TOEIC Speaking & Writing Testsでは、一般的なTOEIC Listening & Reading Testには含まれていないスピーキングとライティングの2技能を測ることができます。
最近の大学入試や就職試験などで「話す・書く」の技能が重視される傾向にあります。
そのため、近年注目が高まっているテストです。
しかしどのように受験したら良いかわからない方や、どのような対策をすれば良いかわからない方も多いと思います。
今回は、ライティングテストの対策やおすすめの勉強法を紹介します。
TOEICライティングテストとは
TOEIC S&W Testsは、Speaking(話す技能)とWriting(書く技能)を測るためテストです。
ライティングテストはTOEIC S&W Testsの中の一つのセクションを指します。
TOEICには大きく分けて2種類のテストがあります。
受験者が一番多いのはTOEIC L&R Testです。
これはListening(聞く技能)とReading(読む技能)を測ることができ、TOEICテストといえばTOEIC L&R Testを指すことが一般的です。
近年、大学入試など英語力を測定する場面で「読む・聞く・書く・話す」を合わせた4技能を重視する傾向が強くなっています。
そのため、TOEIC S&W Testsの受験者数が年々増加しています。
TOEIC S&WとL&Rの両方のテストを受験することで、自分の4技能のレベルを示すことができます。
申込方法・受験料
TOEIC S&W TestsはTOEIC公式ホームページからインターネットのみで申し込みができます。
テストは毎月1回、日曜の午前と午後に1回ずつ実施されます。
公式ホームページよりスケジュールを確認し、受験したい日付を選んで申し込みましょう。
受験料は10,450円で、申込締切後に空席がある場合のみ期間限定で追加申し込みができます。
また、指定期間内に限り試験日・会場の変更とキャンセルができます。
追加申込期間中に申し込んだ場合はキャンセルや変更が一切できないため注意しましょう。
- 申込方法:インターネットのみ
- 受験料:10,450円(税込)
- 追加申込期間の受験料:13,200円(税込)
- 変更手数料(試験日・時刻/会場変更):2,750円(税込)
- キャンセル料:5,000円(税込)
試験時間・問題数
TOEIC S&W Testsの試験時間は、Speaking Testが約20分、Writing Testが約60分で行われます。
Speaking TestとWriting Testの間に途中休憩はないため、注意しましょう。
Writing Testの問題数は全部で8問出題されます。
文法や単語・熟語を正しく使えているかという基本的な部分以外にも、語彙力や文章の構成力が問われます。
そのため、試験前にさまざまなテーマの英作文に慣れておくことも重要です。
点数
TOEIC S&W Testsの点数は10点刻みの200点満点です。
Speaking, Writingともに各0〜200点のスコアで表示されます。
難易度
ライティングテストの日本の平均スコアは2020年度データによると、133点です。
TOEIC L&R Testに置き換えると625〜690点のスコアレンジにあたります。
問題形式に慣れていれば点数が取れるTOEIC L&R Testとは違い、ライティングは英文を書くうえでのルールや表現方法を身につける必要があります。
英文でメールや提案書を作るなど、日常的に英作文をしていなければTOEIC L&R Testに比べて難しく感じるでしょう。
語彙力や文法知識はもちろん、設問の読解力や文章構成力、そして自分の意見を論理的に述べる能力が求められます。
そのため、どんな設問でも対応できるよう作文練習をすることをおすすめします。
テスト結果
TOEIC S&W Tests受験後は、インターネット上で結果が確認できます。
試験日から17日後にTOEICの公式サイトで結果を見ることができます。
また、受験後30日以内にOfficial Score Certificate(公式認定証)が受験者宛に発送されます。
問題形式と時間配分
ライティングテストで出題される問題形式と時間配分を表でみていきましょう。
内容 | 問題数 | 解答時間 | 課題概要 | 評価基準 | 採点スケール |
Write a sentence based on a picture (写真描写問題) | 5 | 5問で8分 | 与えられた2つの語(句)を使い、写真の内容に合う一文を作成する | ・文法 ・写真と文章の関連性 | 0〜3 |
Respond to a written request (Eメール作成問題) | 2 | 1問/10分 | 25〜50語程度のEメールを読み、返信のメールを作成する | ・文章の質と多様性 ・語彙 ・構成 | 0〜4 |
