グローバル化が進む近年、海外の大学や大学院に進学することを検討している方は年々増加傾向にあります。
海外留学に向けて、英語の資格試験を受験することを検討している方も少なくないでしょう。
「IELTS(アイエルツ)」は、世界的に知名度が高い英語の資格試験の1つで、海外留学や海外移住を目指す方にとって、英語力を証明するために受験することが必須の英語資格試験といっても過言ではありません。
今回は、海外留学を目指す大学生がIELTSを取得するメリットや求められるスコア、勉強方法まで詳しく紹介します。
大学生がIELTSを取るメリット
大学生がIELTSの資格を取得するメリットは、具体的にどのようなことが挙げられるのでしょうか。
以下では、3つのメリットを紹介、詳しく解説していきます。
留学の可能性が広がる
まず、留学の可能性が広がることが挙げられます。
多くの大学において、留学のプログラムが用意されています。
大学内での選考を通過するために、IELTSのスコアが求められることもあります。
大学のプログラムを利用して留学を検討しているという方は、IELTSを受験することを視野に入れ、早い段階で対策をしておくことが大切です。
大学院の留学の選択肢を持つことができる
海外の大学院への留学の選択肢を持つことができるのも、メリットの1つとして挙げられます。
海外の大学院に留学する際には、出願に英語の資格試験のスコアが必要になります。
そのため、大学在学中に留学に必要とされるIELTSスコアを取得しておくと、海外の大学院も選択肢に入ります。
また、海外の大学院を卒業し、IELTSのスコアを含めた条件を満たすことができれば、就労ビザを申請してそのまま海外で働くことが可能です。
就職に有利に働く
IELTSが就職に有利に働くケースは、海外移住や海外での就職に限りません。
日本における就職に有利に働く英語の資格試験として、TOEIC®を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
しかし、IELTSも日本での就職に役立つ英語の資格試験なのです。
IELTSスコアを取得することが推奨されている就職先の1つとして、外務省が挙げられます。
外務省は「IELTSを採用基準とする」ということを正式に表明しています。
他にも、JICAなどの海外に行く機会が多いことが容易に想像される機関への就職でも有利に働きます。
また、外資系企業においては、自己研鑽と英語力のアピールの両面からIELTSが大いに役立つといえます。
ほとんどの場合、外資系企業では英語面接が行われるため、大学在学中にIELTSを取得する目的で英語のスピーキング力を鍛えておけば英語面接においても焦ることはないでしょう。
海外とのつながりが大きい職業に就くことを目指している方には、大学在学中にIELTSの受験をしておくのはおすすめです。
上記では、大学生がIELTSを受験するメリットを紹介しました。
その他にもIELTS受験をするメリットについて、以下の記事で紹介しています。
ぜひ参考にしてみてください。
現役大学生の平均スコア
現役大学生のIELTSの平均スコアは、個人差もありますが一般的に「4.5〜5.0」くらいといわれています。
英語系の学部や留学を経験した大学生の場合は、「6.5〜7.0」という高いスコアを出すこともあります。
IELTSのスコア「4.5〜5.0」は英検の級に換算すると2級程度であると見なされています。
英検の2級は、大学受験をして、共通テストで7割から8割程度の正解率と同等なので、レベル感が想像できるのではないでしょうか。
ちなみに、IELTSのスコア「4.5〜5.0」をTOEICのスコアに換算すると、600点以下程度になります。
大学生に求められるIELTSのスコア
現役大学生のIELTSの平均スコアは「4.5〜5.0」くらいですが、海外留学で求められるスコアはどの程度になるのでしょう。
まず、IELTSには2種類の試験があります。
- アカデミック・モジュール(Academic Module)
- ジェネラル・トレーニング・モジュール(General Training Module)
2つのうち、海外留学でIELTSのスコアが求められる場合は、アカデミック・モジュールを受験します。
ジェネラル・トレーニング・モジュールのスコアは、海外移住の際に必要になります。
一般的に大学生に求められるIELTSのスコアは、交換留学なら「5.5〜6.0」、大学院進学なら「6.0〜7.0」くらいといわれています。
他の試験に換算してみると、交換留学に必要な「5.5〜6.0」は英検の準1級レベル、TOEICでは600〜820点程度になります。
大学院進学に必要な「6.0〜7.0」は英検の1級レベル、TOEICでは740〜970点程度です。
なお、必要なスコアについては、留学先の大学によって異なります。
Times Higher Education世界大学ランキングでワールドランク1位を獲得したオックスフォード大学では、必要な最低スコアは大学進学でも「7.0」です。
