英検では、一定の条件を満たすと一次試験が免除となります。
今回は、英検における一次試験免除の条件や申し込みの方法、免除の有効期限を解説します。
同時に、免除申請後に実践すべき二次試験の対策の基本も紹介します。
英検の一次免除の仕組みは?
英検の1級~3級には、リーディング・リスニング・ライティングから成る一次試験と、面接形式のスピーキング試験を行う二次試験があります。
英検における一次免除は、1級~3級の一次試験に合格し、そのうえで二次試験に不合格または二次試験を棄権した方が対象となる仕組みです。
条件に該当する方は、次回の試験の申し込み時に一次試験免除申請を行うことで一次試験免除資格を取得できます。
その後は、二次試験から受験可能です。
免除が可能な期間は1年間となっているため、一次免除を希望される方はできる限り早めの申請手続きをする必要があります。
たとえば、2021年度の第1回英検で一次試験に合格、二次試験で不合格となった場合、2022年度第1回検定まで一次免除申請が可能となります。
受験会場によって申請方法が異なる
英検の受験会場には、日本英語検定協会が設置する公開会場である「本会場」と、申し込み責任者が定める会場の「準会場」があります。
一次免除の申請方法は、どちらの受験会場で受験するかによって異なります。
本会場の場合は、本会場願書にある「一次試験免除申請欄」へ一次試験合格時の級と検定回、受験地番号と個人番号(マイナンバー)を記入して申請します。
一方の準会場の場合、解答用紙A面の「志願票」にある一次試験免除申請欄に、必要事項を記入します。
記入する内容は本会場のケースと同じく、合格時の検定回と受験地番号、個人番号です。
英検の一次免除の申請前・申請時に確認しておくべきことは?
英検の一次試験免除を依頼する際は、合格通知書や受験地番号など、さまざまなものが必要となります。
ここでは、申請前・申請時に確認しておくべき事項を解説いたします。
英検一次試験合格通知書は大切に保管
一次試験の合格通知が届いたら、大切に保管しましょう。前述の通り、一次試験免除の申請期限は決まっています。
合格通知が届いた時点で、できる限り早く申請手続きを進めることをおすすめします。
顔写真を用意
申請時には顔写真も必要となります。6ヶ月以内に撮影された、正面からのアングルで本人の顔がしっかり確認できるもの(帽子やマスク、サングラスは不可)が対象です。
他にも写真の比率は4:3で縦長の比率、背景は白または薄い色などの規格が定められているため、撮影の前に規格をしっかり確認しましょう。
服装については特に規定がなく、私服やスーツ、制服のいずれでも問題ありません。
ただし顔写真は人に見せたり、成績表や受験票にも掲載されたりするため、写真撮影の際は、最低限の身だしなみを整えておくと安心です。
検定料を確認
一次試験を免除する場合も、正規の検定料が必要となります。
受験する級によって検定料が異なるため、申請前にしっかり確認しましょう。
英検S-CBTも一次免除が可能になる?
英検S-CBTとは、従来の英検とは異なる受験スタイルの1つです。
ここでは、英検S-CBTと従来の英検とは何が違うのかを簡単に紹介したうえで、英検S-CBTにおける一次免除についても解説いたします。
そもそも英検S-CBTとは?
