
- IELTSのスコアが大学入試で使えるって本当?
- 日本の大学入試でもIELTSが評価される?
- 海外大学を目指すにはどのスコアが必要?
英語力の証明として様々なシーンで重宝されているIELTSのスコアですが、国内外の大学入試でも活用できることをご存知でしたか?
本記事では、国内の大学入試におけるIELTSの優遇制度と必要スコア、海外大学を目指す場合の目標スコアを徹底解説します。
IELTSは大学入試で役立つの?優遇制度について

近年、日本国内でも、英語の外部試験としてIELTSを活用する大学が増えています。
IELTSは、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能を総合的に測定できる世界的に認められた英語能力試験で、実践的な英語力の証明として高く評価されています。
特に国際化を推進している大学や、グローバル人材の育成に力を入れている学部では、IELTSスコアを提出することで様々な優遇を受けられる可能性があります。
具体的にIELTSが大学入試でどのように役立つのか詳しく見ていきましょう。
国内の大学入試におけるIELTS優遇制度の種類
国内の大学入試におけるIELTS優遇制度は、おもに以下の4つのタイプに分けられます。
- 英語試験免除
- 得点換算制度
- 加点制度
- 出願資格としての活用
まず一つ目の「英語試験免除」は、一定以上のIELTSスコアを持っていると、入試における英語科目が免除されるというものです。
例えば、早稲田大学の国際教養学部では、IELTS 6.5以上のスコアがあれば、英語試験が免除されます。
これにより、他の科目の受験勉強に集中できるというメリットがあります。
二つ目の「得点換算制度」は、IELTSのスコアを大学独自の換算表を用いて、入試の英語得点に換算するという制度です。
高いIELTSスコアを取得していれば、満点に換算される場合もあります。
三つ目の「加点制度」は、一般入試の点数に、保持しているIELTSのスコアに応じて一定の点数が加点される仕組みです。
たとえば、関西学院大学では、IELTS 5.5以上で10点、6.5以上で15点を加点する制度が設けられています。
また、「出願資格」としてIELTSのスコア基準を設けている大学もあります。
総合型選抜(旧AO入試)やグローバル入試などで設けられていることが多く、この場合は規定以上のIELTSスコアを持っていなければ、出願自体ができなくなってしまいます。
このように、IELTSのスコアを活用することで、大学入試をより有利に進められる可能性があります。
自分の志望校・学部がどのような制度を設けているかを、事前に募集要項を確認しておきましょう。
大学の交換留学や奨学金制度で活用できる場合も
IELTSは入試だけでなく、大学入学後の交換留学や奨学金制度でも活用されることがあります。
多くの大学では、交換留学プログラムの選考において、IELTSスコアが重要な選考基準となっており、一定以上のIELTSスコアが出願条件となっていることもあります。
海外留学向けの奨学金やグローバル人材育成を目的とした奨学金の出願においても、英語力の証明としてIELTSスコアの提出が求められたり、一定以上のIELTSスコアが応募条件になっていることがあります。
このように、IELTSスコアは入試だけでなく、大学生活の様々な場面で活用できる英語力の証明となります。
入学時だけでなく、その後のステップアップも見据えて、早い段階でIELTSスコアを取得しておくことは大きなメリットとなるでしょう。
【スコア別】IELTSを大学入試で利用できる日本の大学一覧

続いては、IELTSのスコアでの優遇制度を設けている主な大学・学部をリストアップしていきます。
なお、入試制度は毎年変更される可能性があるため、最新情報は各大学の公式ウェブサイトや入試要項で必ず確認してください。
IELTS 3.0〜を採用している大学・学部
IELTS 3.0以上のスコアでは、優遇を受けられる大学は限られますが、優遇制度を設けている大学も一部見られます。
IELTS 3.0
日本国際学園大学 | 経営情報学部 ビジネスデザイン学科 | ・総得点に5点加点 |
甲南大学 | 全学部 | ・外部英語試験活用方式への出願資格 ・100点満点の場合60点に換算 |
大阪女学院大学 | 国際・英語学部 国際・英語学科 | ・自己推薦入学試験への出願資格 |
大阪女学院短期大学 | 英語科 | ・自己推薦入学試験への出願資格 |
椙山女学園大学 | 外国語学部 英語英米・国際教養学科 | ・公募制推薦入試Ⅰ期の出願資格 |