また、アメリカのアイビーリーグの1つであるブラウン大学では、大学進学でも「8.0」というハイスコアが求められます。
海外留学を検討する際は、留学先の大学で求められるIELTSのスコア条件をしっかり確認しておくことが大切です。
以上のことを踏まえると、海外留学で必要となるIELTSスコアは、「6.5〜7.0以上」といえるでしょう。
目標スコアを達成する勉強法
前述の通り、交換留学や海外の大学院進学を検討しているのであれば、IELTSのスコア「6.5〜7.0」を目指す必要があります。
「6.5〜7.0」を獲得するためは、相応の学習時間と勉強方法が必要です。
IELTSは、「リーディング」「リスニング」「ライティング」「スピーキング」の4つのセクションで構成されている試験です。
リーディングとリスニングはそれぞれ40問あり、このうち、それぞれ25〜30問ずつ正解することができれば確実に6.5を取ることが可能といわれています。
ライティングとスピーキングについては、自己採点で点数化して確認することが難しいため、大学や語学スクールの先生や講師に協力してもらい、お手本をひたすら研究する方法がおすすめです。
ここでは、IELTSの目標スコアを達成する勉強方法について詳しく解説します。
単語力を上げる
まずは単語力を上げることから始めましょう。
知っている単語を1つでも増やすことで、試験中にわからないことで焦ってしまうことが解消できます。
市販のIELTSの単語帳を使い、1日にチェックする単語量を決め、どんどん単語を増やしていく方法がおすすめです。
たとえば、単語量を50個だと決めた場合は、1日目は50個、2日目は50個+50個で100個、といった要領です。
覚えられていない単語にチェックをつけていく作業を繰り返すのがポイントです。
何度も繰り返すことによって記憶に定着しやすくなります。
読解力を上げる
リーディングの対策には、IELTSの問題集を活用する方法がおすすめです。
制限時間の20分を計って実際に問題を解き、40問中25問以上を確実に取れるようになることを目指しましょう。
この時、問題を解いて終了ではありません。
その後の精読と音読にも時間をかけることが重要なポイントです。
精読のやり方は、まず知らない単語をすべて調べます。
この際、辞書にもチェックを入れておきましょう。
この時点では、単語の意味を完璧に覚える必要はありません。
次に文章の構造を見ます。
英語の文章は、そのパラグラフでの主張が書かれている「Thesis Statement」と、その主張を検証するための具体例である「Examples」が書かれているという構造が多い傾向にあります。
これに該当するセンテンスを見つけて、パラグラフごとの内容のまとまりを理解することが精読のプロセスです。
この作業が、読解力の向上に直結するといわれています。
特に、ミスした問題を復習する時には、なぜこの選択肢が正解になるのかということを説明できるようになることが精読の目的です。
根拠が書いてある部分をきちんと探す練習をすることが大事だといえます。
最後に、音読をしましょう。
視覚と聴覚を使うことによって、英文を理解するスピードが速くなります。声を出して読むことは、眠気を防止することにも効果的です。
ネイティブの話す英語に慣れる
リスニングにおいてはネイティブの話す英語に慣れておくことが重要です。
特に、日本の学校では一般的にアメリカ英語を学んでいるため、なじみのないイギリス英語に慣れておくこともポイントといえるでしょう。
リスニングの勉強方法は、動画サイトを活用した勉強方法がおすすめです。
まずは、動画の流れに従って、問題を解いて答えあわせをしましょう。
その後に、英語字幕の設定機能を使って、英語字幕を出しながらもう1度聞き、聞き逃した内容を視覚的に把握します。
これは、リーディングにおける精読と同じ要領です。
聞き逃した部分や、わからなかった単語を見つけることがこの勉強法の目的です。
リスニング力をアップさせるには数ヶ月程度の時間がかかるため、早めに対策をすることが大切です。
添削をしてもらう
ライティングに効果的な勉強方法は、添削をしてもらうことです。
まずは、定期的に時間制限をつけて問題を解く練習をします。
問題を解くことができたら、学校の英語の先生などに添削をしてもらいましょう。
添削をしてもらうことによって弱点を知ることができます。
また、IELTSのライティングでは論理的な文章が求められます。
論理的な文章を書けるようになることを目指すためには、接続詞を使いこなせるようになることが重要なポイントです。
適切な文脈に、
- 「Therefore(従って、それ故に)」
- 「Accordingly(その結果、それによって、それに基づいて)」
- 「Nevertheless(にもかかわらず、とは言っても)」
などの接続詞を使って、論理的な文章が書けるように練習しましょう。
採点基準を熟知する
スピーキングでの効果的な勉強方法は、まずは採点基準を熟知することが大切です。
スピーキングテストは試験官とマンツーマンの面接形式で行われ、以下の4つの項目が採点基準とされています。
- Fluency(流暢性)
