海外の大学や大学院に留学する時には試験を受け、英語力を証明することが求められます。
なかでも有名なのが、TOEFLとIELTSです。
今回は、TOEFL iBT文法問題の対策法に焦点を当てて、解説していきたいと思います。
TOEFLってどんな試験?
TOEFLは英語能力測定試験の一つで、160か国以上で英語力を認定されるのに使用されている極めて一般的なテストです。
特徴としては、「リーディング」「リスニング」だけでなく、「スピーキング」「ライティング」も含めて出題される4技能試験であることが挙げられるでしょう。
その点で、日本でもっとも有名な英語試験であるTOEICよりも一人では対策のしづらい試験と言えます。
また、留学が主に想定されていることからトピックがアカデミックな内容となっており、日本語で読んでも難しい内容を英語で理解することを求められます。
TOEFLにはTOEFL iBTの他、TOEFL PBT等の他の種類もありますが、今回はTOEFL iBTについて解説していきます。
TOEFLについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
TOEFL iBTの文法セクションとは?
文法セクションについて
TOEFLの文法セクションではアカデミックな内容の英語長文が出題され、30点満点として評価されます。
出題される設問テーマ
自然科学、社会科学、芸術といった広い学問分野から700語程度の長文が出題されます。
アカデミックな内容が中心となっています。
試験時間や問題数
1パッセージにつき10問出題されます。
試験時間は3パッセージで54分、4パッセージで72分です。
場合によっては、ダミー問題と呼ばれる採点されない問題が含まれていることがあります。
しかし、受験者はダミー問題がどれであるのかを知ることができないため、とくに気にする必要はありません。
なお、試験時間は試験が開始するまではわかりません。
TOEFL IBTの文法対策とは?
さっそく、文法問題の解説をしていきます。
まずはじめに、お伝えしておくことがあります。
それは、TOEFL iBTではいわゆる文法問題は出題されないということです。
TOEFI ITPでは動詞の時制を選んだり、適切な関係詞を選んだりする問題が多く見られますが、そういった問題はTOEFL iBTでは出題されません。
指定された単語の類語を選んで解答する、といった問題はありますが基本的には文章を読み、それを正しく理解するということが重要になります。
したがって、何よりもまず長文を読みこなす力を身に付けなくてはなりません。
ここでおすすめしたい対策方法が、
・「英単語の暗記」 ・「英文法の確認」 ・「シャドーイング・音読」 ・「過去問や対策本の繰り返し学習」 ・「多読」
上記の5つです。
これらの勉強法を順番に解説していきます。
英単語の暗記
英単語を暗記することは、基本中の基本です。皆さんにも、単語帳を眺めながら必死に英単語を暗記した記憶があるのではないでしょうか。
単語帳を買うのが王道ですが、アプリの手軽さも捨てがたいところです。
重要なのは、自分にとってもっとも使いやすいものを選ぶことです。
ここで注意しなければならないことは、どのような教材でも徹底的にやり込む、ということです。
英語の勉強法を調べていると、さまざまな単語帳、アプリが紹介されており、目移りしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、中途半端に手を出しても知識の抜け漏れが多くなってしまうだけです。
一度英単語の教材を決めたら、最後までやり抜きましょう。
方法としてはシンプルで、英単語を読みながら書いて覚える、これを繰り返していくだけです。
TOEFL iBTではライティングもあるわけですから、紙に何度も書いてスペルまで完全に覚える必要があります。
単語を見て、意味がわかるだけではいけません。
アプリ派の人も、机に向かって単語練習する時間を作ることを忘れないでくださいね。
英文法の確認
英文法の理解なくして英語力の向上はあり得ません。
徹底的に英文法を勉強しましょう。
TOEFLの過去問などで構文がわからないものを文法書で確認する、といった対策が基本となります。
また、大学入試問題の文法問題だけを解いてみるというのも良いと思います。
しかし、英文法に自信がないという方は、後に紹介する「English Grammar in Use」などの英文法書を通して読んでから実践に移ることをお勧めします。
もちろん、TOEFLでは和訳は求められません。
