2020/05/01

IELTSスコアの仕組みを解説!日本人の平均6.0はどんなレベル?

この記事を書いた人

バークレーハウスIELTS講師
竹林 駿 Suguru Takebayashi
米国ミネソタ州立大学大学院修了。専門はライティング。大学院在籍時は英語で詩を執筆し、米国の文芸雑誌に応募していた。勉強の傍ら、Diversity Councilにてファシリテーターとしてボランティア活動にも従事し、米国の中学高校などで人種差別などをテーマにしたセミナーに「留学生(=外国人)」として自ら登壇した。帰国後は英検、TOEIC、大学受験などの英語指導に携わったほか、2019年度から都内の私立大学でも教鞭を取る。IELTSでは、4技能(L, R, S, W)全てのセクションで8.0以上を取得。英検1級、TOEFL iBT MyBest 119点。

皆さん、こんにちは!

さて今回は、IELTS未受験者必見の、「スコアの仕組み」を徹底解説していきます!

  • IELTSのスコア構成はどういう仕組みなのか
  • 他の英語試験と比べてレベルはどうなのか
  • IELTSのスコアが何点だと何ができるのか、どのくらいのレベルなのか

といったことをご紹介します。

自分の目的達成のため、スコアはいくつ必要なのかをイメージしてみてください。

竹林先生

さらに、日本人の平均スコア「IELTSオーバーオール6.0」て、どれくらいの英語力なのか?という疑問にもお答えします。未受験の方でも、自分の今の立ち位置や、今後の勉強プランが見えてきますよ。
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目次

IELTS スコアの仕組み

IELTSの評価は「合否」ではない

竹林先生

まず、IELTSを受ける上で覚えておいてほしいことは、IELTSは英検などと違い、「合否」があるわけではない、ということです。自分の英語力に応じた点数が付与されます。

リスニングとリーディングの合計990点満点で点数が出る「TOEIC」と同じ方式ですね。

竹林先生

そうです。ただ、スコアの出し方は少し独特で、990点満点なわけではなく、「9.0」が最高です。また、TOEICとの違いは、IELTSは4技能(リーディング、リスニング、スピーキング、ライティング)のテストで構成されています。

IELTSでは4技能の能力を測れるため、かつての大学受験における「センター試験」に代わる民間試験の1つとして、学校教育の現場でも注目され始めています。

4つのバンドスコアとオーバーオールスコア

竹林先生

IELTSを受験すると、9.0を最高とし、0.5刻みで4技能のスコアがそれぞれ付与されます。このスコアの事を「バンドスコア」と言います。
ReadingListeningSpeakingWriting
9.09.09.09.0
8.58.58.58.5
8.08.08.08.0
7.57.57.57.5
7.07.07.07.0
6.56.56.56.5
6.06.06.06.0
5.55.55.55.5
5.05.05.05.0
4.54.54.54.5
4.04.04.04.0
3.53.53.53.5
3.03.03.03.0

竹林先生

この4つのバンドスコアの平均値を算出し、それによってあなたの総合点が決まります。

この4技能の平均値から割り出した総合点のことを「オーバーオール」と言うんですよね。

竹林先生

ここで気を付けるのが、スコアは9.0, 8.5, 8.0 …となるため、0.25単位で切り下げ、切り上げを行うということです。4つの平均が5.25であった場合、あなたのオーバーオールは「5.5」に上がり、平均が5.24であったら「5.0」に下がります。言葉で言われても分かりにくいと思うので、以下の表と例を見てください。
スコアは0.25刻みで「切り下げ」「切り上げ」を行う
4技能のスコアの平均値オーバーオール
9.0〜8.75→ 9.0
8.74〜8.25→ 8.5
8.24〜7.75→ 8.0
7.74〜7.25→ 7.5
7.24〜6.75→ 7.0
6.74〜6.25→ 6.5
6.24〜5.75→ 6.0
5.74〜5.25→ 5.5
5.24〜4.75→ 5.0
4.74〜4.25→ 4.5
4.24〜3.75→ 4.0
3.74〜3.25→ 3.5
3.24〜2.75→ 3.0

Aさんの場合

RLSW4つの平均値Overall
6.06.56.05.05.876.0

Bさんの場合

RLSW4つの平均値Overall
3.55.04.04.04.124.0

こんな感じになります。

IELTS 日本人の平均スコアは?

