資格試験対策において、過去問を用いた問題演習は定番の学習法ですが、TOEICは過去問を公開していません。
しかし、過去問を手に入れることは可能です。
この記事では、TOEICの過去問が公開されていない理由、過去問の入手方法、TOEIC対策を紹介します。
TOEIC過去問が公開されていない理由
多くの資格試験では過去問を公開しているのに対し、TOEICは一切過去問を公開していません。
その理由としては3つの説が考えられます。
- 過去問をリサイクルするため
- テクニック的な対策を防ぐため
- 公式問題集の売上を確保するため
以下では、それぞれの理由について詳しく解説します。
過去問をリサイクルするため
TOEICは試験ごとに難易度の差が生じても、各受験者の英語力を正確にスコア換算できるよう、正答数をそのまま点数化するのではなく統計処理を加えています。
つまり、難易度が低めの回では正答数に対してスコアが低く評点され、難易度が高めの回では正答数に対してスコアが高く評点されます。
しかし、毎回異なる問題を出していては、試験ごとに正答数に差があったとしても、試験の難易度に差があったのか、受験者全体のレベルに差があったのかを特定できません。
そのため、TOEICでは過去に出題した問題を再度出すことによって、その正答率から受験者全体のレベルを判断しています。
TOEICが過去問を公開していない理由には諸説ありますが、過去問をリサイクルするためという説がもっとも有力です。
テクニック的な対策を防ぐため
TOEICは実用的な英語能力の指標として、多くの企業や学校で採用されています。
アメリカではTOEFL、イギリスではIELTSが主流ですが、日本国内では英検と並び、もっとも有名な英語試験です。
これはTOEICが英語力を測るための指標として認められているということでもあります。
実際、TOEICは「実用的な英語能力の測定」という点を重視しており、受験中のメモが禁止されているのは、メモをしながら外国人と会話したり、英文を読んだりするのは現実的でないためと考えられています。
世の中にTOEICで高スコアをとるためのテクニックが広まれば、英語力を測る指標としての価値が下がり、企業や学校は別の試験を採用するでしょう。
そうなればTOEICの受験者数が減り、TOEICの存続にも影響が出ます。
TOEICはテクニック的な対策を防ぎ、受験者の英語力を正しく測るために、過去問の公開をしていないという側面もあるでしょう。
公式問題集の売上を確保するため
現在、TOEIC対策として多くの書籍が出版されていますが、過去問が公開されていない以上、本番に近い問題で演習をするには公式問題集を購入するしかありません。
2021年8月現在、TOEICを主催するETSは16冊の問題集や単語集を出版しており、受験者のほとんどが1度は購入を検討しているでしょう。
過去問を公開しないことにより、過去問をもとにした解説本、対策本が競合他社から出版されるのを防いでいるとも考えられます。
TOEICの過去問を入手する方法
TOEICの過去問は公開されていませんが、1つだけ過去問を入手する方法があります。
それは韓国で販売されている過去問問題集を購入する方法です。
日本の書店で購入することはできませんが、Amazonで販売されているものを購入できます。
毎年発売されていますが年によって収録されている問題数が異なるため、注意しましょう。
それぞれ収録されている内容は下記のとおりです。
韓国でのみ過去問が公開されている理由
受験戦争で有名な韓国はTOEIC対策にも力を入れており、予備校や出版社がTOEIC対策本を出版するために数十~百人規模で人員を用意して各部分ごとに暗記をさせています。
彼らはほとんど完全に問題を再現できてしまうため、過去問の流出を防げないと判断したETSは過去問問題集の発売に至りました。
また、韓国政府は対応策として、韓国国内で行われる試験ではリサイクル問題の出題をしないよう、ETSに要請しています。
過去問問題集のメリット
日本で販売されている多くの問題集は3,000円前後で2~3回分の模試が収録されていますが、韓国の過去問問題集はもっとも収録数が少ない2017年版でも5回分、2019年版では10回分もの過去問が収録されています。
金額もリーディングとリスニングでそれぞれ3,000円ほどのため、6,000円で10回分の本番試験を試すことができます。
また、日韓同時開催日の問題はまったく同じ問題が出題されます。
実際に出題された問題は傾向を把握するうえで非常に役立ちます。
過去問問題集のデメリット
リーズナブルかつ収録数が充実している過去問問題集ですが、万能ではありません。
問題文や選択肢は英語ですが、解説はすべて韓国語となっているため、解説が必要な場合はスマートフォンのカメラ翻訳機能を使用するなどの工夫が必要です。
基本的な英語力が身についており、解答を見ればなぜその選択肢が正しいのかを判断できるレベルでないと、使いにくいと感じるかもしれません。
