2022/03/10

純日本人がTOEFL iBTスピーキング30点満点取得!その勉強法は?

この記事を書いた人

バークレーハウスIELTS講師
竹林 駿 Suguru Takebayashi
米国ミネソタ州立大学大学院修了。専門はライティング。大学院在籍時は英語で詩を執筆し、米国の文芸雑誌に応募していた。勉強の傍ら、Diversity Councilにてファシリテーターとしてボランティア活動にも従事し、米国の中学高校などで人種差別などをテーマにしたセミナーに「留学生(=外国人)」として自ら登壇した。帰国後は英検、TOEIC、大学受験などの英語指導に携わったほか、2019年度から都内の私立大学でも教鞭を取る。IELTSでは、4技能(L, R, S, W)全てのセクションで8.0以上を取得。英検1級、TOEFL iBT MyBest 119点。

竹林先生

いきなりですが、TOEFL学習者の皆さんに質問です。「純日本人でもTOEFL iBTのスピーキングで満点を取る」ことは可能だと思いますか?

帰国子女でもない限り、無理ではないでしょうか。

竹林先生

正直、私もそう思っていました。しかし私自身が、去年TOEFL iBTスピーキングで30点満点を達成したのです! ですから、純日本人でも満点は取れることが証明されました。

すごいですね!
では、TOEFL iBTのスピーキングで満点を取るには何が必要なのかを、経験者から直々に教えてもらいましょう!

目次

9回目の挑戦でようやく到達

possible

先生は、いつTOEFL iBTのスピーキングで30点満点を出したのですか?

竹林先生

2021年9月ですね。

何回目の挑戦で達成したのですか?

竹林先生

なんだかんだこれまで合計9回受けています。
最初の5回くらいは、スピーキングは20点台前半で推移していましたが、6回目あたりから26~28点が取れるようになり、今回晴れて30点になりました。

先生自身は、まったく帰国子女ではないのですか?

竹林先生

はい、初めて海外留学したのは21歳の時。それまではずっと日本でした。両親も共に英語を話すような人ではありません。
だから私は今でも洋画を見ると、一発で聞き取れる英語は6~7割ですかね。そんな私でもスピーキングで満点を取れたのは、多くの英語学習者に取り希望になってくれると願っています。

先生のTOEFL iBTのスコアを教えて下さい!

R29 / L29 / S30 / W24 = 合計112点(2021年9月受験)

スピーキングで満点が出た時の気持ちはどうでしたか?

竹林先生

ライティングの点がそこまで伸びなかったショックの大きかったので、そんなに喜んだ覚えは無いです(笑)

それでは、スピーキングで満点を取るには先生がどんな特訓をしたのか?

他のどのサイトにも出ていないその対策法を、ここだけで公開してもらいましょう!

スピーキング満点を出した先生が実践した3つの対策法

TOEFL iBTには「Independent」と「Integrated」という2つのスピーキングテストがありますが、それぞれの対策をうかがう前に、スピーキング練習で全体的に意識して対策をしたことはありますか?

■①時間感覚を養おう!

竹林先生

主に3つあります。まず、ある程度時間内に終わらせられるよう、時間の感覚をつかむこと。
私は、出だしは特に時間を気にしないで話し始めますが、たとえば45秒のIndependentのテストのうち、残り10秒くらいになった時に「あとこれくらい言えばおおよそ時間内に終わるな」と感づける感覚を養う事を意識しました。

やはり時間ぴったりに話し終えることが大切ですか?

竹林先生

必ずしも時間ぴったりに終える必要は無いです。(実際私も最後の2~3単語が間に合わなかった気がしますが満点を出せました)
たとえば45秒のIndependentの問題で、理由を2つ言おうとしていたとする。そして1つ目の説明だけで35秒くらい経過していて、そうしたら2つ目の理由を言う時間は無さそうですね。
そんな場合は、機転を利かして1つ目の理由をうまくパラフレーズして、結論に持っていって終わりにする。そんな風に、残り時間とにらめっこしながら、語る内容を臨機応変に変えられるように練習をしてましたね。

竹林先生

60秒のIntegratedも同じで、2つのリスニングのポイントを語るなら、残り時間が20~25秒くらいの時に2つ目を語り始めるくらいがちょうどいいですね。

やはり「とりあえず話していって、気が付いたら終わってた」というのは良くないのですね。時計を見ながらしゃべるっていう感じですね!