日本語話者のIELTS受験者の平均スコアは、IELTSが公式に発表している母国語別ランキングによると、以下のようになっています。

日本語話者の平均スコア
Reading:6.1   Listening:5.9   Speaking:5.6   Writing:5.4   Overall:5.8

竹林先生

ご覧のように、日本語話者のオーバーオールの平均は「5.8」となっています。ただ、前述のように、「5.8」というスコアは実際には存在せず、切り上げられて「6.0」として扱われますので、この記事では「6.0」として扱うことにします。

ではずばり、オーバーオールで「6.0」というのはどれくらいの英語力なのでしょうか?

TOEIC満点と比べて、このスコアは上なのか下なのか?

仕事で英語をよく使う人がIELTSを受けたらどれくらいのスコアになるのでしょうか?

竹林先生

オーバーオール及び4技能それぞれの日本人の平均スコアが、どれくらいの英語力なのかを解説していきましょう。

スコア別のレベルと評価

IELTSのスコアは、他の試験と比較してどのくらいのスコアに匹敵するのでしょうか?

そもそも、試験ごとに求められる技能や目的が違うため、単純に比較することは難しいのですが、目安としては以下の通りです。

IELTSTOEFL iBTTOEIC英検CEFR
118-120C2
8.5115-117
110-114C1
7.5102-109970-990
94-101870-9701級
6.579-93820-870B2
60-78740-820準1級
5.546-59600-740
35-45550-6002級B1
4.532-34500-550
-31450-490準2級
3.5300-440
291-2993級

日本人の平均「オーバーオール6.0」とはどれくらいの英語力か

竹林先生

他の英語資格試験とのスコア比較に関しては、絶対的に正しい換算方法が存在するわけではありませんが、平均的に考えると、IELTSの「オーバーオール6.0」というスコアは、おおよその目安として、以下のようなスコア帯に収まると思われます。
  • TOEIC(L&R) 740〜820点程度
  • 実用英語技能検定準1級(合格者の中では上位)
  • TOEFL iBT 60〜80点程度

また、IELTS公式の解説によると、IELTSの「オーバーオール6.0」の英語力は、以下のように定義されています。

Band 6 = Competent User / “Has generally effective command of the language despite some inaccuracies, inappropriacies, and misunderstandings. Can use and understand fairly complex language, particularly in familiar situations.”

(訳:Band 6 = 有能なユーザー / 多少不正確さ、不適切さ、誤解はあるものの、全般的に英語を効果的に使いこなす。特に慣れた状況においては、かなり複雑な言葉を使い、また理解することができる。

竹林先生

これらの情報を踏まえると、日本人受験者の平均である「IELTSオーバーオール6.0」の英語力とは、こんな感じです ↓↓
  • 易しいトピックであれば4技能において滞りなく意思疎通ができる
  • やや難解なトピックにおいても、ある程度は柔軟に意思疎通をこなせる
  • 難解なトピックでは誤解をしたり、ネイティブから見て不自然な表現をしたりする事が増える

竹林先生

日本人の英語学習者の中で言えば、明らかに「平均以上」と言えます。英語が好き、または仕事や受験で高度な英語が必要でかなりガッツリと英語の勉強を続けてきた人と言えるでしょう。

つまり、日本人でIELTSを受ける人たちは、相当な力を付けてきてから受験しているのだろうと推測できますね。

自分には「オーバーオール6.0」で充分か?