分詞構文: “ Considering the weather, we should postpone the event. ”や 無生物主語 : “The accident prevented us from reaching the station on time. ” などの、和訳しづらい英文に頭を悩ませる必要はありません。 意味さえわかれば構わないくらいの気持ちで気楽に取り組むとよいでしょう。 *上記の和訳例: 「天気を考えると、私たちはそのイベントを延期するべきだ。」 「その事故のせいで私たちは駅に時間通りに着くことができなかった。」
シャドーイング・音読
英語の長文を読むときは音読する癖をつけましょう。
なぜなら、シャドーイングや音読をする方が、単語や文法を覚えるのに適しているからです。
しかし、「読むことに気を取られて内容が頭に入ってこない」なんてことにはならないように気を付けましょう。
もし難しいようなら、一度ゆっくり時間をかけて黙読し、すぐに意味が分かるようになった状態で構文を考えながら音読していくとよいでしょう。
音声があれば、ぜひシャドーイングも取り入れてみてください。
シャドーイングとは、音源を再生し、その後ろからついていくようにして同じ文章を繰り返していくことです。
このとき、何も見てはいけません。
上記の練習はかなり難易度が高いのですが、音読を十分におこなっている教材であればそれほど難しくはありません。
この方法の良いところは、スピーキングの向上にも役立つということです。
しかし、ここまでやると結構時間がかかってしまうため、余裕のある時だけ取り組んでみてください。
過去問や対策本を繰り返し学習する
TOEFLはアカデミックな内容が多く、初めて解いたときには思ったより正答率が低く悲しい気持ちになってしまうこともあるかもしれません。
しかし、何度も繰り返し解いてみると、それほど難しいことは書かれていないということに気づけるのではないでしょうか。
試験で緊張しないためにも、過去問等で問題形式に慣れておくことが大切です。
しかし、2019年にテスト形式が変更されているため、少し古い過去問と現在の試験とでは問題数が違うことに留意してくださいね。
また、パソコンで英文を読むことへの抵抗をなくしておく必要もあります。
なぜなら、パソコンなどで英文を読むと人によっては目が滑り、内容がなかなか頭に入ってこない、ということがありうるからです。
実際に、文章を紙で読むときと比べて液晶で読むときには80%程度読む速度が減少するというデータがあります
「紙で読む方が好きだ」という人は、できるだけパソコン上で英文を読む時間を設けてください。
TOEFLの公式サイトには試験一回分のサンプル問題が載っていますので、忘れずに取り組みましょう。
多読
多読とは文字通り多くの活字を読むことです。
TOEFLでは長文を読む必要があるため、英語を読むことに対してストレスを感じないようにしなければなりません。
そのために役立つのが多読です。
英字新聞を読むのが最も良いとは思いますが、難しい単語が多く文章量も莫大なため、現実的ではありません。
興味のあるトピックを英語で検索してみて読んでみる、英語圏の小中学生が読むような小説を読んでみる、といった勉強法が良いでしょう。
多読に役立つサイトを後ろで紹介していますので、そちらも参考にしてください。
TOEFL文法学習に役立つおすすめの問題集やアプリ
English Grammar in Use Book with Answers and Interactive
Grammar in Useシリーズは世界的ベストセラーとなっている英語の文法書です。
英語の文法に関する解説が英語で書かれているため、最低限の英語力は必要ですが、それほど難しい表現は使われていないため、最初に始める参考書としてよいと思います。
使い方としては最初から順に読み進めていき、知識を身に付けていくのが吉です。
初級、中級、上級があり初学者から上級者までお勧めできるシリーズですが、まずは中級の「English Grammar in Use」から始めるのが無難かと思います。
The Official Guide to the TOEFL iBT Test
The official guide to the TOEFL testはTOEFL ETSの販売する公式問題集です。
この本の利点はCDが付属しておりPCにインストールすることで実際と同じようにパソコンを用いて試験を受けることができる点です。
新形式のTOEFLiBTに対応しているのは第6版だけなのですが、まだ日本語版は発売されていません。
そのため、第5版をやったあとで第6版を試してみるのが良いでしょう。
Duolingo English Test
Duolingoは楽しみながら英語を学ぶことができるアプリです。
難易度は幾つか用意されていますが、全体的には初学者向けと言えるでしょう。
TOEFLで出題される問題文のレベルを考えるとあまり時間を割くべきではありませんから、勉強の習慣をつけるためにまずやってみる、といった使い方がおすすめです。
また、「英語に対する苦手意識を取り除くためにインストールしてみる」というのもアリです。
TOEFL GO!
