個人向けのTOEFL iBT、団体向けのTOEFL ITPのように、英語試験は試験の目的や受験形式によって、種類が分かれることも少なくありません。
国際的通用制の高いIELTSにも、英国ビザ申請用のIELTS for UKVIといった種類が存在します。
このほか、IELTSには2020年に「IELTS Indicator(インジケーター)」という、まったく新しいIELTSの受験形式が誕生し、受験を希望する人も増えつつあります。
今回は、このIELTS Indicatorについて知りたい方に向けて、IELTS Indicatorの基本情報やメリットを詳しく紹介しましょう。
IELTS Indicator(インジケーター)とは?
IELTS Indicatorとは、分かりやすく言えば「自宅で受験できるIELTS試験」のことです。
この試験は、世界的に猛威を振るうコロナウイルス(COVID-19)の影響に伴い、開催されるようになりました。
感染症対策のため「テスト会場でIELTSを受験するのが困難」という状況を打開すべく、IELTSを自宅で受けられるようにしたテスト形式です。
この「コロナウイルスの感染症対策」として提供されるようになった英語試験は、IELTS Indicatorだけに限りません。
例えば、IELTSと同じく英語圏の移住や留学に役立つTOEFLも、自宅受験用の「TOEFL iBT Special Home Edition」を提供しています。
ほかにも、日本国内で高い認知度を誇るTOEICなども、団体受験向けのIPテストをオンライン化しています。
このように英語試験の運営団体は、安心安全な試験を開催すべく、受験形式を大きく変化させているのです。
ちなみにIELTS Indicatorは、試験会場での開催再開に伴い、2021年6月の時点では申込みを受け付けていません。
とはいえコロナウイルスの感染状況によっては、今後にかけて再開する可能性もあります。
以下の項では通常のIELTSとの違いやメリットなどについて詳しく紹介しましょう。
通常のIELTSと何が違う?
IELTSとIELTS Indicatorの違い(2021年6月現在) | |||
---|---|---|---|
試験 | 受験料 | 受験できるIELTSの種類 | 受験資格 |
IELTS | 26,400 円(コンピューター試験) |
アカデミック・モジュール ジェネラル・モジュール |
年齢制限なし(16歳以上推奨) |
IELTS Indicator | 149USドル(約16,464円) | アカデミック・モジュールのみ | 15歳未満受験不可 |
IELTS Indicatorは、通常のIELTSと試験内容に大きな違いはありません。
どちらもリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングのセクションで成り立ち、スコアや採点方法なども同じです。
主な相違点を上げれば、IELTS Indicatorには、移住者向けの英語試験である「ジェネラル・モジュール」が存在しません。
これは、IELTS Indicatorが「教育機関の入学審査の進行をサポートする」という目的で提供されており、あくまでアカデミック・モジュールの代わりという立ち位置のためです。
また、IELTS Indicatorは「15歳以下の方は受験ができない」という特徴もあります。
通常のIELTSには年齢制限がない(16歳以上推奨)ので、この点も大きな違いと言えるでしょう。
このほかIELTS Indicatorのほうが、一般的なIELTSと比較をして受験料が安いといった相違点も存在します。
ちなみに「IELTSの基本情報を知りたい」「どんなセクションが出題されるの?」など、IELTSの基本情報を知りたい方であれば、IELTSについて詳しく記述した以下のページをご参照ください。
IELTS Indicatorを受験するメリットは?
