TOEFLには、個人受験者向けのTOEFL iBTや大学や企業の団体向けのTOEFL ITPがあります。
今回はそれぞれのテストが、方式、問題数や制限時間などの問題内容、用途が異なることの解説やTOEFL ITPのテスト対策について紹介します。
TOEFLにはどんな種類があるの?
TOEFLには、テスト形式によって種類があり、現在実施されているテスト形式は以下の3種類です。
種類 | 概要 |
---|---|
TOEFL iBT |
iBTは”Internet-based Test”の略称です。 インターネットを通じ、パソコンを使用してTOEFLのテストを行います。 日本をはじめ、ほとんどの国や地域で主流となっているTOEFLテストです。 |
TOEFL ITP |
ITPは”Institutional Test Program”の略称で、 企業や教育機関を対象とした団体向けのTOEFLテストです。 |
TOEFL PBT |
TOEFL PBTは、マークシート形式の筆記で行う紙ベースのTOEFLテストです。 主に、インターネットが普及していない発展途上国で実施されています。 |
このほかにも、TOEFLにはTOEFL CBT(Computer-based Test)という種類もありましたが、TOEFL iBTの普及に伴い、現在は廃止となっています。
そのためTOEFLを受験する際は、上記の3つからどれかを選ぶことになるでしょう。
TOEFL ITPとはどんな英語テスト?
TOEFL(Test of English as a Foreign Language:トーフル、トフル)は、アメリカ合衆国の非営利教育団体ETS(Educational Testing Service)が、英語を母国語としない人々を対象に制作・運営する、英語でのコミュニケーション能力を測る英語試験です。
1964年に実施が開始され、これまで、世界で3,500万人以上が受験している歴史と実績がある英語試験として認知されています。
中でもTOEFL ITP(Institutional Test Program)は、大学や企業などの教育機関や団体向けのTOEFLの試験で、世界50ヶ国、2,500以上の団体で採用されています。
受験者数の実績は、80万人以上に上ります。日本においても、大学、大学院、高等学校、官庁、企業など500以上の教育機関をはじめとする団体で実施されています。
TOEFL ITPはどんな問題が出題される?
TOEFL ITPは、マークシート形式の筆記で行う紙ベース試験TOEFL PBT(Paper-based Test)の過去の出題問題から構成されています。
受験方式は、筆記で行うペーパー受験と、2020年4月から開始されたインターネットとパソコンを利用して行うデジタル受験の2種類です。
ペーパー受験は試験終了後、結果を確認するのに、10日程かかりますが、デジタル受験の場合、試験終了後にその場で結果が確認でき、TOEFL ITPを実施した団体の責任者が受験生の結果一覧をデータで保管することが可能です。
試験内容は、Level1とLevel2の2種類のレベルがあり、どちらかのレベルを選択した上で、大学や企業などの団体からTOEFL ITPの申し込みが受け付けられます。
問題内容は、大学や大学院などのキャンパスや教室の内外で使われる英語がベースとなっており、3つのセクションで構成されています。
以下にLevel1とLevel2のセクションと問題数、制限時間を紹介します。
Level1
Level2は、Level1と比べると問題数・制限時間を短縮し、問題の難易度を低くして問題が作成されています。
スコア範囲は合計200点~500点です。「レベル」と聞くと、数値の高いほうが高難度という印象を受けがちですが、TOEFL ITPはLevel1のほうが難しくなっています。
セクション | 問題数 | 制限時間 |
---|---|---|
リスニング | 50 | 約35分 |
文法 | 40 | 25分 |
リーディング | 50 | 55分 |
合計 | 140 | 約115分 |
Level2
Level2は、Level1と比べると問題数・制限時間を短縮し、問題の難易度を低くして問題が作成されています。
スコア範囲は合計200点~500点です。
「レベル」と聞くと、数値の高いほうが高難度という印象を受けがちですが、TOEFL ITPはLevel1のほうが難しくなっています。
セクション | 問題数 | 制限時間 |
---|---|---|
リスニング | 30 | 約22分 |
文法 | 25 | 17分 |
リーディング | 40 | 31分 |
合計 | 95 | 約70分 |
TOEFL ITPとTOEFL iBTは何が違う?
以下に、TOEFL ITPとTOEFL iBT(Internet-based Test)の違いを簡単に比較します。
項目 | TOEFL ITP | TOEFL iBT | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
対象 | 団体向け | 個人向け | ||||||||
受験方法 |
筆記で行うペーパー受験 またはパソコンを使用したデジタル受験 |
インターネットを利用したパソコンによる受験 | ||||||||
問題内容 |
リーディング リスニング グラマー(文法) |
リーディング リスニング スピーキング ライティング |
||||||||
スコア範囲(合計) | Level1:310点~677点 | 0点~120点 | ||||||||
Level2:200点~500点 | ||||||||||
試験時間 | Level1:約115分 | 約4時間 | ||||||||
Level2:約70分 | ||||||||||
受験料(一人当たり) | 約2,500円~3,000円※ | US$235(約24,460円) |
※TOEFL ITPの受験料は、受験方法やレベル、受験者数によって異なります。また、所属団体によっても異なります。
個人と団体という対象の違い以外にも、受験方法や問題内容、受験料に至るまで細かな部分で違いが見て取れます。
TOEFL ITPとTOEFL iBTはどちらを受ければいい?
