イギリスで大学院留学を検討している方にとって、大学院の選び方や必要な費用、現地での生活習慣などの情報を知りたいという方は多いのではないでしょうか。
また、自分に合った留学先を見極めるためには、実際に留学した方の体験談を聞きたいと思う方もいるでしょう。
本記事では、イギリスの大学院の特徴やイギリスで大学院留学するメリット、準備するべきこと、そして留学生活のポイントやアドバイスについて解説します。
具体的な情報や経験談をもとに、自分に最適なイギリス大学院留学を実現させるための参考にしてください。
イギリスの大学院について
まずは、イギリス大学院についての一般的な概要を確認しましょう。
イギリスの大学院の特徴や学位の種類、大学院留学の費用や奨学金について、さらにプレマスターコースというものについても解説します。
イギリスの大学院の特徴
イギリスの大学院は、アメリカの大学院と同様にコースワークが中心で、研究志向のプログラムではなく、必要なクラスを修了して卒業する形です。
選択科目もありますが、アメリカほど多様ではなく、主に同じ学部内のクラスから選びます。
イギリスの大学院がアメリカの大学院と大きく異なる点は、履修クラスや卒業までの期間が入学時にほぼ決まっていることです。
通常、入学から卒業までの期間は一定で、同じ学生仲間と一緒に1年間学んでいきます。
また、1年間という短い期間で修士号を取得するため、コースの一部となっていない場合はそのため、インターンシップをおこなうことは難しいでしょう。
さらに、長い夏季休暇などもありません。
イギリスの大学や大学院は、ほとんどが国によって運営されているため、教育レベルに大きな差がないです。
大学教授が複数の学校で教えたり、生徒の評価が学校を超えておこなわれたりすることで、学校間の格差を縮小する工夫がされています。
さらに、多くの大学が街の中心部や近隣に位置しており、生活の便が良い環境が整っています。
また、イギリスの大学院では修士課程以外にもさまざまなコースが開講されていることも特徴的です。
たとえば、リサーチコースでは、授業を一度も受けずにリサーチのみで修士課程を修了させるコースがあり、これは日本の大学院の研究主体のコースと似ています。
さらに、大学時代の専攻と異なる分野へ進学を希望する方のために、ディプロマコース(大学院準備コース)もあります。
ディプロマコースを修了すると、大学時代の専門分野とは異なる専攻にも進学できるため、将来の可能性が広がります。
学位の種類
イギリスで取得できる修士号の種類と学位の種類、出願条件は以下のとおりです。
Taught Masters
Taught Mastersは、主に4種類のコースモジュールベースの修士があります。
- 文学修士(MA):芸術、人文科学、社会科学に関連する科目
- 科学修士(MSc):科学、技術、工学、数学、および一部の社会科学に関連する科目
- 経営学修士(MBA):経営学に重点を置く科目
- 工学修士(MEng):エンジニアリングに重点を置く科目
Research Masters
研究学位では、教員の指導を受けながら、主に論文を中心とした研究を進めます。
自分でスケジュールを立てて研究をおこなう必要があります。
もっとも一般的な研究学位は博士号で、修了には通常3〜4年かかり、論文の長さは6万〜10万語に及びます。
さらに、口頭試験で研究内容を発表します。
そのほかの研究学位には、哲学修士号(MPhil)と研究修士号(MRes)があります。
これらの学位は博士号と似ていますが、学問的な要求はやや低く、論文も短めです。
以下は、学位の種類と出願条件の詳細です。
学位の種類 | 必要な英語力と要件 |
Pre-Masters(プレマスター) 大学院進学準備プログラム | 大学学士号 IELTS 5.0~5.5 |
Diploma(PGDip) 大学院 | 大学学士号またはプレマスター修了 IELTS 6.0~6.5 |
Master’s Degree(1年) 大学院修士号 | 大学学士号(高成績)またはPre-Master修了 IELTS 6.0~7.0 |
Master’s Degree(2年) 大学院修士号 | 大学学士号(高成績)またはPre-Master修了 IELTS 6.0~6.5 |
MBA 経営学修士号 | 大学学士号+数年間の管理職務経験 IELTS 6.5~7.0 |
イギリスの大学院進学を検討している方は、ぜひ参考にしてください!
