
TOEFL iBTのスコアは、海外留学や進学、就職を目指すうえで重要な指標となります。
- TOEFL iBTは何点満点なのか
- 何点を取れば海外大学に出願できるのか
- 他の英語試験と比べてどのくらいのレベルなのか
と、疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
本記事では、TOEFL iBTのスコア配分やスコア別の英語力レベル、他試験との換算表、進学や就職で求められる点数などを詳しく解説します。
さらに、目標スコアを達成するための学習法や、スコアの有効期限・再採点制度についても紹介するので、これからTOEFL iBTを受験しようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
TOEFL iBTは何点満点?TOEFL iBTスコアの仕組み

TOEFL iBTは、英語の「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測定する試験です。
各セクションは30点満点で構成され、全体のスコアは120点満点となっています。
つまり、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの各セクションで、バランスよく得点することが総合スコア向上のカギです。
また、多くの大学や機関では総合スコアだけでなく、各セクションごとの最低点を設定している場合があります。
出願予定先の要件は必ず事前に確認しておきましょう。
TOEFL iBTとTOEICなど他の英語試験のスコア換算表
TOEFL iBTを初めて受験する人は、各スコアがどのくらいの英語力を示すのか、イメージがつかない人も多いのではないでしょうか。
以下は、TOEFL iBTと他の英語試験(TOEIC、IELTS、英検)のスコアを換算した目安表です。
TOEFL iBT | TOEIC(L&R) | IELTS | 英検 |
120 | – | 9.0 | – |
119 | – | 8.5 | – |
117-118 | – | 8.0 | – |
109-116 | 970-990 | 7.5 | – |
100-108 | 870-970 | 7.0 | 1級 |
90-99 | 820-870 | 6.5 | |
80-89 | 740-820 | 6.0 | 準1級 |
69-79 | 600-740 | 5.5 | |
61-68 | 550-600 | 5.0 | 2級 |
52-60 | 500-550 | 4.5 | |
45-51 | 450-490 | 4.0 | 準2級 |
33-44 | 300-440 | 3.5 | |
29-32 | 291-299 | 3.0 | 3級 |
20-28 | 270-290 | 2.5 | |
12-19 | 260-269 | 2.0 | 4級 |
– | 100-259 | 1.5 | 5級 |
ただし、各試験の評価基準や形式は大きく異なるため、スコアの換算はあくまでも目安として捉えるようにしましょう。
TOEFL iBTのスコア別の英語力レベルの目安
続いては、スコア別の英語力の目安を詳しくみていきましょう。
スコア40点未満
TOEFL iBTで40点未満のスコアは、英検3〜5級程度で、英語の基礎力がまだ十分に備わっていない段階です。
リスニングやリーディングの内容理解は難しく、スピーキングやライティングも基本的な文章構成に課題があります。
まずは中学〜高校英語の復習や日常会話レベルのリスニング練習から始め、基礎的な単語力と文法知識を強化しましょう。
スコア40~50点
40〜50点のスコアは、英検2級程度で、簡単な文章の読み書きや会話は可能ですが、学術的な内容になると理解が難しくなります。
語彙力も一定数あるため、身近で簡単なトピックや興味のある範囲の話題であれば、一定のコミュニケーションができ、筋の通った文章を作ることができるレベルといえるでしょう。
ただし、学術的な内容が中心のTOEFL iBTでは、リスニングでは会話の概要はつかめても細部の聞き取りが難しく、スピーキングでは表現に時間がかかる傾向があります。
この段階では、中学〜高校レベルの単語・文法を固め、英文を速く正確に理解する練習を進めましょう。
スコア50~60点
50〜60点は、TOEFLスコアの中でも中間的なレベルにあたります。日常会話や身近な話題には対応できる一方、学術的内容は苦手な人が多いレベルです。
海外大学進学を目指す場合、要件を満たさないことが多く、語彙力・構文力強化が必要です。
「読む・聞く・話す・書く」をバランスよく伸ばす学習が求められます。
スコア60~70点
60~70点になると、英語の基礎はおおむね固まり、文章の理解や基本的な意見の表現が可能なレベルです。
母国語が英語である国で生活しても、日常的なコミュニケーションに困らない水準といえます。
また、61点以上であれば、アメリカの4年制大学への出願が可能です。
ただし、60点台は最低ラインにあたるため、出願できる大学の選択肢を広げるには、さらなる得点アップが求められます。
この段階では苦手分野が明確になってくるため、模試や過去問を活用して課題を分析し、重点的に対策を進めることが重要です。
スコア70~80点
70~80点は、TOEFL iBTにおいて一定の英語力が証明されるレベルです。
アメリカの4年制大学では、このスコア帯を入学基準としている学校が多く、英語圏での授業にもある程度対応できる実力があります。
多くの場合、出願条件をクリアできる可能性が高い水準です。
ただし、海外の大学では、より論理的かつ説得力のある発言や文章作成が求められます。
そのため、スピーキングやライティングのスキルは、模擬面接やエッセイ練習などの実践形式で強化しておくことが不可欠です。
スコア80~90点
80~90点は、英検準1級程度に相当し、英語レベルはかなり高い水準です。
海外大学の中でも、中堅~上位校で広く求められるスコア帯となります。
専門分野について十分に議論でき、大学レポートなどの提出物においても安定した文章力を発揮できるため、アカデミックな課題を難なくこなせるレベルといえるでしょう。
英語でのディスカッションやエッセイ作成、長文読解など、学術的なタスクもある程度スムーズにこなせる実力があります。
一部のトップレベル大学を除けば、4年制海外大学への出願に十分対応可能です。
また、外資系企業への転職や就職の際にも、履歴書で英語力を強くアピールできるスコアとして高く評価されます。
スコア90~100点
90~100点は、英検1級程度に相当し、非常に高い英語力を有している証明となります。
流暢な会話が可能で、複雑かつ高度な話題についても正確に理解でき、書く際にも自分の意見を論理的かつ明確に述べられるレベルです。
このスコア帯は、トップレベルの大学やMBAなどの専門プログラムでも通用し、出願要件を十分に満たします。
ただし、アメリカの大学進学を基準にすると、アイビーリーグで求められるスコアにはやや届かない場合があります。
さらなるレベルアップを目指す場合は、スピーキングの発音やイントネーション、ライティングの構成力や語彙の精度といった細部を磨くことが効果的です。
スコア100点以上
TOEFL iBTで100点以上を獲得できる人は、英検1級の合格レベルをさらに上回る、極めて高い英語力を有しているといえます。
英語での高度な議論や複雑な文章の精読、専門的なライティングも難なくこなせるレベルです。
このスコア帯は、アメリカのハーバード大学やイェール大学をはじめ、米国最高峰のアイビーリーグ8校やスタンフォード大学など、世界トップクラスの大学・大学院への出願資格を満たします。
学術的な場だけでなく、国際機関や外資系企業での高度な業務にも十分対応できる英語力といえるでしょう。
目的別に必要なTOEFLスコアの目安

