
- IELTSのスコアは国内の大学入試でも使えるの?
- 大学入試に使うならどのくらいのスコアが必要?
- 海外の大学に行く場合の目安のスコアは?
IELTSは、海外大学への進学だけでなく、日本国内の大学入試でも活用できる英語試験です。
多くの大学では、IELTSスコアを出願資格として認めたり、英語試験の免除や得点加算といった優遇制度を設けています。
とくに推薦入試では、IELTSスコアが大きなアピール材料となりえる可能性もあるでしょう。
本記事では、大学受験におけるIELTSの優遇制度を解説し、バンドスコア別にスコアが活用できる大学一覧を紹介します。
また、海外大学で必要なスコア基準やIELTSスコアを大学入試で使う際の注意点についても詳しく解説します。
大学受験におけるIELTSの優遇制度

IELTSのスコアは、国内外の大学入試でさまざまな優遇制度を受けられる場合があります。
多くの大学では、IELTSスコアを活用することで出願資格を得られるほか、英語試験を免除されたり、スコアを入試の得点に換算する制度を採用しています。
このセクションでは、IELTSを使ったおもな優遇制度の種類を解説します。
出願資格の獲得
大学や学部によっては、IELTSなどの英語能力試験で、一定以上のスコアを取得していることが出願条件となっている場合があります。
つまり、IELTSを含む英語能力試験のスコアが規定に達していなければ、出願自体ができなくなってしまいます。
自身の英語力を証明できるよう、IELTSスコアを取得しておくことで、多くの大学で出願資格を得ることができ、進路の選択肢が広がります。
国内の大学のみならず、多くの海外大学でも英語能力試験の規定が設定されていますので、とくに英語が重視される学部や学科を目指している場合は、早めにIELTSスコアの取得を目指すとよいでしょう。
英語試験の免除
規定以上のIELTSスコアを取得しておくと、大学入試における英語試験が免除される場合があります。
基準スコアを超えている場合、大学側が入学に必要となされる英語能力をすでに証明済みと判断するため、独自の英語試験を課さないという仕組みです。
この優遇制度は、とくに英語や国際に関係する学部や学科で多く、推薦入試やAO入試でも適用されることが多いです。
免除されるIELTSスコアとは?
- 学校や学部によって差はありますが、IELTSスコアが5.5以上であれば、一般入試の英語試験が免除される大学が多く存在します。
英語試験が免除されることで、ほかの科目に集中して入学試験対策をおこなうことができるため、効率的に受験準備を進められます。
事前に希望する大学の入試要項を確認し、自分のIELTSスコアが活用できるかを調べておきましょう。
英語試験の点数に換算
IELTSのスコアを、大学独自の英語試験の点数に換算してもらえる場合もあります。
たとえば、IELTSスコア6.0を大学の英語試験の80点に換算するなどのルールを設けている場合があります。
取得しているIELTSスコアによっては、英語試験を満点として換算してくれる大学もあり、IELTSのスコアが高ければ、入試における英語の点数を実質的に引き上げることができます。
換算方法は大学ごとに異なるため、事前に各大学の公式サイトや入試要項を確認することが必要です。
自分のスコアがどのように評価されるかを把握し、計画的に受験準備を進めましょう。
入試の得点加算
IELTSスコアを持っている場合、スコアの点数に応じて、大学独自の英語入試に得点が加算される大学もあります。
具体的には、IELTSスコア5.5以上で10点加算、スコア6.0以上で20点加算など、大学によって異なる基準が設定されています。
とくに入学試験による競争率が高い学部では、この加点が合否を分ける重要な要素となること可能性も少なくありません。
このような制度を有効に活用するためには、事前に希望する大学の加点条件を確認しておき、IELTS の目標スコアを設定しておくことが重要です。
計画的にスコアを取得することで、入試での大きなアドバンテージを得ることができます。
推薦入試でのアピール材料
IELTSスコアは、推薦入試やAO入試での重要なアピール材料として活用できます。