英検S-CBTとは、パソコンを使って受験する英検のことです。
リーディング・ライティング・リスニングの3技能だけでなく、スピーキングの試験もパソコンを用いて1日で受験できます。
従来の英検では一次試験にリーディング・ライティング・リスニングの3技能、二次試験でスピーキングの1技能という構成で、日程も分かれていました。
しかし、英検S-CBTでは一次試験と二次試験を1日でまとめて受験できるようになっています。
英検S-CBTのより詳しい情報については、こちらの「英検S-CBTと英検の何が違うの?どちらを受けるべき?」でご確認ください。
英検S-CBTの一次試験免除について
2021年度8月実施分から、英検S-CBTにおいても一次試験免除が可能となりました。
英検S-CBTの二次試験のスピーキングが不合格でも、一次試験を合格している方は、所定の手続きを踏めば、再度スピーキング試験のみを受験することができるのです。
従来の英検との比較
従来型の英検では、「次回以降の検定」でなければ一次免除申請を行えないという制約がありました。
しかし、英検S-CBTの導入により、制約が改変されています。
申し込み期限内であれば、一次免除資格を取得した検定回と同一検定期間内の英検S-CBTの二次試験を受験できるようになりました。
英検S-CBTの一次免除を活用できるケース
英検S-CBTによって一次免除をするケースは、特に以下のような方におすすめです。
対面ではなく録音式のスピーキング試験を受験したい
従来型英検のスピーキング試験は、面接官との対面式となっています。
人によっては対面式のスピーキング試験で緊張してしまい、本来の実力が発揮できない場合もあるでしょう。
英検S-CBTのスピーキング試験はヘッドセット装着のうえで解答を録音する方式となっているため、対面式で緊張してしまう方にも適しています。
スケジュールの都合が合わない
「従来型の英検で一次試験に合格したが、二次試験の受験日ではスケジュールの都合が合わない」というケースもあるでしょう。
英検S-CBTであれば毎週土曜日に受験できるため、自身のスケジュールに合わせて受験日を選択できます。
早めに受験したい
英検S-CBTであれば毎週試験が実施されているため、従来型の英検よりも早めに受験することも可能です。
「従来型の英検の二次試験日まで待てない」、「できるだけ早く受験したい」と考えている方は、英検S-CBTを活用して、一次免除を行うと良いでしょう。
一次免除申請後は二次試験に向けての対策が必要
一次試験免除の申請後は、二次試験合格に向けての対策を練りましょう。
二次試験で行われるのはスピーキング試験であるため、受験する級のスピーキング対策を見直しながら学習を進めていく必要があります。
得意なところはさらに強化しつつ、苦手な部分を洗い出して克服することも重要です。
ここでは、各級のスピーキング対策と問題例・解答例を紹介します。
1級
英検1級におけるスピーキング試験では自由会話のほか、5つのトピックから1つの題材を選んで2分間スピーチを行うスピーチ試験、スピーチの内容を踏まえたQ&A試験が実施されます。
1級では10,000~15,000語ほどの語彙が必要だとされており、単語・熟語の引き出しを増やして語彙力を強化することは必須。
加えて、制限時間2分のスピーチ試験もあるため、時間感覚を意識したスピーチのトレーニングを積むことも大切です。
また、題材にされる話題にも特徴があり、社会性の高い話題を中心に、幅広いシーンやトピックが出題されます。
「芸術界への財政的支援増加に対する意見(是非)」、「公共の場の治安改善の必要性」など、複雑で高度な題材が採用されています。
従って、英語力だけでなく、普段からさまざまなニュースやトピックに触れておくことも重要なのです。
また、トピックの内容が高度であっても、スピーチの題材にするのは5つのうち1つのみ。
よって、スピーチトレーニングを行う場合は、対策するトピックを5つ前後に絞り込むのが効果的です。
過去問から頻出テーマを確認したうえで、特に汎用性が高そうなジャンルであり、なおかつ自身が得意とするジャンルの題材を選ぶと良いでしょう。
【1級スピーキング問題例・解答例】
Topics:
1. Should public education be completely free?
2. The pros and cons of computer games
3. Is genetic engineering beneficial for society?
4. How can Japan contribute more to the rest of the world?
5. Agree or disagree: It is right to disclose the privacy of lawmakers
A-1. Should public education be completely free?
I chose topic one, “Should public education be completely free?”
I believe public education should be available for all citizens for free of charge.
Educating students through public schools is very important for a country. Young people have the great potential to help grow their country. In this sense, they are national assets. However, some children of poor families cannot afford to go to even public school, if they are not free. And yet, if there is a chance for educating these kids, some of them may be future scientists, business leaders or even politicians. Unless these poor kids are educated, it’s just a waste of human resources.
Another reason I can think of is that, by making public education free of charge, the government can provide children with equal opportunities for learning. In fact, many countries have a disparity between the educated and the uneducated. Some children in developing countries do not even learn to write. A nation’s future depends largely on these children. If the write given equal educational opportunities, they are likely to become more skillful and productive adults who can contribute to various fields of specialty.
For these reasons, I feel the government should provide children with entirely free public education. By doing so, their nation will have a stronger economy.
Q1-1. How can the government make public education free?
Well, the first thing that comes to my mind is that they can increase taxes to generate budgets for free public education. Of course, they need to persuade citizens to raise their taxes. This way, the government can allot more money to free public education.
Q1-2. Is there any nation that has made public education free?
I wasn’t quite sure about it, but I read somewhere that Scandinavian nations such as Denmark and Finland provide children with free public education. They are doing well and, in fact, their education levels are among the highest in the world.
Q1-3. You said that equal opportunities for education are important. And yet, there are many nations which cannot afford to provide every child with even basic education. How can they solve this issue?
