英語を母国語としない学生が、アメリカやカナダなど英語圏の大学院へ留学する際に英語力を証明するための試験としてTOEFLテストは活用されています。
TOEFLを運営する団体のETSはアメリカが本拠地です。そのため、アメリカのほとんどの学校で、大学院の留学生であるインターナショナル・スチューデントを受け入れる際にTOEFLが採用されています。
今回は、アメリカの大学院の特徴やアメリカの大学院進学で求められるTOEFLスコア、さらに日本の大学院入試で必要なTOEFLスコアについて解説します。
アメリカの大学院の特徴は?
ここでは、アメリカの大学院の特徴を挙げて紹介します。
海外の大学院への留学を検討されている方は、選択肢の1つであるアメリカの大学院に関する情報として、ぜひ参考にしてください。
なお、アメリカでは「大学院」のことを「graduate school」、「大学」のことを「undergraduate school」といいます。
「graduate」は略して「grad school」や「grad student」(大学院生)とも呼ばれ、「grad student」は単に「grad」と総称することもあります。
特徴①:コースワークが中心
アメリカの大学院で卒業した後に取得できる学位の1つ「修士号」を取るための修士課程(Master’s Degree Program)はコースワーク(Coursework)が中心です。
コースワークとは、日本の大学院のよう担当の教官についてリサーチや研究を中心におこなうのではなく、大学の4年間と同じように卒業のために必要なクラスの講義を受けて、単位を取得することです。
単位を取得するために、宿題やレポートを提出したり、テストを受けたりします。
特徴②:選択科目が多く基礎から学べる
アメリカの大学院では、1年目に基礎科目を学ぶケースが一般的です。
アメリカは日本と比べると一度社会に出てから大学院へ進学する方が多く、大学生のときに専攻していた科目とは違う分野へ進学することも少なくないため、大学院では基礎科目の授業を行っています。
なお、経営学や法律、医学などの科目では、専門的な知識や技術を学びます。
特徴③:実践的なカリキュラム
アメリカの大学院の授業は、紙ベースのテストだけではなく、ケーススタディ(事例研究)やディスカッション、ディベート、プレゼンテーションといった極めて実践的なカリキュラムを用いて学びます。
そのため、英語力やコミュニケーション能力が乏しいと、授業についていけなくなる可能性が大きくなるので、それらのスキルを身につけておくことがとても重要です。
特徴④:インターンシップ(企業実習)の重視
実際に企業で実習を行うインターンシップを必修科目として、重視していることが多いのもアメリカの大学院の特徴として挙げられます。
通常は、大学院が提携している企業で実習を行うため、自身でインターンシップが行える企業を探す手間を省いて、企業実習を行うことが可能です。
もし、インターンシップが必須科目ではなく、企業実習を希望する場合は、自身でインターンとして実習を行える企業を探す必要があります。
特徴⑤:卒業後有給で仕事が可能
最後に、アメリカの大学院の特徴として、卒業後に、OPT(Optional Practical Training)といって、アメリカの就学用の学生ビザ(F-1)で専攻していた分野や関連した職種で働くことが可能になります。
就職先は自身で探さなければなりませんが、1年間は給料をもらって働くことが許可されるものです。
アメリカでは有給で働くためのビザを取得することが非常に難しいため、アメリカでの就職を目指している方には、とても魅力的な特徴といえるでしょう。
TOEFLスコア何点がアメリカの大学院で求められるの?
TOEFLには、TOEFL iBTとTOEFL ITPといった種類のテストがあります。
iBTはInternet Based Testingの略で、インターネットを通じてパソコンで試験を行い、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの英語4技能を測り、英語力を総合的に評価します。
受験の申し込みは個人が対象で、一般的にTOEFLといえば、TOEFL iBTを指します。
一方、TOEFL ITP(Institutional Testing Program)は、大学や企業などの団体を対象とし、英語のクラス分けや能力測定を目的に利用されています。
リーディングとリスニングのみのテストで、筆記で行うペーパー版とパソコンを使って解答するデジタル版があります。
母国語を英語としない学生がアメリカの大学院への進学で提出が求められるのは、4技能を評価したうえで、英語力を証明するTOEFL iBTのスコアに限られます。 TOEFL iBTのスコアは、各技能30点満点、合計120点満点で評価されます。 大学院の授業は主にアメリカ人の英語ネイティブの生徒と一緒にすべて英語で行われるため、学校側は留学生が問題なく授業についていけるだけの英語力が十分備わっているかをTOEFL iBTスコアで審査するのです。
アメリカの大学院への留学で、求められるTOEFL iBTスコアは一律ではなく、海外からの大学院生を受け入れる学校によって異なります。
以下に、良く耳にするアメリカの大学の中から、英語を母国語としない海外からの大学院生を受け入れている学校を10校ピックアップして、大学院生として進学するために必要なTOEFL iBTスコアを紹介します。
- コロンビア大学…総合得点100点
- ブラウン大学…総合得点90点
- コーネル大学…各技能得点 リーディング:20点/リスニング:15点/スピーキング:22点/ライティング:20点
- スタンフォード大学…総合得点89点~100点
- マサチューセッツ工科大学(MIT)…総合得点90点
- カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) …総合得点87点
- ボストン大学…各技能得点リーディング:21点/リスニング:18点/スピーキング:23点/ライティング:22点
- カーネギメロン大学…総合得点84点
- シカゴ大学…総合得点90点~104点
- サンフランシスコ大学…総合得点79点~100点
アメリカの大学院への進学を考えるのであれば、TOEFL iBTスコア合計で80点以上は獲得しておきたいところです。
なお、大学によって海外からの大学院生を受け入れる際に採用されるTOEFL iBTスコアは、その年によって変動する場合があります。
実際にアメリカの大学院留学を目指す際は、志望する大学のWebページを参考に「必要となるTOEFL iBTスコア」を確認しましょう。
TOEFL iBTスコアの範囲別のレベルを知りたい方は、こちらの「TOEFLの難易度はどのくらいなの?」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
日本の大学院入試で必要になるTOEFLスコアはどれくらい?
TOEFLは、日本の大学において、大学院入試の英語試験としても採用されています。
アメリカの大学院とは異なり、個人向けのTOEFL iBTだけではなく、団体向けのTOEFL ITPも導入している大学があります。
例えば、東大の場合は、TOEFL iBTとTOEFL ITPの双方のテストを採用しています。
東大の大学院入試で合格するために必要とされるスコアは、公表されていませんが、目安としてTOEFL iBTで80点、TOEFL ITPで550点とされています。
あくまでも目安ですが、TOEFL iBTスコア80点とTOEFL ITPスコア550点がどれくらいのレベルなのか、日本では知名度が高い英語試験のTOEICや英検と比較してみると、TOEICスコアで900点、英検では準1級程度のレベルになります。
TOEFLのスコアがほかの英語試験と換算するとどのレベルになるのか詳しく知りたい方はこちらの「TOEFLスコア換算表!英検やTOEICとの難易度の違いは?」でご覧いただけます。
アメリカの大学院と日本の大学院で必要とされるTOEFLスコアの目安をおわかりいただけたでしょうか。
次は、実際に自身が志望する大学院のスコアをチェックして、そのスコアに到達するためのTOEFL対策が必要です。
公式のガイドや書籍を活用して独学で挑んでも良いですが、やはり効果・効率を考えるとTOEFL対策を専門に行っているスクールで学ぶことをおすすめします。
バークレーハウス語学センターは、TOEFL対策において、45年以上の指導実績がある老舗のスクールです。
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