※TOEFL iBTの試験形式は2019年8月に更新されました。
TOEFLの試験構成はこれまで何度か変更がされています。
本記事ではTOEFL iBT のListeningの試験形式などの基本情報と学習法について見ていきます。
Listening試験の概要
TOEFL iBT Listening試験の概要は下記です。
試験時間:41-57分(※1) 問題数:28-39問(※2) 点数:30点満点(※3)
30点満点中の取得スコアにおけるレベル感は下記を参考にしてみてください。
上級 (22~30) 上中級 (17~21) 中級 (9~16) 初級 (0~8)
問題は大きく「会話」と「講義」という2つのシチュエーションに分かれています。
「会話」では学生同士が新しい建物の建設といったような、大学からの発表について話し合っていたり、学生と大学職員が寮などの施設のサービスについて話していたりします。
問題数は2題または3題で各5問が出題されます。
「講義」とはその名の通り、いわゆる大学のレクチャーの場面が再生されます。
教授が一方的に学生に対して講義をしているパターンもあれば、教授が学生に何かを問いかけるパターンもあります。
こちらの問題数は3題または4題で、各6問が出題されます。
(※1)2019年の8月に試験形式が変更になったため、旧形式のテキストを持っている人は試験時間と問題数に注意が必要です。しかし、問題の内容や難易度は大きく変わっていないため、問題演習としては旧形式のテキストも十分に活用できます。
(※2)問題数は受験するごとに異なる場合があります。くわしくは本記事のダミー問題についてを参考にしてください。
(※3)TOEFLは素点に独自の計算式が適用され、最終的な技能のスコアが算出されます。そのため、受験者は正答数から正確なスコアを導き出すことはできません。
ダミー問題について
試験時間と問題数に幅があるのは「ダミー問題」が出る可能性があるためです。
「ダミー問題」とは、解答しても点数には加算されない問題です。
これは必ず出題されるわけではなく、一定の確率で出題されます。他の問題と見た目は変わらないため、見分けることができません。
ネット上には「ダミーは最後の問題」や「ある特定のトピックがダミー」などと書いてあることがありますが、そうとも限らないので注意が必要です。
ただし、試験開始時に画面上部に表示されるタイマーが長い方の試験時間(57分)になっていた場合はどこかにダミー問題が出題されます。
もしダミーが出るとわかっても、いずれの問題も飛ばしたりはせず、すべての問題をしっかりと解答しましょう。
問題タイプについて
Listeningの問題は大きく7つのタイプに分けることができます。
- 1. Gist-Content
- 音声の要点についての問題
- 2. Detail
- 音声の細部についての問題
- 3. Function
- ある表現の役割についての問題
- 4. Attitude
- ある人の立場についての問題
- 5. Organization
- どのように講義を構成しているかについての問題
- 6. Connecting Content
- 音声の内容に沿って内容をマッチさせる問題
- 7. Inference
- 暗示された内容についての問題
具体的にどのような問題なのか知りたい人は、以下のリンクにアクセスしてETS公式YouTubeの解説動画を参考にしてみましょう。
説明も含めてすべて英語なので良いエクササイズになると思います。
他試験のListeningとの違いについて
次に、TOEFLのリスニングがほかの英語試験のリスニングとどのように違うのかを見ていきましょう。
ここでは留学をする際に受ける語学試験で、よくTOEFLと並んで選択肢に挙がるIELTSを比較対象とします。
【TOEFLとIELTS Listening相違点】
解答スタイルについて
IELTSとTOEFLのListening試験における大きな違いは、やはり「聴きながら解答するかどうか」という点です。
IELTSの場合は音声が流れる前に準備時間に問題を先読みします。
そのあとに音声を聴きながら同時に解答をしますが、TOEFLに問題を先読みする時間はなく、音声が再生された後にはじめて問題を見ることになります。
もうひとつ解答スタイルの違いをみると、TOEFLはすべて選択式なので、IELTSのように単語をスペルする必要はないということです。
そのため、学習の際にIELTSほどシビアにスペリングは意識しなくても良いでしょう。
アクセントについて
IELTSはイギリスのケンブリッジで作成しているテストのため、使用されている英語はイギリスやオーストラリアのものが多いです。
北米のアクセントも出てきますが、英豪のアクセントと比較すると頻度はかなり低めです。
一方でTOEFLはアメリカのETSという団体が作成しているため、バリバリのアメリカ英語です。
さらに、IELTSはややテストっぽい英語であるのに対して、TOEFLはもう少し日常的な英語が使用されている印象があります。
ただ、慣れていないと聴き取りや表現を難しく感じる方もいるため、音に対する対策はしっかりと行う必要があります。
【TOEFLとIELTS 出題の共通点】
