英検4級は、英検5級の一つ上のレベルに該当する試験です。
中学中級レベルの英語力で合格することが可能ですが、リーディングパートの長文問題では十分な対策をしていく必要があります。
本記事では、英検4級合格の助けとなるリーディングパートの対策、勉強法を長文の設問ごとに解説します。
正しい勉強法で英検4級に合格しましょう。
英検4級の難易度
英検公式ホームページによると、英検4級のレベルは「簡単な英語を理解することができ、またそれを使って表現することができる」と定義されています。
中学中級レベルの英語力を持った方を対象とした資格試験です。
中学1~2年生で習う英単語や文法、さらには5級では出題がなかった長文読解も新たに出題されることとなります。
たとえば、文法では過去形や未来形・比較級などまで出題範囲となっています。
英検4級を取得すれば英語の立派な資格となり、小中学の受験に活用できる可能性もあります。
さらに、資格として認定されるだけではなく、英語の基礎固めと実力を試すとして現在の自分のレベルの立ち位置を知る絶好のチャンスとなるのです。
英検は、5級から1級まで何段階かレベルがありますが、5級、4級、3級は中学終了レベルまでの基礎的な範囲を取り扱い、英語の登竜門とされます。
そのなかでも中間レベルとなる4級は比較的高い合格率で、英語の基本をマスターしていれば合格可能です。
英検4級は小学生や中学生のうちに取得することをおすすめします。
試験内容
英検4級は、一次試験と二次試験で構成されます。
一次試験でリーディング・リスニング、二次試験ではスピーキングの技能が測られます。
しかし、合否を確定する対象となるのは、4級の場合は一次試験の筆記のみです。
希望者は自宅でパソコンなどから二次試験としてスピーキングの受験が可能ですが、合否の採点対象にはなりません。
元々、4級と5級はリーディングとリスニング試験のみ実施されていましたが、受験者にスピーキングテスト体験の機会を提供するという目的で、二次試験が追加されるようになったためです。
一次試験での結果に関わらず、希望者は無料で二次試験のスピーキングテストを受験でき、二次試験の採点および結果は合否に影響しません。
また、合格に達していればスピーキングテスト合格という認定を受けることができます。
一次試験は、年に3回のスケジュールで指定された試験会場で実施されます。
リーディングとして筆記(35分)、リスニング(約30分)の試験が実施されます。
測定技能 | 形式・課題 | 形式・課題詳細 | 問題数 | 問題文の種類 | 解答形式 |
---|---|---|---|---|---|
リーディング | 短文の語句 空所補充 | 文脈に合う適切な語句を補う。 | 15 | 短文 会話文 | 4肢選択 |
会話文の 文空所補充 | 会話文の空所に適切な文や語句を補う。 | 5 | 会話文 | ||
日本文付き短文の語句整序 | 日本文を読み、その意味に合うように与えられた語句を並べ替える。 | 5 | 短文 | ||
長文の内容 一致選択 | パッセージの内容に関する質問に答える。 | 10 | 掲示・案内 Eメール (手紙文) 説明文 | ||
リスニング | 会話の 応答文選択 | 会話の最後の発話に対する応答として最も適切なものを補う。 (放送回数2回、補助イラスト付き) | 10 | 会話文 | 3肢選択 |
会話の内容 一致選択 | 会話の内容に関する質問に答える。 (放送回数2回) | 10 | 4肢選択 | ||
文の内容 一致選択 | 短いパッセージの内容に関する質問に答える。 (放送回数2回) | 10 | 物語文 説明文 |
英検4級の難易度と合格スコア
英検各級の合格判定は100点満点のような計算方法ではなく、CSEスコアという複雑な独自の採点基準が使われています。
各級で決められた目標点のCSEスコアに達していれば合格、目標点に達していなければ不合格になるというシステムです。
そのため、問題につき1問1点というような自己採点では計算ができなくなっています。
英検4級は、リーディングとライティングで問題数はそれぞれ35問・30問ずつです。
この65問が、CSEスコアに換算され、合計で500点満点ずつとして扱われます。
試験全体で1000点満点の配点ですが、622点以上のスコアで合格となります。
各問題の正答率など諸々を考慮し必ずしも全部同じ配点ではありませんが、概ね全体で62%以上の正答率で合格というイメージです。
実際は、65問の問題数のうち約6割となる39問以上を正解すれば合格しているケースが多くなっています。
2016年以降は英検における受験者全体の合格率は公表されていないのですが、それ以前の年の平均から、4級は7割ほどの受験者が無事に合格していると推測できます。