福島大学 | 食農学類 食品科学・農業生産学・生産環境学・農業経営学コース | ・地域社会貢献枠の出願資格 ・実践教育経験枠の出願資格 |
IELTS 3.5
白百合女子大学 | 全学部・全学科 | ・自己推薦入試の出願資格 |
芝浦工業大学 | 全学部・全学科 | ・工学部総合型選抜への出願資格 ・建築プロジェクト入学者選抜への出願資格 ・理工系女子特別入学者選抜の出願資格 |
IELTS 4.0~を採用している大学・学部
外部の英語検定試験のスコアを、受験の合否判定に採用する入試方法である「英語外部検定試験」において、IELTS 4.0以上のスコアを出願資格としている学部が多くみられます。
早稲田大学 | 国際教養学部 | ・7点加点 |
上智大学 | 全学部 | ・10点加点 |
明治大学 | 商学部 | ・英語4技能試験利用(活用)方式の出願資格 |
明治大学 | 農学部・経営学部・国際日本学部・総合数理学部 | ・英語4技能試験利用(活用)方式で80%換算 |
中央大学 | 文学部・国際経営学部 | ・英語外部試験利用方式の出願資格 |
法政大学 | 情報科学部・デザイン工学部・理工学部 | ・英語外部試験利用入試での出願資格 |
大阪国際大学 | 全学部・全コース | ・得点換算され、受験の点数といずれか高い方を採用 |
IELTS 4.5~を採用している大学・学部
特に英語教育に力を入れている学部で、IELTS 4.5のスコアを採用しているケースが多く見られます。
IELTS4.5を取得しておくと、基礎的な英語力を証明できるスコアとして、受験生には大きな強みとなるでしょう。
明治大学 | 農学部・経営学部・国際日本学部・総合数理学部 | ・英語4技能試験利用(活用)方式で90%換算 |
青山学院大学 | 総合文化政策学部 | ・一般選抜などの出願資格 |
中央大学 | 総合政策学部・国際情報学部 | ・英語外部試験利用方式の出願資格 |
法政大学 | 社会学部・経営学部・人間環境学部・キャリアデザイン学部・スポーツ健康学部 | ・英語外部試験利用入試での出願資格 |
学習院大学 | 国際社会科学部 | ・110点に換算 |
IELTS 5.0~を採用している大学・学部
IELTS 5.0以上は、基礎的な英語力が身についており、日常的なコミュニケーションが取れるレベルであることを示す目安です。
5.0以上となると、加点や換算制度を設けている学部やコースの選択肢も大きく広がります。
青山学院大学 | 国際政治経済学部 | ・一般選抜などの出願資格 |
立教大学 | 全学部 | ・85%に相当に換算 |
法政大学 | 現代福祉学部 | ・英語外部試験利用入試での出願資格 |
学習院大学 | 国際社会科学部 | ・120点に換算 |
専修大学 | 全学部・全学科 | ・90点に換算 |
千葉大学 | 国際教養学部 | ・40 点加点 |
IELTS 5.5~を採用している大学・学部
IELTS 5.5は、ある程度実践的な英語力を備えていることを示すスコアです。
国際教養学部や外国語学部など、授業を英語に触れる頻度が多いコースで、高く評価される傾向にあります。
早稲田大学 | 国際教養学部 | ・14点加点 |
早稲田大学 | 文化構想学部、文学部、 | ・英語4技能テスト 利用方式の出願資格 |
上智大学 | 全学部 | ・20点加点(学部学科試験・共通テスト併用) ・180点に換算(共通テスト) |
明治大学 | 農学部・経営学部・国際日本学部・総合数理学部 | ・英語4技能試験利用(活用)方式で満点換算 |
立教大学 | 全学部 | ・92.5%に相当に換算 |
法政大学 | 法学部・文学部・経済学部・国際文化学部 | ・英語外部試験利用入試での出願資格 |
専修大学 | 全学部・全学科 | ・100点に換算 |
IELTS 6.0~を採用している大学・学部
IELTS 6.0以上は、海外大学の正規課程に出願できるほどの高い英語力を証明するスコアです。
大学によっては、大きな点数が加点されたり、満点に近い点数に換算されたりする可能性があります。
明治大学 | 経営学部 | ・英語4技能試験利用(活用)方式で20点加点 |
立教大学 | 全学部 | ・満点に換算 |
法政大学 | グローバル教養学部 | ・175点に換算 |
学習院大学 | 国際社会科学部 | ・140点に換算 |
IELTS 6.5~を採用している大学・学部
IELTS6.5以上は、海外の名門大学への出願も目指せる高スコアです。
満点近くに換算する大学も多く、学部によっては試験が免除されたりする場合もあります。
明治大学 | 経営学部 | ・英語4技能試験利用(活用)方式30点加点 |
