イギリスのボーディングスクールは、国際的なリーダーを育成する優れた教育機関として注目されており、最近では日本人の間でも人気が高まっています。
英語でのコミュニケーション能力がますます重要視される現在、高い英語力と国際感覚を身につけられるボーディングスクールは理想的な学びの場といえるでしょう。
本記事では、イギリスのボーディングスクールの特徴や、通学することで得られるメリットとデメリットについて詳しく解説します。
さらに、費用や入学条件、学校選びのポイントについても触れるため、進学を検討している方はぜひ参考にしてください。
イギリスのボーディングスクールとは?
ボーディングスクールとは、全寮制の寄宿学校のことです。
18歳までの生徒が寮で共同生活をともにしながら学ぶ仕組みで、24時間体制のサポートが受けられることが特徴です。
高い英語力と国際感覚を身につけられるボーディングスクールは、グローバルに活躍する人材を育てるための理想的な環境といえるでしょう。
とくに、イギリスのボーディングスクールで取得できる資格は、世界中の大学で高く評価されています。
そのため、海外大学への進学を目指す方にとって大きなメリットがあります。
イギリスのボーディングスクールの特徴を詳しく見ていきましょう。
伝統と歴史
イギリスのボーディングスクールは、長い歴史と伝統を誇り、質の高い教育と厳格な生活指導が特徴です。
15世紀から16世紀にかけて富裕層向けに創設され、これまでに英国王室や貴族、政治家、資産家の子息など、多くの著名人が学んできました。
寮生活では、自立心や自己管理能力が育まれ、学力だけでなく、精神的な強さや実生活で役立つスキルも身につけられます。
そのため、学業と人間性の両面で大きく成長できる環境といえるでしょう。
教育システム
イギリスのボーディングスクールでは、経験豊富な教師陣と充実したカリキュラムにより、世界トップレベルの教育が受けられます。
とくに、GCSEやA-levelといった試験対策が充実しており、海外の大学進学に向けて十分な準備が可能です。
GCSE(General Certificate of Secondary Education)は、イギリスの義務教育終了時におこなわれる統一試験のことです。
イングランド、ウェールズ、北アイルランドでは、16歳の生徒のほとんどが受験します。
A-Level(General Certificate of Education, Advanced Level)は、イギリスの大学入学に必要な資格試験です。
イングランド、ウェールズ、北アイルランドの高校生は、大学進学の準備としてA-Levelを2年間、3〜4科目を選択し、専門的に学ぶカリキュラムとなっているのが特徴です。
GCSEやA-Levelで良い成績をとることで、海外大学への進学や将来のキャリアの選択肢が大きく広がります。
また、ボーディングスクールの卒業生は、オックスフォード大学やケンブリッジ大学など、名門大学への進学率が高いことで有名です。
長年にわたる豊富な合格実績を活かした進学サポートが充実しており、世界中から集まった留学生とともに学び、多様性を尊重する環境で成長できることが大きな魅力です。
私立と公立の違い
ボーディングスクールには、私立と公立の2種類があります。
私立のボーディングスクールは、プライベートまたはパブリック・ボーディングスクールとも呼ばれ、イギリスには約500校あります。
これらの学校は世界中から留学生を受け入れており、国籍に関係なく入学が可能です。
入学には、授業料および寮費を支払う必要があります。
一方、公立のボーディングスクールはイギリスに約40校あり、原則として、イギリス人やイギリスに居住権をもつ市民が対象です。
学生の多くは家族のもとから学校に通うdaily pupil(通学生)で、授業料は国が負担するため無料ですが、寮費のみ支払う必要があります。
ガーディアンについて
イギリスのボーディングスクールに留学する場合、外国人の生徒は親がイギリスにいない場合、ガーディアンと呼ばれる現地の保証人が必要です。