推薦入試やAO入試では、高校での学業成績や課外活動の実績だけでなく、英語力を証明する要素も評価の対象となる場合が多いです。
とくに、国際系学部や英語力を重視する学科では、IELTSスコアを提出することで、英語力の高さを具体的に示すことができます。
さらに、面接の際にスコアを取得した経緯や、それを活用したい将来の目標を語ることで、説得力のある自己PRが可能になります。
このように、IELTSスコアは面接においても自分を効果的にアピールするための大きな武器となるでしょう。
【バンドスコア別】IELTSが使える大学一覧

IELTSは、取得したバンドスコアに応じて利用できる大学や優遇制度が異なります。
4.0以上のスコアで出願資格や優遇制度を得られる大学もありますが、6.0以上のスコアを取得しておけば、さらに多くの選択肢が広がります。
続いてのセクションでは、バンドスコア別にIELTSが使える大学と具体的な優遇制度を一覧形式で紹介します。
受験計画を立てる際の参考にしてください。
IELTS4.0が使える主な大学と優遇制度
IELTSスコア4.0は、英語能力の基礎が身についていることを証明するスコアとして、特定の大学で優遇制度が適用される場合があります。
ただし、4.0のスコアは、あくまでも基礎的な英語力の証明にしかならないため、得点換算や加点もそこまで高くありません。
- 明治大学 商学部:4.0以上で出願可能
- 明治大学 全学部統一入学試験:4.0以上で出願可能、スコアに応じて得点を換算
- 学習院大学 理学部:4.0以上で出願可能
- 國學院大学:4.0〜5.0のスコアで70点として換算
- 中央大学:英語文学文化専攻を除き4.0以上で出願可能
- 法政大学:情報科学部、デザイン工学部は4.0以上で出願可能
- 東海大学:4.0以上でスコアに応じて得点を換算
- 青山学院大学 総合文化政策学部:4.0以上で出願可能
- 立教大学:異文化コミュニケーション学部以外 4.0以上で出願可能
- 東京理科大学 理学部第二部以外:スコアに応じて得点を加点
スコアを取得し、出願条件として使用するのはよいですが、高い得点加算や加点を求める場合には、IELTSももう少しスコアアップしておくことがおすすめです。
IELTS4.5が使える主な大学と優遇制度
IELTSスコア4.5は、英語の基礎的な運用能力を示すスコアとして、英語試験の免除や推薦入試での優遇を受けられるケースも増えます。
- 明治大学 経営学部:4.5以上で出願可能
- 学習院大学 国際社会科学部:スコアに応じて得点を換算
- 中央大学:総合政策学部、文学部 4.5以上で出願可能
- 法政大学:人間環境学部、スポーツ健康学部、生命科学部 4.5以上で出願可能
- 立命館大学 国際関係学部:80点として換算
- 青山学院大学 総合文化政策学部:4.5以上で出願可能
- 中京大学:国際英語学部以外の全学部 4.5以上で満点換算
- 日本大学 経済学部:スコアに応じて得点を換算
- 東洋大学 全学部:スコアに応じて得点を換算
- 同志社大学 グローバル地域文化学部:4.5以上で出願可能
IELTS5.0が使える主な大学と優遇制度
IELTSスコア5.0は、中級レベルの英語能力を示し、多くの大学で重要な基準とされています。 5.0以上のスコアを持っていると、さらに多くの優遇制度が利用可能になります。
たとえば、国際系学部や英語学部など、実践的な英語力を重視する学部では、IELTS5.0を出願条件としているケースが一般的です。
さらに、このスコアを基準に、英語試験の免除や得点加算といった特典が適用されることもあります。
- 青山学院大学 国際政治経済学部:5.0以上で出願可能
- 立命館大学 国際関係学部:スコアに応じて得点を換算
- 立教大学 全学部:スコアに応じて得点を加算、換算
- 近畿大学 国際学部:スコアに応じて得点を加算
- 法政大学 現代福祉学部 現代福祉学部:5.0以上で出願可能
- 千葉大学 全学部:スコアに応じて得点を加点
IELTS5.5が使える主な大学と優遇制度
IELTSスコア5.5は、実践的な英語力を証明するスコアとして、より多くの大学で高度な評価を受けています。
