英検準1級の一次試験はクリアしたけれど、スピーキングに苦手意識があり、二次試験が不安な人も多いのではないでしょうか。
日本の英語教育はリーディングやリスニングなどのインプット学習が中心であり、スピーキングやライティングなどのアウトプット学習の機会が少ないと言われています。
そのため、日本人は英語を自ら発信することに苦手な傾向があります。
英検準1級の二次試験に合格するためには、出題内容と傾向を把握し、予想問題集をこなし、出題パターンに慣れる必要があります。
この記事では、はじめて英検準1級スピーキングテスト(二次試験)の受験に向けて、対策や勉強法を探している受験者の方に参考にしてもらえるように、おすすめの参考書や勉強法について解説します。
本記事でわかること ・ 英検準1級のスピーキングテスト(二次試験)の特徴 ・ スピーキングテストの流れ ・ 面接官から問われる質問への解答ポイント
英検準1級のスピーキングテストの特徴
英検準1級のスピーキングテストは二次試験で実施されます。
ここでは、どのような問題が出題されるのか、何が評価対象なのかについて解説します。
試験内容
試験内容 / 問題数 / 解答形式 | |
スピーキング | 自由会話・ナレーション・質問 / 5問 / 個人面接 |
スピーキングテストは、面接官とのマンツーマンの個人面接形式で実施されます。
入室から退室まですべて英語でのやり取りが必要であり、面接時間は約8分です。
試験のトピックは、在宅勤務、住民運動、キャッチセールスなどの社会性のある高度な話題が出題されます。
試験問題の構成
スピーキングテストで出題される試験問題は次の3つにわけられます。
- 自由会話
- ナレーション問題
- 受験者の意見を問う質問(4問)
自由会話
面接室に入ってすぐに、面接官と日常的な会話を交わしましょう。
面接官から職業や、会場までの交通手段、週末の過ごし方など2〜3つの質問があります。
ナレーション問題
面接官から手渡された問題カードにある、4コマのイラストの展開をナレーションする試験です。
受験者の意見を問う質問(4問)
面接官から問題カードに関する質問が4つあります。
最初の質問は、問題カードのイラストに関するもので、登場人物の考えなどを想像して解答する問題です。
残り3つの質問は、問題カードのトピックについて受験者の意見を問うものです。
評価基準と合格ラインについて
二次試験の評価基準は、スピーキングにおける発音や語彙、文法の正確さ、語法を基準に評価されます。
その他にも、質問に対する応答内容や情報量が評価基準に含まれています。
合格ラインは、750点満点中8割の600点以上です。
二次試験は面接形式のため、アティチュードも審査対象に含まれるので積極的にコミュニケーションを取ることが重要です。
英検アティチュードの重要性
二次試験では、アティチュードも評価項目に入っているので、面接官と積極的にコミュニケーションを取りましょう。
英検二次試験で問われるアティチュードについて詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
また、その他の英検準1級全体の対策については、以下のページでご紹介しています。
スピーキングテストの流れ
ここでは、スピーキングテストの流れを細かく解説します。
面接室のドアをノックするところから試験がはじまります。
入室前の段階から英語脳に切り替えて、面接中はすべて英語で返答することを意識しましょう。
入室
係員から入室前に面接カードをもらいます。
携帯電話の電源を切り、携帯電話収納ケースに入れて首から下げます。
荷物はもったまま入室しましょう。
入室時は、ドアをノックしながら「“ May I come in? ”」と言いながら入室するとよいでしょう。
面接カードを手渡す
記入済みの面接カードを面接官に渡します。
手渡す際に、一言「“ Here you are ”」などを一言付け加えると、コミュニケーションに積極的な印象になります。
着席
面接官が着席をうながす言葉「“ Please have a seat ”」をかけてくれます。
黙って着席せずに「“ Thank you ”」などの返答や、アイコンタクトなどで受け答えするようにしましょう。
自己紹介・面接官と日常会話を交わす
面接官から名前などを聞かれるので、的確に答えましょう。
この自由会話はあくまでもテスト前のウォーミングアップとして位置づけられます。
試験としてとくに配点はありませんが、少なからずアティチュードの評価に影響します。
日常会話の受け答えをできるようにしましょう。
問題カードを受け取る
面接官から問題カードを受け取ったら、実際のテストがはじまります。
受け取る際もコミュニケーションを意識して「“ Thank you ”」などの返答をしましょう。
問題カードの音読(ナレーション)
問題カードに書かれた4コマのイラストのストーリーを順序立ててナレーションします。
