英検準1級は海外留学を検討している方や、将来英語を使った仕事に就きたいと考えている方にとって、目標のひとつとなる試験です。
試験では英語の4つの技能について問われ、合格すると社会で実際に使える英語力を身につけていると認識されます。
英検2級に合格し、英検準1級の受験を検討している方のなかには、以下のような疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。
- 英検準1級はどんな問題が出る?
- どのように勉強、対策すれば合格できる?
- ほかの英語資格でいうとどれくらいの英語力が必要?
本記事では英検準1級の試験内容や勉強方法、ほかの資格との比較について詳しく解説します。
英検とは?
英検とは、「公益財団法人日本英語検定協会」が主催・運営する英語検定試験のことです。
正式名称を「実用英語技能検定」といいます。
上から順に1級、準1級、2級、準2級、3級、4級、5級の7つの級が設けられ、級位別に試験内容と難易度が異なる検定試験です。
1級から3級までは、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を評価します。
一次試験と二次試験があり、一次試験は筆記試験で、リスニング、リーディング、ライティングの技能を測ります。
一次試験に合格すると、二次試験(スピーキング)に進みます。
スピーキングは試験官との面接形式で行われます。
一次・二次の両方の試験で基準スコアに到達すれば合格です。
4級・5級は一次試験としてリスニングとリーディングの技能を測り、一次試験のみで合否が決まります。
準1級のレベルは、大学中級程度のため、大学受験を目指す方や、大学生でさらに実力をつけたいというような方が受ける級といえます。
また、英検には上記の試験とは別に、パソコンを使って受験する「英検S-CBT(Computer Based Testing)」という試験もあります。
\英検S-CBTについて詳しく解説!/準1級のレベルはどのくらい?
英検準1級のレベルは、英検協会によると「社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用できること」とされています。
大学中級程度の英語力が必要で、難関大学の入試と同等のレベルともいえるでしょう。
単語数の目安は7,500〜9,000語です。
入試や就職で評価されやすいのは英検2級からですが、英検準1級を取得すれば、実際に使える英語力があると高く評価されます。
準1級の難易度
次に、英検準1級の難易度について、合格点や合格率を詳しく解説します。
準1級の合格点
英検では2016年以降、英検CSEスコアによる合否判定を実施しており、各級の合格基準スコアは固定されています。
英検準1級のCSEスコアの満点と合格基準スコアを以下の表にまとめました。
満点 | 合格基準スコア | 測定技能 | |
一次試験 | 2,250 (各技能750点) | 1,792 | リーディング リスニング ライティング |
二次試験 | 750 | 512 | スピーキング |
英検CSEスコアの導入以降、4技能のスコアは均等になっており、合格するためには各技能バランスよく正答することが重要です。
英検CSEスコアとは
英検CSEスコアはCommon Scale for Englishの略で、世界の国、地域で活用されているCEFRにもとづいています。
CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)は外国語の熟達度を同一の基準で判断できるよう開発された枠組みです。
A1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階に分かれており、各レベルで具体的に何ができるかが示されています。
前述したように、英検CSEスコアでは級ごとに満点スコアが設定されています。
英検準1級の各技能の配点は750点、一次と二次の合計基準の合計スコアは2,304点です。
合格率
英検の合格率は2015年度まで公開されていましたが、2016年以降は公開されていません。
2015年の英検準1級の合格率は16%です。
現在の合格率の正確な数値はわかりませんが、合格率が大幅に変わっている可能性は低いでしょう。
英検2級程度の英語力がある受験生にとっても、英検準1級は難しい試験であるといえます。
準1級とほかの資格との比較