このスコアを取得していることで、出願資格を満たすだけでなく、特定の優遇制度を受けることができます。
さらに、IELTS5.5は海外大学への出願条件としても一般的な基準であるため、国内外を問わず学びの選択肢を広げることができます。
- 明治大学 国際日本学部:5.5以上で満点換算
- 立教大学 異文化コミュニケーション学部:5.5以上で出願可能
- 法政大学 法学部:5.5以上で出願可能
- 立命館大学 経済学部、理工学部、文学部など:5.5以上で満点換算
- 関西大学 外国語学部:5.5以上で満点換算
- 東海大学 医学部以外:5.5以上で満点換算
- 専修大学:全学部 5.5以上で満点換算・東洋大学 全学部 5.5以上で満点換算
- 関西医科大学 看護学部、リハビリテーション学部:試験免除
IELTS6.0以上が使える主な大学と優遇制度
IELTSスコア6.0以上は、国際的に高い評価を受ける英語力を証明するスコアであり、多くの大学で好条件の優遇制度が適用されます。
たとえば、国際系学部や医学部、法学部など、専門性の高い学部では、IELTS6.0以上が出願条件として設定されていることが一般的です。
また、入学後、大学間の国際交流プログラムや交換留学などにも積極的に参加できる機会が増えるため、学びの幅が大きく広がります。
- 早稲田大学:文化構想学部、文学部 6.0以上で出願可能
- 法政大学 グローバル教養学部:6.0以上で出願可能
- 中央大学 法学部、商学部:6.0以上で出願可能
- 国際教養大学 国際教養学部:6.0以上で出願可能
- 秋田大学 国際資源学部:6.0以上で満点換算
海外大学を受験する場合に必要となるスコアは?
海外大学では、IELTSなどの英語力証明スコアが出願資格の重要な基準となっています。
アメリカやイギリス、オーストラリア、カナダといった英語圏の主要留学先の大学では、学部や学科ごとに求められるスコアが異なります。
続いては、各国の主要大学で必要となるIELTSスコアについて詳しく解説し、目指す大学に応じたスコア目標を設定するための情報を提供します。
アメリカの主な大学で必要となるIELTSスコア
アメリカの大学では、IELTSスコアが入学条件として広く認められています。
大学入学に必要なIELTSスコア
- 中には、IELTSスコア6.0や6.5で入学可能な大学もありますが、多くの大学ではIELTSスコア6.5〜7.0以上が必要とされています。
とくに、ハーバード大学やスタンフォード大学などの名門校を目指す場合は7.0以上が求められ、ビジネススクールや工学部など、専門性が高い学部でも高スコアが必要となる場合があります。
また、出願時に英語力の基準をクリアしていなくても、その他の条件が基準以上であれば、合格内定を得られる「条件付き入学」の制度もあるため、英語力のみが課題となっている方出願先の制度を確認してみましょう。
イギリスの主な大学で必要となるIELTSスコア
オックスフォード大学やケンブリッジ大学といった名門校では、一般的にIELTSスコア7.0以上が必要で、とくにリーディングやライティングなどの各セクションで最低6.5以上が求められることが多いです。
一方で、エディンバラ大学やマンチェスター大学などの有名大学でも、学部によってはIELTSスコア6.0〜6.5で入学可能な場合もあります。
たとえば、芸術系や人文学部などのコースでは、比較的低いスコアでの出願が認められるケースも見受けられます。
イギリスでは多くの大学で、正規課程を履修する前の大学進学準備期間として、約1年間のファウンデーション・コースを設けています。
ファウンデーション・コースは、IELTSスコア4.5〜5.5前後の英語力で入学できるケースも多く、 このコースを修了して入学要件を満たすことも可能です。
英語力が不安な方は、ファウンデーション・コースへの進学を検討してみるのも一つの手です。
オーストラリアの主な大学で必要となるIELTSスコア
オーストラリアの大学では、一般的にIELTS6.0〜6.5が必要とされます。
グループ・オブ・エイトと呼ばれる上位8大学への進学に必要なスコアもIELTSも6.5が基準です。
