近年、さまざまな国で留学生の受け入れがおこなわれていますが、そのなかでもとくに人気を誇っているのがオーストラリアです。
オーストラリアに渡航する際には、滞在形式に応じて異なるビザが必要です。
しかし、オーストラリアのビザには種類が多いため、どのビザを取得すればよいかわからない方も多いでしょう。
今回は、オーストラリア留学に必要なビザの種類について解説します。
ビザを取得する手順や有効期限、更新手続きについてもまとめているため、オーストラリア留学を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
オーストラリア留学の学生ビザとは
オーストラリアへ留学する場合は、学生ビザを取得することが一般的です。
オーストラリアの学生ビザは、語学学校などの教育機関に3か月以上在籍する方が申請できます。
学生ビザの申請は、オンライン申請(eVisa)からおこなえます。
以下では、オーストラリアの学生ビザの具体的な取得条件や特徴について解説します。
フルタイムの正規コースを受講する必要あり
オーストラリアの学生ビザを取得するためには、フルタイムの正規コースを週20時間以上受講することが条件です。
また、学生ビザを取得しても出席率が80%を下回ったり、成績が下がった場合は、学生ビザが取り消される可能性もあるため、勉強をおろそかにしないようにしましょう。
一定の就労時間が許可される
オーストラリアの学生ビザを取得した方は、現地での労働が許可されます。
ただし、学業が主な目的であるため、就労時間は週20時間までに制限されています。
また、所属する教育機関の履修コースが始まる前に働くことはできません。
サブクラス500ビザを持っているかつ、修士課程のリサーチ、および博士課程を開始している場合は、就労時間の制限を受けずに仕事ができます。
学生ビザの種類
学生ビザの種類は、2016年7月に7種類から2種類に統合されました。
以前は、所属する教育機関や進路先に合わせて学生ビザを申請する必要がありましたが、現在では学生ビザ(subclass 500)または学生ガーディアンビザ(subclass 590)のどちらかを取得すれば問題ありません。
一般的に、学生ビザは、オーストラリアの教育機関で3か月以上の就学を希望する方が取得するビザです。
学生ビザを取得するためには、オーストラリアの学校にフルタイムで通うことや、海外留学生保険に加入するなど、いくつか条件を満たす必要があります。
学生ガーディアンビザは、18歳未満の学生ビザ申請者の保護者が、オーストラリアで学生とともに滞在するために必要なビザです。
学生ガーディアンビザを取得するためには、保護者が21歳以上であり、かつ健康や資金面などの条件を満たしていることが求められます。
学生ビザの申請について
前述したとおり、オーストラリアの学生ビザは、eVisaから申請します。
eVisa申請は、アセスメントレベル1の条件を満たし、日本国籍または韓国籍の方が対象となります。
以下では、学生ビザの申請手順について、さらに詳しくみていきましょう。
リスクレベル
オーストラリアの学生ビザを取得する際には、リスクレベルについて理解しておくことが重要です。
リスクレベルとは、留学生の国籍や教育機関のリスクをもとに設定されているものです。
国のリスクレベルは、学生ビザを取得した学生がオーストラリア入国後にどれだけビザのルールを守っているかによって変動します。
そのため、学生ビザのルールを守らない学生が多い国は、リスクが高い国と見なされてしまいます。
リスクレベルは3段階に分かれており、レベル1がもっともリスクが低く、レベル3がもっとも危険度が高いです。
国籍および教育機関のリスクレベルは基本的に公開されていないため、留学生が教育機関のレベルを事前に知ることはできません。
ちなみに、日本国籍を持っている方はリスクレベル1に設定されており、ほかの国と比べて比較的ビザの取得がしやすいです。
そのため、原則移民局に対して英語力を証明する書類や、資金証明などを提出する必要はありません。
しかし、多くの申請者は身分証明書やOSHC(海外学生健康保険)、GTEの提出を求められています。
学生ビザの申請条件
オーストラリアの学生ビザを申請するためには、厳格な申請条件を満たす必要があります。
まず、学生ビザの申請者は、申請時点で6歳以上でなければなりません。
また、渡航前に十分な資金の用意があることを証明する必要があります。
具体的な金額の目安は滞在期間によって異なりますが、オーストラリア滞在中の生活費や学費をまかなえるだけの資金があれば問題ありません。
さらに、在籍する学校が政府認定校であることも重要な条件です。
学校を選ぶ際は、政府認定校のCRICOSコードの有無を確認しましょう。
同じ学校でもコースによってはCRICOSに認可されていないケースもあるため、注意してください。
また、学生ビザでオーストラリアに滞在する場合は、海外留学生用保険(OSHC)への加入が義務付けられています。
健康状態も審査の重要な要素であり、オーストラリア大使館指定の病院で健康診断やレントゲン診断を受けなければなりません。
さらに、GTE(Genuine Temporary Entrant)の提出も必須です。
GTEは、申請者がオーストラリアに一時的に滞在する意図があることを説明する文書で、審査で重要な役割を果たします。
文書は英文で作成し、オーストラリアでの留学目的や留学中に勉強する分野、また留学後の将来のキャリアにどのようについて記載します。
学生ビザのルールを理解し、規則を守ることも重要ですが、ビザのクラスや就学内容によって規則は異なる場合があるため、事前に確認しましょう。
授業料支払いシステム(TPS)
TPS(Tuition Protection Service)は、授業料の支払い方法を制限する制度で、2012年7月に導入されました。
TPSが導入された目的は、語学学校が学生に過剰な授業料を請求されるのを防ぐことです。
TPSの導入により、語学学校は学生から25週間以上の授業料を受け取る際、入学時に最大で授業料の50%しか受け取ることができません。
また、25週以上のコースを申し込む場合は、分割支払いが可能です。
ただし、語学学校によっては、25週間分の授業料で48週間の学生ビザを取得できる場合もあり、具体的なルールや規定は学校やコースによって異なります。
詳細情報を知りたい場合は、直接学校に問い合わせて確認することをおすすめします!