続いて、留学や就職など目的ごとに求められるTOEFL iBTスコアの目安を紹介します。
海外大学進学に必要なスコア目安
海外留学への出願でTOEFL iBTスコアを利用する場合、必要スコアは進学先や国によって大きく異なります。
一般的には、交換留学や短期留学では61点以上、大学(学士課程)への正規入学では70〜80点以上が目安です。
特に名門大学や一流大学では80点以上が求められるケースが多く、アメリカやカナダの上位校では100点前後を基準としている場合もあります。
さらに、合計スコアだけでなく、リーディングやライティングなど各セクションごとの最低スコアを設定している大学もあります。
そのため、出願前には必ず志望校の国際センターや公式サイトで最新の要件を確認しておくことが重要です。
大学院・MBA進学で求められるスコア目安
海外の大学院やMBA進学を目指す場合、学校や専攻によって差はありますが、TOEFL iBTスコアの目安は90〜105点程度です。
とくにMBAプログラムでは高度な英語運用能力が求められ、アカデミックなエッセイ執筆力や論理的なプレゼンテーション能力が重視されます。
加えて、専攻分野によってはスピーキングやライティングのスコアを重点的に評価するケースもあります。
そのため、進学を希望する分野に関連する専門用語や専門知識を英語で正確に理解し、発信できる力を早い段階から養っておくことが重要です。
目標スコアを早めに設定し、十分な準備期間を確保して長期的に学習計画を進めましょう。
就職やキャリアアップで活用する場合のスコア目安
国内の一般企業への就職やキャリアアップを目指す場合、英語力の証明としてはTOEFL iBTよりもTOEICスコアが用いられることが多いです。
一方、外資系企業への応募や海外案件を扱うポジションでは、TOEFL iBTスコアの提出が有効な場合があります。
日本人の平均スコアは73点程度とされているため、それを上回る80点以上を取得できれば、英語力を強くアピールできます。
さらに海外就職を目指す場合は、最低でも80点以上、理想は100点以上を保持していることが望ましいです。
キャリアアップにおいては、スコアという数値だけでなく、実務で英語を使いこなし、成果を出せる能力を具体的に示すことが重要です。
スコアの有効期限・再採点について

