- GPAはなぜ重要なの?
- 留学に必要なGPAってどれくらい?
- GPAが低いと留学は難しい?
上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、留学に求められるGPAの基礎知識や計算方法、大学・大学院留学で必要とされるGPAの目安を紹介します。
また、GPAが低い場合の対策方法も解説しますので、留学を目指す方はぜひ参考にしてみてください。
留学に必要なGPAとは?
大学での成績の指標となるGPAは、留学の選考基準の一つとしても重要な要素です。
GPAとはどのようなものなのか、なぜ重要なのかを理解しておきましょう。
GPAの基本知識
GPA(Grade Point Average)は、学業成績を一定のスケールで数値化し、平均値を出すことで算出される成績評価システムです。
学生が大学でどれだけ良い成績を収めているかを示す指標となります。
GPAの算出方法は統一されておらず、国や大学によって異なりますが、日本ではA(優)が4.0、E(不可)が0といった具合に各成績をポイント化する4.0スケールを用いる場合が多いです。
この場合、オールAの学生であればGPA4.0、オールEの学生はGPAが0となります。
なぜGPAが重要なのか
GPAの高さは、学生が学業に真摯に取り組み、学習能力が高いことを証明する客観的な指標となります。
そのため、留学においても、出願者の学力や学習態度を評価するためにGPAの提出が求められます。
多くの海外大学では、留学の応募条件として最低限必要なGPAが設定されている場合が多く、その基準を満たさなければ留学の審査を通過することが難しくなります。
とくに人気の高い大学や競争率の高いプログラムでは、GPAが高いほど選考で有利になり、低い場合は不利になるなど、GPAが合否を分ける重要な要素となることもあります。
また、GPAは奨学金の選考においても重要な判断材料として使用されます。
多くの奨学金プログラムでは、最低GPA基準を設けており、これを満たすことが応募の条件となっています。
さらに、留学後に現地での就職や進学を考えている場合や、学部から大学院への進学を考えている場合も、GPAが重要な評価基準となることがあります。
GPAを意識して成績を上げる努力は、留学を成功へ導く鍵ともいえるでしょう。
GPA以外の必要条件
留学の選考基準は、GPA以外にもさまざまな要素があります。
まずは、英語圏への留学の場合はTOEFLやIELTSなど、語学力を証明するテストスコアが求められることが多く、これらも合格基準に達していなければ留学は難しいでしょう。
英語力は、留学先での授業についていけるかどうかを判断するための指標であり、GPAと同じく選考における重要な評価要素の一つです。
また、留学の動機や学習計画を明確に示す志望動機書、大学教授や勤務先の上司からの評価を記した推薦状も必要です。
学業成績だけでなく、選考委員が学生の人柄や意欲を理解するための参考になります。
さらに、ボランティア活動やクラブ活動などの課外活動も評価対象になることがあります。
GPAだけでなく、幅広い評価基準を理解し、バランスよく対策を進めることが重要です。
GPA計算方法
続いては、GPAの計算方法を紹介します。
ただし、国や大学によって採用されている計算方法が異なりますので、不安な場合は、大学の公式ページを確認することがおすすめです。
日本の大学におけるGPA計算
日本の大学でも、成績表にGPAを表記する大学が増えています。
多くの日本の大学では、GPAを5段階評価で算出する方法が採用されています。
A評価が4.0、B評価が3.0、C評価が=2.0、D評価が1.0、F評価を0.0とし、この点数に各科目の単位数をかけ、その合計を総単位数で割ることでGPAを算出します。
具体的な計算式
- GPA =(各科目の単位数×成績評価の点数)の合計 ÷ 履修科目の総単位数
- たとえば、A評価(4.0)が3単位、B評価(3.0)が2単位、C評価(2.0)が1単位の場合、(4.0×3 + 3.0×2 + 2.0×1) ÷ (3 + 2 + 1) = 3.33で、GPAは3.3となります。
- ただし、「優・良・可・不可」の4段階評価もあれば、「秀・優・良・可・不可」や「A・B・C・D・F」の5段階評価がある大学もあるため、成績評価やGPAの計算方法は統一されていません。
一部の大学では独自のGPA計算方式を採用している場合もあるため、所属大学の方式を確認することが重要です。
また、留学時には日本のGPAを海外の基準に換算する必要があります。