Well, that’s a difficult question. I would say that rich countries like Japan can provide more financial aid to these countries. Not only that, but they can also send more experts to help build an infrastructure for education, for example, by building schools or making school curriculums.
準1級
準1級のスピーチ試験は自由会話のほか、4コマのイラスト描写を説明するナレーション問題、カードのトピックを踏まえた質問に答える問題、社会性のあるテーマについての質問に答える問題などで構成されています。
まとめると、以下のような構成となっています。
- ・ナレーション…4コマのイラストを制限時間2分で説明する
- ・設問1…イラストに関する質問に答える
- ・設問2…カードのトピックに関する質問に答える
- ・設問3…イラストのトピックに関する質問に対し自身の意見を述べる
- ・設問4…イラストのトピックに関連した、社会性のある質問に答える
準1級のスピーキング試験では、1級と同様に社会性の高いテーマの引き出しを増やすことが重要です。
2分間でスピーチ(説明)する問題も共通しているため、時間を意識したスピーチのトレーニングも欠かせません。
また、準1級のスピーキング試験は1級の試験とは異なり「アティチュード」と呼ばれるコミュニケーションの姿勢を評価する項目もあります。
スピーチの正確さを意識することはもちろんですが、「明るく聞き取りやすい挨拶ができているか」「アイコンタクトがあるか」「十分な声量があり、明るい姿勢で臨んでいるか」といった点も意識して対策を練りましょう。
【準1級スピーキング問題例・解答例】
【Model Narration】
One day, a woman went to Bay Park with her children. While playing with her kids, she noticed that there was a trash bin with garbage overflowing from it. The park looked dirty. That afternoon, when she returned home, the woman decided to make a telephone call to the city office to tell them about the garbage scattered in Bay Park. A man in the office listened to her complaint. Three months later, the woman saw a few workmen removing the trash bin from Bay Park. Moreover, she noticed that there was a sign put up that said “No littering.” The woman looked happy. A week later, however, she saw even more garbage scattered in the park. Several crows were eating some leftover food, too.
【Questions】
Now, I’ll ask you four questions.
No. 1 Please look at the fourth picture. If you were the woman, what would you be thinking?
A. I’d be thinking, “Removing the garbage bin hasn’t solved the problem. People who throw away garbage in Bay Park should be fined. Maybe, I’ll speak to the city office about my idea.”
Now, Mr./Ms. —, please turn over the card and put it down.
No. 2 Should more be done with thrown-away garbage?
A. I think so. Even though there are laws against illegal dumping, some people still throw away garbage. We should keep our communities clean.
No. 3 Do you think that there will be less nature left in the future?
A. Yes. As the world population is increasing, more land is being used for their housing or work. As a result, there will be less nature left.
No. 4 Do you think that the government listens well to people’s opinions?
A. I don’t think so. Before every election, each candidate promises us something, such as tax reductions. But once they have been elected, statesmen usually forget or ignore their public promises.
2級
2級のスピーキング試験では、「音読」「パッセージ(文章)についての問題」「イラストに関する問題」「受験者自身が意見を述べる問題」が出題されます。
また、準1級と同じく、「アティチュード」も評価対象となります。
題材とされる話題は時事ニュースや環境問題など、身近な日常生活に関連しつつもやや複雑で社会性の高いものが選ばれます。
1級・準1級と同様に、社会性の高い話題について話せる知識や語彙力、表現力が重視されるのです。
パッセージ(文章)についての問題では、入室後に受け取る問題カードのなかから答えを探す作業が必要となります。
しかし、問題カードのなかからそのまま答えを抜き出せるわけではありません。
答えとして使えそうな文章を見つけたうえで、文法や指示語を適宜調整してより正確な解答にします。
イラストに関する問題は、3枚のイラストの描写を英語で説明する問題となっています。
より的確な描写ができるよう、語彙力の増強だけでなく本番の形式に沿った面接のトレーニングをすることも重要です。
【2級スピーキング問題例・解答例】
【Questions】
No. 1 According to the passage, how can people make their life more convenient?
A. By using household devices that can automatically do the work.
No. 2 Now, please look at the picture and describe the situation. You have 20 seconds to prepare. Your story should begin with the sentence on the card.
A. One day, Mr. and Mrs. Tanaka were talking in their living room. Mr. Tanaka said to his wife, “Our room looks dirty.” Later in the evening, they got a cleaning robot. Ms. Tanaka was happy because their living room was clean now. The next morning, however, the cleaning robot was broken. Ms. Tanaka thought they should call the repair shop.
Now. Mr./Ms. —, please turn over the card and put it down.
