日本の教育課程で英語学習の重要性は年々上昇しています。
そんな中、小中学生の子どもになるべく早いうちから英語の資格を取得してもらいたいと考える方が多いようです。
子どもに英語学習をさせるうえで、まずは指導する親や先生が英検などの難易度や合格率を知っておくことが大切です。
今回は英検の概要や5級のレベル、試験内容、合格のコツ、合格するための勉強法などを紹介します。
英検とは?
英検とは、「公益財団法人日本英語検定協会」が主催・運営する英語検定試験のことで、正式名称を「実用英語技能検定」と言います。
上から順に1級、準1級、2級、準2級、3級、4級、5級の7つの級が設けられ、級位別に試験内容と難易度が異なる検定試験です。
1級から3級までは「リーディング(読む)」「ライティング(書く)」「リスニング(聞く)」「スピーキング(話す)」の4技能を評価します。 一次試験と二次試験があり、一次試験は筆記試験で、リスニング、リーディング、ライティングの技能を測り合格すると、二次試験のスピーキングの試験に進みます。 スピーキングは試験官との面接形式で行われ、一次・二次の両方の試験で基準スコアに到達すれば合格です。
一方、4級と5級は一次試験として「リスニング」と「リーディング」の技能を測り、一次試験のみで合否が決まります。
また、4級と5級の受験者は、一次試験の合否にかかわらず、自宅で受験できるスピーキング試験に挑戦することも可能です。
英検には、筆記と面談で行う従来の試験とは別に、パソコンを使って受験する「英検S-CBT(Computer Based Testing)」という試験もあります。
英検5級は英検初心者で中学初級程度のレベルとされています。
小学生から英語教育がはじまった昨今では、小学生でも英検にチャレンジして合格するチャンスも出てきているのです。
英検がどのような試験なのか、詳しく知りたい方は、こちらの「英検ってどんな試験なの?正式名称は?」でご覧いただけます。
英検5級のレベルは?どのくらい難しい?
英検5級のレベルは中学初級程度と設定されていますが、だいたい中学1年生レベルの問題が出題されるといわれています。
初歩的な英語が理解できて、それを使ってうまく表現できるくらいというイメージです。
しかし、それだけだとざっくりとしていて目安がわかりづらいと感じる方が多いかもしれません。
そこで、ここでは、より具体的に英検5級のレベルを解説しましょう。
中学校1年生レベルの英語の問題を解くなら、300~600単語は理解しておかなければ合格はできません。
例えば、watchやthink、window、student、finalなどといった誰しも必ず日常生活の中で見たことのある単語が中心に出題されます。
もっとレベルが上がってくると、今までに見たことがないような単語が数多く出題されますが、5級レベルであれば見たことのある単語ばかりが出題されるため、覚えることも難しくはないはずです。
単語の意味がわからなければ、スピーキングはもちろん、リーディングやリスニングもままならない状態になってしまうため、何よりも単語の意味を覚えることを最優先に考えたほうが良いでしょう。
試験そのものの合格率ですが、英検はCSEスコアという独自の計算方法で合否判定を出していて、一定の点数以上取れれば良いというわけではありません。
自分の得点だけでなく、他の受験者の得点によっても左右されるのです。
5級の試験は一次試験のみで、合格率は平均して70%前後となっています。
それなりに努力して勉強すれば合格は難しくないレベルだといえるでしょう。
50点満点中30点~40点くらいが取れれば合格の可能性が十分にあります。
英検5級の試験内容
英検は階級別に必須で受験しなければならない項目と希望者のみが受けられる項目が存在します。
5級の場合はどういう試験内容になっているのか、また英検S-CBTで受験できるかどうかについて解説します。
試験内容
英検5級では一次試験で英語の読み取りの力を試されるリーディング、英語の聴き取りの力を試されるリスニングの2つの項目が必須受験科目として指定されています。
ライティングは3級以上から必須とされていて、二次試験のスピーキングも3級以上から必須とされています。
二次試験のスピーキングは4、5級を受験する方でも希望すれば受験は可能です。
ただ、合否には一切反映されません。
3級以上受けることを見越してスピーキングの本番を体験しておきたい方は受けておいたほうが、その後の試験対策がしやすくなります。
問題構成は、リーディングは短文と会話文の文脈に合わせた単語の空所補充、日本文の意味に合わせて語句を並べ替える問題の3種類で構成されています。 どれも4択式の問題です。 リスニングは会話の応答文、会話の内容に関する質問の解答、短文の内容に当てはまるイラストの解答の3種類で構成されています。 3択式あるいは4択式の問題で、放送はそれぞれ2回聴けます。
英検S-CBTで受験できる?
