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山下 恵理子
保有資格:英検準1級、TOEIC920点
英語学、米文学を専攻後、白百合女子大学大学院にて英語圏の児童文学を研究中。大手学習塾で教材作成に携わった経験もあり、現在は複数の私立大学で非常勤講師として活躍。
仕事の合間に、趣味として未訳の児童文学、アメリカン・コミックスを翻訳するのが生きがい。
人と顔を合わせた際は、「こんにちは」とあいさつをするのが通例です。
しかし、日本語でも「こんにちは」の表現はひとつだけでないように、英語も“Hello”だけではなく、あいさつを交わす相手やニュアンスによって、多くのバリエーションが存在します。
今回の記事では、シーンやニュアンス別にいろいろな表現をご紹介したいと思います。
定番のフレーズ
Hello! / Hi!
まずは、定番中の定番ともいえる表現です。
英語に苦手意識がある方もぱっと出てくるあいさつではないでしょうか。
基本的には家族や友達のような近しい人に対して使うあいさつですが、職場の上司などであっても、良好な関係を築いている方には使っても問題ありません。
また、時間帯を問わず使える点も便利なポイントです。
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丁寧な順に並べると、Good afternoon > Hello > Hi となります。
Good afternoon!
“Hi” や “Hello” と並んで定番のフレーズです。
しかし、“Hi” や “Hello” に比べると、大分フォーマルなニュアンスを持ち合わせています。
“Good afternoon” の正式な表現は “I wish you a good afternoon.” となります。
そのため、英語圏では「とても丁寧な昼のあいさつ」という印象が強く、ビジネスシーンでも使用できます。
ただし、こちらはフレーズ内に “afternoon” という単語が入っているため、基本的には昼~夕方手前の時間帯に使われるのが一般的です。
How are you (doing)?
ここからは、上記のあいさつとセットで使われることが多いフレーズを紹介します。
意味合いとしては、日本語の「ご機嫌いかがですか?」や「調子はどうですか?」にあたりますが、単体でもあいさつとして成立します。
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あいさつを交わす対象としても、幅広い相手に使える万能フレーズです。
How’s everything going?
“How are you (doing)?” と似ており、ニュアンスもほとんど同じです。
しかし、細かい部分まで着目すると、わずかに違いがあります。
“How are you (doing)?” は「相手個人」の調子や体調を尋ねているのに対し、“How’s everything going?” は仕事や勉強などの「物事」について焦点をあてています。
ちなみに、相手から尋ねられたときは、調子がよければ “Great!” や “Good.” と返すのが一般的です。
家族・友だちどうしで使えるフレーズ
Hey! / Hiya!
カジュアルなあいさつの代表例です。
意味合いやニュアンスはどちらも同じく、日本語にすると「やぁ!」や「やっほー!」に近い意味をもっています。
Heya!
“Hiya!” とスペリングが似ているフレーズですが、すこしだけ意味合いが異なっています。
“Hiya!” や “Hiya!” が近くにいる相手への声かけであるのに対し、こちらはすこし離れた場所にいる相手に呼びかけるイメージです。
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“Hey you!” を短縮した表現です。
Hi there!
こちらもすこし離れた相手に呼びかけるイメージのあいさつです。
日本語に訳すと「やぁ、こんにちは!」となりますが、 “there” にはどことなく「遠くにいる人」に話しかけているようなニュアンスが含まれています。
また、相手の方が一人でも、複数人いても、使えるフレーズとなっています。
What’s up?
続いては、上で紹介した表現に付け加えられるフレーズを紹介します。
こちらのフレーズは、日本語でいうところの「よっ、元気?」というフランクなあいさつにあたります。
映画やドラマなどで聞いたことがある方も多いかもしれません。
正確なニュアンスとしては「最近どう?なにか新しいニュースある?」という意味になります。
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尋ねられたときには、「とくに変わりはないよ」という意味を込めて “Nothing much.” と返したり、こちらからも “What’s up?” と返したりするのが一般的です。
How’s it going? / How is it going?
定番のフレーズとして紹介した “How’s everything going?” と似ている表現です。
同じように「どう、上手くいってる?」というニュアンスの表現ですが、こちらの方がかなりカジュアル度合いが強くなっています。
How’s life?
