
留学は貴重な経験が得られる一方で、経済的な負担も多いですが、奨学金を活用すればその負担を軽減できます。
しかし、奨学金を検討するにあたり、
- 奨学金の志望理由書は何を書けばいい?
- 申し込んでみたいけど、志望理由書の書き方がわからない
- 審査員の心に響く志望理由ってどんなもの?
といった悩みをもつ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、留学奨学金の申請時に必要となる志望理由書の書き方について、審査のポイントや文章構成のコツ、説得力のある志望理由の例文を交えながら解説します。
留学奨学金獲得に必要なこと

留学奨学金に申し込むには、学業成績証明書や語学力証明書、収入証明書類、留学先からの入学許可証など、さまざまな書類の準備が必要です。
なかでも、とくに重要なのが今回紹介する「志望理由書」です。
奨学金の選考では、学力だけでなく、留学の目的の明確さや社会貢献の意欲も重要視されます。
志望理由書は、留学への熱意や留学を終えたあとにどのような道を目指すのかの将来性を伝える重要な書類です。
なぜ留学が必要なのか、将来にどう活かしていくのかを、志望理由書を通じてしっかり伝えることが大切です。
留学奨学金審査のポイント
留学奨学金の審査では、応募者のさまざまな要素が評価されます。
審査員がどのような基準で評価するのかを理解し、それに合わせた準備をすることが重要です。
準備時点で意識しておきたいポイントは、以下の3つです。
Point
- 夢を叶えるための留学であることを明確にする
- 留学で何を学び、どのように成長したいのか
- 帰国後、どのように社会貢献したいのか
夢を叶えるための留学であることを明確にする
奨学金審査では、「なぜあなたにとって留学が必要なのか」という点が重視されます。
そのため、単に「海外で学びたい」「留学に興味がある」という漠然とした理由だけではなく、具体的な目標や将来の夢を伝えることが大切です。
たとえば、「英語を学びたい」だけでなく、「国際協力の分野で活躍するために英語力を身につけたい」といった具体的な目的を示すとわかりやすいです。
「なぜ留学したいと思ったのか」という明確な理由をしっかり説明することで、審査員に対して留学への熱意が伝わりやすくなります。
留学で何を学び、どのように成長したいのか
奨学金の審査では、留学先で何を学び、それをどのように自分の成長につなげるのかを説明することが重要です。
たとえば、「環境工学を学びたい」という目的で留学する場合、
- その分野に興味をもったきっかけは何か
- なぜ日本ではなく海外で学ぶ必要があるのか
- なぜその留学先を選んだのか
といった点を明確に説明することで、留学の必要性がより伝わりやすくなります。
さらに、留学先の特徴や、そこでしか学べないプログラムについても具体的に言及すると説得力が増します。
また、以下のポイントも意識しておさえておくことで、留学が単なる経験ではなく、将来の目標達成のために必要なステップであることを伝えやすくなります。
- 専門分野:どんな分野を深く学びたいのか
- スキルアップ:留学を通じてどのようなスキルを身につけたいか
- 自己成長:異文化体験をどう自分の成長に活かすのか
また、授業以外の活動も重要な要素です。
現地でのインターンシップやボランティア活動、研究プロジェクトへの参加など、学業以外での総合的な成長計画を示すことで、あなたの意欲がより伝わります。
とくに、その留学先でしか得られない経験や、現地の特徴を活かした学習計画を盛り込むと、さらに説得力が増す志望理由になるでしょう。
帰国後、どのように社会貢献したいのか
奨学金を提供する財団の多くは、留学生が帰国後に社会に貢献することを期待しています。
つまり、審査員は「この人に奨学金を支給すれば、将来社会にいい影響を与えるだろう」と思える志望理由を求めています。
そのため、志望理由書では留学で何を得たいかだけでなく、「留学経験を将来どのように活かして社会に還元するか」までしっかり伝えることを意識しましょう。
たとえば、「留学先で専攻する環境技術の知識を活用し、日本の環境問題解決に取り組みたい」など、具体的なビジョンを示すと説得力が増します。
具体的な将来のキャリアプランや社会貢献の方法を明確にすることで、支援する価値の高い人材であることをアピールできます。
惹きつける志望理由の書き方

