英検3級は中学卒業レベルの英語力が求められる試験です。
英検5級、4級はリーディング、リスニングのみの試験ですが、英検3級以上は1次試験でリーディング、リスニング、ライティング、2次試験でスピーキングと4技能で総合的に評価されます。
まず英検3級の一次試験に合格するためには、リスニングで確実に点を取ることが重要です。
「英検3級に合格するにはリスニングで何点くらい取ればいいの?」
「英検3級のリスニング問題を解くコツが知りたい!」
はじめて英検3級を受験する方の中には、このように思われる人も多いのではないでしょうか。
この記事では英検3級の合格ラインやリスニングの問題構成、リスニング対策や勉強のポイント、おすすめの参考書などを紹介しています。
英検3級対策への参考にしてみてください。
英検3級はリスニング問題を何点取れば合格できる?
英検3級に合格するための一次試験全体の目標点、そしてリスニングの目標点をそれぞれ以下の表にまとめました。
英検3級一次試験全体
満点 | 目標点 | 得点率 |
76点 | 49点 | 64%以上 |
英検3級リスニング
満点 | 目標点 | 得点率 |
30点 | 27点 | 90%以上 |
一次試験全体では76点満点中49点以上(得点率64%)取得が合格の目安です。 リスニングにおいては30点満点中27点以上(得点率90%)が合格の目標点と言えます。
現時点での英検合否判定は、試験での正答数をもとに英検CSEスコアを算出して決定されています。
英検CSEスコアは受験者自身の正答数に加え、平均点や他の受験者の正答率などから統計的に算出されているため、CSEスコアを自分で計算することはできません。
しかし過去のデータにより、正答数が満点もしくは0点に近づくほど、1点あたりで換算される英検CSEスコアが大きくなることがわかっています。
合格のために効果的な方法は、以下の2つです。
- リーディング、リスニング、ライティングで40%以上正解する。
- 得意なパートで満点に近いスコアを取得する。
得意なパートは人それぞれあると思いますが、これから英検3級対策をはじめる方には、リスニングで高得点を目指すことをおすすめします。
3級のリスニング問題で使われている単語は、リーディング問題に比べて簡単なものが多いです。
聞き取りの練習をすれば、90%以上正解することはじゅうぶん可能です。
とくに小学生など年齢が低い受験生にとってはリーディングやライティングよりもリスニングの方が、高得点を取りやすい傾向です。
リスニングでの点数が足りない場合は、リーディング、ライティングで点数を稼ぐ必要があります。
英検3級のライティング問題の勉強、対策について知りたい方は以下のページをご覧ください。
一次試験の合否を早く知る方法とは
英検3級の一次試験を受けた後、できるだけ早く合否を知るためには英検協会の解答速報を利用しましょう。
英検では問題用紙に書き込みをすること、また試験後に問題用紙を持ち帰ることが認められています。
試験時間が終了する前に会場を出てしまうと、問題用紙がもらえないため注意しましょう。
あとで答え合わせができるように、試験中は問題用紙にも解答を書いておくといいです。
解答速報で答え合わせをおこない、リーディング、リスニングでどれくらい正答しているかを確認してください。
ライティングの自己採点は難しいですが一次試験に合格しているかどうかは大体予想できます。
合格している可能性が高いようであれば、すぐに二次試験のスピーキング対策をはじめましょう。
英検一次試験の合格結果が分かるのは、試験日の約2週間後です。
二次試験対策にじゅうぶんな時間をとるためにも、解答速報を利用しましょう。
英検3級を受験するのはどんな人?
