公式オフィシャルサイトによれば、TOEIC Testsとは「日常生活やグローバルビジネスにおける活きた英語の力を測定する、世界共通のテスト」です。
TOEIC Tests には、聞く・読む力を測るListening & Reading Testと、話す・書く力を測るSpeaking & Writing Testsがありますが、この記事ではTOEIC Listening & Reading Testに焦点をあてていきます。
とくに、以下のような悩みを抱えている向けの内容をメインに取り扱っています。
- リスニングでマークしていないのに次の音声が始まっていた
- リーディングで時間が足りず、最後までたどりつけない
絶対に知っておかなくてはならない試験時間をおさらいし、試験時間内に終わらない原因を理解したうえで、各パートの時間配分やそれを決めるコツなどを紹介します
TOEIC受験者が必ず悩む「自分が決めた時間配分通りに終わらないときはどうすればよいか」についても解説します!
TOEICのテスト時間
TOEICは新型コロナウイルス対策の一環として、2020年10月から午前・午後の2部制を取り入れています。
それぞれのスケジュールは以下のとおりです。
午前 | 午後 | |
受付 | 9:25~9:55 | 14:05~14:35 |
試験の説明・音テスト | 9:55~10:20 | 14:35~15:00 |
試験 | 10:20~12:20 | 15:00~17:00 |
問題・解答用紙の回収 | 12:20~12:35 | 17:00~17:15 |
解散 | 12:35(予定) | 17:15(予定) |
TOEIC L&Rの試験時間は2時間です。続いては、各セクションの時間をみていきましょう!
リスニングセクション
リスニングセクションは全部で45分、4つのパートから構成されています。
写真描写問題のPart 1は、全体で約3分あります。
- 4つの選択肢の読みあげ:約20秒
- 答えの選択(次の問題の音声が流れるまで):約5秒
応答問題のPart 2は、全体で約10分です。
- 問いかけ文の読みあげ:約10秒~15秒
- 答えの選択(次の問題の音声が流れるまで):約5秒
そして、会話問題のPart 3と説明文問題のPart 4は、それぞれ約17 分です。
- 会話文および説明文の読みあげ:約40~50秒
- 質問の読みあげ:約5秒
- 答えの選択(次の問題の音声が流れるまで):それぞれの質問につき約7~8秒
ここで1つ注意しなければならないことは、リスニングテストはPart 1~4のすべてが終わってから、最後に見直しの時間やマークシートにマークする時間はありません。
つまり、前の問題に戻る時間はないので、わからない問題は適当にマークをして次に進みましょう。
試験時間 | 問題(選択肢)の音声 | 解答時間 | |
Part 1 | 約3分 | 約20秒 | 約5秒 |
Part 2 | 約10分 | 約10~15秒 | 約5秒 |
Part3/4 | 各Part 約16分 | 約40~50秒 (各設問の音声が約5秒) | 約8秒 |
リーディングセクション
リーディングセクションは、Part 5~7までの3パートを75分で解きます。
リスニングと違って、各パートが音声によって指示されるわけではないので、自分で時間配分をしていく必要があります。
理想的な時間配分の目安としてよくあげられるのは、以下のとおりです。
- Part 5(単文穴埋め問題)は、1問につき約30秒
- Part 6(長文穴埋め問題)は、1問につき約40秒
- Part 7(長文読解問題)は、1問につき約55秒
こちらはあくまでも目安なので、必ずしもこのとおりに解く必要はないですよ!
試験時間内に解き終わらない原因
リスニングは音声に沿って進むので、試験時間内に解き終わらないということはなかなかありません。
しかし、リーディングは時間内に解き終わらずに、最後の方は「塗り絵」(マークシートをただ塗りつぶすだけの作業)をして終わってしまった、という方はたくさんいると思います。
実際に、私が担当してきた受講生から受けた悩みでも「リーディングで時間が足りない」は断トツです。
以下では、試験時間内に解き終わらない原因について解説します。
時間配分のルールを決めていない
1つめの原因は、時間配分を決めていないことです。
それぞれのパートで1問解くのに最大何秒かけていいのかを知らないと、気付いたら次の質問が始まっていたり、残り時間があと10分だったりします。
また、Part 6で1問40秒、1つの文書に3分程度かけると理解していたとしても、普段勉強する際に時間を測って解いていないと、本番の試験で時間内に解き終わることはできません。
普段の勉強から時間配分を意識して演習することで、1問あたりに悩んでいい時間を体内時計にインプットさせましょう!