ナレーションの前に準備時間として1分間与えられます。
この1分間で指示文と4コマのイラストを確認し、ナレーションの構成を考えましょう。
1分間の準備時間の後、ナレーションをおこないます。
制限時間は2分です。
2分を超えると中断の指示が出てしまうので、ナレーションを2分以内におさめましょう。
Q&Aに答える
ナレーションの後、面接官が合計4つの質問(No.1〜4)をします。
それぞれどのような質問であるのか順番に解説します。
No.1
最初の質問(No.1)は、4コマのイラストについての質問です。
もし自分がイラストの登場人物であった場合の考えを問う問題がよく出題されます。
質問は、「“ If you were ~, what would you be thinking? ”」のような仮定法で問われることが多いため、仮定法に則した解答をすることが重要です。
問題カードを見ながら解答できるのは、最初の質問(No.1)のみです。
解答が終わると、面接官が「“ Please turn over the card and put it down. ”」と、問題カードを裏返すように促します。
No.2・No.3
2番目と3番目の質問(No.2・No.3)は、問題カードのトピックに関連した受験者自身の意見を問うものです。
「“ Do you~? ”」「“ Should~? ”」「“ Is~? ”」などの形で質問されるので、「“ Yes. ”」または「“ No. ”」からなる解答をしましょう。
No.4
4番目の質問(No.4)は、問題カードのトピックに関連した社会的な問題について受験者自身の意見を問うものです。
必ずしも問題カードのトピックに関連する質問とは限らないので、注意深く質問を聞いて答えましょう。
問題カードを面接官に返す
面接官が試験終了を知らせてくれるので、問題カードを返しましょう。
退室
面接官から退室を促す言葉「“ You may go now. ”」と言われたら、挨拶をして退室します。
スピーキングテストのポイント
スピーキングテストで重要なポイントは以下の4点です。
1. アティチュードを意識して積極的なコミュニケーションを心がける 2. 試験中に役立つ言い回し表現を覚えて使えるようになる 3. 自分が知っている語彙で別の表現に言い換える力をつける 4. 実際の試験のシミュレーションを何度もおこなう
入室 〜 退出
すでに説明した通り、二次試験では、アティチュードも評価対象であるため、アティチュード点を取るためのポイントを意識しましょう。
ここでは、積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢を示せる使えるフレーズを紹介します。
問題の解答前後で使えるフレーズ例
受験者の意見を求められている質問に対する解答は、次のようなフレーズから話しはじめるとよいでしょう。
- 「“ I think that〜 ”」
- 「“ I believe that〜 ”」
- 「“ In my opinion,〜 ”」
会話を繋げるためのフレーズ例
面接官からの質問に即答できない場合は、沈黙せずに次のようなフレーズを言いながら解答を考えましょう。
- 「“ Well,〜 ”」
- 「“ Let me see.. ”」
また、面接官からの質問が聞き取れなかった場合は、次のようなフレーズで聞き返しましょう。
- 「“ I beg your pardon? ”」
- 「“ Could you say that again, please? ”」
ナレーション
次に、ナレーション問題の重要ポイントを解説します。
ナレーション前の考慮時間の使い方や、ナレーションを制限時間内に収めるコツを紹介していますので、参考にしてください。
考慮時間
ナレーションの前の考慮時間(1分間)で、問題カードに書かれた4コマのイラストの中心人物と話題をつかみましょう。
ナレーションで話す英文を考える時間はありません。
ストーリーの流れを理解し、1コマにつき2~3文の英文にすることを念頭におき、「誰が」、「何をしたか」、「どのような感情か」の要点のみを把握しましょう。
解答時間
ナレーションは、問題カードに書かれた1文からはじめなければいけません。
この最初の1文の動詞は、通常過去形が使われることが多いため、その後に続くナレーションも過去形もしくは過去進行形で話しましょう。
各コマにつき以下のように2〜3文にまとめると、4コマのナレーションがおおよそ2分間に収まります。
- 1文目:動作表現「いつ・誰が・どうしたのか」
- 2文目:状況表現「誰が・何と言ったのか」
- 3文目:感情表現「誰が・どのように感じた」
No.1
No.1は、イラストの登場人物について受験者ならどう考えるかを問う問題がほとんどです。
4コマのイラストのストーリー全体を把握した上で、起きている問題について登場人物の考えを1文で述べましょう。