大学院留学の費用
留学生がイギリスの大学院や修士課程にかかる費用は大学によって大きく異なります。
平均的な費用は、おおよそ£18,000です。
授業料は、イギリス国内の地域や大学、選択する修士課程の種類によっても大きく異なります。
しかし、一般的にはイギリスの大学院はアメリカの大学院よりも手頃で、イギリスでの学びはアメリカの同レベルの教育機関よりも30〜60%安くなることもあります。
以下は、大学院や修士課程にかかる年間費用です。
年数 | 1年 |
大学院や修士課程にかかる費用 | £10,000〜£30,000 (£1=180円時、約180万〜540万、留学生用) |
また、イギリスの大学院では、1年間で修士号を取得することが可能です。
アメリカやカナダなどの大学院が通常2年間かかるのに対し、イギリスでは1年間で修了するため、滞在費などの生活コストも抑えられます。
物価は高めですが、大都市や中心部を避けて家賃を節約したり、スーパーマーケットで食材を購入して自炊をするなどの工夫で生活費を削減できます。
イギリスの大学院は期間が短いだけでなく、非常に密度の濃いスケジュールが特徴です。
1年間の集中的な学びを通じて、多岐にわたる知識を短期間で吸収できます。
奨学金について
大学院留学の費用を用意することが厳しいと感じている方も安心してください。
イギリスでは、多くの奨学金制度が利用可能です。
日本国内の民間企業が提供しているものやイギリスの大学院が用意しているもの、政府が設けた支援制度など、さまざまな奨学金があります。
各奨学金制度によって条件や給付額が異なるため、自分に適した制度を調べてみると良いでしょう。
プレマスターコース
イギリスへの大学院進学を目指す留学生にとって非常に有意義なコースとして、プレマスターコース(大学院留学生準備コース)があります。
プレマスターコースは、留学生が大学院へ進学するための準備コースで、主に英語対策を中心におこなわれます。
英語対策は、大学院ではなく、付属の英語学校で提供され、通常の語学コースとは異なり、英語対策に加えて、大学院で学ぶ予定の専門分野に関する基礎知識も学べます。
そのため、英語力が不足して大学院に入学できない場合でも、プレマスターコースで英語力と学術的準備を整えることが可能です。
プレマスターコースの期間は、通常9か月です。
一部の大学院では、入学条件として、プレマスターコースの修了を設定している場合もあります。
プレマスターの学位はアメリカではほとんど使われておらず、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドで大学の学士号と大学院の修士号の間の学位として設定されています。
また、イギリスでは大学院留学前に、「Postgraduate Diploma(9か月)/ Postgraduate Certificate(6か月)」といった準備コースも用意されています。
上記2つは学位ではありませんが、専門分野の大学院レベルのコースとなるため、大学院レベルの資格として認められています。
学部での専攻とは異なる分野を大学院で学びたい場合でも、準備コースを受講することで挑戦しやすい環境が整っています。
ただし、プレマスターコースを修了しても、大学院への入学が保証されたり、大学時代とは異なる専攻への進学が保証されるわけではありません。
あくまで英語力向上を主な目的としているため、Postgraduate Diploma や Postgraduate Certificate とは異なることを理解しておく必要があります。
イギリスで大学院留学するメリット
イギリスの大学院留学の魅力は、数多くあります。
イギリスの大学院修士課程は、通常1年間で修了可能で、学士号を取得していれば進学できます。
多くの国では通常2年間かかる修士課程に比べ、時間と費用を節約でき、早くキャリアをスタートさせることが可能です。
イギリスの修士号は世界的にも高い評価を受けており、就職活動やキャリアアップに大きな力を発揮します。
卒業後の収入も高く、日本の大卒初年度の平均年収が約260万円に対し、イギリスでは約420万円です。
また、卒業後の就労ビザ(最長2年間)により、現地での就労機会も広がります。
さらに、イギリスには世界的に評価の高い大学が多く、全大学の80%以上が国公立で、高い教育と研究水準を維持しています。
2023年のQS世界大学ランキングでは、イギリスの大学がトップ100に17校ランクインしており、これは日本の2校を大きく上回ります。
イギリスの大学院で学ぶことで、英語力の向上はもちろん、多文化のコミュニティで刺激的な学びが得られます。
また、進学準備プログラムであるプレマスターコースを利用すれば、直接進学よりも低い条件で出願が可能です。