留学申請先の大学やプログラムでどのようなGPA基準が設定されているかを把握し、日本のGPA基準と照らし合わせて目標を設定しましょう。
成績評価 | 点数 | GPA |
A | 90 – 100 | 4.0 |
B | 80 – 89 | 3.0 |
C | 70 – 79 | 2.0 |
D | 60 – 69 | 1.0 |
F | 59以下 | 0.0 |
海外大学におけるGPA計算
海外の大学でも、国や大学によってGPAの計算方法が異なります。
アメリカの大学でも、日本と同じように各成績にポイントが割り当てられ、総単位数に基づいてGPAが計算されることが多いです。
ただし、A+=4.3、A=4.0、A-=3.7、B+=3.3、B=3.0、B-=2.7というように、プラスやマイナスの評価も含め、より細かい段階で評価される場合もあります。
隣国のカナダは、アメリカとGPA制度は同じですが、入学条件が高いことで知られており、IELTSは6.5以上、TOEFLは80以上が必要となる大学もあります。
アメリカ・カナダのグレード表
成績評価 | 点数 | GPA |
A+ | 97 – 100 | 4.33 or 4 |
A | 93 – 96 | 4.0 |
A- | 90 – 92 | 3.7 |
B+ | 87 – 89 | 3.3 |
B | 83 – 86 | 3.0 |
C+ | 80 – 82 | 2.7 |
C | 77 – 79 | 2.3 |
C | 73 – 76 | 2.0 |
C- | 70 – 72 | 1.7 |
D+ | 67 – 69 | 1.3 |
D | 63 – 66 | 1.0 |
D- | 60 – 62 | 0.7 |
F | 60未満 | 0.0 |
オーストラリアのグレード表
オーストラリアにもGPA制度がありますが、日本で一般的に採用されている計算方法とは上限値が異なり、7までの評価制度を取り入れている大学が多いです。
成績評価 | 点数 | GPA |
High Distinction(HD) | 80 – 100 | 7 |
Distinction | 70 – 79 | 6 |
Credit Pass(CR) | 60 – 69 | 5 |
Pass(P) | 50 – 59 | 4 |
Fail(N) | 50 | 0 |
イギリスのグレード表
一方、イギリスにはGPA制度がなく、クラス別の評価をするのが一般的です。
Upper second-class以上を最低条件とする大学が多く、名門大学ではFirst-Class(1st)以上の成績が求められます。
成績評価 | 点数 | GPA |
First-Class(1st) | 80 – 100 | なし |
Upper Second-Class(2:1) | 60 – 69 | なし |
Lower Second-Class(2:2) | 50 – 59 | なし |
Third-Class(3rd) | 40 – 49 | なし |
Fail | 40未満 | なし |
このように、同じ英語圏であっても国や大学によりGPAの計算方法が大きく異なります。
各大学のGPA基準を正しく理解することで、出願先の大学の求める水準に達しているかを確認でき、選考の対策が立てやすくなります。
大学・大学院留学に必要なGPA目安
大学や大学院への留学には、大学やプログラムごとに異なるGPAの基準が設けられています。
一般的には、名門大学や競争が激しいプログラムほど高いGPAを求められる傾向があります。
留学を目指す際には各大学やプログラムのGPA基準をしっかりと確認し、自分のGPAがその水準を満たしているかを見極めることが大切です。
アメリカの大学
アメリカの大学に留学を希望する場合、一般的にGPA 2.5〜3.5以上が求められます。
ハーバード大学やスタンフォード大学などのトップ大学では、GPA 3.5以上が目安となり、中堅の大学では、GPA 2.5〜3.0程度が求められることが一般的です。
大学院への留学では、最低ラインは2.5~3.0が目安ですが、ハーバード大学の大学院などの名門大学院であれば、合格者の平均GPAは3.8以上とされています。
また、専攻分野によっても、GPA基準が異なることもあり、工学系や医学系はとくに高いGPAが要求される傾向にあります。
カナダの大学
カナダの大学は、学部留学の場合、一般的に2.0以上のGPAが最低基準となります。
学校によっては3.0以上が必要な場合もあり、トップ校であるトロント大学やブリティッシュコロンビア大学などでは、3.3以上のGPAが求められることが多いです。
