海外大学への進学に興味がある、または就職の時期が迫っている日本人留学生の方のなかには、海外大学を卒業したあとの進路について知りたい方は多いのではないでしょうか。
この記事では、海外大学を卒業したあとの就職に関するトピックを中心に、進路決定に役立つ情報を紹介します。
進路の選択肢を知りたい方や、就職をどこでするか迷っている留学生の方は、ぜひ参考にしてみてください。
\ 留学に関する相談をプロにしてみよう/海外大学を卒業したあとの進路と特徴
海外大学卒業後の就職やその他の進路に関して、大きく3つにわけて紹介します。
大まかな就活イメージを掴むことで、自分に適した進路が見つかってくると思いますので、まずはそれぞれの概要から把握していきましょう。
留学先の国で就職する
まずは、留学した大学が存在する国で就職する場合についてご説明します。
国により、さまざまな条件の違いなどはありますが、ここでは日本人に人気な留学先に焦点を当てた特徴を紹介します。
新卒枠は少なく、通年採用が基本
通年採用とは、企業が必要に応じて随時採用活動をおこなう制度です。
アメリカやイギリスをはじめとした多くの国では、企業が人材需要や業務の都合に応じて、年間を通して採用活動をおこなっています。
したがって、日本人留学生が進学先の国で就職する場合、卒業のタイミングに囚われず、各企業の募集要項に基づいていつでも応募することができます。
通年採用は就職活動における柔軟性が高いというメリットがありますが、それに対して、自分自身のタイムマネジメント力や計画性によっては大きく遅れをとってしまう可能性があるというデメリットも考えられます。
また、通年採用といっても、国によって就職活動に対する考え方に違いがあります。
たとえばアメリカの場合では、一般的に在学中は学業に専念し、卒業後に就活を始める傾向があります。
また、アメリカの企業では新卒枠が存在せず、通年で採用をおこなうことが基本です。
一方、イギリスの場合では、基本的に新卒枠は存在しないが、少なからずそのポジションはあるということが特徴的です。
しかしながら、大手企業で募集されている新卒枠に似た” Graduate Programme “などのポジションの募集は競争率が高く、非常に多くの学生が求人に応募します。
そのため、新卒枠を利用して入社することはあまり一般的ではありません。
このような雇用背景から、イギリスの学生たちは自ら求人情報を探し、積極的に就職活動をおこなう必要があります。
実務経験が重視される
一方、海外企業では実践的なスキルや即戦力性に重きを置く傾向があります。
そのため、実際の業務経験を通じて、問題解決能力やリーダーシップスキルを証明することは、就職活動において有利になるといえます。
実務経験を重視するという点は多くの国で共通する特徴です。
ですが、評価方法においては国によって違いが見られます。
アメリカの場合では、学部の種類や学位、研究内容が重視され、これらの情報が募集対象の役職と関連している場合、有力な候補者として見なされる傾向があります。
対してイギリスの場合では、学部や専攻、学歴に加えて、在学中のインターンシップやアルバイトなどの実務経験が強く重視されます。
加えて、Graduate ProgrammeやGraduate Schemeによる実務研修の機会も提供されるため、専門性の高さよりも、とにかく経験の有無が大切にされていると考えられます。
働くためには就労ビザの取得が必要
大学卒業後に留学先の国で就職するためには、就労ビザの取得が必須です。
その就労ビザを取得するには、雇用先のスポンサーシップの取得が必要になります。
雇用主にスポンサーになってもらうためには、現地の学生と比較しても劣らない言語能力や、特別な技能、専門性などをアピールする必要があるので、就職活動の準備にはかなり力を入れる必要があるでしょう。
また、現地で得たコネクションをもとにスポンサーになってもらうという選択肢もありますので、留学期間に人脈を広げる機会を見つけられるとさらに有利です。
日本に帰国し、就職する
次に紹介するのは、帰国して日本で就職をするケースです。
留学経験を生かしたアピールができるというメリットがある一方で、留学生だからこそ気を付けなければいけない留意点もあるため、二つの視点を一気に紹介します。
留学の経験を強みにできる
日本に帰国して就職する場合、海外大学を卒業したという経験を強みにして、他の就活生との差別化を図ることが可能です。
たとえば、海外生活で得た高い語学力はもちろん、海外という異文化での生活にチャレンジする行動力や、困難を乗り越えてきた粘り強さなどが留学生の強みと言えます。
さらに、グローバリズムや多様性の考えが重視されつつある社会のなかで、異文化を許容できるという点も大きな強みです。
このように、自身のアピールポイントを海外留学と紐づけることで、企業から一目置かれる存在になることができるでしょう。
就職の時期がずれ込む
日本の労働市場は、他の国と比べて独自の特徴を持っているため、採用プロセスや労働条件など、就職活動を進めるうえで重要な点において留意するべきことが多くあります。
とくに大きな問題になりがちなのが、海外大学の卒業時期と日本の就活時期がずれてしまい、新卒枠としての就職活動に支障が出てしまうという点です。