法政大学 | グローバル教養学部 | ・185点に換算 |
南山大学 | 全学部 | ・個別学力試験の得点を満点とし、外国語試験を免除 |
千葉大学 | 国際教養学部 | ・満点換算 |
IELTS 7.0~を採用している大学・学部
IELTS 7.0以上は、大学院レベルでも高評価されるスコアです。
6.5のスコアでも満点近くに換算されることも多く、7.0以上の換算基準を設けている大学は少ないですが、下記の大学・学部が挙げられます。
早稲田大学 | 国際教養学部 | ・20点加点 |
上智大学 | 全学部 | ・30点加点(学部学科試験・共通テスト併用) ・200点(満点)に換算(共通テスト) |
法政大学 | グローバル教養学部 | ・200点に換算 |
学習院大学 | 国際社会科学部 | ・150点に換算 |
【国別】海外大学の入試に必要とされるIELTSスコアの目安
IELTSは国際的な試験ですので、日本国内だけでなく、世界中の多くの大学で英語力の証明として広く認められています。
海外大学への留学を目指す場合には、どのくらいのIELTSスコアが必要になるのでしょうか。
主要英語圏であるアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダの大学で必要とされるスコアの目安を紹介します。
アメリカの大学で必要とされるIELTSスコア
アメリカの大学への出願には、元々TOEFLが主流でしたが、近年ではIELTSも広く認められるようになってきました。
アメリカの多くの4年制大学では、IELTS6.0〜6.5が入学の最低基準とされています。
ただし、大学のランクによって要求されるスコアは異なり、トップ校として知られるハーバード大学や、アイビーリーグなどの難関私立大学では7.0以上を目安としている場合もあります。
一方、州立大学やリベラルアーツカレッジでは、やや低めのスコアでも入学可能なケースがあります。例えば、アリゾナ州立大学では、条件付き入学の場合、IELTS 5.5でも申請が可能です。
また、同じ大学でも専攻分野によって要求スコアが異なる場合があり、一般的に理系学部よりも文系学部、特に英語学や文学、コミュニケーション学などの分野では高いスコアが求められる傾向があります。
イギリスの大学で必要とされるIELTSスコア
IELTSがイギリスで開発された試験であることも関係しており、イギリスの大学は、特にIELTSスコアを重視する傾向があります。ほとんどの大学で、入学条件としてスコアの基準が明確に記載されていることが多いです。
一般的に、学士課程ではIELTS6.0〜6.5が標準的な要件とされており、マンチェスター大学やバーミンガム大学などの中堅〜難関大学では6.5以上が求められます。
イギリスのトップ校であるオックスフォード大学やケンブリッジ大学では超名門校では、学部入学に最低IELTS 7.0(各セクション7.0以上)が必要です。特に人文科学や社会科学の分野では、IELTS 7.5が求められることもあります。
また、イギリスの大学では、総合スコアだけでなく、各セクション(特にアカデミックライティング)の最低スコアも明確に指定されることが多いのが特徴です。
イギリスの大学を志望する場合は、全体スコアだけでなく各バンドスコアも意識して対策を進めましょう。
スコアが基準に満たない場合、ファウンデーションコースという選択肢もあります。
英語を母国語としない学生が、イギリスの大学への正規課程での入学を目指し、英語力を向上させるためのコースで、IELTS5.5〜6.0で出願できることが多いです。
オーストラリアの大学で必要とされるIELTSスコア
オーストラリアの大学では、一般的に学部レベルで6.0〜6.5のIELTSスコアが基準となります。
シドニー大学やメルボルン大学などの「Group of Eight(G8)」と呼ばれる国内有数のトップ校でも、6.5のスコアがあれば出願が可能な学部が多いです。
シドニー大学の多くの学部では、オーバーオール6.5(各セクション6.0以上)、メルボルン大学も同様に、ほとんどの学部でオーバーオール6.5が最低条件となっています。
また、オーストラリアには、学術的な入学条件は満たしているものの、英語力が若干足りない場合に、大学付属の英語コースを修了することを条件に入学を認める「条件付き入学」というシステムがあります。
このようなプログラムを提供している大学では、通常より0.5〜1.0ポイント低いスコアでも入学できる可能性があります。
カナダの大学で必要とされるIELTSスコア
カナダの大学では、多くの大学でIELTS 6.0〜6.5が基準となっています。