わからない問題に悩んでいる
2つめの原因は、解答の悩みすぎです。
とくにリスニングでは、悩んでいる暇はありません。
リーディングでは悩んだ時間をほかの問題で取り返せますが、リスニングはすべての問題でかけられる時間は均等です。
悩みすぎていると、次の音声が流れてきて、設問を確認する時間がなく、答えを選ばなければいけなくなります。
また、リーディングで時間が足りなくなる方は、問題文の強弱レベルを理解できていない可能性が高いです。
とくに、Part 5とPart 7で時間配分が狂ってしまう場合は、ほぼこのパターンです。
Part 5は4つの選択肢を見るだけで、そしてPart 7では問題を読むだけで、その問題の解きやすさが判断できます。
解きにくい問題に時間をかけすぎるくらいなら捨ててしまうのも手です!
時間が足りなくなって解ける問題を落としてしまうよりもスコアアップにつながります。
時間配分のコツ
リスニングは、Part 1〜Part 4のすべてのパートで、問題が始まる前にDirections (指示文)が流れます。
それぞれのパートで指示文の長さは違いますが、この時間を利用して写真や設問の先読みをすることは必須です。
また、リーディングでは問題の難易度を判断したうえで、残り時間を意識しつつ解き進める必要があります。
以下では、これらを踏まえたうえで各パートの時間配分について解説します。
Part1:写真描写問題
Part 1では、Direction (指示文)は約90秒流れます。
Part 1の写真が全部で6枚なので、90秒あれば何が写っているのかしっかり確認できます。
このときに注意すべきポイントは以下の3点です。
- 人が写っているのか、モノ・風景が写っているのか
- 人が写っている場合、1人なのか複数なのか、何をしているのか、どのような状況なのか
- モノや風景の場合、位置関係はどうなっているのか
Part2:応答問題
問題用紙には
“Mark your answer on your answer sheet.” (マークシートにマークしてください)
としか記載されていません。
つまり、先読みする問題がありません。
そのため、Directionが流れる約30秒は、Part 3の最初の1~2問を確認する時間に使いましょう。
Directionの時間はPart 3の設問に目を通しますが、Part 2の問題が始まったら全集中しましょう!
Part3:会話問題
Part 3では、およそ30秒のDirectionがあり、設問の先読みは必須です。
TOEIC対策本やWebサイトには「この30秒間で問題をできるだけたくさん確認できているとよい」と書いてあることもしばしばですが、990点満点をとった私からすると正直おすすめできません。
たくさん情報をインプットしてしまうと、1問目の内容を忘れ、結局もう1度設問を読むことになってしまいます。
もちろん記憶力に自信がある方は、Directionの30秒間でたくさん設問を読み進めていっても問題はありません。
しかし、そうでなければDirectionの間に確認するのは、多くても3~4問目までにしておいた方がよいです。
ただ、その後の問題をまったく確認しないというわけではありません。
Part 3では、会話が約40秒、各設問の音声が約5秒ずつ、答えをマークする時間として約8秒が与えられます。
つまり、設問1つにつき13秒時間があるということです。
設問を先読みしていれば、要点を把握したうえで会話文を聞けるため、うまくいけば質問ごとに8~10秒弱は稼ぐことができます。
そして、1つの会話につき質問は3問なので、トータルで20~30秒近くは取れるという計算になります。
Directionが流れている時間と同じだけの時間が確保できるため、かなり大きなアドバンテージです。
Part4:説明文問題
Part 4でも、Part 3と同様に設問の先読みはマストです。
こちらも上記と同じく、各設問の音声が約5秒ずつ、答えをマークする時間として約8秒与えられます。
これらの時間を使って次の問題の設問を読む時間に使いましょう。
Part5:短文穴埋め問題
Part 5は、単文穴埋め問題となっていますが、言い換えると文法問題です。
問題ごとに難易度のレベルが違い、レベル1もあればレベル100もあります。
また、問題文をすべて読まなくても解ける品詞問題もあれば、問題文をすべて読み文脈を理解したうえで選択肢を選ばなければいけない問題もあります。
さまざまなレベルの問題が、順不同に立ち向かってきます。
リーディングでは最初のセクションとなるため、時間はたくさん残されていますが、Part 5に時間をかけすぎるのは厳禁です。
1問につき30秒考えても歯が立たない場合は、適当にマークして次に進みましょう。
対戦ゲームで太刀打ちできない敵が現れたときに「逃げる」ボタンを押して、先へ進むのと同じです!