竹林先生

IELTSを受ける理由は人それぞれだと思いますが、一般的に留学目的で受ける方が多いと思います。あくまで目安にすぎないですが、目的別ではオーバーオールで以下くらいのスコアが求められます。
  • 短期・語学留学 = 5.0〜5.5 程度
  • 日本国内の大学(帰国子女枠など)= 5.56.0 程度
  • 英語圏の国の大学に入学 = 6.06.5 程度
  • 英語圏の国の超難関大学に入学 = 7.0 程度
  • 英語圏の国の大学院に入学 = 7.07.5 程度

竹林先生

何度も言いますが、IELTSで何点が必要かは各教育機関によって異なるので、自分の行きたい大学が決まったら、そちらのサイトで確認して頂いたほうが安全です。

竹林先生

と、断った上で解説すると「オーバーオール6.0」があれば、国内外問わず多くの大学に願書を出せるレベルです。一方、世界の大学ランキングでトップ50に入るような、名門校に行きたいなら、もう少し上、「7.0」があると安心です。

海外の大学院に進みたい場合は、7.0〜7.5が求められることが多いようです。

竹林先生

尚、IELTSの「オーバーオール7.0」は、英検で言うと1級、TOEICで言うと900点以上レベルとされています。

ではここからは、4技能の各セクションの日本人の平均スコアが、どれくらいの英語力に匹敵するかを見ていきましょう。

日本人の平均「リーディング6.0」はどれくらいの英語力か

読書をする女の子

竹林先生

前述のように、日本語話者のIELTSのリーディングの平均バンドスコアは「6.1」です。実際には切り下げになって「6.0」というバンドスコアが付与されるので、「6.0」として解説します。

竹林先生

では、日本人受験者の平均である、IELTSの「リーディング6.0」の英語力はどれくらいか。まず、リーディングは計40問出題され、うち23~26問正解するとスコアは「6.0」になります。
リーディング バンドスコア6.0 = 40問中23〜26問正解

IELTSアカデミック(大学・大学院入学希望者向け)リーディングスコア表

バンドスコア正解数(40問中)
9.039〜40
8.537〜38
8.035〜36
7.533〜34
7.030〜32
6.527〜29
6.023〜26
5.519〜22
5.015〜18
4.513〜14
4.010〜12
3.58〜9
3.06〜7

竹林先生

受験者全体の平均点により多少の変動が起こることもあるらしいですが、おおよそ上記のようなスコア変換です。1つの目安として見て頂きたいですが、IELTS「6.0」を他の英語試験の長文読解力と比較すると↓↓
  • TOEICのリーディングで495点中、400点前後が取れる
  • 英検準1級の長文(文法25問除く)問題で6〜8割取れる
  • TOEFL iBTのリーディングで30点中、20点前後が取れる

また、普段どれくらい英語をやっているかで言えば↓↓

  • 中級~難関大学受験レベルの長文読解問題を勉強したことがある
  • 英字新聞(学習者用ではなく本格的な)を日頃から読んでいる
  • 英語で書かれた学術論文などを読む機会がよくある

上記のような方は、IELTSのリーディングで6.0に届くポテンシャルがあります。

  • 一方、以下のようなケースは、今すぐに6.0に届くかは微妙です。
  • × 外国人の友達とSNSで英語でやり取りをしている
  • × 仕事上、英語で書かれたメールや短い書類を読んでいる
  • × 幼少期を海外で過ごした帰国子女である

竹林先生

これらのケースは、IELTSのリーディングに対応する力を養うのはやや困難かと思います。なぜなら、IELTSのリーディングは「アカデミック」のため、内容も、歴史、科学、経済など固いトピックが多く、また問題も非常に巧妙な引っかけを仕組んでくるので、友達や同僚と交わす短い英文を読むのに慣れているだけでは、ほぼ太刀打ちできません。

帰国子女であるのも不充分ですか?

