2020/12/09

IELTSライティング特訓! 添削は自分1人で出来るか?

この記事を書いた人

バークレーハウスIELTS講師
竹林 駿 Suguru Takebayashi
米国ミネソタ州立大学大学院修了。専門はライティング。大学院在籍時は英語で詩を執筆し、米国の文芸雑誌に応募していた。勉強の傍ら、Diversity Councilにてファシリテーターとしてボランティア活動にも従事し、米国の中学高校などで人種差別などをテーマにしたセミナーに「留学生(=外国人)」として自ら登壇した。帰国後は英検、TOEIC、大学受験などの英語指導に携わったほか、2019年度から都内の私立大学でも教鞭を取る。IELTSでは、4技能(L, R, S, W)全てのセクションで8.0以上を取得。英検1級、TOEFL iBT MyBest 119点。

IELTSの中でもとりわけハイスコアが出にくいとされるライティング

あなたは自分で書いたライティング、どうやって見直しをしていますか?

  • ① 自分で添削する
  • ② 添削サービスに送る
  • ③ ライティング授業を受講する

以上の3パターンが考えられますが、それぞれの良し悪しは? どれが一番効率的?

竹林先生

今回のブログは、「自分で書いたライティングをどう添削したらいいか」を中心に見ていきたいと思います!
目次

IELTSライティング添削はどうやってやる?

選択肢①:自分で添削する

良い点:
■ コスト0円
■ 直すべき所を自分で気づければ、本番での力が強くなる
■ 完全に自分のペースで出来る

悪い点:
■ どこか間違っているか自分で発見しにくい

ライティングを自分で添削するという選択肢は、やはり何と言っても、コストがかからないというメリットがあります。お金をかけたくないならベストチョイス。また、ライティングを見直して自分で気づけたミスは、他の人に指摘されるよりも確実に自分の「モノ」になります。つまり、より深く記憶に定着するので、同じミスをしにくくなり、本番での実力がUPします。「授業」と違い、決まった時間や締め切りもないので、自分ペースで出来るのも、忙しい人には嬉しいですね。

一方、自分で添削することの最大の難点は、自分で自分のライティングのどこが悪いかに気付くのが至難の業だという点です。文法ミスから不自然な英語表現まで、時にはスペルミスさえも、自分で気づくのは大変です。自分で添削して効率的に勉強できるのは、IELTSの要点と文法基礎をしっかり押さえた、かなり上級者のみと言えるでしょう。ライティングの現スコアが7.5あたりの人がこれに該当するでしょうか。

それでも、「自分で添削したい」という方の為に、自分で添削する際にどこに気を付ければいいかについては、この後に竹林先生が解説してくれています。下へスクロールし、「自分で添削する際の、絶対に知っておくべき注意点」をご覧下さい

選択肢②:添削サービスに送る

良い点:
■ コストはかかるが、授業を受けるよりは安価
■ 自分では気づけない英語ミスを指摘してくれる
■ 授業の様に決まった日時が無いので、融通が利く

悪い点:
■ 採点者が本当にIELTSに詳しいか不明(なケースが多い)
■ 添削された内容について質問できない(ケースが多い)

では続いて、比較的安価な値段で誰かに自分のライティングを読んでもらえる「添削サービス」の良し悪しを見ていきます。

まず一般的に、授業を受けるより値段が安い事が圧倒的に多いので、気軽に始められますね。自分で気づかないミスも指摘してもらえるので、効率的に勉強できます。書いたライティングはネットを通じて送るだけなので、スクールに通学したり、1回何時間も授業に拘束されたりする事も無く、受講者に負担が少ないのもメリットです。

その一方で、添削しているのが誰か分からない(事が多い)のが難点です。ホームページでは「IELTS対策」と称していても、IELTSのライティングの採点基準をあまり把握していないネイティブが採点していたり、という可能性も否定できません。

IELTSのライティングは、他の英語試験と違い「意味が通じる」だけではハイスコアは取れないのが通説です。英語が母国語の人でさえ6点台を取ってしまう事も。「IELTSが何を求めているか」を把握していない講師が「ここの前置詞は inより onの方が良い」などと単語単位で直していくだけでは、ハイスコアにはつながらない可能性が高いのです。また、添削者がなぜそのように直したのか受講者側が分からない場合、質問できる体制が整っているサービスなら良いですが、質問できない可能性もありえます。

選択肢③:ライティング授業を受講する

良い点:
■ 信頼性の高い講師から教えてもらえる
■ 添削された内容について講師に質問できる
■ 1人で挫折しちゃう人もモチベーションを保ちやすい

悪い点:
■ コストが一般的に添削サービスより割高
■ 宿題の量次第では負担になることも

最後に、ライティング対策の授業を受講する、という選択肢です。こちらはなんといっても顔が見える講師に直接教えてもらえるので、信頼性が高いのがメリットです。添削内容に関して不明点があれば、納得行くまで質問することもできます(超大人数のグループ授業を除いて)。講師との相性も良ければ、モチベーションの持続にもつながること請け合いです。