残り時間とにらめっこしながら、話す内容を臨機応変に対応しよう。時間ぴったりで終える必要は無いが、重要な部分を話してる真っ最中に時間切れにならないように!

■②意外な盲点? 自分の発音を聞いてみる

2つ目の対策ポイントは何でしたか?

竹林先生

声に出して英語を話す練習をする事で、自分の発音の矯正した事ですかね。
自分のしゃべる英語をスマートフォンで録音して自分で聞いていました。つまり英語を声に出して練習する。これは必ずやった方がいいですね。声に出して練習していない人は、必ず本番で声が震えます。声が震えた時点で満点が取れる可能性は無いと思って下さい。声が震えていると、普段から英語を使っていないのが採点官にバレてしまいます。
また、震える声を絞り出そうとすると言い直しが増えます。スムーズに堂々としゃべることが25点以上のハイスコアには不可欠です。

自分の声を録音して聞くのは恥ずかしくないですか?

竹林先生

確かに最初はそうですね(笑)。でも、自分の英語に自信を持てるようになること、これが大切です。
だって自分で聞くのもはばかれるような英語に、ネイティブの採点官が30点満点を出すと思うでしょうか?

確かにそうですね・・!
では先生は、自分の声を録音して聞いて、それでどうやって発音の矯正をしたのですか?

竹林先生

当然「ネイティブと完全に対等」な発音をする必要はまったくありません。
それは、帰国子女ではない私が30点満点を取ったことからも明らかです。その上で、私が自分の英語に関して特に気を付けたのは、子音の発音です。

子音というと、m, n, p, sなど、母音(a, i, u, e, o)ではない音の発音のことですね。

竹林先生

自分の英語を録音して客観的に聞いてみると、意外と不明瞭な発音があることに気づかされました。
これは本当に、録音して聞いてみるまで自分では全く気付かなかったことでした。特に私が自分で気づいた欠点が、「m」の音でした。
makeという単語を私が言うと、「m」の音(上唇と下唇をしっかり密着させる)が曖昧で、「メイク」なんだか「ウェイク」なんだか「ネイク」なんだか自分でも何て言ってるか分かりませんでした。何て言ってるか相手に伝わらない箇所があれば、満点はほぼ無理です。

竹林先生

上と下のくちびるを「ムムムっ」としっかり密着させて「m」の音を発音してみるように試して以来、自分でも自分の英語が聞きやすくなりました。

」の音がはっきり発音されてなかったなんて、意外な盲点ですね。

竹林先生

私は、母音の発音が曖昧だと自分の英語について思ったことはあまり無かったのですが、人によっては母音の発音が分かりにくい日本人は多いものです。「staff」と「stuff」、「heart」と「hurt」などが区別しにくい発音でしゃべってしまっている日本人は多いですよ。「自分は大丈夫」と思っている方でも、ぜひ自分の英語を録音して聞いてみてください。自分の意外な発音の弱点が見えてくるかもしれません。

自分でも気づいてないような盲点が、スピーキングで高得点が出ない原因になってるかもしれないですものね。ぜひ自分のしゃべる英語を、自分で聞いてみたいと思います。

自分ではうまく言えてるつもりの英単語が、実はうまく言えてないかも? 自分の英語を録音し、客観的目線で聞いてみよう。

■③個々の単語の発音より、イントネーションが大事

竹林先生

3つ目に気を付けて練習したことは、イントネーションです。普段しゃべるイントネーションよりも、かなり強弱をつけて話す感じです。

どんなしゃべり方にしたのですか?

竹林先生

強弱をつける際に気を付けたいのが、「声の大きさだけ」で強調しないことです。例えば「This is very important.」の「very」を強調したいとする。その時、veryのところだけ声をでかくする、というのは聞いている方としては不自然に聞こえてしまいます。

声を大きくするだけ、ではダメなのですか? ではどうすればいいんですか?