メモについて
どちらの試験も音声は一度しか流れないため、メモを取ることができます。(TOEFLは一部、問題該当部の音声がもう一度再生されることがあります。)
IELTSの場合は単語のスペルが大事なので単語をメモすることは重要ですが、TOEFLの場合、メモを取ることはおすすめしません。
理由は2つあります。
1つ目は「メモを取っている間は聴き取りが疎かになってしまうから」です。
日本語でもそうだと思いますが、音声を聞きながらメモを取っていくと、やはり聴き取りの精度が下がってしまいます。
外国語である英語では特に「音声認識」と「内容の理解」の2つに脳のキャパシティの多くを取られてしまうものなので、その上に書くことまで追加されると聴くことがかなり弱くなってしまいます。
そして、2つ目の理由は「どこが問題として出るかわからないから」です。
3-5分程度の音声の中ですべてをメモすることは不可能ですし、当たりをつけても外れてしまえば解答できなくなってしまいます。
たくさんの問題を解いていけば「なんとなくこの辺が出題されそうだな」くらいは予想できるかもしれませんが、あまり現実的ではないと思います。
そのため、TOEFLにおいては音声中にメモをとることはせず、ひたすら内容の理解に集中していく方がいいと思います。
そうなると記憶力を少なからず試される部分はありますが、リスニングの問題は2度内容を参照できないという形式上、問題の出し方はリーディングよりかなりストレートです。
つまり多くの場合、しっかりと内容を理解できていれば、簡単に4択の選択肢から最低でも2択には絞れるようになっています。
TOEFL iBTのリスニング学習法
問題タイプに慣れること
TOEFLのリスニングは前述のように、大きく分けると7個の問題タイプがあります。
まずはそれぞれの問題タイプにおいて苦手なものがないかどうか確認しましょう。
各問題タイプは形式によってある程度の難易度が決まっており、”Detail”や”Gist-content”はそこまで難しくないですが、“Inference”や”Function”の問題タイプは少し難易度が高めです。
明らかに正答数が下がるものがあれば、そこを埋めることによって得点アップが望めるでしょう。
問題集は、やはりETSが出版している公式問題集を使用するのがオススメです。
市場にはたくさんのTOEFL対策用テキストがありますが、ETSの問題集は公式のものなので、問題の難易度や形式が本番と限りなく近いという意味で最適です。
これらは基本的には英語ですべて書かれています。
日本語バージョンもいくつか出版されているので、和訳がほしいという人はそちらを選びましょう。
リスニング力向上のために
問題タイプに慣れることは大事ですが、TOEFLはIELTSのように問題を見てから音声を聴くことができないので、より深く内容を理解できているかどうかが問われます。
特に”attitude”や”inference”の問題タイプはスピーカーの発言をもとに推測しないといけない部分があるので、あいまいな理解では正答を導き出せません。
そのため、基礎的なリスニング力の向上が得点アップにもっとも効果的でしょう。
リスニング学習において重要なことは、TOEFLであろうがIELTSであろうが「なぜ聞き取れていないのかを明確にすること」です。
英語が聞き取れない理由は大きく分けると3つあります。
①単語・文法知識の不足 ②英語の音声がキャッチできていない ③英語の処理能力が足りない
この3つのどれに自分が当てはまっているのかを明確にせずに学習をしていると学習効果が出にくいです。
自分のリスニングにおける問題点が、上記の3つどれに当てはまるのかをチェックするには以下を基準にしてみましょう。
① | 「スクリプトを見ても英文の意味が分からない」 |
② | 「スクリプトの意味はわかるが、ディクテーション(※)をしても書き取れない単語がある」 |
③ | 「スクリプトの意味もわかるしディクテーションで単語もおおよそ間違いなく書き取れるけれど、音声を通しで聴くと意味がわからない」 |
初心者の場合は①、それ以外の方はほとんどのケースにおいて②か③が問題であることが多いように思います。
※ディクテーションとは、流れてくる音声の内容を一語一句同じように書き取ることです。ディクテーションをやる際は、1センテンスごとに音を止めたり、同じ箇所を何回も再生したりしても構いません。
次に、上記①~③のどれが問題かわかったら、その弱点に合わせた学習をしていきましょう。
①の「語彙/文法知識」が問題となった人は、インプット不足なので単語帳や文法書で抜けている箇所をカバーしましょう。
ほとんど文法はOKだという中級者でも口語表現などはカバーできていないことがあります。
その場合は文法書よりもネットなどで、対応箇所の表現を調べる方が不明点を解決しやすいでしょう。
英語で映画やドラマを見るのも口語表現の習得には効果的です。
②の「英語の音が取れない」にあてはまった人は英語の音を認識する力が欠けています。
単語の発音や、センテンスのリズム感を染み込ませる必要があります。
そのためにはまず、知っている単語の発音を完璧にしましょう。