完璧にすべて正答する必要はなく、問題全体で6割ほど正解することを意識して対策に取り組みましょう。
英検4級リーディングテスト
4級リーディングパートは、学校での学習範囲の内容で、基本を問われる問題ばかりです。
基本レベルとはいえ、自分のことだけでなく身の回りの人物・モノについて複雑な英文を理解、表現できる段階の英語力が必要となるでしょう。
大問は以下の順番で、合計35問で構成されています。
短文の語句空所補充(15問) 会話文の文空所補充(5問) 日本文付き短文の語句整序(5問) 長文の内容一致選択(10問)
リーディングパートの試験時間は35分間で、終了するとリスニングの音声が流れリスニング問題が始まります。
試験はすべていくつかのなかから答えを選択肢より選ぶマークシート形式となります。
英検4級と5級のリーディングパートの難易度の違い
英検4級は中学・中級レベル、5級は中学・初級レベルと定義され、両者を区別することができます。
出題されるテーマは、以下になります。
- 家族
- 友達
- 学校
- 趣味
- 旅行
- 買い物
- スポーツ
上記の日常に関するテーマから出題となります。
出題される分野5級とさほど変わりませんが、4級の方がより実用的で生活のなかで使用できます。
たとえば、4級では現在・過去・未来の時制を使って動作を表現、疑問文を用いて具体的な内容を聞くなど、表現のバリエーションが増えていきます。
そして、もっとも大きな違いは、4級は読解問題である「長文の内容一致選択(10問)」が追加されていることです。
5級は、1つの英文を見て適切な単語や表現を選択する、適切な順序に並び替えをする問題などが出題されました。
4級は長文問題がもっとも難しい部分でもあり、ここをしっかりと対策していけば一気に合格へ近づくことができます。
英検4級試験とリーディングパート
ここまでが英検4級のリーディングパートの概要を紹介していきました。
まとめると、以下のようになります。
- 英検4級は中学中級レベル
- 筆記35分とリスニング30分で構成される一次試験のみで合否が決まる
- 合格基準CSEスコア1000点満点622点以上が合格目安、合格率は約70%
- リーディングパートは4つの問題形式で合計35問が出題される
- 英検5級にはなかった長文問題が出題され、長文問題での高得点が4級合格の鍵である
英検4級の難易度やレベルの詳細は、こちらでも詳しく解説をしています。
英検4級リーディング対策、長文攻略がポイント?
英検に合格するためには、受験する級の問題形式を理解したうえで、その傾向に合った問題を解いてみることが必須です。
英検4級に合格するために覚える必要がある単語数は約600語~1,300語程度と言われます。
これは、中学2年生の内容の英語の教科書や参考書の基本的な名詞や動詞などの各品詞を覚えていくと到達ができる語彙数です。
リーディングは、大問によって問題の種類が異なります。
一方で、すべてマークシートを使った選択式のため、答えはすべて問題用紙に書かれた選択肢のいずれかから選ぶことになります。
英単語のスペルを覚える必要はありません。
長文問題以外は英検5級の対策と同じ方法で対応できる
4級と5級では、当然4級の方が問題の難易度は上がります。
使用される単語の難易度のレベルも一段階上がると捉えて問題ないでしょう。
動詞で”bring(持ってくる)” “borrow(借りる)”、形容詞で”difficult(難しい)”など5級よりもより高度な単語が出題されます。
一方、大問1から3で、「短文の語句空所補充(15問)」「会話文の文空所補充(5問)」「日本文付き短文の語句整序(5問)」は両者の問題形式が共通し、出題内容が似ていることも多いのです。
たとえば、英文では「家族の誰か」が「友達が」といった身近な人物を主語にして動作を表したり、固有名詞を使って人や物の紹介をしている文章が多用されています。
したがって、問題を解くときは何に関しての問題かという背景(シチュエーション)の把握や、誰と誰の会話なのかといったことを押さえながら問題を解きましょう。
4級の問題の土台となるのは、5級の中学1年生レベルの文法です。
ただし、4級と5級では出題される単語数に差があり、5級から4級にレベルが上がると必要とされる単語数が倍増しています。
上記に挙げた3つの問題形式では、5級で出題される問題形式を基本に、中学2年生レベルにボキャブラリー力を向上させることが合格のポイントです。
さらに、文法に関しては4級で問われる知識が増えることになります。
動詞に関して時制、to不定詞と動名詞をしっかり基本として押さえたうえで、各パターンによる動詞の変化形も丁寧に理解する必要があります。