Write an opinion essay (意見を記述する問題) | 1 | 30分 | 提示されたテーマについて、自分の意見を理由あるいは例とともに記述する | ・理由や例を挙げて意見を述べているか ・文法 ・語彙 | 0〜5 |
写真描写問題
“Write a sentence based on a picture”(写真描写問題)では5問出題されます。
画面に表示される写真について、写真下部に記載されている2つの単語を使って描写する問題です。
記入できる英文は一文のみで、必ず記載された2つの単語を使わなければなりません。
以下の例題では、写真の下に “airport terminal”, “so” の2つの単語が記載されています。
これを使って、 “There are so many cars parked at the airport terminal.” といった文章を入力します。
使う単語の順番は問われず、動詞の活用や複数形への変化など形を変えることも自由です。
評価基準は以下となります。
- 正しい文法で記述されていること
- スペルミスがないこと
- 写真との関連性があること
- 指定された単語をすべて使っていること
Eメール作成問題
2つ目は “Respond to a written request” (Eメール作成問題)です。
職場や学校でのやり取りを想定した25〜50語程度のE-mailを読み、それに対して指定された内容で返信をします。
以下の例題は、引越し先の市から「何か困ったことがあれば連絡してください」という内容のメールです。
これに対して設問では、最低2つのリクエストが含まれた返信文を作成するようにと記載されています。
この問題であれば、以下のようなリクエストの内容を記載します。
Dear ●●, Thank you for your e-mail.
I have something I would like to request you.
First, I like to watch movies, therefore I would like to get a city map to find some movie theatre in this city.
Second, I want to know which is the reliable real estate agent because I am looking for a new apartment.
Best regards,
この設問での評価基準は以下となります。
- 論理的な構成がされているか
- 接続詞を正しく使い、返信先にあった語彙を選択しているか
- 語彙力があるか
意見を記述する問題
最後の問題は、 “Write an opinion essay”(意見を記述する問題)です。
質問されている事柄に対して300語程度で自分の意見を述べる問題です。
その意見の支えとなる理由や例なども一緒に記述することが求められます。
例えば下記の例文だと「仕事を見つける最善の方法は何か」というものです。
この問題の評価ポイントは、以下となります。
- 文章の構成力、語彙力、文法力があるか
- 設問のとおりに自分の意見に対する理由や例を上げているか
スコアごとの英語力の目安
TOEIC S&W Testsは、TOEIC L&R Testに比べると対策情報もテキストも少ないです。
ライティングテストを初受験する際、どのスコアを目指して対策すれば良いかわからない方も多いと思います。
以下で、スコア別に英語力がどれくらいなのかを解説します。
200点
200点満点を取るには、以下の能力が求められます。
- 簡単な情報を的確に伝達することができる
- 理由や例を挙げて自分の意見の裏付けをすることができる
- 論理的で一貫性のある文章を書くことができる
- 的確な文法や単語を使い、明確に言いたいことを伝えられる
とくに意見を記述する問題では、自分の意見を支えるための理由や例を自分で考えて記述することが大切です。
またそれらがきちんと論理的な裏付けとなっているかが重要な評価ポイントになります。
170〜190点
170〜190点は、理由や例を挙げて意見を裏付けることができる点が重要です。
しかし、同じ考えを繰り返し述べたり、文章の品質が良くないと減点の対象となります。
さらに文法上の小さな誤りや不適切な語彙を使用したり、語句選択による減点も多くみられます。
140〜160点
140〜160点は、情報の提供をしたり、質問や指示・要求をする能力はあります。
しかし、高得点のスコアバンドで必要となる「理由や例を挙げ、意見を裏付ける」という部分が不足しています。
ただし意見の裏付けがまったくできないわけではなく、部分的にはできていることが多いレベルです。
110〜130点
110〜130点は、理由や例を挙げて意見の裏付けをすることはできます。