志望理由書は、単なる自己PRの場ではなく、論理的で説得力のある内容であることが求められます。
以下の3ポイントをおさえて書くことで、審査員の関心を引きやすくなります。
論理的な文章構成
志望理由を書く際は、論理的な文章構成を意識することが非常に重要です。
審査員が読みやすく、納得しやすい文章にするために、以下のような流れで構成するのがおすすめです。
Point
- 目的:自己紹介と志望動機を簡潔に述べる
- 理由:なぜ留学が必要なのか、なぜ奨学金が必要なのかを具体的に説明する
- 学習計画や目標:留学中の具体的な学習計画や達成したい目標を詳しく述べる
- 将来のビジョン:留学で得た経験をどのように社会へ貢献するのかを示し、熱意を伝える
上記のような流れを意識することで、審査員に対して明確なメッセージを伝えられます。
また、各段落ごとに明確なテーマをもたせ、自然な流れで次の内容につながるように構成することを意識しましょう。
具体的なエピソードを交えて情熱を伝える
説得力のある志望理由を書くためには、抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードを交えることが大切です。
たとえば、「海外で学びたい」という理由ではなく、次のように具体的に伝えると、より魅力的な志望動機書になります。
・高校時代のボランティア活動で訪れた途上国で教育格差を目の当たりにし、海外の教育事業に興味をもった
・将来、途上国での教育に関する職に就きたいが、語学力が必要なため留学したい
・とくに教育分野に強い専攻があるこの大学で学びたい
・プログラムの一環として、途上国でのボランティア活動に参加できる可能性がある点に魅力を感じ、この学校を選んだ
このように、具体的なエピソードや動機を盛り込むことで、説得力が増します。
また、エピソードを書く際は、単なる事実の羅列ではなく、その経験から何を学び、どのように成長したのかを示すことが重要です。
さらに、その経験が留学での学びにどう繋がるのかなど、明確な関連性を示せるとさらに効果的です。
財団が求める人物像へ自分を当てはめる
奨学金を提供する財団ごとに、理念や求める人物像は異なります。
たとえば、グローバルリーダーの育成を目的としリーダーシップを重視する財団、数字を重視し研究成果を求める財団など、財団ごとにさまざまな人物像があります。
まずは、応募する奨学金の目的や財団の理念をよく理解し、その価値観に共感する点を見つけることが重要です。
そのうえで、自分が志望する財団の目的に適した人物であることをアピールすることが、審査を突破する成功のカギとなります。
ただし、無理に合わせるのではなく、自然な形で自分の強みと財団の求める要素を結びつけることを意識しましょう。
【例文】志望理由のポイントを解説!
志望理由書には、「家計状況などの困難」「学びへの熱い想い」「将来の夢」といった要素をバランスよく盛り込むことが重要です。
これらの要素をうまく組み込むことで、説得力のある志望理由書を作成できます。
最後に、具体的な例文を交えながら、審査員の心を掴む志望理由書の書き方のポイントを詳しく解説します。
家計状況などの困難
奨学金を必要とする理由を具体的に説明することは、審査において非常に重要な要素となります。
とくに、奨学金が必要となる背景として、家計状況の説明は必要不可欠です。
現在、父が病気で退職し、母の収入のみで4人家族の生活を支えている状況です。そのため、留学費用を自己資金だけでまかなうことが困難な状況にあります。しかし、私はこの困難な状況であっても、留学への強い意志をもち続けています。
この経験を通じて、同じような境遇にある学生たちに希望を与えられる存在になりたいと考えています。実際に、アルバイトをして月に5万円を稼ぎ、留学資金の貯蓄に励んでいます。
私は、シングルマザーの母と二人暮らしの家庭で育ちました。経済的な制約があるなかでも、母は私の教育を第一に考え、支援してくれました。大学では学業と並行してアルバイトをして学費の一部を自己負担しています。このような環境は、私に強い向上心と責任感を育んでくれました。
今回留学を検討するにあたり、費用を抑えるため、できるだけ安価な国やプログラムに参加できるよう情報収集をおこなっています。しかし、留学という大きな挑戦には、経済的なサポートが必要不可欠です。貴財団の奨学金は、私の留学の夢を実現する大きな力となります。
このように家計の状況を具体的に説明し、その状況のなかでも取り組んでいる、留学の実現に向けた自身の努力や工夫を示すことで、審査員に真摯な姿勢が伝えられます。
学びへの熱い想い
留学を通じて何を学びたいのか、その目的と情熱を具体的に伝えることも重要です。
私は高校時代から環境問題に強い関心をもち、将来は再生可能エネルギーの研究に携わりたいと考えています。アメリカのカリフォルニア大学を志望する理由は、同大学が世界有数の環境工学プログラムを提供しているためです。とくに、ソーラーパネルの効率化に関する最新の研究に強く惹かれています。日本では学べない先進的な研究手法や技術に直接触れることができる機会を心から楽しみにしています。
留学準備として、オンライン英語学習を1日2時間継続し、TOEFLで90点を獲得しました。また、現地の授業についていけるよう、edXを通じて環境工学の基礎講座も受講しています。
このように、なんのために留学をするのかという具体的な学習目標と、目標の達成に向けて努力していることを伝えることで、学習意欲を表現できます。
将来の夢
留学中に達成したい学習目標のみならず、留学で得た知識や経験を将来どのように活かすかという、具体的なビジョンを示すことも重要です。
私は留学後、日本のエネルギー政策に革新をもたらす研究者になりたいと考えています。具体的には、留学で学んだ再生可能エネルギー技術を活かして、地方自治体と協力して太陽光発電の普及プロジェクトを立ち上げたいと考えています。すでに、地元の市役所でインターンシップをおこない、エネルギー政策の現状と課題について学んでいます。
また、将来的には、自身の研究成果を途上国にも展開し、グローバルな環境問題の解決に貢献したいと考えています。そのため、留学中は現地の環境NPOでのボランティア活動に参加することも計画しています。研究者としてのキャリアを積んだあとは、後進の育成にも力を入れ、日本の環境技術発展に貢献していきたいと考えています。
この夢の実現に向けて、貴財団の支援を賜りたく、ここに志望理由を述べさせていただきました。
このように、個人的な目標だけでなく、社会貢献の視点も含めた将来ビジョンを示すことで、奨学金を授与する価値のある人材であることをアピールできます。
奨学金を獲得して留学へ挑戦しよう!

留学奨学金を獲得するためには、計画的に準備をすることが必要です。
とくに、審査員に強い印象を与えるためには、志望理由書を通じて自分の経験や将来の目標を具体的に伝えましょう。
今回紹介した志望理由書の書き方のポイントを参考に、自分らしさが伝わる志望理由書を作成してみてください。
何度も見直し、周囲からのフィードバックも取り入れながら、より良い内容へと仕上げていくことがおすすめです。
ぜひ、留学への熱意や留学で叶えたい目標を伝えて奨学金を獲得し、留学の夢を実現させてくださいね。
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