実は英検には筆記・面接による従来のタイプとパソコンを使って試験を行う英検S-CBTの2つの試験方式が存在します。
ただ、1級、4級、5級は英検S-CBTの試験は用意されていません。
従来のタイプは年に3回、どの級でも試験が実施されていて、面接によるスピーキングテストの二次試験がある階級では一次試験の約1ヶ月後に二次試験が受けられる形式です。
しかし、英検S-CBTは4~7月に第1回検定、8~11月に第2回検定、12~3月に第3回検定と区切られていて、それぞれの検定期間中に毎週土日のペースで実施されています。この4ヶ月の区切りごとに2回まで受験が可能です。
リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの4項目を、パソコンを使って1日ですべて実施します。
この方法は準1~3級を受ける方で、1日で集中して終わらせたい方や挑戦回数を増やして合格の可能性を上げていきたい方におすすめです。
英検5級の試験対策は?
英検5級の試験に合格するためには、どの分野においても問題にどういった傾向が見られているのかを知り、それに合わせた対策を行えば効率よく試験対策に取り組むことができます。
リーディング、リスニング、スピーキングそれぞれの対策方法についてまとめていきます。
リーディング対策
英単語は1つの単語に対して複数の意味で訳すことが可能なものが多いです。
しかし、英検5級レベルの試験であればその単語で一番使われる意味で出題されることがほとんどです。
そのため、英単語を覚える際は1つの単語の意味を全部覚えるよりも、メインとなる意味だけで良いので、数多くの単語の意味を覚えることに重点を置いた方が効率的です。
リーディングはリスニングやスピーキングと違って、視覚的に単語を見ることができるため、最悪の場合ゆっくり単語の意味を思い出す時間を確保することができます。
1問でも多く正しい解答ができるように、その単語の指すイメージがなんとなくわかるくらいでも構わないので、英単語を覚えることに専念してください。
実践的な対策としては、過去問を全部解けるまでやりこむことが大切です。
特に、短文の空所補充問題では毎回前置詞の使い方の問題が出題されるので、そこは必ず試験に出ると考えて勉強したほうが良いでしょう。
また、幼少期から英語に触れて育ってきた方は、文法を理解していないケースもあり、教えてあげないと本人が間違いを理解していないということも。
英語に慣れているがための注意も必要です。
リスニング対策
基本的に自分が話せない英語を耳で聴き取ることはできないといわれています。
まずはリスニングの音声を流して、それを口に出して読んでみることを繰り返すことが大事です。
英検5級のリスニングのテストでは、実際ネイティブが話すようなスピードで会話が進んでいくわけではなく、初心者でもある程度練習すれば、そこまで時間をかけずに聴き取れるようになる程度のスピードで話してくれます。
また、英検5級の問題は日常会話の身近な出来事に関する内容なので、イメージもしやすい問題が多いでしょう。
2回読んでくれるので、1つ単語を聴き取りそこねても焦らないようにすることが大切です。
リスニングはレベルが上がってから練習し始めても頭がついてこないことが多い分野です。
英検5級レベルのうちから、正しいリスニングの学習法で勉強する癖をつけておくと良いです。
スピーキング対策
スピーキングは英検5級では必須項目ではないため、軽く解説していきます。
英検5級のスピーキングは、まず20語くらいの文を音読します。
質問を聴いて、その文の内容に合った正しい答えを伝える問題と、受験者に対する質問が投げかけられ、それに答える問題が出題されます。
基本的には音声を流して、それを口に出して読むリスニングの対策をしていれば、英語が話せるようになるので、発音の仕方を意識しながらリスニング対策に取り組めば問題ありません。
英検5級に合格するための勉強法
英検5級は独学でも合格することは可能です。
主に以下の要素でそれぞれどういう意識を持って勉強をしていくかが大切になります。
- 単語や熟語
- 英文法
- リスニング
- スピーキング
1つずつ詳しく見ていきます。