英検準1級のレベルは2級や1級とどれくらい違うのでしょうか。
また、TOEICやTOEFLのスコアに換算するとどれくらいになるのかについて解説します。
2級・1級との比較
英検準1級の英語力のレベルは、2級・1級と比較するとどう違うのか、各級の目安について以下の表にまとめました。
級 | レベルの目安 | 必要な単語数 | 得られる結果 |
1級 | 大学上級程度 | 10,000〜15,000語 | 世界で活躍できる英語力の証明になる |
準1級 | 大学中級程度 | 7,500〜9,000語 | 実際に使える英語力の証明になる |
2級 | 高校卒業程度 | 4,000〜5,000語 | 入試や就職で評価される |
2級、準1級、1級と上位級になればなるほど必要な単語数が大きく増えることがわかります。
準1級以上の合格を目指すためには語彙力の強化は欠かせません。
TOEICとの比較
英検準1級はTOEICのスコアに換算すると何点になるのか、国際標準規格のCEFRの指標で比較してみましょう。
CEFR | 英検 | TOEIC L&R |
C2 | ー | ー |
C1 | 1級 | 945〜990 |
B2 | 準1級 | 785〜940 |
B1 | 2級 | 550〜780 |
A2 | 準2級 | 225〜545 |
A1 | 3級 | 120〜220 |
英検準1級はCEFRではB2レベルに該当します。
TOEICの同レベルのスコアは785〜940点とされています。
TOEFLとの比較
英検準1級はTOEFLのスコアと比較するとどうなのか、同じくCEFRとの対比で見てみましょう。
CEFR | 英検 | TOEFL iBT |
C2 | ー | ー |
C1 | 1級 | 95〜120 |
B2 | 準1級 | 72〜94 |
B1 | 2級 | 42〜71 |
A2 | 準2級 | ー |
A1 | 3級 | ー |
TOEFLのメインである、TOEFL iBTテストのB2スコアは72〜94点です。
一次試験の試験内容
英検準1級の一次試験はリーディング、ライティングとリスニングです。
各技能の試験内容について詳しく解説します。
リーディング
英検準1級のリーディング問題は3つの大問からなります。
リーディング問題の構成を以下の表にまとめました。
問題形式 | 問題数 | 解答方法 | |
---|---|---|---|
大問1 | 短文の語句空所補充 | 25問 | 問題用紙に印刷されている4つの選択肢から正解を1つ選ぶ |
大問2 | 長文の語句空所補充 | 6問 | |
大問3 | 長文の内容一致選択 | 10問 |
大問1では、単語と熟語の知識が問われます。
準1級レベルの単語は難易度が高く、しっかりとした対策が必要です。
大問2では、長文の大まかな文脈をつかむ読解力、適切な語句を選べる語彙力が問われます。
大問3の長文は文章量が多く、新聞記事のように専門的な話題が取り上げられます。
限られた時間で長文を読みきる力、わからない単語を文脈から推測する力が求められるでしょう。
ライティング
英検準1級のライティング問題のポイントは以下の3点です。
ライティングのポイント
- 指定のトピックについて、自分の意見を120〜150語で記述する
- 問題用紙に提示された4つのポイントのうち、2つを使う
- 文章構成はintroduction(序論)、main body(本論)、conclusion(結論)の3つのパートに分ける
準1級のライティングで出題されるトピックは、賛成か反対かの意見を問われるものがほとんどです。
問題用紙に提示された4つのポイントを見て、賛成か反対、どちらで文章をまとめるかを考えます。
必ずしも自分の本当の意見を述べる必要はないため、書きやすい方を選択してください。
文章の構成は、序論、本論、結論と順序立てて書く必要があります。
リスニング
英検準1級のリスニング問題は3つのパートからなります。
リスニング問題の構成は以下のとおりです。
問題形式 | 問題数 | 解答方法 | |
---|---|---|---|
大問1 | 会話の内容一致選択 | 12問 | 問題用紙に印刷されている4つの選択肢から正解を1つ選ぶ |
大問2 | 文の内容一致選択 | 12問 | |
大問3 | Real-Life形式の内容一致選択 | 5問 |
大問1は、男女2人のスピーカーの会話になります。
