TOEICではスコアと呼ばれる点数によって英語力を示します。
TOEICのスコアはリーディングやリスニングなどのセクションごとに算出され、それらの合計点がその人のTOEICスコアです。
TOEICには以下の5種類があり、テストの種類によって満点は異なります。
- TOEIC Listening & Reading Test:990点満点
- TOEIC Speaking & Writing Tests:400点満点
- TOEIC Speaking Test:200点満点
- TOEIC Bridge Listening & Reading Tests:100点満点
- TOEIC Bridge Speaking & Writing Tests:100点満点
TOEICの満点が990点といわれるのは、もっともポピュラーなTOEIC L&Rの満点が990点であるためです。
この記事では、TOEICの満点が990点の理由、満点をとる難しさやTOEIC満点者の英語レベル、満点を目指すための勉強法を紹介します。
TOEICの満点は990点
TOEIC L&Rの満点は990点です。
リスニングセクションとリーディングセクションは、それぞれ495点満点のため、いずれも満点を取得した場合のTOEICスコアは495+495=990となります。
以下では、TOEICの満点が990点の理由、スコアの採点方法について解説します。
TOEICの満点が990点の理由
TOEICの満点は、1000点や900点ではなく990点に設定されています。
きりの悪い数字に設定されている理由については諸説ありますが、公式には発表されていません。
信ぴょう性の高い説には、以下のようなものがあります。
- 中途半端な点数に設定することで、満点をとってもさらに上を目指して学習に取り組んでほしいという意図を反映している
- TOEICが開発された1970年代、パソコンの処理能力が低かったため、スコアを最大でも3桁までにとどめたかった
スコアの内訳と採点方法
TOEICは7つのPartからなり、Part1~Part4までがリスニングセクション、Part5~Part7までがリーディングセクションと呼ばれています。
スコアの算出はそれぞれのセクションごとに行われ、それらの合計がTOEICスコアです。
いずれのセクションも最低5点~最高495点で採点されるため、TOEICスコアの最低点は10点、最高点は990点となっています。
TOEICの満点は全問正解ではない
TOEICは、英検のような合否ではなく、スコアで英語力を示します。
しかし、1問あたりの点数を決めて何問正解したかで計算すると、比較的難易度が低い回の受験生が有利になります。
たとえば、TOEICで500点をとったAさんとBさんがいたときに、Aさんが受けた回は平均点400点、Bさんが受けた回は平均点600点だった場合、Aさんの方が英語力が高いにもかかわらず、スコア上は同等の英語力となってしまいます。
このような不公平が生じないように、TOEICでは試験ごとに全体の正答率と照らし合わせて、個人の正答率を点数に換算しています。
そのため、平均正答率が低いときには数問のミスがあっても990点になり、平均正答率が高いときには全問正解しても990点に届かないことがあります。
TOEICの満点は1390点?
一般的にTOEICとはリスニングとリーディングの2セクションからなるTOEIC Listening & Reading Testを指しますが、スピーキングとライティングの2セクションからなるTOEIC Speaking & Writing Testも存在します。
TOEIC Speaking & Writing Testsは各セクション200点ずつの400点満点で採点されるため、TOEICで4技能の能力を測った場合、L&RのスコアとS&Wのスコアを合計すると1390点になります。(正式にはTOEIC L&R990点、TOEIC S&W400点と分ける必要がありますが…)
そのため、TOEIC Listening & Reading Testで満点の990点をとっただけでは総合的な英語力を習得しているとはいえず、TOEICの真の満点は1390点であると主張する人もいます。
TOEIC満点はどれくらいすごい?