ただし、一部の専門分野、特に看護、医学、教育、心理学など、英語での高度なコミュニケーション能力が必要とされるコースでは、IELTSスコア7.0以上が求められることがあります。
また、留学生に英語を教えることを目的とした語学準備コース(ELICOS)を提供している大学も多く、このコースを修了することで入学資格を得ることも可能です。
IELTSのスコア取得や入学後の英語力に不安がある方は、ELICOSの履修を検討するのもおすすめです。
カナダの主な大学で必要となるIELTSスコア
カナダの大学では、多くの学部でIELTSスコア6.0〜6.5が最低基準として設定されています。
イギリスやアメリカと比較すると入学基準がやや低く、入学を狙いやすい国とされており、トップ校でも6.5を基準にしているところが多いです。
また、カナダの大学も、学部入学前の英語コースや進学準備コースを設けているところがほとんどです。
IELTSスコアが基準に達していない場合でも、これらのコースを経由して学部プログラムに進むことが可能です。
大学入試でIELTSスコアを使いたい場合の注意点
国内や海外への大学進学において、強みとなるIELTSですが、大学入試で活用する際には、いくつかの注意点があります。
最後に、IELTSスコアを効果的に活用するための注意点を詳しく解説します。
アカデミック・モジュールを受験する
IELTSには、アカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールの2種類があります。
大学入試や留学目的で利用する場合は、必ずアカデミック・モジュールを受験する必要があります。
アカデミック・モジュールは、大学での学術的な環境で必要とされる英語力を測定するための試験であり、リーディングやライティングの内容がより高度で専門的です。
一方で、ジェネラル・トレーニング・モジュールは海外への移住など、ビザの取得を目的とした試験のため、大学入試には適しません。
同じIELTSではありますが、ジェネラル・トレーニング・モジュールのスコアは入試において活用できないため注意が必要です。
IELTSの受験申請の際は、自分が受験するべきモジュールを確認し、間違えないようにしましょう。
必要なスコア要件を確認する
本記事でも詳しく紹介したように、大学や学部によって求められるIELTSスコアの基準が大きく異なります。
事前に志望校や志望する学部・専攻の入試要項を確認し、求められるスコアを把握することが大切です。
国内の大学の場合、IELTSスコア4.0以上で、出願資格の獲得や試験への加点など、何かしらの優遇を得られることが多いです。
ただし、英語が必要となる学問や専門性が高い分野では、5.0〜6.0以上が求められる場合があります。
海外の大学への進学を目指す場合は、正規課程で入学するには6.0以上が目安となります。
さらに、各セクション(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)にも最低基準が設定されていることもあるため、全体スコアだけでなくセクションごとのスコアの規定も確認しましょう。
スコア要件を把握したうえで、効率的な学習計画を立てることで、合格への道がより確実になります。
スコアの有効期限に注意する
IELTSスコアには有効期限があり、通常、スコアの有効期間は試験日から2年間です。
そのため試験を早く受けすぎて有効期限が切れてしまうと、再度受験しなければならない可能性があります。
スコアの有効期限を把握し、大学出願時期と被るように試験日を選びましょう。
IELTSのスコアを取得して、大学入試で効果的に活用しよう!
IELTSのスコアを取得しておくと、国内外の大学入試においてさまざまなメリットをもたらします。
出願資格を得るだけでなく、試験免除や得点加算、奨学金申請などのチャンスも広がります。
ただし、各大学や学部で求められるスコア基準や優遇制度は異なるため、志望校の入試要項を事前に確認し、自分の目標に合わせた計画を立てることが大切です。
この記事を参考に、IELTSスコアを効果的に活用し大学入試で最大限に活用していきましょう!