英検3級を受験する人の中で、1番多いのは中学3年生です。
高校によっては英検3級を取得すると内申点や入試点が加算されるなど、入試で優遇されるケースがあるからです。
中学3年間の英語学習がどれだけ定着しているかを確認するために英検3級に挑戦する受験生もいます。
英語学習を先取りした中学1、2年生や小学生も多く受験しており、英検3級の受験者は他の英検級と同様に、年々受験者の年齢が下がっている傾向があります。
高校生や大人で、英語学習を基礎からやり直したいという方も、まずは中学卒業レベルの英検3級から始める方が多いはずです。
英検3級のリスニング問題の構成を解説
英検3級のリスニングでは日常生活における身近な内容を理解できるかどうかが問われます。
問題の出題形式は第1部から第3部まで3種類あります。
全部で30問、約25分のテストになります。
以下に、リスニングパートの構成を表にまとめました。
問題番号 | 問題形式 | 設問数 | イラスト | 放送回数 | 選択肢 |
第1部 | 会話の応答文選択問題 | 10 | あり | 1回 | 音声 |
第2部 | 会話の内容一致選択問題 | 10 | なし | 2回 | 印刷 |
第3部 | 文の内容一致選択問題 | 10 | なし | 2回 | 印刷 |
問題形式ごとの特徴やよく使われる英文の内容を、例題とともに確認していきましょう。
*出典元:英検公式
会話の応答文選択問題
第1部は問題用紙のイラストを見ながら男女2人の会話を聞き、答えます。
問題内容は家族や友達同士、先生と生徒、店員と客などの会話です。
AーBーAと会話が進み、Aの2回目の発言に対するBの応答としてもっとも適切なものを選択肢3つの中から選ぶ問題です。
選択肢は問題用紙に印刷されておらず、音声で流れます。
放送は1回のみなので、最後のAさんの発言を集中して聞き取りましょう。
また、第一部の例題を見てみましょう。
問題用紙に以下のようなイラストが印刷されています。
上記のイラスト問題で流れた音声は次のとおりです。
音声内容 ★ We missed the train! ☆ Don't worry about it. ★ When's the next one? ☆ Answer ☆1 It'll arrive in 10 minutes. ☆2 I lost my ticket. ☆3 I went by bus.
日本語訳 会話文 A:「電車に乗り遅れちゃったよ!」 B:「心配しないで。」 A:「次の電車はいつ?」 選択肢 1.B:「10分後に着くわ。」 2.B:「チケットを無くしてしまったの。」 3.B:「私はバスで行ったわ。」
“次の電車はいつか” という質問に対して正しい選択肢を選ぶので、1が正解です。
会話の内容一致選択問題
第2部は音声の会話を聞き、会話内容に関する質問の答えとして最も適切なものを選ぶ問題です。
内容は第1部と同様、家族や友達同士、先生と生徒、店員と客などの会話ですが、第2部ではAーBーAーBと登場人物が2回ずつ発言した後、その内容について問う質問文が流れます。
質問の内容は主に会話の内容の一部を問うものです。
会話全体の話題や、登場人物が話している場所などが問われることもあります。
音声が流れる前に問題用紙に印刷された4つの選択肢に目を通して何が問われるのか予測しておきましょう。
2回流れるので、1回目で聞き逃したところは2回目でしっかり確認してください。
第2部の例題を見てみましょう。
問題用紙に印刷されている選択肢は以下のようなものです。
問題文の会話と質問は次のようになります。
問題文と質問 ☆ Do you want go to a movie? ★ Sure, Mom. Can we eat lunch first? I'm hungry. ☆ OK. I'll make sandwiches. ★ Great. Question: What is the boy 's mother going to do?
会話文
A:「映画に行かない?」
B:「いいよ、ママ。先にランチを食べてもいいかな?お腹がすいたよ。」
A:「いいわよ。サンドイッチを作るわ。」
B:「いいね。」
質問文
「少年の母は今何をしようとしていますか?」
選択肢
1:「昼食を作る」
2:「レストランで食べる」
3:「映画に行く」
4:「サンドイッチを買う」
こちらはサンドイッチを作るという発言があったので、1が正解です。
文の内容一致選択問題
第3部は音声の英文と質問を聞き、その答えとしてもっとも適切なものを答える問題です。
1人の人が話すナレーションを聞いた後に質問文が流れるので、その内容に合っているものを問題用紙に印刷されている4つの選択肢の中から選びます。
放送文の内容は日常生活での人物のエピソードや店や駅といった公共施設でのアナウンスなどです。
また、音声は2回流れます。
誰が、いつ、どこで、何をした話なのかに注意しながら聞き取りましょう。
第3部の例題を見てみましょう。
問題用紙に以下のような選択肢が印刷されています。
問題文のナレーションと、質問は次のとおりです。
問題文 I can't at all, so I decided to take lessons. In the future, I want to take my son to Hawaii and swim with him in the sea. He loves swimming. Quesiton: What did the woman decide to do?