大学院留学の場合は、3.3以上が目安となります。
イギリスの大学
イギリスの大学は、GPAではなく独自の成績評価システムを持っており、First-Class(1st)、Upper Second-Class(2:1)、Lower Second-Class(2:2)、Third-Class(3rd)という区分が一般的です。
中堅大学では、Lower Second-Class(2:2)以上が基準とされることが多く、オックスフォード大学やケンブリッジ大学などのトップ校では、Upper Second-Class(2:1)以上が目安となります。
大学院留学の場合も、通常Upper Second Class Honours(2:1)以上が必要です。
とくに競争率の高いプログラムでは、First Class Honours相当が求められることもあります。
オーストラリアの大学
オーストラリアでは、大学によって成績評価の方法がさまざまです。
パーセンテージで記載される場合もあり、GPAであっても4.0スケール、7.0スケールの両方が存在するので、各大学の評価基準を確認しておきましょう。
4.0スケールのGPAであれば、多くの大学で3.0以上が必要となることが多いです。
トップ大学への入学を希望する場合は、3.5以上が目安となります。
大学院留学の場合でも、一般的に3.0以上のGPAが求められます。
GPAが低い場合の対策
GPAが低い場合でも、対策を講じることで留学の可能性を広げることができます。
留学を諦めてしまうのではなく、次のようなポイントを意識して、対策をおこなってみましょう。
大学選び
GPAが低い場合、まずは出願する大学を慎重に選ぶことが重要です。
すべての大学が高いGPAを必須としているわけではなく、GPAの基準が低く設定されている大学や、他の要件を重視する大学もあります。
また、志望する学部やプログラムによって、GPAよりも職務経験や特定のスキルが重視されるケースもあります。
エッセイや推薦状、課外活動などに力を入れることで合格の可能性を高められる場合もありますので、GPAに不安がある場合は、GPA以外の要件をアピールできる大学を選ぶのもおすすめです。
また、「パスウェイプログラム」(条件付き入学制度)を設けている大学も、選択肢として検討する価値があります。
この制度では、事前に語学学校や準備コースを受講し、英語力が要件を満たした段階で正規課程への入学が認められます。
志望校の要件や評価基準を事前に調査し、自分の強みを活かせる大学に出願することが、留学成功への一歩です。
アピールポイント
GPAが低い場合でも、他の強みをしっかりアピールすることで評価を高められます。
たとえば、課外活動やボランティア活動、スポーツや芸術での実績など、GPA以外で自分の魅力をアピールできる実績があれば、それを積極的に活用しましょう。
リーダーシップやチームワークなど、これらの活動で得たスキルや経験が、留学先での学びに活かせると具体的に伝えることで、面接官にも好印象を与えるでしょう。
さらに、実務経験やインターンシップの経験も評価対象となる場合があります。
とくに大学院留学では、関連分野での実務経験が高く評価されることが多いため、GPAが多少低くても、職務経験でカバーすることができます。
その他の要件
GPA以外の入学要件や提出物を充実させることでも、GPAの低さをカバーすることができます。
とくに、出願の際に提出が必要な語学力試験では、求められる最低基準を大きく上回るスコアを目指しましょう。
TOEFLやIELTSといった英語力テストで高スコアを取得することで、語学力の強みをアピールできます。
英語力が十分であれば、留学先の授業にも対応できると判断され、GPAの低さを補う材料となり得ます。
また、志望動機書やエッセイで、留学への意欲や具体的な留学の目標を丁寧に伝えることで、選考委員に強い印象を与えることができます。
さらに、推薦状も重要なアピールポイントとなるため、自分の能力や可能性を理解している教授や上司に依頼することがおすすめです。
とくに、留学先で活かせるスキルや適応力、学習意欲について推薦者が評価してくれると良いでしょう。
GPAを上げて留学を成功させよう!
留学における重要な評価基準の一つであるGPAは、日頃から意識して学業に取り組むことで高いスコアを目指すことが可能です。
GPAを意識して勉学に励むことは、単に留学の合否を左右するだけでなく、将来の学業やキャリアにも役立つ学習習慣が身につきます。
自分の目標に向かって努力を続けることで、満足のいく結果と充実した留学生活を手に入れましょう。