すごく英語ができそうなイメージですが。

竹林先生

高校卒業くらいまで外国にいたり、国内のインターナショナルスクールに通っていたりする場合は大丈夫ですが、外国にいたのが幼稚園か小学校までとかだと、大学や大学院レベルの読解力が必要なIELTSで、6.0以上の高得点が取れるかは微妙だと思います。

意外とリーディングの「6.0」は道のりが長そうですね。

IELTSの専用の対策、もしくはそれと同等の英語試験の勉強をやることが重要なのでしょうか。

竹林先生

そうですね。IELTSのリーディングの引っ掛け問題は独特です。本文の表現と、問題文の表現が全く異なっていても、その2つが同じことを言っていることに気づく必要があります。例えば、本文で「animals’ extinction(動物達の絶滅)」とあり、問題文で「many species are disappearing(多くの種が消えつつある」とあったら、一応ほぼ同じ事を述べていますね。

被る単語は1つも無いのにほぼ同じ意味・・。

そうした「言い換え表現」に瞬時に気づく必要があるのですね。

竹林先生

そうです。更に言えば、それに加えて英字新聞や論文のような、固めの英文に触れる機会も徐々に増やして行って欲しいです。もしそれらが無ければ、Wikipediaの英語版とかでもOKです。例えば歴史上の人物や世界遺産をWikipediaで検索し、その記事の英語版を読む。こちらも、ほんの5分でもいいから「毎日」やって下さい。

日本人の平均「リスニング6.0」はどれくらいの英語力か

リスニング中の画像

次に、リスニングです。

竹林先生

IELTSの公式発表によると、日本語話者のIELTSリスニングの平均バンドスコアは「5.9」です。実際には「6.0」に切り上げになるので、ここでは「6.0」として解説します。

IELTSのリスニング「6.0」はどれくらいの聞き取り能力なのでしょうか。

竹林先生

他の英語試験との対比ですが「6.0」という数字はリーディングの時と同じなので、前出のリーディングのコーナーを見て頂くとイメージつくと思います。リーディングの時と同様、リスニングも出題されるのは40問。そのうち23~25問正解できればバンドスコアは「6.0」になります。
リスニング バンドスコア6.0 = 40問中23~25問正解

IELTSリスニングスコア表(Academic / General共通)

バンドスコア正解数(40問中)
9.039〜40
8.537〜38
8.035〜36
7.532〜34
7.030〜31
6.526〜29
6.023〜25
5.518〜22
5.016〜17
4.513〜15
4.010〜12
3.58〜9
3.06〜7

竹林先生

IELTSのリスニングは、リーディングほど高い語彙力は必要としません。「6.0」が取れる人は、おおまかに以下の様な「強み」がある傾向があります。
リスニングで「6.0」が取れる人の強み:
■ 音源で言っていることが半分以上聞き取れる
■ アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語、どのなまりにもあまり抵抗が無い
■ 簡単な会話表現はおおよそ理解できる
■ 英検準2級レベルの単語は一通り正しいスペルで書ける(空欄補充問題があるため)

一方で、スコアが「6.0」の人は、以下の様な弱みがあると言えます。

リスニングで「6.0」を取る人の弱み:
■ 聞き取れてはいるが、引っ掛け問題に引っ掛かってしまう
■ 問題文を読むのがやや遅い、または読んでも誤解することがある
■ 聞き取れない会話表現が出ると、引きずってその後の内容が把握できなくなる
■ 英検2級以上の単語になると、スペルに自信が無い

竹林先生

IELTSのリスニングで「6.0」を取る、すなわち40問中23問以上取れるようにするには、最低限必要なことは「英語が聞き取れる」ことです。引っ掛け問題に多少引っ掛かってしまっても、スペルミスで点を落としても、流れる英語の半分以上が聞き取れていれば、「6.0」というスコアを取ることは決して不可能ではありません。

聞き取り能力に自信の無い方は、どうしたらいいでしょうか?

竹林先生

リスニング音源の英語を真似ながらみずから音読すると良いですよ。こちらも5分でも構わないですから「毎日」やりましょう。

誰かと英語を話す練習もあった方がいいですか?

竹林先生

それも効果的です。自分が話せることで聞き取り能力が飛躍的に上がります。

英会話は、やはり英語のネイティブとやった方がいいですよね?