ナレーション 「私は全く泳げないので、レッスンを受けることに決めました。将来的には、私の息子をハワイに連れて行って、彼と一緒に海で泳ぎたいです。彼は泳ぐのが大好きなんです。」 質問文 「女性は何をすることを決めましたか?」 選択肢 1:「海のそばに家を買う」 2:「ハワイに引っ越す」 3:「水泳のレッスンを受ける」 4:「彼女の息子に泳ぎ方を教える」
ナレーションの冒頭で泳げないのでレッスンを受けることを決めたと発言しているので、3が正解です。
リスニング問題を解くコツ
英検3級のリスニング問題を解く上でのコツは3つあります。
- 選択肢を先読みすること
- 会話形式では1人目の最後の発言を良く聞くこと
- 1度目の音声で「内容全体」と「質問」を聞き、2度目の音声で答えを聞くこと
リスニング解答のための3つのコツと、具体的な勉強法について詳しく解説します。
選択肢を先読みする
英検3級の一次試験では、筆記試験(リーディング、ライティング)の後、リスニングがおこなわれます。
問題用紙は全て一冊にまとめられているので、筆記試験中に時間が余ったらリスニング問題の選択肢に目を通しておくことがとても大切です。
選択肢を先読みすることで、大体どんなリスニング問題が放送されるかが想像できます。
第1部の会話の応答文選択問題では、イラストを見てシチュエーションを確認します。
ざっと目を通すだけで大丈夫です。
第2部の会話の内容一致選択と第3部の文の内容一致選択では、選択肢の共通点に注目してください。
たとえば選択肢に人の名前が並んでいる場合は「だれが」を問われるということがわかりますし、選択肢に時間が並んでいたら「いつ」が問われるということが分かります。
どのようなことが問われるのかをあらかじめ頭に入れておくことで、心の準備ができた状態で、リスニング問題にのぞめるでしょう。
会話形式の問題は1人目の最後の発言を良く聞いておく
第1部の会話形式問題では1人目の最後(2回目)の発言を意識して良く聞くことがポイントになります。
先で解説した例題にもあるように、ここでは疑問詞を使った疑問文が使われることがよくあります。
文頭に使われている疑問詞が5W1H(When、Where、Who、What、Why、How)のどれにあたるかをかならず聞き取るようにしましょう。
使われた疑問詞への応答として正しい解答を選択肢の中から選んでください。
1度目の音声で「内容全体」と「質問」を聞き、2度目の音声で「答え」を聞く
第2部と第3部では音声が2回流れます。
1度目の音声では内容の全体と質問をしっかり聞いて、話の大枠を把握しましょう。
2度目の音声では選択肢の内容と照らし合わせながら、1回目の音声で聞き取った質問の答えを探し出すつもりで細かく聞き取って下さい。
英検のリスニング問題の解答テクニックについては以下のページですべての英検級についてご紹介しています。
英文イメージ化テクニックを使う
英検のリスニングで使える解答テクニックは、級ごとに少しずつ異なります。
上記で紹介した3つのテクニックも、受験級が上がり問題内容が変わると、使えなくなってしまうものもあります。
「選択肢を先読みする」テクニックは級が上がっても共通して使えますので、過去問などで何度も練習し定着させてください。
すべての級の英検リスニング対策に使えるテクニックとして、もう1つご紹介したいのが英文のイメージ化です。
英文イメージ化とは、話の流れを頭の中で映像化しながら聞くことで、和訳せずに情報を理解できるテクニックのことです。
たとえば ”He is speaking.” と聞いて「彼は話しています。」と日本語に翻訳してから、彼が話している映像を思い浮かべるのではなく、 ”He is speaking.” と聞いたらすぐに彼が話しているイメージを頭に思い描くようにします。
英文イメージ化を使って聞くことで、主に3つのメリットがあります。
- 和訳しなくても英語を英語で理解し、解答に導ける
- 精読の必要がない
- 音声を聞き洩らしてもイメージで補える