ブリティッシュコロンビア大学(UBC)やトロント大学などの名門校では、IELTS 6.5〜7.0が必要とされることが多いです。
特定の専攻分野によっては、リーディングやライティングなど一部のスキルに対して個別の最低スコアが設定されている場合もあり、人気の高いビジネスやエンジニアリング学部では、7.0以上を求める学部も少なくありません。
また、カナダでも「条件付き入学」が広く採用されています。
大学入試でIELTSを利用する際の注意点
大学入試でIELTSの利用を考えている場合は、受験するモジュールやスコアの提出期限、必要スコアの条件などを慎重に確認することが大切です。
以下の4つのポイントに注意しましょう。
ジェネラルはNG!アカデミックモジュールを受験する
IELTSには「アカデミック」と「ジェネラル・トレーニング」の2つのモジュールが存在します。
大学や大学院への入学を目指す場合、必ず「アカデミックモジュール」を受験する必要があり、間違って「ジェネラル」を受験してしまうとスコアが無効となる恐れがあります。
アカデミックモジュールは、大学での講義や専門的な文献の理解、論理的なエッセイの作成など、学術的な英語能力を測定する内容となっており、実際の大学生活に直結したスキルが問われます。
一方、ジェネラルトレーニングモジュールは、主に海外への移住や就労目的、または非学術的な研修プログラムのために設計されています。
リスニングとスピーキングのセクションは両モジュールで同じ内容であり、違いがあるのはリーディングとライティングセクションのみですが、この違いが非常に重要です。
アカデミックモジュールのリーディングは、より難易度が高く、学術的な文章や図表の理解が求められます。
またライティングでは、グラフや表の分析や学術的議論の展開が要求されるため、より高度な文章構成力が必要です。
大学受験や将来の留学に備えてIELTSを受験する場合は、「アカデミック」を受験するようにしましょう。
オーバーオールかバンドスコアか?必要スコアの条件を確認
IELTSのスコアは、オーバーオール(全体平均)スコアと4技能(リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング)の各バンドスコアに分かれています。
大学・大学院によっては、オーバーオールだけでなく、各バンドスコアに最低基準を設けている場合もあります。
オーバーオールで6.5以上かつ各技能で6.0以上が必要とされるケースでは、1つでも6.0を下回ると出願資格を満たせなくなる可能性があります。
そのため、受験対策の際には全体スコアだけでなく、各セクションのバランスにも注意が必要です。
提出先の要件をよく読み、自分が満たすべき条件を正確に把握しておくことが大切です。
IELTSのスコア提出期限と試験日程の調整
多くの大学では「試験から2年以内」のスコアのみを有効としています。 また、出願締切までにスコアの提出が間に合わなければ、その年の入試を受けられない可能性もあります。
そのため、出願スケジュールに合わせて試験日程を逆算し、スコアの到着に十分な余裕をもって受験することが重要です。 特に、再受験の可能性も考慮して、複数回分の試験日を想定しておくと安心です。
さらに、IELTSの成績証明書(Test Report Form)は郵送に時間がかかることもあるため、大学への送付手続きも早めに行いましょう。
提出時期から逆算して余裕を持って対策する
IELTSは、短期間の勉強では高得点を狙うのが難しいため、計画的な準備が不可欠です。
一般的に、現在の英語力から0.5〜1.0のスコアアップを達成するには、3〜6ヵ月程度の準備期間が必要とされています。出願予定の時期から逆算し、最低でも3〜6ヵ月前から対策をおこなうようにしましょう。
実際の試験形式に慣れるためにも、模擬試験や過去問を活用し、特に独学が難しいライティングやスピーキングは、添削サービスを利用したり、英会話レッスンを受講したりするのもおすすめです。
長期的な視点でコツコツと学習を重ねていくことで、確実にスコアを伸ばすことができます。
まとめ
IELTSは、英語力の証明として広く認められている英語資格です。
日本国内での大学入試においても、出願資格や加点、英語試験免除などの優遇制度があり、海外では多くの大学でIELTSのスコアを入学条件として採用しています。
また、入試だけでなく、交換留学や奨学金制度でも採用されており、IELTSのスコアを持っていることで将来の選択肢が大きく広がる可能性があります。
どの英語試験を受けようか悩んでいる人、大学受験を控えている人、将来留学に行きたいと考えている人は、ぜひIELTSの受験を検討してみてくださいね。