単語や熟語
英検5級では300~600単語を理解しておく必要があると述べましたが、単語帳とにらめっこするだけでいきなりその数の単語を覚えるのは難しいと感じる方も多いはず。
しかし、普段の生活の中で意味を理解している単語も少なくないので、英検5級レベルであればはじめから問題集に取りかかっても問題ありません。
まず問題集を解いてみて、間違えた問題の解き方や単語を理解するようにしましょう。
それと同時にその問題文や答えの選択肢で出てきた単語の中で、知らない単語や熟語があったらそれを覚えられるようにメモしておく方法が、多くの単語をすぐに覚えるための近道です。
もしアルファベットもまだ覚えきれていない方だったら、その問題集の単語や文を繰り返し読む方法が一番手っ取り早いでしょう。 問題集はただ問題を解いて終わりにならないようにうまく活用することが、学習レベルに関係なく最も大事なことです。
英文法
試験に出てくる英文法は、熟語や単語よりも比較的その種類が限定されています。
これはどのレベルの試験でも同じことがいえます。
英検5級レベルの英文法となると、以下のものをきちんと押さえておけば、文法問題で点数が取れます。
- 現在形
- 現在進行形
- canを使った表現
- 代名詞
- 疑問文
- 否定文
- 命令文
中学生以上はともかく、小学生くらいだとこれらの名称の意味を教えるところからはじめなければならないケースが多く見受けられます。
単語によって複数形がsになるかesになるかの区別がわからなかったり、canを挟んだら動詞が原形になったりというルールが理解できない子も少なくありません。
これらの文法すべての基礎となる部分がわからないと先に進めないので、教えてあげる側は、その子が理解できるまで時間をかけて教えてあげるようにしましょう。
リスニング
リスニングは何よりも英語の音に慣れることが重要です。
英語学習の早い段階からこの勉強法を使ってリスニング力を鍛えておかないと、後になって苦労してしまいます。
過去問のリスニングパートを一度解いたら、全文を聴こえてきた発音の仕方をそのまま真似するように何度も読んでみる方法がおすすめです。
レベルが上がってきたら英文の文法にもフォーカスを当てて勉強する必要がありますが、英検5級レベルであれば、一度は日常生活で聞いたことがあるような表現しか使われません。
そういった定型表現は後で時間をかけて勉強してからでも遅くないので、軽く触れる程度にしておいて、ここではリスニングの基礎力を身につけることに専念しましょう。
スピーキング
スピーキングの基本的な勉強法はリスニングとほとんど変わりません。
クラスの規模によって多少変わりますが、学校で英語の授業を受けるだけでは英語を声に出す機会は少ないので、英語を話す機会を自分で作ることが大切です。
もし歌詞が英語の歌が好きだという場合は、歌うことを通じて発音の仕方を自然と覚えられるので、積極的に歌ってみるのも良い勉強法です。
独学が難しいときは?
独学で英検5級の勉強をするのが難しい方には、英検対策の専門コースを受講すれば効率良く学習を進めることが可能です。
バークレーハウス語学センターでは、40年以上の実績に基づく世界的に認められた教授法を用いて、日本人学習者に的確かつ効果的に英検すべての級に対応した対策の授業を行っています。
詳しくは下記リンクの「実用英語技能検定」でご覧いただけます。
合格のためには正しい勉強法を
英検5級は中学1年生レベルの問題が出題されます。
教育課程の変化で小学校でも英語を学習するようになったため、しっかり勉強すれば小学生でも英検5級に合格することは可能です。
英検5級のうちはリーディング力とリスニング力が最低限求められ、初歩段階から間違った方法で勉強をしていると、後になってつまずいてしまいます。
まずは英検5級の合格意識よりも、正しい方法で正しい英語力を身につける意識を持って勉強に取り組み、それから英検5級の対策をしていったほうが良いでしょう。
そうすれば、試験のレベルが上がっても同じ要領で英語力を鍛えられます。
英検の資格を取得しておけば、今後受験や留学などさまざまな場面で有利になります。
中学1年生レベルなら無理と諦めず、積極的に挑戦してみましょう。