英文を見て適切な単語や表現を選ぶ、疑問詞を使った疑問文などを文法的に正しい語順に並べることが求められます。
英検の問題の特性上、1問に固執して時間をかけない・難しい問題は消去法を使って正解への確率を高めるといったテクニックも必要となり、これば4級でも5級でも同様のことが言えます。
10問ある長文問題への対策が英検4級の重要ポイント
4級のリーディングは、5級では出題されていなかった長文読解の問題が出題されることが一番の特徴です。
長文の内容一致選択(10問)として、1つの短いパッセージがあり、それを読んで、その内容に関する問題が英語で2~3問疑問文の形で” Who~? ” “ When~? ” “ How~? ”からはじまる文章が出題されます。
長文パートでは3つの異なる長文(掲示/案内・Eメール(手紙文)・説明文)が1つずつ掲載され、それぞれの内容に関する問題数は2問・3問・5問で、長文問題として合計10問で構成されます。
そして、ここのパートでは長文の内容をしっかり読み、細かい内容を具体的に理解していないと質問に答えることができません。
もっとも苦手意識を持つ方が多い部分ですが、ここでスコアを積み重ねることができれば周りと差をつけることもできます。
長文の種類ごとにポイントを紹介していきます。
「掲示 / 案内」長文の対策
施設、町の掲示や案内ポスターの内容に関する長文では、まず大きく掲示のタイトルが一番上に書かれています。
たとえば、”○○○ Park””というタイトルが書いてあれば、ある公園についての新規オープンや利用の案内の内容だということが読み取れます。
次に、テクニックとして、タイトル以外の本文より先に、長文のあとに書かれている問題文に目を通し、何が聞かれるのか予め頭に入れておきましょう。
「何が問われるのか?」という場所や人名、行動などを把握し答えを探すように長文を読めば、ポイントを押さえながら時間を短縮して読むことができるはずです。
問題は2問ありますが、1問目となる正解の部分を英文のなかで見つけたら、内容を忘れないうちに1問目の設問に目を移し、選択肢から解答を選んで問題ありません。
1問目を解き終えたら、その答えとなる部分が書かれているところのあとの英文から読み始め、2問目の答えとなる部分まで読み進めていきましょう。
「Eメール(手紙文)」長文の対策
メールの文章は、家族や友達宛のメールのやり取りの英文が載っています。
日本語で友達や身近な人とやり取りするのと同様に、TO:宛先、FROM:送り主、Subject:メールの件名が示されています。
本文中では、メール宛先の人物にお願いごとする、会う約束をして予定を立てるなどの内容が展開されます。
まず、人物のやり取りであることと、メールで何について話しているか、件名と最初の部分である程度は判断ができます。
登場人物の誰に送っているか、ナンシーやケイスケなど、人物の名前が固有名詞で出ています。
人物の名前を確認し、”When will Nancy go to Japan?”「ナンシーはいつ日本にくる予定ですか?」というように問題文には人物の行動について問う内容が並んでいることがあります。
誰のことについて、何が問われているか設問に目を通してから本文をじっくり読んでいきましょう。
「説明文」長文の対策
説明文の長文は、特定の人物についての説明、出来事を時系列で説明していくような内容が多く出題されています。
数段落程度で、1つのストーリーを読み進めていくようなイメージです。
3つの長文の種類のなかでもっとも分量がありますが、落ち着いて読み進めていきましょう。
問題数は前の2つの長文問題よりも多く5問となり、数量・人物・行動などより具体的な内容が問われやすくなっています。
解き方は「掲示 / 案内」長文と基本的に変わりません。
まずパッセージのタイトルと質問文の順番で確認します。
タイトルは、” Holiday”や”Hobby”など、その文章で人物が体験した出来事やそれを通して感じたことを語ることとなるものです。
タイトルで内容をイメージしながら読むことができるため、タイトルは確認しましょう。
そして、質問の答えとなる部分を探しながら本文を効率的に読み進めていきます。
また、コツとして以下で示すように問題の順番ごとに本文で答えが発見しやすい箇所を意識して読むと、効率良く得点をすることができます。
- 1問目の問題の答えは、最初の段落に書かれている可能性が高い。
- 2問目の答え→1段落目の後半か、2段落目の前半
- 3問目の答え→2段落目
- 4問目の答え→最後の段落
- 5問目の答え→最後の段落(ぼぼ確実)
問題は5問ありますが、複雑な順番で聞かれているわけではありません。
本文のなかでは質問の1から5で問われている順番で答えとなる部分が見つかります。