英語はスペルと発音が必ずしも一致する言語ではないので、知っているつもりでも実は発音の仕方が違ったということは少なくありません。
そのため、単語帳を使うときや、新しい単語に出会ったときは必ず、意味と一緒に発音もカバーしましょう。
また、英語は単語レベルで発音されるときと、センテンスになったときでは発音が変わることが多々あります。
いわゆる「リエゾン」や「フラッピング」、「リダクション」と呼ばれるものですね。
Point
- リエゾン=音がつながること
- フラッピング=tがrやdのような発音に変化すること
- リダクション=発音されない音のこと
これらがあるために”let it go”は「レット イット ゴ-」と言わずに「レリゴー」と言ったり”water”が「ウォーター」と発音されずに「ワォラ」のように発音されたりします。
もちろん、音を聞きながらいちいち「あ、これはリダクションだな」とか思っているわけではないですが、英文を聴き取れるようになるためにはまず、これらの音声変化が起こるということを知識として持っておく必要があります。
ある程度上記がカバーできたら、次に音源のスクリプトを見て、目でセンテンスを追いかけながら音声を聞くという作業を何回もやりましょう。
そうすることによって単語やセンテンスの正しい発音を頭にインプットすることができます。
また、シャドーイングやオーバーラッピングも有効な学習法です。
シャドーイングとは「スクリプトを見ずに」再生される音源と同じ内容を発話することです。
一方、オーバーラッピングとは「スクリプトを見ながら」音声と同じ内容を発話することです。
シャドーイングはスクリプトを見ないという特性上、難易度がかなり高いので、いきなりやるのではなくスクリプトを読み込み、オーバーラッピングをしたあとにしましょう。
そして最後に③の「英語の処理能力が足りない」にあてはまった人は、インプットした英語を頭の中で処理する能力を鍛える必要があります。
それにはリーディングが効果的です。
リスニングの学習でリーディングをするというと驚く人もいるかもしれませんが、ここでの目的は「英語の処理能力を高めること」なので音は関係ありません。
ただし、普通にリーディングしていても意味がないので、必ず「意味が取れる限界の速度で素早く読む」ことを意識していきましょう。
リーディングでセンテンスを左から右へ素早く読み流していく作業をしているとき、頭の中はリスニングをしているときと同じ環境になっています。
なぜなら、両者にはインプットの方法が「目から」なのか「耳から」なのかという違いしかないからです。
したがってリーディングの読解スピードが高まればリスニング時の理解力も大きく向上するということです。
絶対に返り読みをしない
また、英文を読む際には「絶対に返り読みをしない」ことが重要です。
なぜなら、リスニングの音声は絶対に返り読みができないからです。
たとえば関係詞が出てくるたびに後ろから訳していき、最後に修飾されている名詞の意味をとる人は、リスニングで関係詞が出てきたときに理解速度が劇的に落ちます。
英語を英語の語順のまま意味をとるということはリーディングではもちろん、リスニングでは絶対的に重要なのです。
返り読みの癖が抜けずに素早く読むことができない人はまず、スピードよりも左から右へ目を流していって意味をとる練習をしましょう。
その際は頭の中できれいな日本語になる必要はなく、パーツごとに意味をとっていけば良いです。
例えば以下のようなセンテンスがあった場合、
“The public park has many sports facilities which everyone who lives in the city can use for free.”
「その公園にはその街に住んでいる誰もが無料で使用できるたくさんのスポーツ施設がある。」 と訳すのではなく、 「その公園は、持っている、たくさんのスポーツ施設を、それは、みんなが、その人は、住んでいる、その街に、使うことが出来る、無料で」 というように頭から訳をとっていきます。最初は意味が通じず気持ち悪いかもしれませんが、続けていくうちに日本語の語順に変換せずともしっかりと理解ができるようになっていきます。
この読み方をするためには、ある程度の塊で意味をとっていく必要があるので、どこで意味が切れているのかを判断するための文法知識が必要になってきます。
関係詞や分詞構文、仮定法など、センテンスのレベルが高くなればなるほど左から右へ戻らずに読むのは難しくなっていくため、簡単な文から徐々に複雑なセンテンスへ、レベルを上げて練習していきましょう。
段階を踏むことでリスニングでも複雑な文章を理解できるようになっていきます。
以上の3点、自分の弱点がどれなのかをしっかりと意識することによって、効果的にリスニング力を向上させることができます。
TOEFL iBTリスニングスコアアップへの道
今回はTOEFL iBTのリスニングについてみていきました。
いろいろな英語試験がある中でそれぞれ試験形式は違いますが、スコアアップにもっとも重要なのは基礎的なリスニング力なので、試験形式に慣れることと並行して地道なトレーニングを続けていきましょう。
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