その後にその問題への具体的な対処法を1文付け加えると、適当な解答になるでしょう。
No.2とNo.3
2番目と3番目の質問は、問題カードのテーマについて受験者の意見を問うものです。
「“ Should〜? ”」「“ Do you think〜? ”」の形の質問が多いので、「“ Yes ”」または「“ No ”」からはじめ、以下のような言い回しを使いながら、なぜそう思うのか根拠を2文程度で解答しましょう。
言い回しの例文 「“ I've heard that~ ”」 「“ Many people may think that~ ”」 「“ I think that~ ”」
No.4
最後の質問は、問題カードのトピックから派生した社会的な問題について、受験者の意見を問うものです。
解答に詰まったときは、自分が使い慣れた語彙を使い簡単な文章を作り、できるだけ沈黙を避けましょう。
沈黙の状態が長いと、面接官は質問を理解していないと判断する可能性があります。
また、知識不足で英語が出てこないとき、自分が知っている語彙で別の表現に言い換える力や、発話量で語彙不足を補う必要があります。
日頃から使い慣れた表現を増やしておきましょう。
効果的なスピーキングテスト対策とは
では、二次試験に向けて具体的にどのような対策が効果的なのでしょうか。
面接練習は他の人にも聞いてもらおう
友達や家族に面接官の役を頼み、Q&Aの質問をしてもらうのも一つの方法です。
また、協力してくれるネイティブまたは学校の先生がいる場合は、自分の発音を聞いてもらうとよいでしょう。
試験時間に沿って時間を計測しながら練習をすると、 より実際の試験を想定したシミュレーションができます。
過去問を使って問題演習をする
英検準1級二次試験対策用の参考書を活用し、ナレーションやQ&A対策を行います。
問題演習中は小さい声でも構いません、解答をかならず発声しましょう。
頭の中でのシミュレーションだけだと、実際の試験で思うように発話できない恐れがあります。
ナレーションは練習数をこなす
ナレーション対策では、4コマのイラスト描写を1コマ2〜3文ずつ声に出す練習をしましょう。
練習の数を増やせば、出題パターンが見えてきます。
苦手な方は、過去問・問題集の解答例を参考にして練習しましょう。
言い回しのストックを増やす
シチュエーション別に言い回しを整理して、本番試験でいつでも引き出せるようにしておきましょう。
演習ごとに異なる言い回しを使い、表現の幅を広げましょう。
英語の発音は忠実に
準1級は発音の忠実さも評価の対象となります。
できるだけネイティブに近い正しい発音を心がける必要があります。
可能であれば、学校のALT講師などのネイティブスピーカーに正しいイントネーションで発音できているかチェックしてもらいましょう。
ネイティブスピーカーがいない場合は、問題集付属の音声で英語の正しい発音をチェックしつつリピートしましょう。
学習教材の紹介
二次試験対策用の練習問題の数をこなすことで、出題トピック、ナレーションの組み立て方や質問への答え方の傾向がつかめるでしょう。
ここでは、二次試験対策におすすめの学習教材を5つ紹介します。
【CD・DVD付き】14日でできる! 英検準1級 二次試験・面接 完全予想問題
音声CDだけではなく、面接室での試験の様子がわかるDVDがついています。
事前に試験の様子を確認できるので、はじめての受験でも落ち着いて試験にのぞむことができます。
英検準1級 面接大特訓
短文から長文へ段階的に発話練習ができる参考書です。
4コマのイラスト問題のトピックの出題傾向もまとめられており、トピック毎に役立つフレーズも豊富です。
大学受験対策 はじめてでも一発合格! 英検準1級スピーキング大特訓
音声認識機能付きのアプリ「ノウン」と連携している参考書です。
アプリを使うと書籍に沿ったスピーキングの練習が可能です。
自分の発音した音声をアプリが発話内容を判定して採点してくれます。
アプリ画面に問題と答えが表示されるので、電車でも試験練習ができます。
英検準1級 二次試験 完全予想模試
12回分の予想問題が掲載されています。
面接官の質問への解答例もYesとNoの2パターンが掲載されているので、どちらの意見も参考になります。
英検準1級 面接・攻略ポイント20
模擬テストが8回分収録されています。
YouTubeで面接の雰囲気を知ることができ、本番の時間制限を体感するのに役立ちます。
まとめ
英検準1級のスピーキングテスト(二次試験)の流れや、解答ポイントなどを解説しました。
解説の通り、二次試験には出題パターンがあり、その出題パターンに慣れることが合格の鍵となります。
また、英語の発音が正しくなければ、評価が下がる可能性があるので、かならず声に出して繰り返し練習しましょう。
本記事で紹介した勉強法や対策本を毎日コツコツ続けていき、合格しましょう。