2023/09/26

イギリス留学の前に確認しよう!医療制度のNHSは留学生も利用できる?

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この記事を書いた人

イギリス/リーズ大学在籍
モリ エリナ Erina Mori
元体育会バドミントン部出身。
営業職を経て、30代半ばで渡英を決意。
現在はプリセッショナルコースに所属し、大学院では広告とマーケティングを専攻予定。

みなさん、こんにちは。モリエリナです。

2022年10月から始まったイギリスのリーズ大学でのプリセッショナルコースを無事修了し、晴れて今年の10月から同大学のビジネススクールで広告とマーケティングコースを専攻することになりました。

今回は、イギリスの医療制度について紹介します。

日本にいた時は健康そのものでしたが、イギリスに来て約1年が経ち、思いがけない体調不良に何度か見舞われました。

日本で病気などと無縁だった方や、持病などで心配している方も、留学前に知っていて損はない情報です。

イギリス留学を検討している方は、ぜひ参考にしてください!

目次

イギリスと日本の医療制度の違い

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イギリスと日本は、両国ともに高度な医療ケアを提供する先進国でありながら、その医療制度にはいくつか違いがあります。

イギリスでは国民保険が主要な役割を果たし、日本では健康保険制度が特徴的です。

また、アクセス性、費用、医療技術の利用など、さまざまな側面で顕著な相違点が見られます。

以下では、イギリスと日本の医療制度の違いや、それぞれの医療制度が患者や医療提供者にどのような影響を与えているのかについて解説します。

国民向け医療保険(NHS)

イギリスでは、日本と同じように全国民対象の公的な医療保険である国民保健サービス、通称「NHS(National Health Service)」があります。

基本的に、NHSはイギリス国民を対象としています。

NHSに加入している場合、原則として医療費は無料ですが、処方箋や歯医者、眼科治療には費用がかかります。

医療費は税金で運営されているため、 NHSの加入者は自己負担なく医師の診察を受けることが可能です。

また、留学生もNHSの治療を受けられますが、留学期間によっては制約があります。

なぜ治療が受けられない場合があるかについては、のちほど詳しく説明します。

受診できる医療機関

日本では、風邪をひいたり花粉症になったりする場合、患者は自由に医療機関を選択できるフリーアクセス制度が適用されています。

しかし、イギリスでは異なる医療アクセス制度が採用されており、まずかかりつけ医(GP)を受診する必要があります。

そのため、症状の種類に関係なく、患者は自分自身で医療機関の選択ができません。

まず最初にかかりつけ医を予約し、そのあと症状に合わせた専門医が紹介されるという仕組みです。

ときには検査が必要な場合もあり、その場合は再度予約を取り、異なる専門医療機関を訪れることが必要となります。

救急の場合、NHSのオンラインサービスまたは電話を通じて、救助や治療の依頼が可能です。

かかりつけ医(GP)の登録

前述したとおり、イギリスではかかりつけ医のことを、通称GP(General Practitioner)と呼びます。

留学先の寮などに入ったら、すぐにGPの登録をするのがおすすめです。

大学によっては、保健センターが併設されているところもあります。

可能であれば、保健センターをかかりつけ医として登録することが便利で安心です。

なぜなら、センターのスタッフは学生の健康に関する知識や経験が豊富であるためです。

また、自分が住む場所の近くのGPに登録することが推奨されているため、NHSのWebサイトから近隣のかかりつけ医を見つけることが可能です。

学校の寮に入る場合、寮の受付に近隣のGPに関する情報が掲示されていることがあるため、チェックしてみてください。

留学生がNHSを受けられないケースについて

一部のGPは、難民や無職の方に特化して対応している場合があり、学生の登録が受け付けられないことがあります。

そのため、GPを探す際には学生の登録が可能かどうかも確認する必要があります。

GPの登録方法

GPを検索したら、登録フォームへの記入が必要となります。

登録は、以下のいずれかの方法でできます。

GPの登録方法

  • NHSアプリ
  • 登録しようとするGPのWebサイト
  • NHS WebサイトのGPのプロフィールページ
  • 直接GPに行って用紙をもらい記入する

GPでの登録が完了すると、登録が完了したことを通知するメールまたはショートメッセージが送信され、NHS番号が発行されます。

登録完了後、体調不良などでGPにかかりたい場合は、事前に予約をしてから指定の日時に行く必要があります。

予約がオンラインでおこなえる場合もあれば、電話でしか予約を受け付けていないGPもあります。

電話での予約時には、かならず名前と生年月日を聞かれます!