TOEFL GO!はETSの提供する公式TOEFL対策アプリです。
正規の問題に比較的安価で取り組むことができます。
セクションごとに購入できるため、リーディングだけ集中的にやりたい、といったニーズにも対応しています。
レベルは初学者から上級者までです。
TOEFL 英単語3800
TOEFL 英単語3800は物書堂が販売する英単語アプリです。
書籍の単語帳と比べると、クイズで定着度を気軽に調べることができるという点で優れていると言えるでしょう。
単語はレベル別にランク付けされており、TOEFLを受験する全ての人におすすめできます。
こちらのアプリはApp Storeにのみ配信されています。
National Geographic
これはアプリではありませんが、学術的な読み物が大量に読めるサイトです。
単語のレベルはTOEFLと遜色ないため、このサイトにある記事がすんなりと理解できるようでしたらリーディングセクションで高得点が期待できると思います。
しかし、問題や解説、和訳などは存在しないため初級者には少し取り組みづらい教材かと思われます。
自分で英語を読み進めることのできる、中級から上級者におすすめです。
英文法を学習する際の注意点
単語や文法はスピーキングやライティング等に比べると、比較的独学でも学習しやすいです。
しかし、参考書や問題集だけでは理解できない部分があった際、解決に時間を要してしまうことが多いでしょう。
そのため、高い学習効率を求める方はプロの講師と一緒に学ぶという選択肢も考慮してください。
バークレーハウスのTOEFL講座では40年以上の指導経験をもとに日本人に最適化したTOEFL対策を提供しています。
また、日本人講師、ネイティブ講師の両方が在籍しており、最適な人材をご用意することができます。
教材も厳選して個人に合わせていくため、高い学習効果を発揮することが可能です。
詳しく内容は、以下のページからご覧ください。
TOEFLの受験に文法力は必要?
TOEFL iBTでは文法問題は出題されないと申し上げましたが、では文法力は必要ないのでしょうか?
答えは当然 “No” です。
むしろ、正確に長文を理解しなければならないため、高い文法力が必要とされると言えるでしょう。
たとえば、良く出現するのが “It is A that ~” のような強調構文です。この文法では Aが強調されており、“that” 以下にその説明が来ます。
このような英文法に関する知識がないと「問題内容が把握できない」、もしくは「時間がかかりすぎて解ききれない」ということになり、高得点は狙えません。
語彙力はもちろんですが、英文法に関する知識もしっかりと学んでいく必要があります。
次に、注意するべき勉強法について解説します。
すぐに文法問題に挑戦しない
基礎知識がない状態で、文法問題を解いてもなかなか身につきません。
文法問題は、覚えた知識の確認のために使用するべきです。
文法書を一読するなどして、ある程度知識が入っている状態で学習するようにしましょう。
参考書や問題集の答えを丸暗記してしまう
教本に書かれた表現方法や和訳を丸暗記しても英文の構造には強くなれません。
意味や構文を考えながら英文を音読し、気付いたら暗記してしまっていた、というのがベストです。
まとめ
TOEFLでは直接文法問題が出題されることはないものの、英文解釈のために高い文法力が必要とされます。
文法書などで英文法を一通り知識として取り入れ、音読や過去問などを用いて英語の語順と構文に慣れていきましょう。