竹林先生

私は思いっきりジェスチャーを付けました。もちろん、TOEFLは声だけ録音して採点されるので、ジェスチャーを使っているかはスコアに関係ありません。ただ、手を振りながら体全体で強調しながら言ってみると、自然な英語の抑揚に近づいた気がしました。おおげさに感じるかもしれませんが、ジェスチャーを交えて、口を大きく動かして、英語を話した時の自分の声が一番「ちょうどいい」と感じました。普段しゃべる感じで話した英語を録音して聞いてみると、声がボソボソしてて非常に聞き取りづらかったです。

日本人は確かに米国人に比べると声が小さいですから、それくらい思い切って口を大きく動かして話してみるのは大切かもしれませんね。

具体的にどんな単語を強調して読めばいいのでしょう?

竹林先生

very, really, absoluteleyなどの「とても」という意味の副詞と、否定語(not, never, nobody)の2つは、比較的どんな時でも強く(ジェスチャーを付けて口を大きく動かして)読んで差し支えないかと思います。その他にも、but, howeverなどの逆説を表す語、everybody, alwaysなど強い意味を持つ語、そして動詞の強調のdoなども、強く発音して、全体的にメリハリのある抑揚を心掛けたいですね。
重要な箇所は、口を大きく動かしたりジェスチャーをつけたりしてしっかり強調。これにより日本人の弱みとされる「平坦で単調な発音」を防げる!

満点を目指す「Independent」の話の内容

Independentはどのような対策をしましたか?

竹林先生

Independentのテストは、「語彙力」の見せ場が勝負だと思って練習しました。ここで大切なのは、TOEFLで満点を取るには「難しい語彙」を使えば良いわけではない、という事。obstreperous, recidivism, attenuateなどの超難解な単語をたっくさん使わなきゃ!と思っている方、そんな究極にハイレベルな語彙は不要です。そうではなく、「具体性」で語彙力を見せつけます。

具体性」ですか。

竹林先生

例えばIndependent問題では、大学生活に関する問題が良く出ますね。その場合、大学生活の情景を具体的に思い浮かべて回答の中で語ります。「学生寮の部屋で1人で勉強するときは~(When I study by myself in my dorm room, …)」だとか、「クラスメートとグループディスカッションの準備をするときには~(When I prepare for a group discussion with my classmates, …)」だとか。いずれも英訳すると、「語彙力」的には大して難しい単語を使いませんが、こういう「具体例」を、15秒の準備時間内で即座に思いつけるように特訓しました。具体例さえ思いつけば、英訳自体には私はさほど苦労しませんでしたから、それで何とか満点を勝ち取った感じです。スピーキングテストにおける「語彙力」というのは、「難易度」より「具体性」だと思って下さい。

そのように捉えた方が、本番でも力を発揮しやすい気がします!

Independentの問題を練習するときも、もちろん自分の声を録音して聞く練習をしたんですよね?

竹林先生

もちろんです。そしてこれはIntegratedでも同じです。

満点を目指す「Integrated」の情報のまとめ方

Integratedは、どのような対策をしましたか?

竹林先生

とにかく数をこなしました。問題集の問題を片っ端からやってみた感じですね。とりあえず要点をメモって瞬時に頭の中でまとめて1分で話せるようにする一連の流れを、体にしみこませました。

竹林先生

するとやはり、細かい事を言い過ぎると時間が足りない事に気づきました。
もちろん重要な要点は語らないといけませんが、練習するうちに自分の中で、話しているときに「このペースで1つ目の要点しゃべってると2つ目のが話せなくなるな」というような、時間の感覚がつかめてきました。

やはり2つのポイントをまとめるIntegratedでは、2つのポイント両方とも1分以内で話す方がいいんでしょうか?

竹林先生

最後が間に合わなくなっても(最後の単語を言い終わる前に時間切れになっても)大丈夫です。
私が30点出した時も、確か最後の数単語が間に合わなかった問題があったと思います。でも、2つ目の要点にもちゃんと時間内で触れることは大切です。1つ目の要点に時間がかかりすぎて2つ目に全く触れられなかったのでは、満点はおろか20点に届くかも怪しくなると思います。

2つ目の要点も触れるためには、やはり速く話した方がいいのでしょうか?

