方法は?
TOEFL iBT®は、試験内容の変化に伴い、一部のセクションによっては対策方法が変化します。
セクション別の対策方法まとめ | |
---|---|
リーディング | 学術的(アカデミック)な単語や英文に慣れておくとスコアを狙いやすい |
問題文を読んだ後に本文を読むとスムーズに解答しやすい | |
新形式のリーディングは「単語問題」が大幅に減少している | |
リスニング | 音読やシャドーイングで英語を「聞き取る力」を強化する |
試験中は要点をキャッチするためにメモを取らない | |
新形式のリスニングは、講義(レクチャー)の問題数が少ない | |
スピーキング | 「Independent」は、課題に対して説得力のある理由や具体例が必須 |
「Integrated」は、リスニングとリーディング力の強化が必要 | |
「Independent」と「Integrated」のタスクがそれぞれ1題ずつ減少している |
以下では、新形式におけるセクション別の対策方法について解説をしましょう。
新形式のリーディング対策方法
- 学術的(アカデミック)な単語や英文に慣れておくとスコアを狙いやすい
- 問題文を読んだ後に本文を読むとスムーズに解答しやすい
- 新形式のリーディングは「単語問題」が大幅に減少している
TOEFL iBT®のリーディングは、大学(または大学院)の教科書から抜粋された文章の出題が多いセクションです。対策を行う際は、学術的な単語や英文に慣れておくと、高いスコアを狙いやすいでしょう。また試験中は、最初に問題文を読んでから本文を読むと、文章の要点を掴みやすくなりスムーズに解答をしやすくなります。TOEFL iBT®の中でも、リーディングは解答時間が足りなくなりやすいので、速度を意識して問題を解くことが大切です。
新形式のリーディングは、出題数が30~40問、試験時間は54~72分となっています。10問を18分で解く計算なので、1問あたり2分以内を目安に解答しましょう。旧形式(14問を20分)より、1問あたりにかけられる時間は増加していますが、新形式では「単語問題」が大幅に減少しています。この単語問題は短い時間で解答しやすい問題なので、新旧の制限時間は相対的に変化を感じにくくなっています。
新形式のリスニング対策方法
- 音読やシャドーイングで英語を「聞き取る力」を強化する
- 試験中は要点をキャッチするためにメモを取らない
- 新形式のリスニングは、講義(レクチャー)の問題数が少ない
リスニングは、「キャンパスで交わされる日常会話」と「大学の講義」を聞き、出題された質問に対して解答するセクションです。新形式のリスニングは、旧形式と比べると講義(レクチャー)の問題数が少なくなっています。旧形式と同じ対策方法でも問題ありませんが、出題される問題の比率が異なる点は留意しておきましょう。リスニングは問題を一度しか聞けない分、先に挙げたリーディングとは異なり、解答時間が足りなくなる可能性も低いセクションです。
具体的な対策方法としては、英語を「聞き取る力」の強化に努めましょう。音読やシャドーイング(聴いた音声をそのまま発話する練習法)を通じて英語の発声に慣れておくと、聞き取る力も向上しやすくなります。なおTOEFL iBT®のリスニングは、会話や講義を5分近く聞く必要があるため、試験中は高い集中力が欠かせません。できればメモを取らず、要点をしっかりキャッチできるように聞くことをおすすめします。
新形式のスピーキング対策方法
- 「Independent」は、課題に対して説得力のある理由や具体例が必須
- 「Integrated」は、リスニングとリーディング力の強化が必要
- 「Independent」と「Integrated」のタスクがそれぞれ1題ずつ減少している
TOEFL iBT®のスピーキングは、タスク別に対策方法が異なるセクションです。自分の意見を述べる「Independent」は、課題に対して説得力のある理由や具体例を述べることが求められます。制限時間(45~60秒)を計測して、解答を時間内に収められるようにしましょう。
一方、英文や音声の内容を統合する「Integrated」は、リスニングとリーディング力が求められるタスクです。解答に意見や感想は必要なく、内容をいかにまとめられるかが鍵となります。
新形式のスピーキングでは、出題されるタスク数が6問から4問に減少しています。旧形式と比べ、IndependentとIntegratedのタスクがそれぞれ1題ずつ減少したため、なくなったタスクを対策する必要ありません。他のセクションよりも変更箇所が明確な分、対策自体はしやすくなったと言えるでしょう。
新形式のライティング対策方法
TOEFL iBT®の中でも、ライティングだけは新旧で変更点が1つもありません。出題されるIntegrated Task(総合問題)とIndependent Taskの2種類に分けたうえで、対策を行うようにしましょう。
このライティングセクションの具体的な対策方法については、以下のページで詳しく紹介しています。ライティングの採点基準や、目標とするスコア別の対策方法などを知りたい方であればご参照ください。
新形式の対策に適した教材や参考書はある?
TOEFL iBT®の教材は、新形式に移行後発行されたものであれば、ほぼすべてが新形式に対応しています。
問題自体に大きな変更はないため、旧形式の頃に発行された教材や参考書でも、対策を行うことは可能です。とはいえ、古い教材や参考書に添付されている模試や練習問題は、旧形式のものが掲載されています。したがって、正確な問題数と時間で試験を解くためにも、TOEFL iBT®の教材は最新のものを選びましょう。
教材や参考書を入手する際は、ETSが運営管理する「TOEFL®テスト公式教材オンラインショップ」がおすすめです。英語の初心者から上級者に至るまで、TOEFL iBT®の対策に役立つ教材を数多く取り揃えています。
TOEFL ITP®も新形式に変更されている?
最後に、団体向けのTOEFL®として知られる「TOEFL ITP®」にも触れておきましょう。
TOEFL iBT®が新形式に変更された一方、TOEFL ITP®の試験内容は特に変更されていません。とはいえ、TOEFL® PBT(紙媒体で行うTOEFL®)が実質的にTOEFL ITP®となったように、将来的に新しい試験形式に変わる可能性はあります。もしも受験を検討している方であれば、情報に対して常にアンテナを張っておく必要はあるでしょう。TOEFL®だけに限った話ではありませんが、英語試験は試験形式の変更に合わせ、試験の内容に則った対策を行うことが大切です。
今回は、TOEFL iBT®の新形式における対策方法を詳しく紹介しました。
なおTOEFL iBT®の新形式は、問題数が減少をした分、旧形式よりも1問あたりのスコアが大きくなっています。そのため目標スコアを達成するためには、1問1問を取りこぼさないよう入念な対策を行いましょう。
一方、よほどの英語力を備えている方でもない限り、独学で効率性の高い学習を実現するのは困難です。高い学習の効果を求めるならTOEFL iBT®に強い英語スクールの受講を検討しても良いでしょう。
そこで、TOEFL®に強い英語スクールをお探しの方であれば、バークレーハウスのTOEFL対策講座を利用してみてはいかがでしょうか。
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