ガーディアンは、保護者の代わりに学校と連絡をとったり、留学生活のサポートをおこないます。
休暇中のホームステイ先の手配から送迎の手配、個人的な相談まで、ガーディアンの役割は多岐にわたります。
親元を離れて留学生活を送る生徒にとって、ガーディアンは大きな支えとなる存在です。
一方、サマースクールなどの短期留学の場合は、ガーディアンは必要ありません。
イギリスのトップボーディングスクール
次に、イギリスのトップボーディングスクール10校と名門校である「ザ・ナイン」を紹介します。
以下は、2022年度のGCSE試験で優れた成績を収めた学校の一覧です。
- セント・ポールズ・スクール
- セブンオークス・スクール
- ウェストミンスター・スクール
- トンブリッジ・スクール
- ブライトン カレッジ
- ワイクーム・アビー
- カーディフ・シックス・フォームカレッジ
- イートン・カレッジ
- ダリッジ・カレッジ
- セントメアリーズ・スクール・アスコット
GCSEの結果は、卒業後の大学進学や就職活動にも影響する、重要な要素です。
試験結果のランキングは、学校選びの際の参考情報として役立てられるでしょう。
イギリスの名門校「ザ・ナイン」
「ザ・ナイン」とはイギリスの伝統的で格式の高い名門のパブリックスクール9校のことを指します。
イギリスの私立ボーディングスクールは「パブリック・スクール」と呼ばれ、そのなかでもとくに歴史があり、ステータスの高い9校が以下の「ザ・ナイン」です。
ザ・ナイン(創設年)
- ウィンチェスター・カレッジ(1382年)
- イートン・カレッジ(1440年)
- セント・ポールズ・スクール(1509年)
- シュルーズベリー・スクール(1551年)
- ウェストミンスター・スクール(1560年)
- マーチャント・テイラーズ・スクール(1561年)
- ラグビー・スクール(1567年)
- ハロウ・スクール(1572年)
- チャーターハウス・スクール(1611年)
イートン・カレッジ (Eton College)
イートン・カレッジは名門校として知られ、多くの著名な卒業生を輩出しています。
たとえば、英国王室のウィリアム王子やヘンリー王子、ボリス・ジョンソン元英国首相なども、イートン校出身です。
厳しい入学基準と高い学術水準で知られています。
ハロウ・スクール (Harrow School)
歴史ある名門校で、全人的な教育を重視しており、スポーツや音楽のプログラムも充実しています。
また、広大な敷地には校舎や学寮のほかに、農園や湖、スポーツ競技場、ゴルフコースなどもあります。
映画「ハリー・ポッター」のロケ地としても有名です。
チャーターハウス・スクール (Charterhouse School)
高い学術水準と豊富な課外活動プログラムを提供しており、国際的な視野をもつ生徒を育成しています。
長年伝統的な男子校として知られていましたが、2021年以降男女共学となりました。
「ザ・ナイン」の学校は厳しい学術基準を設けており、卒業生の多くがオックスフォード大学やケンブリッジ大学などの名門大学に進学します。
また、世界各国のトップ大学進学を目指す学生を支援する体制も整えています。
イギリスの英才教育における最高峰の教育機関といえるでしょう。
ボーディングスクール留学のメリット
中学・高校時代にイギリスでボーディングスクール留学を経験することは、子供の成長に多くのメリットをもたらします。
世界水準の国際教育が受けられるボーディングスクール留学の具体的なメリットについて見ていきましょう。
世界中から集まる生徒と交流できる
ボーディングスクールには、世界中から多くの留学生が集まり、学校生活や寮生活をほかの生徒とともにします。
多様な文化背景をもつほかの学生と交流することで視野が広がり、物事を多面的・多角的に捉える力が身につくでしょう。
24時間の共同生活を通じて、深い友人関係が築きやすいのもボーディングスクールの魅力です。
世界を舞台に活躍することを目指す学生にとって、将来に役立つ国際的な人脈が得られるのは間違いありません。
自立心や責任感を養える