竹林先生

とりわけ「速く話す」というのは、私は意識しませんでした。
普通に話すときの速度でした。そのため、細かすぎるディテールは瞬時に省く力を養います。「私が学生の時は、カフェテリアでよく昼食や夕食を食べてたけどね、パスタとかライスとか・・」などと音声で言われたら、「私」「学生の時」「カフェテリアで食べてた」だけ自分の回答に含めれば大丈夫です。
「昼食・夕食」「パスタ」「ライス」などはless importantなので入れなくて構わない。聞きながらメモをする間は、どのディテールが必要で、どのディテールが要らないかを、瞬時に判断できるようになりましょう。

なるべく「Um…」とか「Well…」は言わない方がいいのでしょうか。

竹林先生

言い過ぎは良くないかもしれませんが、私は普通にそういう言葉も吐いてたと思います。
むしろ多くの情報を瞬時にまとめながら語るのはネイティブにも簡単なものではないでしょうから、話しながら「え~と」みたいな事を言うのは自然なはずで、それを言ったから減点ということは無いです。

「Um」や「Well」を言うのは、どれくらいの回数までOKなんですかね?

竹林先生

「〇回以上言うとダメ」という具体的な数値があるわけではないと思いますが、参考なまでに言うと、試しに私がIntegratedの回答を60秒で話してみたところ、Umを4回言っていました。
60秒内で4回。これくらいの頻度で「Um」が入っても満点は取れるという事になります。

スピーキング力を上げるのにお勧めの教材は?

Independentの問題ですと、それなりに語彙力と知識(話す材料)が必要ですよね? 何か教材やアプリなどは使われましたか?

竹林先生

TOEFL公式問題集以外の教材やアプリは特に使っていません。
英訳に必要な語彙はおおまかに頭に入っているので、改めて何かを覚えるという必要性は無かったからです。言いたいことが瞬時に口から出るかの特訓をひたすらやっていた感じです。

英語の語彙や、Independentで語れる知識が足りない人用に、何かお勧めの教材などは無いですか?

竹林先生

もちろん理想は、映画からニュースからスピーチ、ドキュメンタリーや雑誌まで、あらゆる英語に触れて「自然な」英語を培っていくことが理想なのですが、なかなかそんな大量にできないでしょう。しかも、やはりTOEFLは「テスト」なので、映画俳優のラフな会話表現や、毒舌ニュースキャスターの鋭い語り口なども、少しだけテストの雰囲気とズレる気がします。

竹林先生

やはり「テスト」の解答例を参考にするのが一番良いでしょう。TOEFLの問題集の解答例があれば、ぜひ参考にしたいですし、それをやり尽くしたら、英検、IELTS、TOEIC Speaking & Writing Testsなど、他の問題集のスピーキング解答例に目を通しましょう。ライティングの解答例も、どんな理由付けや具体例で語るのかの良い参考になる可能性は十分あります。そういう所から、良いアイディアと良い英語表現を盗みましょう。

スピーキングで満点目指す人ってどんな人?

TOEFL iBTのスピーキングで30点満点を狙っている人ってどれくらいいるものなのですか?

竹林先生

ほとんどいないと思います(笑) TOEFL iBTのテストでは、世界最高峰クラスの大学の大学院への出願でも、求められるスコアは120点満点中110点くらいが最高です。そこから計算すると、4技能のスコアそれぞれが、30点満点中27~28点でも110点クラスに届きます。115点以上が無いと出願できない大学などまず無いでしょうから、どこかのセクションで満点を取らないとまずいという状況は考えられません。各セクションが29~30点クラスになると、完全に自己満足の世界でしょう。

先生、ありがとうございました。

竹林先生はTOEFL iBTのライティングでも満点を取られています!
次回は、純日本人である竹林先生が、どのようにしてライティングでも30点満点を勝ち取ったのか探っていきます。お楽しみに!

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