- Lexical Resource (語彙力)
- Grammar Range & Accuracy(文法の正確性)
- Pronunciation(発音)
上記の4つの採点基準を熟知し、スピーキング力を伸ばすためには言い換え(パラフレーズ)しながら表現することと、論理的に話すことを意識して練習することが大切です。
また、英語の特徴として、結論から話す、ということも重要なポイントの1つです。
日本語の場合、さまざまな理由を話した後に結論にたどり着く、という話し方をすることが多いため、発想を逆にすることが必要になります。
まずは、質問に対する答えを一言で述べ、その後に理由づけや根拠を述べていくのが論理的に話すポイントです。
大学生であれば、学校にいるネイティブの先生や留学生に相手になってもらい練習をする方法も効果的です。
目標スコアを達成するには、本格的な対策が必要です。
IELTS公式団代であるバークレーハウスではIELTS対策講座の受講生が目標としたスコア達成率93%以上の実績があります。
どのようなレッスンプランで、IELTS対策講座が進められるのか、気になる方は、こちらの「IELTSレッスンプラン」で、IELTS満点講師によるレッスンプランのサンプルがご覧いただけます。
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IELTSのスコアが活用できる海外大学
海外の大学や大学院へ留学するためには英語力を証明する必要があり、IELTSスコアは留学条件の1つとして、多くの大学で採用されています。
実際にIELTSのスコアが活用できる、アメリカ・カナダ・イギリスの大学をいくつかピックアップして紹介します。
アメリカ
アメリカの伝統ある私立大学8校からなるアイビーリーグでもIELTSが入学要件として採用されています。
いずれの大学も長い歴史を誇り、世界的な知名度も高い大学です。
必要とされているIELTSスコアは以下の通りです。
・ハーバード大学 ・イェール大学 ・コロンビア大学 ・ペンシルベニア大学 ・コーネル大学 ・ダートマス大学 | IELTS必要スコア 「7.0」 |
・ブラウン大学 | IELTS 必要スコア 「8.0」 |
・プリンストン大学 | スコアは、大学に問い合わせて確認する必要があります。 |
アメリカは大学教育が充実した国で、大学の数は4,500以上もあり、知名度のある教育機関も数多く存在しています。
アメリカの大学では専攻を決めるのは、入学時ではなく3年生くらいです。
同時に2つの分野を専攻することもでき、大学途中での専攻の変更も容易です。実際に専攻を変える学生も多い傾向にあります。
カナダ
カナダでも、Times Higher Education世界大学ランキングで上位に選ばれた大学があり、IELTSが入学要件として採用されています。
必要とされるIELTSスコアは以下の通りです。
・トロント大学 ・ブリティッシュコロンビア大学 ・マギル大学 | IELTS必要スコア「6.5」 |
アメリカのアイビーリーグと比較すると、求められるスコアは低いといえるでしょう。
カナダは住みやすい国として知られているため、留学生にとっても過ごしやすく、学問に集中できる環境です。
留学先としてカナダは、他の英語圏と比較した際に、学費が比較的安い点がメリットとして挙げられます。また、在学中に就労することが可能です。
基本的には週に20時間までになりますが、休暇の間はフルタイムで働くことができます。
就労することにより留学費用の負担を減らせることも、大きなメリットといえるでしょう。
イギリス
前述でも少し触れましたが、イギリスには、Times Higher Education世界大学ランキングで1位を獲得したオックスフォード大学をはじめ、2位を獲得したケンブリッジ大学などもあります。
入学の条件として求められるIELTSスコアは以下の通りです。
・オックスフォード大学 ・ケンブリッジ大学 ・インペリアルカレッジロンドン | IELTS必要スコア「7.0」 |
留学先としてイギリスがおすすめである理由として、教育水準の高さが挙げられます。
イギリスの大学の数は約100校で、アメリカと比較すると圧倒的に少ないですが、世界大学ランキングの1位と2位を獲得した大学があります。
また、イギリスもカナダ同様、在学中に就労することが可能で、週に20時間まで、休暇の間はフルタイムで働くことができます。
海外の大学に進学するメリット・デメリット、進学方法など、海外留学についての詳細は以下のページでも紹介しています。
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留学を考えるなら取得しておいて損はなし
海外留学や海外の大学院に進学することを目指しているという方は、IELTSを大学在学中に早い段階で取得することをおすすめします。
海外留学や海外移住を目指していないとしても、海外とつながる職業に就くことを目標としているのであれば、取得しておいて損はありません。
効果的な方法で勉強し、留学に求められる目標スコアを達成しましょう。