日本の企業は通常、大学の卒業時期に差しかかる3年生の秋から4年生の春にかけて新卒採用をおこなうため、留学先で学期制度が異なる場合には新卒枠に間に合わない場合があります。
また、日本で開催される就活イベントやインターンシップに参加して就職の機会を見つけるためには、一時帰国が必要になります。
大学の日程の影響でこれらに参加できない場合、採用プロセスがオンラインで完結する企業を見つけるか、留学先でおこなわれる日系のキャリアフォーラムなどに参加して就活するといった限られた手段のみでの就職活動になるでしょう。
大学院に進学する
卒業後すぐに就職する以外に、現地や日本の大学院に進学するという選択肢もあります。
大学院に進学することで、大学で学んだ分野の専門性をより高めてスキルを向上できたり、研究者や専門家とのネットワークを築く機会を得ることが可能です。
海外の企業や日本の専門職などを目標とした就職活動において、需要の高い優秀な人材になれるチャンスを得ることができるでしょう。
現地企業へ就活
現地企業への就職の実態を紹介したうえで、ここではその手段について、大きく3つに分けてご説明します。
これらの手段を活用することで、現地採用の可能性がかなり上がることも考えられますので、ぜひ参考にしてください。
インターンシップに参加する
海外でのインターンシップは、留学生にとって貴重な経験です。
異文化環境で働きながら国際的な視野を広げることができ、さらに、言語力の向上や現地のビジネス実践の経験により、産業や業界の理解を深めることも可能です。
また、海外でのインターンシップ経験は、就活時に大きなメリットをもたらします。
インターンシップなどの実務経験は、レジュメや面接などにおいての差別化要素となるため、企業が求めるグローバルな視野や柔軟性、即戦力性を証明することができ、競争力を高めることができるからです。
このように、留学生にとってのインターンシップは単なる仕事の経験以上の意味を持ちます。
国際的な視野を広げ、自己成長と競争力を高めるための重要なステップとなるため、機会を見つけて挑戦することをおすすめします。
大学のキャリアサービスを活用する
海外での就職を考えている学生にとって、大学のキャリアサービスは非常に重要な要素です。
幸いなことに、多くの海外大学では、留学生向けのキャリアサービスが充実しており、将来の就職やキャリア形成に役立つ情報が提供されています。
具体的には、大学のキャリアセンターや留学生サポート部門などの専門スタッフが留学生をサポートしてくれるので、就職活動やキャリアプランニングに関する情報やアドバイスを得ることが可能です。
また、大学によっては、地域や業界に適するフォーマットに基づいてレジュメを添削してくれる場合もあるので、積極的に活用すると良いでしょう。
OPTやGraduate Routeビザを活用して就活する
アメリカとイギリスは、留学生が卒業後に就業するためのプログラムやビザを提供しています。
具体的には、アメリカではOPT(Optional Practical Training)、イギリスではGraduate Routeビザが導入されています。
アメリカのOPTはPre-completion OPTとPost-completion OPTの2つのカテゴリがあり、学位の取得前、取得後のどちらの場合でもこのプログラムに参加することが可能です。
ただしOPTを利用するためには、大学や専門学校での学業修了が必要、かつ学校が指定した関連性のある専攻で学位を取得する必要があり、さらにOPTの申請と承認プロセスを通過する必要があるため、決して簡単ではありません。
また、イギリスのGraduate Routeビザでは、イギリスでの就労や起業活動を卒業後から最大2年間おこなうことができます。
さらに雇用先の職種に制約がないため、さまざまな雇用機会を追求することが可能です。
これらの制度は、卒業後に実務経験を積み、就職の機会を得たい方にはとても実用的な手段ですので、興味のある方は早めに調べておきましょう。
日本企業に向けて就活する方法
次に、日系企業への就職活動の方法を紹介します。
日本に帰国する機会が無い方、または一時帰国して就職活動をする方のどちらでもできる方法を紹介しますので、ご自身の状況に照らし合わせながら参考にしてください。
キャリアフォーラムに参加する
日本人留学生にとって、海外で開催されるキャリアフォーラムは大切な就職活動の機会です。
知名度の高いキャリアフォーラムには、ボスキャリことボストンキャリアフォーラムやロサンゼルスキャリアフォーラム、ロンドンキャリアフォーラムなどがあります。
いずれもボストンやロサンゼルス、ロンドンなど、留学人気の高い国の大都市で開催されています。
上記のような大都市には、日本の大手企業がたくさん広告などを出しており、各都市のキャリアフォーラムにも参加しております。
注意しておきたいのが、CFNキャリアフォーラムに参加可能なのは、以下のいずれかに当てはまる方になっています。
- 海外の大学・大学院を卒業予定の方、また既に卒業された方
- 日本の大学に在籍し、交換留学中の方
- 現在働いている職務経験をお持ちの方
ポイント!