No. 3 Some people say that all workers should be allowed to wear what they want at work. Do you agree with this?
A. I disagree. Some people might wear unsuitable clothes for their work. As a result, they might have problems with their customers and clients.
No. 4 Today, some people tend to choose to work from home rather than going to the office. Do you think more people will choose to do so in the future?
A. Yes. I think many people do not want to spend a lot of time commuting. If they can work from home, they can save so much time.
準2級
準2級のスピーキング試験は、面接官と簡単な日常会話を行う「自由会話」のほか、以下の問題で構成されています。
- ・音読(20秒間英文を黙読した後、50語程度の英文を音読)
- ・英文に関する質問に答える
- ・イラストの人物の行動を描写する
- ・イラスト中の人物の状況について説明する
- ・カードのトピックに関連した質問に自分の意見を答える
- ・一般的な事柄についての質問に自分の意見を答える
過去問を参考に問題を解き、面接のトレーニングをしましょう。
過去問を解く際は黙読や書き込みだけで終わるのではなく、必ず声に出して英語を発生することが大切です。
声を録音して声の大きさ・抑揚・発音をチェックすることも忘れずに。
また、アイコンタクトや表情なども確認してアティチュード対策も行いましょう。
【準2級スピーキング問題例・解答例】
【Questions】
No. 1 According to the passage, how can people stay healthy?
A. By buying or ordering healthy food.
No. 2 Now, please look at the people in Picture A. They are doing different things. Tell me as much as you can about what they are doing.
A.
– A boy is using a smartphone (phone).
– A man is feeding a dog.
– A man is looking out the window.
– A woman is holding a plate.
– A girl is playing with cards.
No. 3 Now, look at the girl in Picture B. Please describe the situation.
A. She doesn’t have time to eat breakfast because she overslept.
Now, Mr./Ms. —, please turn over the card and put it down.
No. 4 Do you think children should spend more time playing outside?
Yes ⇒ Why?
A. They spend too much time at home. They should do more exercise for their health.
No. 5 Today, many students go abroad to enjoy their holidays. Would you like to go to a foreign country on your holiday?
Yes ⇒ Why?
A. I want to communicate with people in English. Also, I want to try some food in another country.
3級
3級はスピーキング試験のスタートとなる級です。
30語前後のパッセージを音読することから始まり、パッセージに関する質問、イラストの説明、身近な事柄に関する質問などの内容で構成されています。
題材とされる話題は、身近な日常生活に関連する事柄になります。
2級以上の試験のように、社会性のある高度なテーマが取り上げられることはほとんどありません。
よって、正しく聞き取りやすい声で発音するトレーニング、アティチュードを意識した練習を積むことが重要です。
過去問をただ解くのではなく、音読をして自分の声量・発音・抑揚・話すスピードを客観的にチェックしましょう。
自己チェックはもちろんですが、学校や塾の先生や語学スクールの講師の方、英語が得意な友人などに協力してもらうことも重要です。
緊張すると小声になったり早口になったりすることもあるため、ゆっくり・はっきり発音することを意識しましょう。
特に緊張しやすい方は、いつもより大げさに発音・発声することを心がけるのがおすすめです。
【3級スピーキング問題例・解答例】
【Questions】
No. 1 Please look at the passage. What can people watch on Internet TV?
A. They can watch news and dramas from around the world.
No. 2 Please look at the picture. What is the man doing?
A. He is listening to music.
No. 3 What does the woman have?
A. She has a bag.
Now, Mr./Ms. —, please turn the card over.
No. 4 What do you usually do in your free time?
A. I usually play video games with my brother.
No. 5 Do you like to go to restaurants?
Yes ⇒ Why?
A. Food is good at restaurants.
まとめ
英検のスピーキングは、独学で攻略するのは難しい面もあります。
より確実なスピーキング対策を行うためには、やはり英検の対策に強いスクールの力を借りるのが得策です。
バークレーハウス語学センターは、英検すべての級に対応した対策講座を実施中。
得意分野のさらなるパワーアップから苦手分野の補強まで、マンツーマンで徹底的に指導します。
一次試験対策はもちろん、一次試験をパスした方には二次試験のスピーキング対策を集中的に実施。
英検に精通した日本人講師やネイティブ講師が実践的なスピーキング対策を行います。
バークレーハウス語学センターの英検対策に関する詳細は、こちらの「実用英語技能検定」でご確認いただけます。
実際の英検対策講座がお試しいただける、無料体験レッスンも実施していますので、ぜひお申し込みください。