約70校の大学院がプレマスターからの進学保証を提供しており、条件付き合格制度により、英語のスコア以外で出願し、渡英後に付属の英語学校で英語を学ぶことが可能です。
イギリス大学院留学の準備
イギリスの大学院に留学したいと考えているけれど、具体的な準備方法がわからない方もいるでしょう。
ここでは、入学条件や出願のプロセス、そして必要な書類について詳しく解説します。
入学条件と出願のプロセス
大学院(修士課程)への進学には、学士号を取得していることが条件とされています。
一部の修士課程では、関連する学問分野での学位取得が望ましいとされていますが、かならずしも必須なわけではありません。
一般的に、イギリスの大学では、学部の成績が60%以上であることが求められますが、大学によってはそれ以下の成績でも受け入れる場合があります。
また、MBAなどのプログラムでは、実務経験が必要となることもあります。
大学院入学には、優れた成績と十分な英語力が求められます。
入学申し込みはUCASではなく、各大学に直接手続きをおこなう必要があります。
おおまかな出願の流れは、以下のとおりです。
イギリスの大学院出願の流れ
- 1. 願書の提出:大学により、郵送またはオンラインで提出する
- 2. 必要書類の準備:学位証明書、成績証明書、通常2通の推薦状、英語力証明書などを揃る
- 3. インタビュー:場合によっては、イギリスにすでに留学している学生にはインタビューがある
- 4. 合格後の手続き:合格したら、大学の指示に従って入学手続きを進める
また、一部の大学ではPre-Sessional English Courseを提供しており、英語力を強化することが可能です。
\ イギリスの大学院を目指す現役留学生が解説!/出願に必要なもの
イギリスの大学院へ出願する際に必要な書類は、以下のとおりです。
【志望動機書】
英語では “Personal Statement” と呼ばれ、出願時に重要となる文書です。
A4用紙程度の長さで、志望動機などの情報をまとめます。
英語力に自信のない場合は、ネイティブスピーカーにチェックしてもらうと良いでしょう。
【推薦状(2通)】
卒業した大学の教授に依頼して書いてもらいます。
勤務経験がある場合は職場の上司に依頼することも可能ですが、どちらの場合も英語で記載する必要があります。
【職務履歴書】
一般的にはCVと呼ばれ、大学院のコースによっては関連する職務経験が求められる場合もあります。
【英文卒業証明書】
卒業生は卒業証明書、在学中の方は卒業見込証明書を英文で用意します。
英文卒業証明書は、出身大学に依頼して取得します。
【英文成績証明書】
大学時代の成績を証明する書類が必要です。
各大学ごとに入学要件が異なるため、事前に確認が必要です。
【英語力証明書】
英語力を証明する書類が必要です。
出願時に英語力が不足していても出願は可能ですが、条件付き合格となり、あとで英語力を証明する書類を提出する必要があります。
出願時期と入学時期
出願時期は、一般的に前年度の10月から始まります。
締め切りは大学によって異なり、人気の高い学部は早めに締め切られることがあるため、早めの出願が望ましいです。
入学時期は、Postgraduate Diploma や Master Courseでは9月または10月が一般的ですが、独自の研究をおこなうコースでは随時入学が可能な場合もあります。
留学生活の準備とアドバイス
留学生活において、英語力がどれくらい必要かという不安は、多くの方が抱えるものです。
TOEFLやIELTSの勉強で覚えた単語とは異なり、大学院の専門的な授業では、聞き慣れない単語が頻繁に登場することがあります。
授業内容を理解するためには、授業で使われる専門用語の意味を理解する必要があります。
そのため、英語を母国語とする学生以上の努力が求められるでしょう。
また、大学院では多くの教授が専門知識の基礎を学生が理解していることを前提に授業をおこないます。
事前に基礎知識を予習しておくと、授業の理解が深まるでしょう。
イギリスの大学では、自ら進んで情報収集をしないと、大切な情報を見逃してしまうことがあります。
学校のウェブサイトや大学メールボックスを確認していても、英語で書かれているため見落とす可能性もあります。
授業や課題の情報を確実に得るためには、クラスメートと積極的に交流し、重要な情報を共有することが理想的です。
グループチャットに参加し、困ったことがあれば大学のウェブサイトの質問フォーラムを利用するのも良いでしょう。
これらの手段を活用することで、課題やテストの時期も学生同士で支え合えます。
そのほかにも、事前に調べておくべきことや留学後の進路について、留学中のアルバイト、保険について、以下で詳しく解説します。
英語力はどれくらい必要?