学生ビザ申請に必要な書類
学生ビザ申請を申請する際は、以下のものを準備しましょう。
学生ビザ申請に必要な書類
- パスポート
- 入学許可書番号
- OSHC(海外留学生健康保険)
- クレジットカード
- メールアドレス
パスポートは、留学期間中に有効で、余白ページが1枚以上あるものを用意してください。
入学許可書番号(CoE)は、入学手続きと学費納入後に教育機関から発行される番号です。
CoEは、学生ビザを申請した方にのみ発行されるもので、観光ビザやワーホリビザの申請者には発行されません。
また、OSHC(海外留学生健康保険)は、通常学校への申し込み時に同時に申し込みます。
保険会社によって料金が異なるため、いくつかの会社を比較検討するようにしましょう。
さらに、クレジットカードは、eVisa申請の際に必要です。
現地での使い勝手も考えて、VisaまたはMastercardを選ぶことがおすすめです。
なお、オンラインで学生ビザの申請をする際は、移民局との連絡のためにも、かならずメールアドレスが必要になります。
メールアドレスはキャリアのものではなく、GmailやYahoo!メール、iCloudメールなどを用意してください。
状況により追加で必要な書類
申請状況によっては、以下の書類が追加で必要となるケースがあります。
- 学生ビザ申請用紙(Form157A)
- 健康診断用紙(Form26)
- レントゲン診断用紙(Form160)
特別な理由によりオンライン申請ができず、郵送で申請をする場合、オーストラリア政府の公式ホームページから学生ビザ申請用紙を取得する必要があります。
健康診断用紙とレントゲン診断用紙は、健康診断やレントゲン診断を受けるように指示された場合のみ必要です。
学生ビザ申請費用
学生ビザの申請は、日本でおこなう場合とオーストラリアからおこなう場合で詳細が異なります。
以下は、両者の違いを比較した表です。
申請場所 | 日本 | オーストラリア |
申請方法 | eVisa | eVisa/移民局へ持ち込み |
支払い方法 | クレジットカードのみ | クレジットカード、小切手、EFTPOS |
費用 | 650オーストラリアドル | 710オーストラリアドル |
学生ビザの申請費用は、日本から申請する方が安いです。
また、クレジットカードは、以下の種類が使用できます。
- VISA
- MasterCard
- JCB
- Diners Club International
- American Express
- プリペイド式クレジットカード
学生ビザ費用の支払いに使用するクレジットカードは、申請者本人名義でなく、親族名義でも利用可能です。
なお、申請費用は変更される可能性があるため、申請前にオーストラリア政府の公式サイトをチェックするようにしましょう。
申請費用は、2022年7月のもののため、変更される可能性があります。各自申請前にご確認ください。
学生ビザ申請手順
次に、学生ビザの具体的な申請手順について解説します。
学生ビザをスムーズに取得するためにも、事前にしっかり手順を確認しておきましょう。
学校へCoEの申し込みをおこなう
学生ビザを申請する際には、CoEを用意しましょう。
CoE(Confirmation of Enrolment)は、オーストラリア政府の登録校が留学生の受け入れを認める際に発行する入学許可証です。
CoEは、学生ビザの申請者にのみ発行され、観光ビザやワーホリビザで教育機関に入学する方には発行されません。
ImmiAccountを作成
学生ビザを申請する前に、オーストラリア移民局のホームページからImmiAccountを作成してください。
ImmiAccountは、ETAと移民申請を除くすべてのビザ申請に利用できます。
また、ImmiAccountの作成には、メールアドレスや電話番号が必要です。
申請書作成・必要書類をアップロード
ImmiAccountの作成が完了したら、学生ビザの申請をおこないましょう。
具体的な申請手順は、以下のとおりです。
学生ビザ申請手順
- 1.ImmiAccountにログインし、「New Application」を選択
- 2.申請種別から「Student Visa(500)」を選択
- 3.規約を読み、同意
- 4.申請書の入力をおこなう