さらには上記の通り、ある程度どのあたりに答えとなる内容が含まれているか決まっているのです。
答えとなる部分が一回で上手く見つけられなければ、段落を戻って読んでも良いでしょう。
1問目の問題の答えが見つけられなければ、最初の段落を注意深く読んで答えを意識して探すという具合です。
リーディングテストの時間配分
リーディング問題の得点を上げるためには、時間配分を意識することも重要なポイントです。
試験時間は35問で35分となっています。
前提として、時間内にすべての問題に解答できるように心掛けましょう。
時間が足りなくて全部の問題を解き終えられなかったということも珍しくありません。
まず、大問1の短文の語句空所補充(15問)は、1問あたり約30秒を目安に計15問で7〜8分くらいで回答します。
ここは単語の意味を知っているか知らないかの知識が勝負です。
したがって、1問に時間をかけすぎてはいけません。
会話文の文空所補充(5問)は、1問あたり30秒を目安に5問を約2~3分で回答するペースが理想です。
日本文付き短文の語句整序(5問)は、1問あたり1分を目安に5問を約5分で回答するペースを目標としましょう。
考えて判断に迷うこともあると思いますが、分からなければとりあえず解答はしたうえで潔く次の問題に進むことも必要となっていきます。
長文の内容一致選択(10問)は、1問あたり1~2分を目安に、10問を10~20分で回答するペースとしましょう。
問題文を先に読み、本文から答えが明白に理解できれば即座に選択肢から解答を選びます。
すぐに答えが見つからなかった箇所は前に戻って本文を読み直すとしても、1問にかかる時間は2分までとしましょう。
もし時間が余れば、ケアレスミス防止のための最終見直しや飛ばした問題に取りかかる、次のリスニング問題の先読みを行いましょう。
英検4級リーディングパートの勉強方法
英検の対策でもっとも必須となるのは、過去問を解くことです。
どんなに時間が取れなくても、少なくとも英検のホームページに公開されている過去問直近3年分には目を通し、問題を体験しましょう。
また、過去問を解くときに意識してほしいことが、時間配分です。
過去問は時間配分を考えながら解き感覚を掴む絶好の機会です。
前述した、問題ごとの時間配分内でまずはどれくらい解けるか試しましょう。
また、英語の基礎学力をつけて4級に合格するためには、単語力と文法力が土台となります。
中学2年生レベルの単語力と文法力があれば、あとは過去問演習を通して応用力を伸ばすことができます。
英語の基礎に自信がない方は、まずは教科書で勉強することもおすすめです。
そして、差がもっともつきやすいのは、大問4の長文問題です。
余裕があれば、様々なタイプの長文を読む練習をしておくと、はじめて読む長文にも抵抗を感じることが少なくなるはずです。
英検4級リーディング対策に役立つ参考書・アプリ
英検4級でどのような教材を使えば良いのか分からないという方も多いと思います。
そこで、リーディング対策に役立つ参考書・アプリを上げていくのでぜひ試してみてください。
【音声アプリ対応】英検4級 でる順パス単
この参考書では、4級での単語問題で自信がつくくらい、4級でレベルの英単語を徹底的にやり込むことができます。
また、長文問題でも頻出となる単語を覚えることができるので、リーディング対策としても有効です。
本書では単語の日本語訳、例文が700語文掲載されています。
頻出度順に単語が掲載されていることから、時間がなくても重要度の高い単語だけ学習しておくという使い方も可能です。
直前対策 英検4級3回過去問集
本書では、本番の試験と同じマークシート形式で過去問数回分を体験することができます。
時間を測って解く練習をすれば、本番に向けて自信がつきます。
間違えた問題は解きっぱなしにせず復習をすることで力がつきます。
自分の得意、不得意を把握し苦手な設問を中心に時間をかけて勉強をするのも有効です。
アプリ「英検 英単語」
楽しみながら英語の勉強を進めたいという方には、アプリを活用した学習がおすすめです。
「英検 英単語」というアプリは各級に対応し、ゲーム形式で英単語1つひとつの意味を画面から選択する、というような使い方となっています。
英語に苦手意識がある方や初心者にも馴染みやすく、アプリで場所を選ばずに学習が可能です。
まとめ
英検4級は小学生の早い段階で合格することも可能で、とくに長文問題が含まれるため英語力を高めるのにおすすめの試験です。
4級に合格しておくと、今後の英語力の伸びも期待できます。
また、5級や4級は中学レベルの英語の知識を正しく覚えることに役立ちます。
もし間違えて覚えている部分があれば早いうちから軌道修正ができるという利点があります。
リーディングで点数を伸ばし、英検4級合格に向けて正しい英語を身につけましょう。