大学院留学を目指す際には、準備コースが提供されているとはいえ、高度な英語力が必要です。
多くの大学がIELTSのスコアを要求しており、最近ではTOEFLのスコアを受け入れている大学も増えています。
IELTSでは、理系で6.5以上、文系や社会科学・ビジネス分野では6.5〜7.0以上が目安です。
TOEFL iBTでも、88〜100程度が基準とされています。
なお、イギリスで学士号を取得した場合は、英語力の証明は不要です。
しかし、ロンドンの国際的な大学では教授やクラスメイトも世界中から集まるため、さまざまな英語のアクセントを聞き取る力が求められます。
ネイティブスピーカー以外のアクセントに慣れるために、外国人との交流を増やしたり、さまざまなアクセントの動画を聞いて耳を慣れさせておくことがおすすめです。
聞き取れない場面に遭遇した際には、お互いが非ネイティブスピーカーであることを理解し、何度も聞き返す勇気をもちましょう。
あらかじめ聞き返すフレーズを調べておき、練習しておくこともいいですね!
事前に調べておくべきこと
日本の北海道と沖縄の気候が違うように、イギリスでも地方によって気候や文化に大きな差があります。
渡航先の情報は多ければ多いほど有益なため、SNSや検索エンジンなどで事前に下調べをしておくと安心です。
安全に関する情報や現地の気候、暗黙のマナーなどを把握しておくと良いでしょう。
なお、イギリスは9月でも、薄手の服装だと寒く震えることもあるため、服装に関する情報収集もおこなうと良いです。
留学後の進路について
大学や大学院(修士)を卒業・修了したのち、Graduate route ビザを利用して、最大2年間(博士課程を修了した場合は3年間)は英国での就労経験が可能です。
申請時には、以下の条件が必要になります。
- 現在、イギリスに滞在中
- ビザステータスは学生ビザ
- 学生ビザを利用してイギリスの大学で学士号、修士号、またはそのほかの資格取得コースを最低期間履修中
- コースの修了を正式に完了
受講したコースが対象となるか、学習期間の必要条件などの詳細は、以下のウェブサイトで確認できます↓
https://www.gov.uk/graduate-visa/course-you-studied
ビザ申請はオンラインでおこない、審査は通常8週間以内に完了します。
ビザの有効期限が切れる前に手続きをおこなう必要があります。
申請料は£700、保険料の支払いが別途必要です。
保険料は1年間で£624であり、2年間滞在の場合は£1,248、3年間滞在の場合は£1,872が発生します。
費用に関する情報は定期的に更新されるため、最新情報については以下のウェブサイトをかならず確認してください。
また、ビザ審査中は英国に滞在できますが、給付金や年金の請求、プロスポーツ選手としての活動は不可です。
就学可否は、受け入れていない場合に限り可能で、政府のウェブサイトで詳細を確認できます。
留学中のアルバイト
学生ビザを保有する留学生は、学期中に週20時間までのパートタイム労働が認められています。
休暇期間中はフルタイムでの雇用も可能ですが、大学院生は学業とアルバイトを両立することが難しい場合があります。
これは、学習の深度が増し、休暇が限られるためです。
\ イギリスの大学院へ通う留学生が語る!/保険について
イギリスへの長期留学(6か月以上)を検討している場合は、NHS(National Health Service)と呼ばれる公的医療保険に加入する必要があります。
NHSに加入することで、病気やケガの際にはイギリス国民と同じ医療サービスを受けることが可能です。
ただし、NHSの保険は歯科治療や事故・盗難などの特定の項目には適用されないことがあるため、追加の保険の加入を検討することをおすすめします。
6か月未満の留学の場合は、NHSに加入することは義務付けられていません。
しかし、海外での体調不良や事故・盗難などは予測が難しいため、海外旅行保険や留学保険に個別に加入することが賢明です。
\ 留学生が実際に利用した感想は?/まとめ
イギリスの大学院留学には、多くのメリットがあります。
高い教育水準や国際的な環境により、キャリアの発展につながる可能性があります。
また、Graduate route ビザを利用すれば、修了後に2年間(博士課程修了者は3年間)のイギリスでの就労が可能です。
留学生活においては、英語力や現地の生活習慣への適応が課題となるかもしれません。
しかし、留学エージェントや対策コースを活用することで、課題に対処できます。
適切なサポートを受けることで、海外留学成功への道が開けることでしょう。
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