リスニングパートの音声が早くて聞き取れないという方には、とくにおすすめしたいテクニックです。
英検リスニングテスト勉強法
英検のリスニングテストで確実に点を取るためのおすすめの勉強法を3つご紹介します。
英文イメージ化の練習
音声を和訳せずに頭の中でイメージして聞けるよう練習します。
まずは自分にとって簡単な、身近な話題の英文を聞き、和訳しないように気を付けながら頭の中で映像化するよう意識してみましょう。
自分にとって分かりやすい英語でたくさん練習することで、徐々に英語を英語のままイメージできるようになります。
過去問や問題集を繰り返し解く
英検協会のHPでは過去3回分の過去問とリスニング音源、リスニング原稿と解答が公開されています。
まずはこの過去問に取り組み、問題の形式や傾向を把握しましょう。
市販の英検3級対策問題集ではCD、パソコン、スマホなどで音声が聞けるものがたくさん出版されています。
繰り返し問題を解いていくと耳がリスニング問題に慣れていきますので、ぜひ何度も取り組んでください。
問題を解いた後は答え合わせをして間違った問題をチェックする
過去問や問題集で問題を解いた後は答え合わせをして、間違った問題をチェックしましょう。
かならず解答に書かれている解説にも目を通し、解答の流れを理解してください。
本番の試験では確実に正解できるようになるまで復習し、理解を定着させることが重要です。
勉強・対策に繋がるおすすめの参考書・テキストを紹介
英検3級の勉強、対策のためのおすすめの参考書、テキストを紹介します。
現在の英語学習レベルや、英検の試験日までの準備期間などに合わせて最適なものを選びましょう。
【CD付】英検3級総合対策教本 改訂増補版
英検3級のどのパートの問題を解くにも必要となる文法事項をじっくり学べます。
またパートごとに基礎的な知識の説明があり、ポイントを理解しながら実践問題に取り組んでいく参考書です。
模擬試験が1回分付いており、付属のCDで音声が聞けます。
英検3級で問われる英語を基礎からじっくり学習したい方におすすめです。
2022年度版 英検3級 過去6回全問題集CD
英検3級の過去6回の過去問をもとにした問題集です。
過去問で出題された一つひとつの問題に対して和訳や詳しい解説が書かれています。
オンラインマークシートに解答することで技能ごとの正答率や合格ラインとの距離などが確認できるサービスがついています。
リスニング問題や二次試験面接の音声が収録されたCD付きです。
【CD付】DAILY2週間 英検3級集中ゼミ 新試験対応版
14日間で英検3級の一次試験突破を目指す問題集です。
1日に取り組む範囲が決まっているので、試験まであまり時間が無い方でも計画的に学習を進められます。
問題形式ごとに解き方のポイントを解説するページと、練習問題を解くページで構成されています。
模擬テスト1回分と、CD、赤セルシート付きです。
わからないを、わかるにかえる英検3級
英検3級で出る文法、各パートの出題内容や形式が、例文やイラスト、図解を使ってやさしく解説されています。
1回2ページ構成でオールカラーなので、はじめて英検3級を受験する方や英語に苦手意識のある方でも無理なく取り組める内容です。
音声はCD、パソコン、スマホで聞けます。
模擬テスト1回分と英検3級によく出る単語、熟語、表現のミニ暗記Book付きです。
まとめ
今回は英検3級の合格ラインやリスニングの問題構成、リスニング対策や勉強のポイントやおすすめの参考書などを紹介しました。
英検3級のリスニング問題は得点率90%以上が合格ラインです。
リスニング問題を解くコツとしてさまざまなテクニックがありますが、すべての英検のリスニングで使える英文のイメージ化の練習がとくにおすすめです。
英文のイメージ化のテクニックを習得するためにも、過去問や問題集に繰り返し取り組んでください。
英文の音声を何度も繰り返し聞くことによって、自然に和訳しなくても、英語を英語のままイメージできるようになります。
本記事のリスニング対策法を継続的におこない、リスニング力をアップさせて、英検3級に合格しましょう!