しかし情報の提供や質問、指示や要求をする場合に重要な部分が抜けたり、わかりにくい部分があります。
また、文法や語彙・語句に関しても部分的に間違いが出てくるレベルです。
90〜100点
90〜100点は、情報の提供や質問、指示や要求をする場合に重要な情報が抜けていたりわかりにくい部分があります。
意見の裏付けに関しても、挙げている例や理由が不十分・不適切であると評価されています。
また文章同士の関連性が低く、文章構成も適切ではない場合があります。
70〜80点
70〜80点は、できることがさらに限られます。
意見を述べることや情報を提供する能力があまりなく、コミュニケーションに限界があります。
そして文章同士の関連性が低く、文章構成も適切ではないとされるレベルです。
50〜60点
50〜60点は、より意見を述べることや情報の提供する能力が限られています。
文法や語彙・語句選択の誤りが頻出しているレベルです。
40点
40点は、意見を述べることや情報提供することに必要な能力が限られています。
そのため、コミュニケーションがかなり難しい状況です。
また、自分の意見や情報の提供をするうえで重要な情報がまったく含まれていないことがあります。
意見を記述する問題ではライティングの設問内容を理解できず、大部分の解答もできないレベルです。
0〜30点
0〜30点は全問を通してライティングの大部分が解答できないレベルです。
解答ができないということは、設問内容も理解できていないということになります。
全体的な対策・勉強法が必要になるでしょう。
【問題形式別】TOEICライティング対策のポイント
ライティングテスト対策をするうえでのポイントをみていきましょう。
問題形式によって評価される基準や傾向が異なるため、3つの問題形式別にどのような対策をすれば良いのか解説します。
写真描写問題の対策
写真描写問題では、写真を見てその描写を簡潔に文章にすることが必要となります。
ここでは文法やスペルミスも致命的となります。
スペルミスのリスクを減らすためにも、できるだけ簡潔に写真の内容に沿った文章を作成することがポイントです。
また、作文をつくるうえでスピードも重要になります。
8分間に5つの作文を書くため、一文あたり90秒で作成しなければなりません。
そのため慣れない言葉を使って述べようとするのではなく、確実だと思う表現や文章構造で作文するよう意識しましょう。
タイマーをセットして練習問題をなるべく多く解き、時間配分になれるようにしておくことが必要です。
このパートはテスト中にあとから戻ることもできます。
時間がかかりそうだと思った場合は、一旦空白にして次の問題へ進むのも手です。
Eメール作成問題の対策
Eメール作成問題の場合は、必ず守らなければならない指示内容があるため設問内の “Direction” を読み込んでから解答する必要があります。
「返信に含むべき事柄」と「相手が求めている情報」を正確に理解することを心がけましょう。
以下のようなポイントをあらかじめ読み取っておく必要があります。
- どんなトピックで書かれているのか
- タイトルや件名といったヘッダー部分から、どういう状況なのかを読み取る
- 上司と部下なのか、友達同士なのかなど人間関係はどうなのか
また、英文メールには日本文のメールと同じく、決まったテンプレートがあります。
以下のテンプレートに沿って解答しましょう。
- 宛名
- 導入
- 本文
- 締めのあいさつ
- 差出人名(名前→部署名→会社名の順番で記載)
このパートの問題数は2問、解答時間は10分間のため、1問当たり5分のペースで進めなければなりません。
ただしこの問題は写真描写問題とは異なり、一つ回答して画面が切り替わると前に戻れなくなります。
意見を記述する問題
この問題は対策するうえで、もっとも時間をかけるべき難しい問題です。
まず設問を読んで自分の意見はなにかを決めるところから始めます。
文章を書くときの順番も大切になるため、構成を意識して書いてみましょう。
PREP法を使うと、まとまりが良い文章構成になります。
- Point:主張・立場(賛成か反対かなど)を明らかにする
- Reason:その理由を述べる
- Example:例を挙げる
- Point:文のまとめとして主張・立場を再度明らかにする
最初に主張を明確にし、その次に理由や根拠を述べ、例を挙げながら説明します。
そして文のまとめとして、最後に再度主張をする流れです。
この流れを何度も練習問題のなかで繰り返していくことが大切です。
問題には「300語程度からそれ以上記載してください」という指示があるため、300〜400語程度を目安に記載していきます。
初めて受ける方は慣れるためにも、200〜250語程度を目安に練習を始めてみると良いでしょう。
問題数は1問のみで30分間与えられますが、スペルミスや文法間違いが致命的となります。
記述が終わったあと、時間に余裕があれば何度も見直しをしましょう。
TOEICライティングのおすすめ勉強法