次に、知っておきたいTOEFL iBTスコアの有効期限、再採点の仕組みを解説します。
スコアの有効期限
TOEFL iBTのスコアは、試験日から2年間有効です。
出願や申請で使用する場合、スコア提出時点で有効期限内であることを必ず確認しましょう。
とくに留学や奨学金の申請では、出願締切が有効期限を過ぎてしまうケースもあるため、計画的な受験が大切です。
スコアの再採点(リスコア)
スコアに納得がいかない場合、スピーキングとライティングに限り、受験日から30日以内であれば再採点(リスコア)を申請できます。
費用は1セクションにつき80米ドルで、両方同時に申請する場合は160米ドルかかります。
リスコア申請によって必ずしもスコアが上がるわけではありませんが、実際に得点が上昇するケースもあります。
スコアが変更された場合は、新しいスコアが正式スコアとして反映され、過去のスコアは置き換えられます。
スコアアップを目指すための学習法

最後に、TOEFL iBTで効率よくスコアアップを目指すための学習法を紹介します。
取得したいスコアを決める
TOEFL iBTを受験する人の多くは、海外大学への留学や進学を目標としています。
まずは志望大学やプログラムを明確にし、その入学条件から必要スコアを把握しましょう。
「何点を取らなければならないのか」という具体的な目標スコアを設定することで、学習の方向性や使う教材、勉強時間の配分がはっきりします。
目標スコアと現状の英語力を比較してギャップを明確にし、達成可能で現実的なゴールを設定することが大切です。
明確な目標があれば、「そのスコアに向けて頑張ろう!」というモチベーションを保ちやすくなります。
過去問・問題集を通じて、テストの形式に慣れる
TOEFL iBTは独自の問題形式を採用しているため、過去問や公式問題集を活用して形式に慣れることが必須です。
出題傾向や時間配分を理解しておくことで、本番での焦りやケアレスミスを防げます。
試験はリーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4セクションで構成され、約2時間という長丁場で行われます。
形式を把握していないと、1つのセクションでつまずいた場合に他のセクションにも影響し、集中力が途切れてしまう可能性があります。
日頃の学習から過去問や問題集を使って形式に慣れ、模擬試験で本番同様の流れを体験することが効果的です。
とくにオンライン模試を活用すれば、実際の画面表示や操作感も確認でき、より実践的な準備ができます。
単語・熟語を含む語彙力から身につける
TOEFL iBTではアカデミックな語彙が頻出するため、文法を理解していても語彙力が不足しているとスムーズに解答できません。
効果的に語彙を習得するには、単語や熟語を1語単位で暗記するのではなく、文脈の中で覚えることが大切です。
実際の文章や会話の中で意味や使い方を確認することで、記憶に定着しやすくなります。
また、日常英単語に加えて大学レベルの専門用語や抽象語も多く出題されます。
単語帳やアプリを活用して継続的に学習を続けるとともに、熟語や表現もセットで覚えることで、リーディングやリスニングの理解度が大幅に向上します。
スキマ時間を活用し、毎日少しずつ語彙を増やす習慣を身につけましょう。
まとめ

TOEFL iBTは、海外大学への留学や就職の際の英語力証明として世界的に認められている試験です。
効果的に対策するためには、まずスコアの仕組みや評価基準を正しく理解し、自分が目指す進学先やキャリアに必要な点数を明確にすることが重要です。
そのうえで、目標スコアに基づいた無理のない学習計画を立て、日々の学習を継続していきましょう。
計画的な学習が、スコアアップへの近道となります。