一方、やはりコストが難点です。もちろんその価値は充分あると思いますが、現在の立ち位置と目標スコアがかなり離れている場合、目標達成まで授業を受け続けるのは、数十万円単位、場合によっては100万円以上の金額になる可能性も。また、「必ずスコアを上げます!」と謳う一部のスパルタ系スクールでは、多量の宿題が出されて受講生がパンク寸前になってしまうケースもあります。

竹林先生

いかがでしたでしょうか。ライティングをどうやって添削し、スコアアップに繋げていくかの選択肢は、それぞれ一長一短な所があるので、どれがご自分に1番合っているか、よく吟味してみてください。

尚、バークレーハウスでは「授業」と「添削サービス」両方ご提供しています。「どっちにしようか迷う」という方も、無料の体験レッスンにご参加頂いた上で、講師やカウンセラーに相談してどちらにするか決める事も可能です。決断しかねている方は、お気軽にお問い合わせください。

自分で添削する際の、絶対知っておくべき注意点

さて、ここからは竹林先生による「IELTSライティング自己添削」のやり方を伝授して頂きます!

「私には授業も添削サービスも不要!」という方は、ご自分のライティングの添削の際に、以下の情報をお役立てください。

竹林先生

IELTSのライティングを自分で添削するには、まずIELTSのライティングがどういう基準で採点されるかを知る必要があります。全部で4つありますので、1つ1つ丁寧にご自分のライティングを見ていって下さい。

① Task Achievement

竹林先生

Task Achievement(Task 2ではTask Responseと呼ぶ)は、手っ取り早く言うと「質問に答えているか」です。例えばTask 1では、問題文で「Make comparisons where relevant(適宜比較を行え)」と書かれています。つまり「AとBは数値が上がった一方、CとDは逆に下がっている」というような言い方をしないと質問に答えた事になりません。Task 2では、質問で問われている事と話が逸れてしまっていないか気を付けましょう。

竹林先生

更に、「アカデミック」なライティングにするためには、自分の意見を支える充分な「理由付け」と適切な「具体例」が必要です。また、言うまでもないですが、イントロ、本論2つか3つ、そしてまとめ、の段落分けが出来ているかも重要です(Task 1はわずか150語なのでまとめの段落は無くてもOK)。どれか無い段落があると、採点官から見て印象が悪くなってしまいます。

では自分の書いたライティングを、以下のチェック項目と共に見てみよう:

  • 「Task Achievement」を自己チェック!
  • ■ 時間内(Task 1とTask 2合わせて60分以内)で書けたか?
  • ■ 文字数(Task 1は150語以上、Task 2は250語以上)書けたか?
  • ■ イントロ、本論2つか3つ、まとめ、それぞれの段落があるか?
  • ■ Task 1で書いた内容は、グラフの内容と全て一致するか?
  • ■ Task 1では、読む人に分かりやすい構成で書けているか?
  • ■ Task 1では、何かと何かを比較できているか?
  • ■ Task 2では、質問からずれた記述が無いか?
  • ■ Task 2では、自分の主張の理由付けや具体例は適切か?

② Coherence & Cohesion

竹林先生

2つ目の採点項目「Coherence & Cohesion」。名称だけ聞いてもピンと来ないかもしれません。こちらはかなり広い評価されるので、やや複雑です。まず、Coherenceは「首尾一貫性」という意味ですが、色々な意味での首尾一貫性です。例えば話が矛盾していないか。それぞれの段落の長さが同じくらいの長さか。また、話し言葉と固い文語表現が混在していないかも重要なポイントです。「This is, needless to say, remarkably important.」とかなり文語的な表現をした後に、「So, it’s so good, of course.」などカジュアルな言い方が出てしまえば、文法的には誤り無しですが、Coherence & Cohesionで減点されるでしょう。

竹林先生

Cohesionは「文の結束性」などと日本語訳されますが、こちらは linking wordsを使っているかどうかです。linking wordsとは、however, therefore, as a resultなど、文と文をつなぐ、いわゆる「文全体を修飾する副詞」などです。これらの語句を多すぎず少なすぎず使えているかが、高スコアの鍵となります。

竹林先生

では「多すぎず少なすぎず」とは何個くらい?と思うでしょう。残念ながら、確固たる個数が規定されてるわけではなく、単に「ネイティブが読んだ時に『多いな』と感じるか否か」なのです。ご自分のライティングを読んだ時に、「ちょっと多くてしつこいかも」と思ったら要注意。どんな表現も、使い過ぎは逆に減点になります。
  • 「Coherence & Cohesion」を自己チェック!
  • ■ Task 1では、イントロの「Overview(全体像)」と、本文で述べた事が完全に一致するか?
  • ■ Task 2では、イントロと結論で述べた事に温度差は無いか?
  • ■ 各段落の長さはおおよそ同じか?イントロが本論より長くなっていないか?
  • ■ 固い文語表現と、話し言葉(スラング)がごちゃ混ぜになってないか?
  • ■ 様々なlinking words(できればFirst, Second, In conclusion以外)が使えてるか?
  • ■ linking words、その他特定の単語や表現を使いすぎていないか?