ライティングテストを受ける方におすすめの勉強法を紹介します。
すべての問題に共通していえることは、基礎的な単語や文法をおさらいしておくことです。
文法や語彙・語句の間違いが致命的となるため、スペルミスなどは減らしましょう。
基本的な文法をマスターしておく
書店には、ある程度頻出する単語や熟語がまとめられた単語帳やテキストがたくさんあります。
単語を覚える際、ただ暗記するのではなく例文とともに暗記したり、単語自体のイメージをもち、品詞ごとに覚えましょう。
英文法の勉強法は、基礎を復習してあやふやな部分をなくしていくことです。
ライティングの場合は正解が一つではありません。
身につけた文法や単語・熟語を使用して文章を書き、アウトプットすることで書く能力が伸びていきます。
自分だけで完結するのではなく、できればTOEIC対策経験のある講師に添削してもらいましょう。
不足している部分や不自然な部分が明確となり対策がしやすくなります。
意見を論理立てて書く練習をする
ライティングテストのなかで最大の難関は「意見を記述する問題」です。
論理的な文章を組み立て、読み手に伝わる文章を書いているかどうかが評価ポイントとなります。
上記のポイントをおさえるには構成力が必要となるため、ただやみくもに書き始めるのはおすすめしません。
英文エッセイを書く際には、前述したPREP法を使いながら書くのがおすすめです。
とくにReasonとExampleの部分は重要な評価ポイントとなっています。
高得点を目指す方はどんな質問内容でもここを外さないよう、文章を作成する癖をつけてください。
TOEICライティング対策におすすめの参考書
次にライティング対策をするうえでおすすめの問題集や参考書、スクールを紹介します。
【問題集】はじめてのTOEIC S&Wテスト完全攻略
初めてライティングテストを受験する初心者の方におすすめなテキストです。
本書では、ライティングテストを受けるうえで気をつけるポイントが書かれています。
そして困ったときの切り抜け方や鉄板テンプレートなど、初心者が知りたいノウハウが詰め込まれています。
このノウハウを使って、短期間で効率的に英作文の能力を上げることが期待できます。
ペーパーとオンラインで受けられる模擬試験がそれぞれ1回分ずつついています。
そのため、テキストを読み込んだあとの腕試しにピッタリです。
【問題集】TOEIC WRITINGテスト問題集
この問題集には、問題形式ごとに学習ポイントや注意点がまとめられています。
そのため、効果的な勉強方法をさらに詳しく知ることができます。
問題数も豊富なため、テキストの本文で得たノウハウを練習でき、数をこなして問題に慣れたいという方におすすめです。
【参考書】TOEIC スピーキングテスト/ライティングテスト公式ガイド
TOEIC公式のテキストのため、初級〜上級者の方まで一冊は持っておくことをおすすめします。
問題形式についての詳しい解説と練習問題2回分がついています。
本番前の予行演習として使用し、自分のレベルを再確認しましょう。
【スクール】TAC
ライティングテスト対策におすすめの英語スクールの一つは、「TAC」です。
初級〜上級者の方に向けて、対策方法をわかりやすく解説しています。
動画で講義を視聴し、自己学習をして理解度チェックを受けるという流れで全7回繰り返します。
テストの構造やポイントを理解しながら練習問題の数をこなせるため一石二鳥です。
講義動画はPC、スマートフォン、タブレットで受講期間であれば何度でも視聴できます。
そのため、講義を見逃す心配なくライティングスキルを上げられます。
【スクール】ワンナップ英会話
もう一つのおすすめスクールは「ワンナップ英会話」です。
実際に講師と一対一で会話をしながら学ぶことができるため、自分の質問や悩みを直接その場で相談し解決できます。
コーチングのほかに英会話レッスンもあるため、ライティングと併せてスピーキング対策もできます。
また自分で購入した教材が持ち込み可能なため、自分のレベルに合ったテキストで勉強をしたいという方にもおすすめです。
まとめ
今回はTOEIC S&W Testsのライティングテストの対策や勉強法を解説しました。
TOEIC L&R Testとは違い、TOEIC S&W Testsは少し難しく感じる方もいるかもしれません。
しかし、しっかりと対策をすれば必ず点数を取ることはできます。
問題をこなして英作文のパターンに慣れ、日常的に自分の意見を述べる練習をしておくことが大切です。
また、基礎的な文法や単語・熟語の勉強・復習は重点的に行いましょう。
英作文を書く際は、「読み手に伝わりやすい文章を書くにはどうしたら良いか」を意識しましょう。
そのためにはまず自分が何を言いたいのかを明確にすることです。
次に論理的に説明をすることを心掛けながら作文をするくせをつけていきましょう。
今回紹介した対策や勉強法を利用して、スコアアップを目指していきましょう。