準1級の会話問題では会話のやりとりの回数は決まっていないため、終わるまで集中力を切らさないことが大切です。
大問2は、1人のスピーカーによるナレーションが流れます。
自然、地理、歴史、科学など、さまざまなトピックが取り上げられています。
文章全体の内容を把握するよう意識しながら聞くようにしましょう。
大問3のReal-Life形式は、問題用紙に状況設定と質問が記載されています。
1問につき10秒で内容を確認し、つぎに音声を聞く流れです。
飛行機の案内放送や、スケジュール調整の電話など、日常生活のある状況に関する音声を聞いて質問に答えます。
二次試験の試験内容
英検準1級の二次試験は面接委員と1対1で面接をします。
やりとりはすべて英語で行われます。
試験の問題構成と流れは、以下のとおりです。
準1級 二次試験の流れ
- 1. 自由会話
- 2. ナレーション
- 3. 質疑応答
自由会話
自由会話では、面接委員と簡単な日常会話を交わします。
面接委員から氏名や受験級について確認されたあと、受験者自身に関して質問される流れです。
仕事は何をしているか、学生であれば何を勉強しているか、海外に行ったことはあるか、などが質問されます。
そのため、自然に受け答えができるよう、あらかじめ準備しておくと良いでしょう。
自由会話は試験前のウォームアップととらえ、リラックスして臨んでください。
好印象を与えられるよう、面接委員の目を見て、大きな声ではっきりと答えることが大切です。
ナレーション
ナレーションでは、4コマのイラストが描かれた問題カードが渡され、イラストの内容について2分間で話します。
ナレーションを準備するための時間は1分間です。
問題カードの指示文を黙読し、トピックとナレーションの最初に使うべきセンテンスを確認しましょう。
トピックは在宅勤務、レストランでの喫煙など、社会性の高い分野が取り上げられます。
イラストを見て1〜4のストーリーの展開を把握してください。
2分でナレーションを終わらせるため、1コマにつき約30秒、2〜3文程度で進めていきます。
誰が、いつ、どこで、何をしたのか、どのような気持ちなのかについて読みとり、描写するようにしましょう。
質疑応答
質疑応答では受験者自身の意見に関して4つ質問されます。
出題パターンは以下のとおりです。
- No.1:イラストに関する質問
- No.2&3:カードのトピックに関連した質問
- No.4:社会性のある質問
No.1ではイラストの登場人物の気持ちになって考える質問がよく聞かれます。
“What would you be thinking?” などと聞かれたら、“I would be thinking〜” と答えましょう。
No.1の質問が終わったら面接委員から問題カードを裏返すよう促されるため、指示に従ってください。
No.2と3は問題カードのトピックに関連して、自分の意見が問われる質問です。
“Should be 〜?” や “Do you think〜?” などのフレーズを使って質問される傾向があります。
最初に “Yes/No” で自分の立場を明確にし、続けてその理由や根拠を説明してください。
No.4ではカードのトピックとは違う、社会性のある問題について自分の意見が問われます。
この問題でもまずは “Yes / No / I think so / I don’t think so” と自分の立場を明らかにしたうえで、理由や根拠を話すようにしましょう。
一次試験の勉強法
英検準1級の具体的な勉強方法について、技能別に解説します。
準1級の勉強方法については以下の記事でも詳しく紹介しています。
リーディング
英検準1級のリーディング問題対策で必須なのが語彙力をアップさせることです。
準1級に出題される単語や熟語は難易度が高いため、単語帳などを利用し、頻出単語・熟語を繰り返し覚える必要があります。
また、読解のスピードアップをはかることも大切です。
準1級の長文問題は2級に比べてかなり文章量が多くなります。
制限時間内にすべて読み終えられるよう、練習を重ねましょう。
過去問を何度も解くことが、リーディング問題の傾向をつかみ読解力を高めることにつながります。
ライティング
英検準1級のライティング問題対策では、以下のような3つのパートにわけて文章を作成する練習の積み重ねが大切です。
ライティングのポイント
- Introduction(序論)
- Body(本論)
- Conclusion(結論)