③ Lexical Resource

竹林先生

3つ目は「Lexical Resource」。平たく言えば「語彙力」です。語彙力と言っても、著しく難しい単語や熟語を使う必要はありませんし、ましてや専門用語を使う必要もありません。妙な専門用語は、逆に採点官が知らない危険性があるので、むしろ使わないで下さい。ここで言う語彙力で大切なのは、「言い換え」と「コロケーション」。書く際はこの2つを意識しましょう。「言い換え」とは「同じ単語を使いすぎない」ことです。例えば、学校に関して問われたライティングで「学校というものは~」と言いたい時に、「School is ~ 」「School can ~ 」などと「school」という言葉を何度も使うのではなく、例えば This educational facility(この教育施設)、This institution for kids to learn(この、子供が学ぶ為の機関)などと言い換えれば、語彙力でのスコアアップにつながります。また、同じ単語の使い過ぎは、Coherence & Cohesionの減点にもつながってしまいます。

竹林先生

とはいえ、schoolという単語を2度以上使ってはいけないということではありません。schoolという単語があなたのライティングに10回出たなら、そのうち2~3個ほどを上記のような言い換えをしてみる、その程度の頻度で構わないでしょう。

竹林先生

そして「コロケーション」。こちらは、単語の組み合わせのこと。よくあるのが「形容詞+名詞」の組み合わせです。例えば「Our society」と書くだけではなく、our modern society(現代の社会)や、our evolving society(変わりゆく社会)など、名詞(society)に何か形容詞や分詞を付ければ、コロケーションとして評価してくれます。自分の書いたライティングにコロケーションが複数入っているか、チェックしてみましょう。
  • 「Lexical Resource」を自己チェック!
  • ■ 同じ単語を何度も使っていないか?(言い換えはしたか?)
  • ■ コロケーションを1つのライティングに複数入れられているか?

④ Grammatical Range & Accuracy

竹林先生

最後に、文法です。文法は、この項目名からも分かるように、「Accuracy(正確さ)」のみならず「Range(幅)」が問われているのがミソです。「いろいろな文法」を使える必要があるのです。とりわけIELTSのような、海外の英語試験が文法面でチェックしているとされるのが「複文」があるか否かです。複文とは、「従属接続詞」または「関係詞」が入った文のこと。従属接続詞とは、because, if, while, when, although, unlessなど、主節を修飾する節を補う時に使う物で、同じ接続詞でもand, but, soなどとは異なります。この従属接続詞と関係詞を両方使う事は、Grammatical Range & Accuracyで6.0以上取るには不可欠だと思ってください。

竹林先生

また、その他にも分詞構文、現在完了や過去完了、仮定法など入れられる文法はなるべく入れてみましょう。1文1文の長さも、1行以上に及ぶ長い文から、5語程度から成る短いものまでバランスよく入れてみましょう。正確さも、もちろん大切です。特に日本人に多いミスは、①時制の不一致、②3人称単数のSを動詞に付け忘れる、③単数形の名詞に冠詞が付いてない、の3つです。特に注意して見てください。
  • 「Grammatical Range & Accuracy」を自己チェック!
  • ■ 複文(従属接続詞と関係詞)を両方入れたか?
  • ■ 長いのから短いのまで、様々な長さの文が入ってるか?
  • ■ 動詞の時制は正しいか?
  • ■ 主語が3人称単数の時に、現在形の動詞にSを付け忘れてないか?
  • ■ 単数形の名詞が無冠詞になっていないか?
  • ■ その他文法ミスは無いか?

まとめ

ライティングの添削をするには?(今日のまとめ)

自分でライティングを添削するのは、こんな人におススメ!
■ コストをなるべく0にしたい人
■ 自分で自分のミスに気付ける上級者な人
■ 自分のペースで勉強したい人

添削サービスを利用するのは、こんな人におススメ!
■ コストを低めに抑えたい人
■ スクールに通う時間がもったいない人
■ 自分以外の人からフィードバックが欲しい人

ライティング対策授業の受講は、こんな人におススメ!
■ わからない所を全部質問したい人
■ 信頼できる講師からフィードバックが欲しい人
■ 自分1人ではモチベーションが続かない人

自分で添削する際に気を付けること:
① Task Achievement(質問に答えているか)
② Coherence & Cohesion(一貫性と、文の流れ)
③ Lexical Resource(語彙力)
④ Grammatical Range & Accuracy(文法力)
※ ①~④の更に細かいチェック項目は、上へスクロールしてご覧ください。

難関と言われるIELTSのライティングも、「IELTSが何を求めているか」を攻略すれば、必ずスコアが上がります! そして自分に合った勉強法でやるというのもすごく大切なことです。独学でやるか、添削サービスにするか、それとも授業を受けるか、自分のご要望に合わせて選んで下さいね。

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