国民保健サービス(NHS)のメリット・デメリット

NHSは、無料の医療ケアを提供することで、イギリス国内の多くの方々に大きなメリットをもたらしています。

NHSの特徴がわかったところで、ここからは、NHSを利用するメリットとデメリットを紹介します。

国民保健サービス(NHS)のメリット

海外での医療費は高額なことでも知られています。

しかし、NHSの加入者は自己負担なく医師の診察を受けることが可能です。

その反面、自己負担額を心配することなく気軽にかかりつけ医を受診できることは、慣れない留学生活において重要であるといえます。

私も体調面で気になることが起きたとき、血液検査などを無料で受けられました。

また、女性の場合、イギリスに到着して2〜3か月ほどで無料で受けられる子宮頸がん検診の案内が郵便で届くため、予約して検査を受けることも可能です。

国民保健サービス(NHS)のデメリット

NHSは、予約が取りづらいことがデメリットとして挙げられます。

近年、NHSの医師や看護師によるストライキが頻発に発生しており、スタッフ不足も深刻化しています。

そのため、GPはつねに混雑状態であり、電話予約をしたくても電話が繋がらず、すぐに予約をとることが難しい場合もあります。

私もGPへすぐに行きたかった際、あまりにも電話が繋がらなかったため、何度か直接GPに行って予約を入れたことがありました。

また、緊急度が低い場合は、専門医とのアポイントや検査が数週間から数か月先になることもあります。

気になる症状がある場合には、早めに受診することをおすすめします!

留学生がNHSに登録できる条件

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イギリスで6か月以上の留学をする場合、ビザ申請の一部として移民健康追加料金と呼ばれる「 IHS(Immigration health surcharge)」を支払う義務があります。

これは、留学生がNHSサービスを利用するために支払う料金であり、支払わないとビザが許可されません。

支払う金額は滞在期間によって異なるため、具体的な支払金額を知りたい方は、イギリス政府のWebサイトから質問に答えていく形式で確認することも可能です。

NHSに登録できない場合

留学するコースが6か月以下の場合、NHSの利用はできません。

そのため、健康に不安が生じた場合、自己負担でプライベートの医療機関を受診する必要があります。

高額な医療費の負担を避けるために、海外留学保険に加入しておいた方が良いでしょう!

プライベートの医療機関について

短期留学をしている方はNHSを利用することが難しいため、プライベートの医療機関の利用がおすすめです。

受診を希望する場合、自分で医療機関に直接連絡すると専門医に診察してもらえます。

プライベートの医療機関のメリット

プライベートの医療機関を利用するメリットは、以下のとおりです。

プライベート医療機関のメリット

  • 患者が自由に医療機関を選べる(GPの登録は不要)
  • NHSに比べて短期間で診察や治療が受けられる
  • 比較的高度な技術を持った医師の診察を受けられる
  • 専門医など広範な分野の医療が受けられる
  • 日本語対応をしてくれる病院もある

プライベートの医療機関のデメリット

プライベートの医療機関を利用する際のデメリットとして、医療費が高額な点が挙げられます。

海外の医療費は高額であり、その全額が自己負担となります。

治療内容によっては、数十万から数百万単位の医療費を請求されることがあります。

留学生向けの医療保険に入っておこう

私自身、何度かNHSの利用を試みてきましたが、率直に感じたことは、受診したいときにすぐ受診できない不便さがあります。

イギリスに滞在中にインフルエンザや食中毒にかかった経験があり、かなり大変な思いをしました。

そのときは、NHSではなく、別途加入していた海外留学保険を利用しました。

留学の予算を考えていた頃はNHSが利用できるため、海外留学保険に加入する必要はないと考えていました。

しかし、NHSを実際に利用してみて不便さを痛感したため、海外留学保険を使って専門医の診察を受けたとき、海外旅行保険に入っておいて本当に良かった、と感じました。

そのため、海外留学保険に加入するのもおすすめです。

医療費対応のほかにも、便利なサービスがある

留学には多くの費用がかかるため、普段健康な方は海外留学保険に加入することに疑念を抱くことがあるかもしれません。

しかし私の経験からも、留学生向けの医療保険に加入しておくと、いざという時に安心してプライベートの医療機関にかかれるためおすすめです。

さらに、医療だけでなく、スリや盗難などの事故に対する補償も含まれている保険会社も多いです。

海外留学保険では、日本語対応可能な現地の医療機関を紹介してもらったり、通訳サービスを提供している保険会社もあります。

また、イギリスではロンドンに日本人医師が多くおり、リーズなどの地方からでもオンライン診療を手配できる場合もあります。

急な体調不良の際、自分の体の症状を日本語で伝えられる安心感は非常に大きいですよね。

薬をロンドンで処方された場合、郵送で受け取れますが、送料は保険でカバーされないこともあります。

私の住んでいるエリアで近い薬局を指定すると、その薬局に直接医療機関から連絡を入れて処方箋を指示してくれるため、準備ができると自分で取りに行けました。

保険会社によっては、保険会社の立て替えによって実際の支払いはなしで済む場合があります。

私が加入している保険会社は、自分で立て替えて、あとから保険会社へ請求をするパターンでした。

支払い方法や補償の範囲は保険会社ごとに異なるため、事前に確認が必要です。

自分で立て替えをする場合、あとから保険請求する場合に必要となるため、かならず医療機関から発行された領収書を取っておきましょう。

いざというときのために備えよう

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海外留学では事故や病気など、何事もなく日々過ごせることが望ましいですよね。

しかし、日本と違う環境で生活していくなかで、予期せぬハプニングが起こってしまうことも事実としてあります。

留学先で何かが起こってから「負担する必要のなかった費用が海外留学保険でカバーできたのに」ということがないようにしましょう。

イギリスへ留学を考えている方は、本記事を参考にNHSの利用方法や海外留学保険に加入について検討してみてください。

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