過去問を繰り返し解き、文章の型をしっかり記憶するようにしましょう。
模範解答を参考にライティングに使える定番のフレーズを覚えると、迷わずに書けるようになります。
ライティング問題では社会問題、時事問題などが取り上げられるため、日頃からニュースを読むなどして、情報をインプットしておくことも大切です。
リスニング
英検準1級のリスニング問題の勉強方法としておすすめの方法は、以下の2つです。
リスニングの勉強法ポイント
- 1. 英語の音声を聞きながら復唱する(シャドーイング)
- 2. 頭のなかで和訳をせずにイメージでとらえて、意味を把握する(英文のイメージ化)
1つ目の方法はシャドーイングです。
シャドーイングとは英語の音声を聞きながら、影(シャドー)のようにあとから続けて復唱することをいいます。
繰り返しシャドーイングすることで、今まで聞き取れなかった単語がわかるようになったり、ネイティブの話すスピードに慣れたりする効果が期待できるでしょう。
2つ目の方法は英文のイメージ化です。
英文のイメージ化とは、リスニングするときに頭のなかで和訳をせずに、イメージでとらえて意味を把握することです。
英語を英語のままイメージで理解することで、以下のようなメリットがあります。
- リスニング問題のスピードについていける
- 多少わからない単語があってもイメージで補えられる
二次試験の勉強法
英検準1級の二次試験対策に役立つ勉強方法を2つ紹介します。
声に出して練習する
二次試験対策では、頭のなかでシミュレーションするだけでなく、必ず声に出して練習することが大切です。
実際に声に出して練習することで、以下のような効果が得られます。
- 英語に話すことに慣れる
- 英語でのコミュニケーション力が高まる
- 発音が明瞭になる
日常的に英語を話すチャンスがあまりない方にとって、声に出す練習はとくに有効です。
自分が発声した声を聞くことで、発音の改善ポイントに気付きやすくなります。
ナレーションは反復練習をする
ナレーションは何度も繰り返して練習することが重要です。
何度も練習することで、自分なりの回答方法が確立され、英語がスムーズに出てくるようになります。
1分間で準備し、2分間でナレーションを話し終えられるよう、時間を計測しながら練習すると良いでしょう。
準1級に合格するための勉強時間の目安
英検準1級に合格するための勉強時間は、英検2級程度の英語力がある場合、33〜41時間が必要です。
過去問や苦手分野の復習、弱点の克服に重点を置いて勉強しましょう。
毎日1時間の勉強時間が確保できるようであれば、1〜2か月で合格に必要な力を身に付けられます。
まだ英検2級を持っておらず、英語学習も基礎から復習という方の場合は、より多くの時間をかけてじっくり取り組む必要があるでしょう。
準1級の勉強におすすめの参考書
最後に、英検準1級の勉強におすすめの参考書を3冊紹介します。
【単語帳】でる順パス単 準1級
本書は単語や熟語の勉強に役立つ単語帳です。
出題頻度の高い順に掲載されており、重要な単語、熟語から効率的に覚えられます。
音声データのダウンロードが可能です。
【参考書】英検準1級 ライティング大特訓
英検準1級で出題されるエッセイ問題を解くためのライティング力が身につけられる一冊です。
文法や語法の注意点や、ライティングに使える表現、文章の構成の仕方、トピックの分野ごとに押さえるべきアイデアなどが詳しく解説されています。
間違えやすいポイントも掲載されているため、得点を伸ばしつつ減点されないようにするためのコツも学べます。
【問題集】英検赤本シリーズ 英検準1級過去問集
過去9回分の過去問が掲載されている問題集です。
リスニングや面接の音声を無料配信しており、PCやスマホ、タブレットで聞けます。
著名な英語講師、竹岡広信先生のライティング特別講義が数学社の英検特設サイトで公開されているのもおすすめのポイントです。
まとめ
今回は英検準1級の試験内容や勉強方法、ほかの資格との比較について詳しく解説しました。
英検準1級は実際に使える英語力の証明となる難易度の高い試験です。
合格するためには過去問を使って出題内容や形式を把握し、繰り返し練習する必要があります。
苦手分野の復習や弱点克服のための勉強も欠かせません。
短期間で効率よく学ぶためには、自宅学習に加えて英検対策のプロのレッスンを受けるのもおすすめです。
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