ボーディングスクール留学では、親元を離れて海外で寮生活を送りながら、自立心や責任感を養うことが可能です。
寮生活では、自分の身の回りのことは自分で管理し、起床時間や食事の時間など、一日のスケジュールが決められています。
ボーディングスクールでの生活をとおして、規則正しく生活し、やるべきことをきちんとこなす自己管理能力が身につくでしょう。
個性を伸ばす充実した課外活動がある
イギリスのボーディングスクールでは、学業だけでなく、スポーツや芸術、リーダーシップ・プログラムといった課外活動がとても盛んです。
これらの課外活動は、自分の好きなことを見つけたり、新しい友人を作ったりするための良いきっかけとなります。
さまざまな課外活動を通じて、個性や才能をさらに伸ばせるチャンスが広がっています。
ボーディングスクール留学のデメリット
ボーティングスクール留学は、自立心や責任感を養えたり、個性を伸ばせたりなど、理想的な教育環境である一方、デメリットもあります。
留学を検討する際に知っておきたい注意点について確認していきましょう。
費用が高額
ボーディングスクール留学は授業料や生活費が非常に高額なため、一般的には、富裕層の子どもたちが通う教育機関として認識されています。
家庭にとって大きな経済的負担となる場合がありますが、必要な費用は地域や学校によって異なるため、事前にしっかり比較・検討することが重要です。
ボーディングスクール留学にかかる具体的な費用については、このあと詳しく紹介します。
ストレスやホームシックになりやすい
ボーディングスクールでは家族と離れて寮生活を送るため、ホームシックになったり、心理的なストレスを感じやすくなります。
とくに海外からの留学生の場合、文化や言語の違いに慣れるまでに時間がかかるでしょう。
さらに、学業や課外活動の競争が激しいため、プレッシャーやストレスを感じる人もいるでしょう。
親元から離れることに不安がないか、またストレスやプレッシャーを乗り越えられそうかなど、本人の希望や性格を十分に考慮し、検討することが大切です。
自由が限られている
ボーディングスクールでは、スケジュールが厳密に管理されているため、自由時間が限られることがあります。
自分の好きなことをしたり、1人でリラックスする時間を重要視するお子様にとっては、窮屈に感じられるかもしれません。
すこしでも自由な時間を確保するには、計画的に勉強や課題を進めるといった工夫が必要不可欠です。
\さらに詳しく知りたい方はこちらもチェック!/イギリスのボーディングスクールの費用
イギリスのボーディングスクール留学には、授業料だけでなく寮費やそのほかの費用も必要になるため、全体的に費用が高額になります。
地方や学校によっても異なりますが、とくにロンドン周辺のボーディングスクールは高額になる傾向があります。
ボーディングスクール留学にかかる費用について、詳しく確認していきましょう。
学費
ボーディングスクールの学費は学校やコースによって異なりますが、一般的に高額です。
年間費用は、£30,000〜£50,000 GBP(約510万円〜850万円)が目安となります。
この費用には、授業料や寮費、食費、基本的な学用品などが含まれます。
そのほか、教材費や課外活動費、旅行費、医療費などの追加費用が別途発生することがあるため、事前に確認しておくことが重要です。
生活費
生活費には、食費や通信費など、日常生活に必要な費用も含まれます。
ボーディングスクール留学の場合、基本的には寮での生活になりますが、休暇中は寮を利用できない場合が多いです。
そのため、休暇中は日本に帰国するか、現地でホームステイする必要があるため、その分の費用も別途かかることに注意が必要です。
その他費用
学費や生活費のほかにも、制服代や留学生向けの英語サポートレッスン費用などが追加でかかる場合があります。
また、航空券代や海外旅行保険代、ガーディアンに払う費用なども必要です。
そのため、ボーディングスクール留学には余裕をもった資金を用意することが重要といえます。
予想外の費用に備え、早めに計画を立てておきましょう!