Part6:長文穴埋め問題
Part 6は、4つの文書が出題され、それぞれの文書に設問が4問で計16問になります。
Part 6は、設問によってはPart 5のように空欄部分の文章を読むだけで解ける問題もありますが、一目見てパッと判断することは難しいです。
文書を全部読まなければ解けない問題がほとんどのため、なかなか手ごわいパートになります。
Part 6にかけられる時間の目安は、約12分です。
文書を読み進めながら答えを選んでいかなければならないので、1問約40秒でタイムマネジメントをするよりも、1つの文書(設問4問)で約3分と考えておいた方がよいでしょう。
Part7:長文読解
Part 7は、Part 5と同様に問題の強弱レベルを見分ける必要があります。
また、それぞれの文書の読みやすさも考慮して時間配分をしなければなりません。
たとえば、表やアンケート結果のようなリストアップされているものや情報が整理されて記載されているものは、比較的時間をかけることなく答えを見つけることができます。
反対に、新聞記事などの文字ばかりの文書は、英文を理解する力も必要になりますし、処理しなければならない情報がたくさんあるので、どうしても時間がかかってしまいます。
基本的には1問55秒で解いていくことが理想ですが、問題の難易度に応じて臨機応変に対応する必要があります。
文書の読みやすさと設問の解きやすさの両方の観点から、この問題は30秒で解く、ここは1分かけるなど判断しましょう!
時間配分を考える際のポイント
時間配分の目安としては先ほど説明したとおりですが、この目安がすべての人に当てはまるわけではありません。
目標スコアや自分の得意不得意によって、どのように時間配分をするのか変わるので、自分に合った時間配分を考えることが大切です。
とくに時間配分について深く考えたことがなかった方は、自身に適した時間配分を意識するだけでもスコアアップにつなげられます。
以下では、時間配分を考える際のポイントについて解説します。
目標スコアから時間配分を考える
目標スコアによって適切な時間配分は変わります。
以下では、リスニングとリーディングのセクションごとに、時間配分の目安について紹介します。
リスニングの場合
リスニングは、正直なところあまり変わりませんが、より高いスコアを目指すのであればスムーズに進めていくべきでしょう。
大まかな目安としては以下のとおりです。
- 目標スコアが600点までの方:2つめの設問までにマークを終え、次の質問の確認に移る
- 目標スコアが700点以上の方:1つめの設問ですべての問題のマークを終え、次の質問の確認に移る
リーディングの場合
リーディングは、目標スコアによって適切な時間配分が大きく変わります。
目安としては下記のとおりですが、問題集や本試験で試してみて調整していくとよいでしょう。
- 目標スコアが600点までの方:Part 5は1問30秒、Part 6は1文書につき3分、Part 7は50~55秒
- 目標スコアが700点以上の方:Part 5とPart 6の時間を削り、Part 7に時間を残す
とくに、Part 5は700点を目指すほどの英語力があれば、瞬殺(5秒くらい)で解ける問題も結構あります。
Part 5とPart 6を時短で解いて、Part 7に時間をかけるのは、高スコアを取得している人のほとんどが意識しているポイントです!
自分に適した時間配分を知る方法は?