ネイティブスピーカーがTOEICを受験した場合の平均的なスコアは950点前後といわれており、ネイティブでも満点を取ることは難しいようです。
その理由はリーディングの出題形式にあります。
多くのひっかけ問題が出題されるほか、問題文の中で言及されていない選択肢を選ぶPart7など、文章の意味を理解できていてもケアレスミスが生まれやすい問題が並んでいます。
そのため、リスニングでは多くのネイティブが満点をとれるものの、リーディングでスコアを落としてしまうことが多いようです。
TOEICの平均点とスコア分布
TOEICを実施する国際ビジネスコミュニケーション協会のホームページでは、各試験ごとの平均点とスコア分布を公開しています。
ホームページで公開されている2019年から2021年までの試験における平均点は580~630点ほどです。
難易度によって多少の前後はありますが、ほとんどはこのレンジ内におさまっています。
各セクション別の平均点では、いずれの試験もリスニングがリーディングよりも50点ほど高い結果となっており、リスニングの方が高得点をとりやすいといえます。
また、2021年1月10日午後に行われた試験を例に、スコア分布をみてみると下記のような割合となっています。
450点以下が約10%、450~550点が約15%、550~650点が約20%、650~750点が約20%、750~850点が約20%、850~900点が約10%、900点以上が約5%です。
TOEIC満点者の割合
TOEICを主催する国際ビジネスコミュニケーション協会のホームページでは、各試験ごとの平均点とスコア分布を公表していますが、満点者が何人かは公表されておらず、正確な数を出すことはできません。
ただ、セクション別スコア分布をみると、リーディングで470点以上をとっている人は1.2%ほどのため、リーディングとリスニングで満点をとっている人の割合は1%を大きく下回るのは確実でしょう。
目安としては全受験者のうち、0.3%ほどといわれています。
TOEIC満点者でも英語が話せない?
国際的に権威のあるTOEICで満点を取得していると聞くと、ネイティブスピーカーにも引けをとらないレベルにも思えますが、意外にも英語を話すのは苦手という人も多いようです。
これは、TOEIC Listening & Reading Testがリスニングとリーディングの2セクションから構成されているためで、スコアからはその人がどの程度英語を話せるかはわかりません。
英語を読み聞きする能力を伸ばす上で、文法規則の理解や語彙力は必要不可欠なので、TOEICである程度の点数をとっていればまったく話せないことはないでしょう。
しかし、あくまでも1つの基準にすぎず、TOEICの点数が高いからといって流暢に英語を話せると考えるのは危険です。
TOEIC満点を目指す勉強法
TOEICの勉強法にはさまざまなものがありますが、大切なのは自分のレベルに合った教材を使用して効率よく学習を進めることです。
適切な教材を選んだうえで、スキマ時間を活用して学習を進めていけば、スコアアップにつながるでしょう。
リスニング対策
TOEICのリスニング音源の読みあげ速度はそれほど速くありません。
一方、リエゾンをはじめとする音声変化は頻繁に発生し、流れるように読みあげられます。
リスニング対策では、ディクテーションやオーバーラッピングをくり返し、どのように音声変化が起きるのかを把握するとぐっと聞きとりやすくなります。
カナダ英語やオーストラリア英語も登場しますが、なまりはそれほど強くないため、アメリカ英語とイギリス英語の発音やアクセントの特徴をおさえておけば問題なく対応できるでしょう。
リーディング対策
TOEICのリーディングセクションは、ネイティブスピーカーでも対策なしで満点をとるのは難しいパートです。
文章は理解できているのにミスをしてしまうことがないよう、出題形式やひっかけの傾向を把握しつつ学習を進めていくことが大切です。
また、1問あたりにかけられる時間が短く、速読力が求められる点もTOEICの特徴です。
本番の時間配分を意識しながら日々の学習に取り組み、スピーディーな解答に慣れる必要があります。
TOEICの990点満点は難関!出題傾向に合わせた対策が必須
ネイティブでも平均スコアが950点前後のTOEICで、ノンネイティブの日本人が満点をとるのはかなり難しいといえます。
ただ英語力を伸ばすのではなく、出題傾向を把握したうえでパートごとに対策をしていく必要があるでしょう。
また、リスニングとリーディングだけでなく、総合的な英語力を磨きたい方はTOEIC Speaking & Writing Testsも併せて受験すべきです。 4技能をバランスよく鍛えていくことで実用的な英語力が身につきます。