竹林先生

そうとも限りません。実際IELTSのリスニングでは、留学生役として英語がたどたどしいスピーカーが登場することもあります。少しなまった英語にも慣れておく方が、IELTSでは強みになることもあるのです。

IELTSの過去問を解く上で、「引っ掛け問題が多い」とおっしゃいましたが、どんなことに気を付けて勉強すればいいでしょう?

竹林先生

特に気を付けたいのが選択問題です。「おとり」の情報を仕組んでくるからです。「会議は月曜の予定だったけど、急遽火曜にやることに変更したよ。来月からは毎週水曜開催になるけどね」と言われたら、今週の会議はいつですか?

「火曜」ですね(笑)。

「おとり」の情報にまどわされないよう意識すれば「6.0」達成できますか?

竹林先生

最初のうちは「意識」してても引っ掛かると思います(笑)ただ、これに惑わされないよう意識して練習を重ね、それから本番に臨むのと臨まないのでは、初受験でも大きな差が出るでしょう。

いきなり結果が出るのは難しいですもんね。

「意識」していれば徐々に変わっていく、ということですね。

日本人の平均「スピーキング5.5」はどれくらいの英語力か

IELTS スピーキング試験

竹林先生

日本語話者のスピーキングの平均バンドスコアは「5.6」です。実際のスコアでは「5.5」に切り下げになるので、「5.5」というスコアがどれくらいのスピーキング力かを見ていきます。

IELTSのスピーキングは、以下の4つの項目で評価されます。

IELTSスピーキング4つの評価項目
■ Fluency & Coherence(流暢さと首尾一貫性)
■ Pronunciation(発音)
■ Lexical Resource(語彙)
■ Grammatical Range & Accuracy(文法の幅と正確性)

竹林先生

採点官は、以上4つの項目それぞれに、9.0を最高として8.0、7.0・・と1点刻みのスコアを付け、その平均値があなたのバンドスコアになります。

この4つの項目をバランスよく磨いていくことが大切ですね。

竹林先生

その通り。例えば、発音が良くても、文法に誤りが多ければ、当然全体のバンドスコアはあまり上がりません。

では、日本人受験者の平均である、IELTSスピーキング「5.5」は、他の英語試験と比べると何点くらいになるのでしょう?

竹林先生

スピーキングに関しては、他の英語試験と比較するのは、かなり困難です。その理由は以下の通りです。
  • TOEICは、一般にリーディングとリスニングしか無い
  • 英検は、試験官が日本人なので(1級ではネイティブも加わるが)、日本語訛りの英語を大目に見てくれる
  • TOEFL iBTは、英文を読んで聞いて情報をまとめるIntegrated Speakingという試験が含まれ、その内容の正確さも問われるので、IELTSとは試験内容が異なる

竹林先生

このため、IELTSスピーキングの「5.5」は他の試験で言うと「〇〇点」という言い方はほぼ無理ですし、また意味もあまり無いでしょう。

竹林先生

英語力で言うと、「5.5」というスコアの人の話す力には、一般的に言って以下のような「強み」と「弱み」があると言えます。
スピーキングで「5.5」が取れる人の強み:
■ 発音に強いなまりがあるが、何て言っているかはほぼ全て相手に伝わる
■ 英会話教室に通ったことがあるなど、英語を人前で話すことに抵抗が無い
■ 質問を受けてからあまり時間をおかず、比較的すぐ話し始めることができる
スピーキングで「5.5」を取る人の弱み:
■ 最低限の英語で文章を作っており、ワンランク上の語彙や文法にチャレンジしない
■ 話をあまり掘り下げない、具体例に乏しい、話が短い
■ ネイティブから見て、不自然なイントネーションや間の取り方が見られる

竹林先生

IELTSスピーキングの「5.5」は、相手に英語で意思を伝えるための最低限の能力が備わっている状態です。「5.5」を目指すという方は、まず英語を声に出して話すことに慣れましょう。家で1人で練習するときも、必ず声に出してください。声に出すのを恥ずかしがる人は、おそらく4点台で終わります。

1人で練習するのも声に出した方がいいんですね。

本番でうまく話せなくなった時は、面接官が「×××じゃない?」「私の場合は○○〇だけどあなたの場合は?」みたいにヘルプを入れてくれますか?