リーディングでもリスニングでも、自分の得意不得意をはっきりさせておきましょう。
模試や問題集を解いていくと、どの部分の間違いが多いかはすぐ分かります。
Aさんの例をもとに時間配分を考えてみましょう。
基本的には、苦手分野で考える時間を増やすのではなく、得意なところで時間を多くとるように時間配分を設定するとスコアが伸びやすいです!
時間配分どおりに解き終わらないときは
リスニングを短いマーク時間で解くことや、リーディングの200問を75分で解くことは、正直かなり難しいです。
私の経験上、実際に900点以上の高得点や、990点満点をとる人でも、試験時間いっぱい使っている人が多い印象です。
「時間が足りなくなるから…」と焦ってマークをすれば、しっかり考えれば正解していたはずの問題も焦りから間違えてしまいます。
最初から「どのみち時間は足りない」と考えてドシッと構えてみましょう。
ただ、ドシッと構えて自分のペースで問題を解けばいいわけではありません。
以下では、時間は足りないと理解したうえでの対処法について解説します。
とにかくすべてにマークする
時間が足りない場合でも、分からないところを白紙で出すのではなく、全部塗りつぶしましょう。
いわゆる「塗り絵」というものです。
TOEICに関わらず、マークシート方式の試験では塗り残しのないようにしましょう。
TOEICはすべて適当に塗ったとしても200点ぐらいはとれます。
そのため、わからない問題やもう1度見直したい問題があったとしても、後で塗るのではなく、とりあえずマークして先へ進めましょう。
最終的に塗る時間がとれなかったり、マークがずれたりするおそれもあるので、後で塗るのは危険です!
マルチプルパッセージの1問目だけでも解く
文書が複数あるマルチプルパッセージでは、2つ~3つの文章の情報を見比べて解かなければならないため、必然的にシングルパッセージよりも時間がかかってしまいます。
そのため、リーディングセクションで塗り絵をしている方は、マルチプルパッセージがほとんどだと思います。
しかし、マルチプルパッセージの場合、問題の順番に注目すると、限られた時間の中で1問でも多く正解し、正答率を上げることができます。
マルチプルパッセージでは最初の1問目は、1つめの文書から出る確率が非常に高いです。
つまり、シングルパッセージと変わりがないということです。
さらに、1問目は文書の最初の方に答えが出てくることが多いので、文書をすべて読まなくても答えが見つかります。
全部で5問あるうちの1問目だけに集中して解くことによって、焦りやケアレスミスもなくなり、正答率が上がります。
諦める勇気をもつ
諦めるというとネガティブなイメージをもってしまいますが「諦める勇気をもつ」=「次の問題に向けて気持ちを切り替える」と考えると、諦めて問題をスキップしても少し気が楽になるでしょう。
リスニングでは、聞き逃してしまったり、問題や選択肢の意味がわからなかったりしても、音声をもう1度聞き直すことはできません。
そのような状況でも、次の問題の音声は否応なしにどんどん流れてきます。
そのため、前の問題に未練を残さず、先へ進みましょう。
また、リーディングでは、時間内に最後までたどりつけるかどうかは自分次第です。
そして、リスニングもリーディングも問題が易しい順に出題されているわけではありません。
つまり、レベル1の問題の次に、急にレベル90の問題が来たり、その次はレベル3だったりと、順番はバラバラです。
「難しいな」「なかなか答えが見つからないな」という問題はサッサと置いて、難易度の低い問題をどんどん解いていく方がよいということです。
1分あれば解けていたかもしれない問題を、時間が足りないからという理由で逃してしまうのはもったいないです。
最後まで目を通し、自分が解ける問題を確実にとっていきましょう!
普段の勉強から時間を測る習慣を!
今回の記事では、TOEIC Listening and Reading Test、とくに時間配分という点にフォーカスしました。
時間が足りないという方は本当にたくさんいます。
ただ、各パート、各設問にどれだけの時間をかけるかに正解はありません。
受験者の数だけ、最適な時間配分のパターンがあります。
普段の勉強では必ずタイマーで時間を測り、自分に合った時間配分を理解したうえで問題を解くようにしましょう。