さて、そんなIELTS Indicatorにはどんなメリットがあるのでしょうか、通常のIELTSにはないIELTS Indicatorならではのメリットは、以下の3点です。
会場まで移動する必要がない
IELTS Indicatorは自宅受験という特性上、受験会場まで足を運ぶことなくIELTSを受験できます。
住んでいる場所の関係上、会場まで行くのが難しい方や、感染症対策を徹底したい方に最適な受験形式と言えます。
渋滞や電車遅延といった、交通トラブルを心配する必要もありません。
この会場まで移動する心配がないというメリットは、IELTS Indicatorをはじめ「自宅受験が可能な資格試験」のすべてに共通するメリットと言えるでしょう。
受験料が安い
IELTSは、英語圏なら「ほぼどこでも通用する」強みがある反面、ほかの英語試験と比較をしても受験料が高めに設定されています。
一方、IELTS Indicatorは、通常のIELTSと比べても3分の2程度の受験料となっているため、費用を抑えてIELTSを受験することが可能です。
複数回にわたって受験をして、試験の感覚を掴みながら目標スコアへの到達を目指すのも良い方法と言えるでしょう。
ただし、経済的な事情から何度も試験を受けるのが難しい場合は、対策を十分に重ねたうえで、一発で目標スコア到達を目指すのが理想です。
リラックスして試験を受けられる
IELTS Indicatorは自宅で受験ができるので、周りの受験者が気になりません。
自分の部屋という馴染み深い環境なので、気持ちをリラックスさせて受験に挑むことができます。
また、部屋の温度といった環境面を、好みに合わせて変えられるのも、自宅受験ならではのメリットと言えるでしょう。
ただし、過度にリラックスをしすぎると集中力が保ちにくくなるので、「英語試験を受けている」という一定の緊張感を持ったうえで試験を受けるのがベストです。
これらのメリットは、「自宅で受けられる試験」に共通するものが多く、IELTS Indicatorも例外ではありません。
一方、IELTS Indicatorを受験するうえでの注意点もいくつか存在します。
IELTS Indicator を受験する際の注意点
パソコンや通信環境の設定が必要
試験会場で受けるIELTSであれば、コンピューターの設定や環境などを会場側で最適なものを設定しています。
一方、自宅受験は、パソコンや通信環境を事前に準備する必要があるため、人によっては「受験のハードルが高い」のが欠点です。
通常のIELTSと比べて受験料こそ安いものの、IELTS Indicatorの環境を整えるのに費用がかかってしまうことも考えられます。
スマートフォンや携帯電話で受験ができないという点も、パソコンを所有していない方にとっては調達を迫られる分、悩ましいポイントです。
なお、冒頭で紹介したIELTS Indicatorのオフィシャルサイトでは、受験に必要な環境を詳しく紹介しています。
今後に向けて受験を検討する方であれば、前もってIELTS Indicatorの環境を準備しておくのも手です。
ITに詳しくない方であれば、家族や知り合いに環境設定をお願いしても良いでしょう。
一部の教育機関では受け付けていない
留学や進学の応募条件として、IELTSのスコアを採用している教育機関は数多く存在します。
一方、「IELTS Indicatorが使えない」というケースも多く、場合によっては「取得したスコアが役に立たない」こともしばしばです。
留学や進学にIELTS Indicatorのスコアを使いたい方であれば、目的の教育機関がIELTS Indicatorを採用しているか否かをよく確認することをおすすめします。
このほか、繰り返しになりますが2021年6月の段階で、IELTS Indicatorは受験の受け付けが行われていません。
再開に合わせて試験内容や受験料などが変わる可能性があるため、オフィシャルサイトを通じて情報収集をするほうが良いでしょう。
IELTS Indicator 対策方法は?
最後に、IELTS Indicatorの対策方法についてカンタンに紹介しておきましょう。
結論から言えば、IELTS Indicatorの試験内容は、通常のIELTSと試験内容に変化はないため、どちらも同じ対策方法で問題ありません。
IELTSの対策を行えば、そのままIELTS Indicatorの対策に繋がります。
今の時点で「IELTSを勉強している」という方であれば、継続してIELTS対策を続けることをおすすめします。
とはいえ、IELTSは独学で対策を行うのが難しいため、対策を続けている方の中には「学習が思うように進まない」と悩んでいる方も多いことでしょう。
そんな方であれば、IELTS対策として、バークレーハウスのレッスンプログラムを検討してみてはいかがでしょうか。
バークレーハウスでは、IELTSに精通した講師陣によるレッスンで、英語の初心者から上級者の方まで幅広く対応しています。
「得意なセクションを伸ばしたい!」「苦手なセクションの対策をしたい」「総合的に英語力を身につけたい!」という方におすすめのレッスンプログラムです。
以下のページでは、バークレーハウスが提供するオリジナルのコースについて例をご紹介します。
IELTS対策を検討している⽅はぜひ参考にしてください。
今回は、IELTS Indicatorの基本情報からメリットに至るまでを詳しく紹介しました。
ちなみにIELTS Indicatorは、自宅のコンピューターを使って試験問題を解答する仕組みです。
そのため、自宅という違いこそありますが、IELTSのコンピューター試験と似た感覚で受験することができます。
対策方法の項では「通常のIELTSと同じ対策方法で良い」と述べましたが、あえてIELTS Indicatorの対策方法を紹介すれば「コンピューター操作に慣れておく」と良いでしょう。
例えば、英文のタイピングが早く正確に打てるようになれば、それだけ試験時間に余裕が生まれやすくなるうえ、わずかなミスで減点されてしまう心配も少なくなります。
もちろん、英語力の基礎や応用力を身につけて、どんな問題が出題されても解答できるようにしておくことも欠かせません。