“life” という単語には仰々しい印象を受けますが、フランクに使えるあいさつです。
日本語にすると「最近どう?」という意味になりますが、 “life” が入っているとおり、相手の仕事や学業、プライベートも含む、人生すべてを尋ねる表現です。
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あらゆる事柄を網羅できるため、ある意味では万能なあいさつともいえるでしょう。
How’s your day going?
意味合いとしては「今日はどんな感じ?」のようなニュアンスになります。
今日という一日が相手にとって上手くいっているかを尋ねるような表現です。
初対面の相手に使えるフレーズ
はじめて対面する相手と交わすあいさつである「はじめまして」も「こんにちは」の一種です。
続いては、初対面の相手にも使えるあいさつフレーズを紹介します。
Nice to meet you.
はじめて会ったときはコレという定番フレーズです。
日本語に訳すとするなら「お会いできてうれしいです」といったところでしょうか。
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フォーマル・カジュアルを問わず使えるため、どんなシチュエーションでも使いやすいフレーズです。
How do you do?
基本的な「はじめまして」フレーズですが、上記の “Nice to meet you.” と比べると、だいぶ丁寧なニュアンスです。
日本の教科書やテキストではよく登場しますが、実はアメリカ・イギリスともにあまり使われない表現です。
相手からこちらのフレーズを投げかけられた際は、こちらからも “How do you do?”と返すのが一般的です。
It’s a pleasure to meet you. / Pleased to meet you. / It’s great to meet you.
上の2つのフレーズと比べると、すこし知名度は低くなってしまいますが、こちらもさまざまな場面で使える「はじめまして」フレーズです。
いずれもニュアンスとしては「お会いできて光栄です」との意味をもっていて、相手を問わず使えます。
なかでも “It’s pleasure to meet you.” はもっとも丁寧度合いが高く、ビジネスシーンにおいても使用可能なものとなっています。
久しぶりに会う相手に使うフレーズ
続いて、しばらく会っていなかった相手と交わす「久しぶり」のような「こんにちは」フレーズを紹介します。
こちらもビジネスシーンで使えるような表現から、親しい人たちに使える表現まで、さまざまなバリエーションが存在します。
Good to see you again!
「久しぶり」の代表例でもあるフレーズです。
長らく会えていなかった相手と顔を合わせるときに使われ、「あなたとまた会えてうれしい」と相手に伝えられます。
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こちらは相手を問わず使えるため、まずおさえるべき表現です。
How have you been?
ニュアンスとしては「元気にしてた?」といったような意味合いです。
お互い会えていなかった間に、相手がどう過ごしていたのかを尋ねるような表現です。
こちらもまた相手を問わず使えるため、はじめにおさえておくとよいでしょう。
Long time no see!
海外ドラマなどで耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
ニュアンスとしては「長い間会えてなかった(けど、元気だった?)」と、相手との再会を親しげにうれしがる表現です。
カジュアルなあいさつに分類されるため、近しい相手に対して使うのが一般的です。
It’s been a while.
すこし砕けた表現ですが、とても馴染みあるフレーズです。
日本語に訳すと「しばらくぶりだね」といったニュアンスになります。
注意したいポイントとして、抑揚をあまりつけずに淡々と口にすると、すこし淡白な印象を与えてしまうかもしれません。
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“while” の部分を「ワ~イル」とわざと長めに発音すると「ず~っと会えてなかったよね!」と再会を果たすまでの時間の長さを表現できます!
What’s new?
最後に紹介するのは、カジュアルに「はじめまして」と表現できるあいさつです。
ニュアンスとしては「(会っていない間に)なにか変わったことはあった?」となり、相手の方に近況をフランクに尋ねられるフレーズとなっています。
まとめ
「こんにちは」は「おはよう」や「こんばんは」と比べて、使える時間帯が長いあいさつです。
もちろん英語圏でもよく用いられるため、ニュアンスによってさまざまなバリエーションがあります。
また、ここで紹介したほかにも「こんにちは」を意味する表現はたくさんあります。
なかには地域特有の表現などもあり、調べてみるとおもしろいかもしれません。
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個人的には、テキサス周辺でよく耳にする “Howdy!” がどことなく西部劇っぽくて好きです!