竹林先生

それはありません。IELTSの面接官は、基本的にただ「聞く」だけです。無愛想にすら感じるかもしれません。だから、こっちがしゃべらないと沈黙になりますから、とにかく「自分から話す」ことが求められます。

竹林先生

「5.5」が目標の人は、初めは日本語でもいいので、「しゃべり続ける」ことに慣れましょう。トピックは「好きな食べ物」「自分のふるさと」など簡単なものでいいので、15~30秒しゃべり続けてみる、それを毎日1日5~10セットくらい。それに慣れたら英語でやってみましょう。

日本人の平均「ライティング5.5」はどれくらいの英語力か

英作文をライティング中の様子

最後は、ライティングの解説です。

竹林先生

日本語話者のライティングの平均点は「5.4」です。「5.5」に切り上げて解説します。

竹林先生

IELTSライティングのスコアも、スピーキングと同様、4つの評価項目があり、その平均値があなたのバンドスコアになります。
IELTSライティング4つの評価項目
■ Task Achievement(タスクの達成度)
■ Coherence & Cohesion(話の首尾一貫性と文章同士の結束性)
■ Lexical Resource(語彙)
■ Grammatical Range & Accuracy(文法の幅と正確性)

日本人平均のIELTSライティングは「5.5」ですが、これは、英語圏の高等教育が学生に求める最低限のライティングを心得ている、といったレベルです。

このレベルの人としては、以下のような特徴があると言えます。

ライティングで「5.5」が取れる人の強み: 
■ 文字数(Task1は150語以上、Task2は250語以上)に届いている
■ 段落分けが適切に行えている
■ 質問に答えている
ライティングで「5.5」を取る人の弱み: 
■ 最低限の英語で文章を作っており、ワンランク上の語彙や文法にチャレンジしない
■ 話をあまり掘り下げない、具体例に乏しい

竹林先生

IELTSライティング「5.5」は、英語で文章を書くことにある程度慣れている人のスコアと言えます。「対策をせずぶっつけ本番で書いた」という状況では、このスコアに届くことは難しいでしょう。また、上記の「強み」の欄にある3つの項目は、英語圏の大学・大学院で広く定着しているライティングの「型」であり、まずはこれを会得する必要があります。

つまり、外国人の友達とチャットをしているとか、仕事で短めの英文のメールを打つことがある、などのライティング力ではまだ足りないということですね。

竹林先生

そう思います。まずはこの「型」に慣れるために、本番前に複数回実際にライティングを書いてみましょう。「5.5」を取るには、高いレベルの文法や語彙は必要とせず、最低限の英語力(文法は中学生レベル、語彙は高校1~2年生レベル)で構いません。

竹林先生

この「実際に書いて練習する」ことの効果を甘く見てはいけません。採点官は、受験者が日ごろ英語を書くことに慣れているか否かを見抜いてしまいます。単語帳を日々見るなどの努力をしても、ライティングを書く練習をしないで受けると、4点台を取ってしまう受験者はざらにいますし、3点台になってしまうことも少なくありません。

分かりました・・!

やはり何事も、練習あるのみですね。

初めての受験、どれくらいのスコアが出る?