- 各キャリアフォーラムでは、ウォークイン形式の会社説明会を始めとして、レジュメの書き方やケーススタディを取り扱ったワークショップや、キャリアのプロによる個別指導、さらには対策セミナーなども開催され、就活生にとって見逃せないサービスが盛りだくさんです。
また、海外開催のキャリアフォーラムに参加する日本企業の多くは、海外進出やグローバル展開を図っており、海外で優秀な人材を採用する意欲が高いです。
日本語能力と、グローバルな視野や異文化対応能力をどちらも持ち合わせていることをアピールできれば、日系企業からの内定をもらえることが期待できます。
また、キャリアフォーラムが直接的な決定打とならない場合でも、日系企業とのコネクションを築き、後々内定を獲得するチャンスもあり得ます。
日系企業への就職を考えている場合は、できるだけ参加しておいた方が良いでしょう。
【2023年度】開催予定のキャリアフォーラム
2023年度に各都市で開催が予定されているキャリアフォーラムについて、ご紹介します。
ボストン
2023年11月17日 – 19日
会場:Hynes Convention Center
参加企業(一部抜粋)
- 三菱商事
- 楽天
- NTTデータ
- トヨタ自動車
- 富士フィルム
- 電通ライブ
- 博報堂
ロサンゼルス
2023年4月22日 – 23日
会場:Los Angeles Convention Center (West Hall A)
参加企業(一部抜粋)
- ソフトバンク
- ソニー・インタラクティブエンタテインメント
- 日本航空
- 講談社
- SMBC日興証券
ロンドン
2023年4月8日 – 9日
会場:Olympia West Level One
参加企業(一部抜粋)
- 外務省
- SEGA
- SMBC日興証券
- アクセンチュア
- Deloitte
- PwC Japanグループ
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日本に一時帰国し、就活をする場合
大学の夏休みや冬休みの時期には、日本で海外大学生向けの就活イベントが開催されます。
これらのイベントは、海外の大学や大学院で学んでいる日本人学生を対象としており、日本の大手企業から中小企業、さらには外資系企業まで、さまざまな業種や業界の企業が集まります。
そのため、学生は幅広い選択肢を持ちながら就職活動を進めることが可能です。
さらに、このようなイベントでは、企業の説明会やブースでの質疑応答の機会があり、学生は企業の採用担当者と直接交流できます。
将来のキャリアパスや求人情報について詳しく知ることができるので、日本企業と外資企業で迷っている方にも、参加するメリットがあるでしょう。
日本での就活に活かせる、海外大学の留学経験
ここでは、日本での就職活動を視野に入れている方が活かせる、留学経験をもとにした強みを紹介します。
就活において、自己PRが根拠あるものであるかどうかはかなり重要な要素と言えますので、論理的なアピールをするための参考としてぜひご活用ください。
高い英語力、コミュニケーション能力
日本人留学生が大学生活で培った英語力とコミュニケーション能力は、ビジネスの世界でも大きな強みとなります。
留学生活を経験することで、異なる文化や環境に触れる機会が与えられるため、グローバルな視野を持ち、異文化への理解を深められます。
ビジネスの現場では、異なる国や文化とのコミュニケーションが不可欠なので、留学生の経験から得た異文化理解は、他の人との円滑なコミュニケーションや国際的なビジネス展開において大きなアドバンテージとなります。
また、留学生活における日本語を母国語としない人々とのコミュニケーションの経験は、仕事においても大いに役立ちます。
この経験によって培われた留学生の流暢な英語力は、クライアントやパートナー企業とのスムーズなコミュニケーションを確立し、ビジネスの成果を上げるための重要なツールといえます。
独自性のあるエピソード
海外での学校生活は、日本人留学生に独自性の高い経験をもたらします。
たとえば留学生たちは、慣れない海外生活のなかで新しい環境や異なる学習スタイルに順応する必要があり、柔軟性や適応力を養うことができます。
この点をアピールすることで、自己成長や自己管理能力の高さを自己PRとして活かすことができます。
さらに、異なるバックグラウンドを持つ人々とのコミュニケーションを経験し、多様なチームや顧客と協力する能力を持っているという点も、ユニークな魅力です。
このように、日本の大学を卒業した学生との差別化が図れるエピソードをたくさん見つけて、就活に活かしてみると良いでしょう。
行動力や粘り強さ
留学生は、学校生活でさまざまな課題に取り組むことが求められるため、困難な問題に取り組む姿勢の重要性を学んでいます。
このような経験から、留学生は問題解決能力や忍耐力を培い、柔軟な思考や努力を惜しまない姿勢を身につけます。
これらの特徴は、ビジネスにおいても重要であり、留学生は集団行動や業務上の課題に対して積極的に取り組むことができることをアピールできます。
行動する力や粘り強さというのは、どこの企業もとくに重視している点です。
その根拠として、留学生活の経験を説明できると、就活で効果的な自己PRとなるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では、海外大学を卒業した学生の就職活動や進路について紹介しました。
留学生という立場は、日本国内、国外のどちらの就職においても差別化しやすい強みといえます。
留学経験を活かした自己PRをできるように、この記事を参考にしながら自己分析をしてみてください。