また、入手ルートが限られているため、今後Amazonでの取り扱いがなくなった場合など、突然購入できなくなってしまう可能性もあります。
TOEIC対策における2つのポイント
TOEICがテクニック的な対策を嫌っているとはいえ、高スコアを狙ううえで必ず意識すべきポイントは存在します。
中でも、時間配分の練習とパートごとの対策は欠かせません。
ポイントをおさえて学習を進めることで、より少ない学習時間で高スコアを実現できるでしょう。
時間配分を意識する
時間配分はTOEIC対策における最大のポイントです。
リスニングセクションはナレーションに合わせて解き進めれば問題ありませんが、リーディングセクションは長文や複文も含み、100問を75分間で解かなければいけないため、時間的な制約は非常に大きいでしょう。
マークシート形式のTOEICにおいて、時間が足りず無回答となってしまうのは避けるべきです。
パートごとに時間配分の目安を決めておき、演習の段階から1問あたりにかけられる時間を意識しておきましょう。
パートごとの対策を徹底する
TOEICでは各パートの出題形式、問題数は毎回同じです。
そのため、パートごとに対策しておけば本番でも慌てずに対処できるでしょう。
また、得意なパートと苦手なパートを把握しておき、自分なりの時間配分や解答順を決めておくことも大切です。
TOEICで時間内に全問解き終わるレベルはスコアにして800以上ともいわれており、全問を解くのが難しい場合は優先順位をつけておくべきです。
苦手なパートに時間をかけすぎて得意なパートを解く時間がなくならないよう、自分に最適な時間配分を見つけておきましょう。
得意なパートで安定してスコアを稼げるようになったら、苦手なパートを重点的に演習するなど、さまざまな対策に取り組めます。
TOEIC対策のおすすめ勉強法
TOEIC対策には問題集、アプリ、サイトなど、さまざまな勉強法があり、それぞれメリットやデメリットが異なります。
効率よく学習を進めるには、これらをうまく併用することが大切です。
問題集を使って本格的に学習
各社から出版されている問題集は、サイトやアプリと異なり、TOEIC対策のプロが監修しています。
そのため、問題や解説のクオリティの高さは随一です。
本格的にTOEIC対策に取り組むのであれば1冊は持っておくことをおすすめします。
中でも、TOEICテストの開発元・ETSが販売する公式問題集は、出題傾向や特徴を把握する上で役立ちます。
本番に近い形式で作成された問題を解くことは、スコアアップへの近道となるでしょう。
アプリを使ってスキマ時間を活用
アプリを使えば通勤や通学などのスキマ時間を活用できます。
中には、問題集を購入すると連携アプリをダウンロードできるものもあります。
アプリのメリットは、短い時間でこまぎれに学習できるよう工夫されている点です。
アプリは単語や文法問題の1問1答形式になっているものが多く、基礎的な英語力を向上させるのに最適です。
とくに最近ではアプリ学習がメジャーになっており、質の高いアプリが続々登場しています。
たとえば、HiNative Trekでは毎日課題が出題され、解答を送信すると、ネイティブから細かなフィードバックを受けられます。
フィードバックに返信して質問することもできるため、わからない部分を調べる手間もかかりません。
サイトを使って無料で対策
TOEICの対策サイトは無料で利用できるものがほとんどです。
ただ、問題や解説の質はサイトによってまちまちで、充実しているサイトもあれば、問題数が少なかったり、解説を掲載していなかったりと、あまり親切でないサイトもあります。
無料で利用できるものと割り切って、TOEIC対策に人気のサイトをいくつか試してみるのもよいでしょう。
また、YouTubeにあがっている対策動画を観て学習する方法もあります。
スクール・コーチングで確実にスコアアップ
短期間で絶対にスコアをアップさせたい方には、スクールやコーチングがおすすめです。
たとえば、ワンナップ英会話ではカウンセリングでレベルをチェックして、得意・苦手に応じて最短で成果を出すための学習計画をたてられます。
TOEIC900点以上のアドバイザーがスコアアップに必要な学習だけをピックアップするため、最短3か月で目標スコア達成が可能です。
TOEICの過去問はAmazonで入手可能!ただし解説は韓国語である点に注意
TOEICの過去問は、国内では公開されていませんが、韓国ではETSから公式の過去問問題集が販売されています。
毎年、新版が発行されておりAmazonから購入が可能です。
最大10回分の過去問が収録されており、コストパフォーマンスは優れていますが、解説が韓国語で書かれている点には注意しましょう。
また、過去問問題集を使った演習のほか、アプリやサイトを使った対策も併用すべきです。
それぞれのメリットとデメリットによって使い分けると、学習効率の向上につながります。