TOEFL ITPは大学や高校などの教育機関や官庁・企業などの団体単位で申し込む試験のため、個人での申し込みは受け付けていません。
TOEFL ITPの利用方法は英語力の測定、英語のクラス分けや成績評価、語学プログラムの選考、海外研修の選考など学校や企業の団体によってさまざまです。
パソコンを使って受験するTOEFL ITPのデジタル受験は、TOEFL iBTの受験準備としても利用されています。
通常、アメリカやカナダなどの英語圏の大学や大学院進学のためには、「リーディング」「リスニング」「文法」を評価するTOEFL ITPのスコアは活用することができません。
「スピーキング」「ライティング」も評価に加わる、個人向けのTOEFL iBTのスコアが、海外の大学や大学院へ進学する際の英語能力の証明として利用することができます。
TOEFL ITPの試験会場は、学校や企業などの団体で用意する必要があります。
また、インターネットとパソコンを使用するデジタル受験方式の場合は、インターネット環境とパソコンを用意する必要があります。
日本における、TOEFL ITPの申し込みは、TOEFLの運営を行っている一般社団法人 CIEE(Council on International Educational Exchange)国際教育交換協議会のホームページの問い合わせフォーマットもしくは電話で連絡の上、「ユーザー名」と「パスワード」発行の手続きをして、ユーザーページから発行された「ユーザー名」と「パスワード」でログインして、申し込みを行います。
先にも述べた通り、TOEFL ITPは、個人や個人のグループでの申し込みはできません。
学校や企業の団体で申し込みが行われて、学校や企業の団体によってTOEFLの受験が実施されます。
TOEFL ITP日程や受験会場などの問い合わせは、所属する団体にすることになります。
TOEFL ITPとTOEFL iBTのスコアには、相関性があるため、TOEFL ITPの結果を見れば、TOEFL iBTでどれくらいのスコアが獲得できるか予測が可能になります。
海外留学のため、個人でTOEFL iBTを受験する予定があり、事前に自分のレベルを確認したい人は、TOEFL ITPが実施されるか、所属する学校や企業に問い合わせてみると良いでしょう。
TOEFL ITPの対策方法を教えて
TOEFL ITPテストでは、文系から理系まで多岐にわたる分野の学術的な単語が使われます。
高度で専門的な用語はあまり使われませんが、大学の講義や教科書で使用される基本的な学術用語やキャンパスで使われる英語の知識も必要になってきます。
対策としては、参考書の「TOEFLテスト 英単語3800」などの学術的な専門用語の単語集を使って、単語の意味と発音を効率よく習得することです。
付属のCDを使って、音声に合わせて音読するなど、目だけではなく、耳と口も使って覚えると頭に入りやすくなります。
TOEFL ITPのリスニングの対策としては、「TOEFL ITPテスト リスニング問題攻略」などのTOEFL ITPリスニングセクションに特化した問題集を使って、アメリカやカナダなど北米の大学の講義やキャンパスで使われる英語の口語や定型表現などの音声を聞き込むと良いでしょう。
また、日本語訳を確認して英語の内容や細かいニュアンスを正しく理解できているか確かめることも大切です。
TOEFL ITPテストの文法問題で出題される多くは、日本の中学・高校で教えられる内容です。
ただし、問題文には、幅広い分野の学術的な英文が使われる傾向があります。
頻繁に出題されるポイントや解くコツが解説された「TOEFL ITPテスト文法問題攻略」などの参考書を読むと良いでしょう。
TOEFL ITPテストのリーディング対策としては、「TOEFL ITPテスト リーディング問題攻略」や「TOEFL ITPテスト本番模試[改訂版]」などの参考書を使い、本番形式の問題を制限時間内に解く訓練を重ねることが大切です。
リーディングでは、じっくり英文を読んでいると時間が不足してしまうので、英文の構成を念頭において読み進め、語彙問題は短時間で解くなど時間配分のコツを身につけましょう。
また、「はじめてのTOEFL ITPテスト完全対策」などのTOEFL ITPの予想問題集や模擬試験の参考書を活用して、付属のマークシートを使ったり、制限時間を守ったり、できるだけ本番に近い環境で練習すると良いでしょう。
模擬試験を解いた後は、必ず答え合わせをしましょう。
スコアを確認するだけでなく、自分の弱点を分析することが大事です。
自分の弱点はリスニングなのか、リーディングなのか、文法なのか、単語なのか、弱点が発見できたら、そこを重点的に学習して、模擬試験を繰り返して、スコアを向上させていきましょう。
以上、TOEFL ITPとTOEFL iBTの違いについて、解説しましたが、TOEFL ITPは大学や高校などの教育機関や官庁・企業などの団体の申し込みによって、所属する団体の案内でTOEFLテストを受講することができます。
試験の用途目的は、クラス分けや、学生や社員の英語力を把握するためなどに利用され、英語圏への大学・大学院の進学や日本の大学入試の際、英語力を証明するためには、TOEFL iBTのスコアが必要になります。
TOEFL ITPとTOEFL iBTのスコアには相関性があるので、海外留学や大学入試でTOEFL iBTを受験する予定がある方は、事前に、所属する団体がTOEFL ITPを実施するか確認して、自分のレベルを確かめるために利用すると良いでしょう。
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