まだIELTSを受験したことがない方は、「自分がほぼノー勉で受験したらスコアはどれくらいだろう?」と思う方も多いと思います。

IELTS対策なんてしたことすらない!という方が受験したらどれくらいのスコアが出るか、目安として以下を参考にしてみてください。

  • 質問に「はい・いいえ」でお答えください。
  • Q1. 現在英語を勉強中、or最後に英語を勉強(高校卒業等)してから1年未満である
  • Q2. 大学受験を経験し、中級レベル大学以上の勉強を真剣に取り組んだことがある
  • Q3. 今現在、実生活で日常的に英語を使っている(仕事関係、外国人とのチャット等)
  • Q4. 1000語近い英文を「読む」ことにさほど抵抗が無い
  • Q5. 1000語近い英文を「聞く」ことにさほど抵抗が無い
  • Q6. 200語程度の英文を「書く」ことにさほど抵抗が無い
  • Q7. 1分ほど英語で「話し続ける」ことにさほど抵抗が無い
  • Q8. 英検準1級以上、またはTOEIC740点以上を持っている
  • 「はい」の数が
  • 0~2個 → オーバーオール「4.5」以下
  • 3~5個 → オーバーオール「5.0」~「5.5」
  • 6~8個 → オーバーオール「6.0」~「6.5」

これらは、「ノー勉で」受けた場合のスコアの目安なので、IELTSの過去問でしっかり対策すれば、これ以上のスコアが出る可能性も十分あります。

独学での勉強のやり方は、このコラムに書いた事を参考にして頂けたら幸いです。

まとめ

IELTS日本人平均スコアの英語力のまとめ日本人平均「オーバーオール6.0」の英語力
 ・TOEIC(L&R)で言うと、740~820点程度
 ・実用英語技能検定で言うと、準1級合格程度
 ・TOEFL iBTで言うと、60~80点程度

■ 日本人平均「リーディング6.0」の英語力
 ・IELTSで40問中23~26問正解
 ・大学受験や英字新聞など、固めの英文も読める
 ・言い換え表現になっていても、言ってる事は同じだと多くの場合見抜ける

■ 日本人平均「リスニング6.0」の英語力 
 ・IELTSで40問中23~25問正解
 ・流れる英語の半分以上は聞き取れ、英検準2級レベルの単語は正しいスペルで書ける
 ・音源や問題文の内容を誤解したり、よく知っている単語でもスペルを間違うことがある

■ 日本人平均「スピーキング5.5」の英語力
 ・発音や表現力はやや不自然だが、何を言っているかはほぼ全て相手に伝わる
 ・英語を話すことに抵抗は無いが、やや話が短い
 ・使う語彙や文法が易しく、画一的である

■ 日本人平均「ライティング5.5」の英語力 
 ・文字数はクリアし、段落分けも適切で、質問にもある程度答えられる
 ・話をあまり掘り下げられない、or具体例に乏しい
 ・使う語彙や文法が易しく、画一的である

また、これからIELTS勉強を始める方のための、日本人平均点に届くための対策法は、こちら↓↓

日本人平均「リーディング6.0」に届くには
 ・固めの英文(できれば英字新聞や論文、無ければWikipediaでも可)を読んでみる(毎日!)
 ・IELTSの問題を実際に解き、違う単語でも同じことを指す「言い換え表現」に敏感になる

■ 日本人平均「リスニング6.0」に届くには 
 ・音源の英語を真似ながら、自ら英文を音読して聞き取り能力を上げる(毎日!)
 ・英検準2級~2級レベルの単語を正しいスペルで書けるかチェックしてみる
 ・IELTSの問題を実際に解き、「おとり」の情報がどれか見極めるよう意識

■ 日本人平均「スピーキング5.5」に届くには 
 ・1人でも相手とでも、大きな声で英語を話す練習をする(毎日!)
 ・発音は多少、日本人なまりでもよいので10数秒しゃべり続けるよう意識
 ・10数秒話し続けるのが難しければ、慣れるまで日本語でやっても可。日本語であれ英語であれ、1日5~10トピックはこなそう

■ 日本人平均「ライティング5.5」に届くには 
 ・時間内に文字数に届くことを意識し、実際に書いて練習する
 ・語彙や文法は最低限でもよいので、段落分けを適切に行い、聞かれている質問に答える

竹林先生

最初は不安もあるかもしれませんが、どんな高得点の人も、最初の第1歩を踏み出して今があります。皆さんも、それぞれの目標に向けて第1歩を踏み出してみましょう!
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