イギリスのボーディングスクールの入学条件
イギリスのボーディングスクールに留学するには、各学校が定めている入学条件を満たす必要があります。
以下では、一般的にボーディングスクールで求められる入学条件について解説します。
英語力
ボーディングスクールに入学するには、一般的に高い英語力が求められます。
入学時の年齢にもよりますが、留学生が入学を希望する場合、TOEFLやIELTSのスコアの提出が必要となる学校が多いです。
英語力の目安としては、TOEFL 60点程度(英検2級〜準1級)です。
ただし、留学生向けの英語コース(ESL)がある学校の場合、英語力の条件がそれほど厳しくないケースもあります。
英語力に不安がある方は、ESLがある学校を選ぶのも一つの手です。
成績
ボーディングスクールの入学審査では、過去の学校での成績が重視されます。
優秀な学業成績が求められるため、入学を希望する場合は試験対策だけでなく、現在通っている学校で良い成績をとることが大切です。
一般的に、出願時には学校の成績証明書、推薦状が必要となります。
年齢
ボーディングスクールには、入学できる年齢に制限があります。
ただし、各学校で基準が異なるため、募集要項をよく確認してください。
多くの学校では、7〜8歳から寮生活が可能となりますが、一般的には11歳〜13歳で寄宿生活を始める学生が多いです。
また、留学生の場合は、16歳〜18歳のシックス・フォームからの入学が人気です。
イギリスのボーディングスクールの選び方
イギリスのボーディングスクール留学を成功させるためには、自分に合った学校を選ぶことがとても大切です。
ボーディングスクールは学校ごとに教育方針や雰囲気が異なります。
そのため、自分の個性や才能が伸ばせる学校はどこなのか、比較検討することが成功のカギです。
最後に、ボーディングスクール選びで重要な5つのポイントを紹介します。
教育方針や校風
前述したとおり、ボーディングスクールは学校ごとに異なる教育方針があります。
スポーツに力を入れている学校や芸術や音楽分野に強い学校、宗教的な価値観を重視するミッション系の学校など、特徴はさまざまです。
個性や家庭の教育方針に合った学校を選ぶために、学校の教育理念や雰囲気をしっかり確認することが大切です。
立地
学校の立地条件も重要なポイントです。
都市部にある学校と郊外にある学校では、週末や休暇の過ごし方が異なります。
また、学校周辺の治安や公共の交通機関の便利さなども事前にチェックしておくと安心です。
学校の立地選びも、自分が希望する生活スタイルに合った場所を選ぶことが大切です。
施設
学校の施設や設備の充実度も学校選びの重要なポイントです。
寮の部屋や図書室、自習室、パソコン室、スポーツ施設、文化施設など、どのような設備が整っているかによって、学校生活の質も大きく変わってきます。
学業だけでなく、体力作りや精神的なリフレッシュができる環境かどうかを確認し、安心して生活できるかを考慮することが大切です。
費用
ボーディングスクールにかかる費用は、学校や地域によって異なります。
学費や生活費を含めた総費用を考慮し、予算に合った学校を選びましょう。
また、留学費用は為替の影響によっても変動することがあるため、その点も考慮するようにしてください。
将来への展望
学校を選ぶ際は、将来の展望を明確にしたうえで決定することが大切です。
各学校が発表している、卒業後の進路や大学進学実績を確認し、自分の将来設計に合った学校を選びましょう。
希望する大学への進学実績が豊富なボーディングスクールであれば、進学に向けてしっかりとしたサポートを受けられることが期待できます。
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イギリスのボーディングスクールは、長い歴史と伝統にもとづいた質の高い教育が受けられます。
世界中から集まる留学生と寝食をともにし学び合うことで、高い英語力や国際感覚が身につくと同時に、将来に繋がる国際的な人脈が築けるでしょう。
中高生時代に、親元を離れ海外で寮生活を送ることで、自立心や責任感が養われ、人として大きく成長することが期待できます。
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