- 5.必要書類をアップロード
登録したメールアドレスとパスワードでImmiAccountにログインすると、トップページに遷移します。
トップページに移ったら「New Application」を選択し、申請するビザを選択してください。
規約を読み終えたあと、申請書の入力をおこないますが、申請を途中で中断したい場合は「save」をクリックして保存してください。
最後に必要書類をアップロードすれば、学生ビザの申請は完了です。
なお、もし間違った書類をアップロードしてしまった場合は、「delete」で削除ができます。
ビザ申請料金を支払う
ImmiAccountに必要な情報を入力し、書類をアップロードしたら、ビザ申請料金を払いましょう。
ビザ申請料金は、クレジットカードで支払い可能です。
申請が完了すると、TRN番号が表示されるため、念のため控えておきましょう。
ビザを受領する
学生ビザの申請終了後は、ビザ発給の通知が届くのを待ちます。
すべての通知は、ImmiAccount作成時に登録したメールアドレスに送信されます。
通知メールが迷惑メールに振り分けられないよう、メールの設定を念のため確認しておきましょう。
ビザステータスの確認方法
ビザの進捗状況を確認したいときは、VEVO(Visa Entitlement Verification Online)にアクセスしましょう。
VEVOは、現在有効なビザの詳細を確認できる、無料のオンラインサービスです。
アクセスするには、パスポートやTRN番号、ビザ許可番号のいずれかを用意してください。
なお、ビザ保持者は事前登録なしで利用できます。
申請から発行までの所要時間
学生ビザの申請から発行までの時間は、移民局の状況によって異なります。
一般的には、申請してから4週間程度でビザを取得できますが、余裕をもって申請することをおすすめします。
また、学生ビザの申請受付開始時期は、オーストラリア国外と国内で異なります。
国外から申請する場合は、コース開始日の4か月前から、国内から申請する場合は、コース開始日の3か月前から申請が可能です。
申請書類や審査に問題がなければ、ビザ発給許可通知書VGNがメールで届きます。
ビザ発給許可通知書VGNには、滞在許可期間や遵守すべき条件が記載されているため、しっかり確認しておきましょう。
渡航する際は、ビザ発給許可通知書をプリントして持参するようにしてください。
学生ビザの有効期限と更新
学生ビザの有効期限は、コースの期間にプラス1〜2か月で設定されています。
コースの履修期間中に休暇を取得しても、支払った授業料に見合う学習時間を確保するための措置です。
コース期間が10か月未満の場合は、コース終了後1か月間、10か月以上の場合は2か月間現地に滞在できます。
たとえば、10か月間のコースが11月または12月に終了する場合は、ビザは翌年の3月15日まで有効です。
学生ビザの延長を希望する場合は、新しく申請手続きが必要です。
初回申請と同様の手順でおこないますが、ビザの有効期限が切れる前に申請を完了させなければなりません。
また、延長には出席率や成績などに問題がないことが条件として設定されています。
さらに、滞在先の証明書や資金証明書などの提出が求められることもあるため、余裕をもって申請をしてください。
そして、学生ビザを更新するにあたって、前のコース終了日から次のコース開始日までの空白期間は、最大で8週間までです。
次の学生ビザが認可されるまで、かつ新しいコースが始まるまでは、前回の学生ビザの労働条件を引き継ぎ、フルタイムでの就労が可能です。
ただし、新しい学生ビザが認可されると、次のコース開始日までは就労ができないため、注意してください。
転校時の手続き
実際にオーストラリアの教育機関に在籍してみると、校風が合わない場合があります。
そのときは、転校して学校を変更することが可能です。
ただし、転校を希望する場合は、以下の条件を満たしている必要があります。
- 12か月以上のコースに入学後、就学期間が12か月以上経過していること
- 学校側の方針により予定のコースが開講しない場合、または学校自体が閉鎖される場合
上記の条件を満たさない場合や特別な理由がない限りは、転校が認められません。
ただし、学校側の編入許可書を得ることで、転校が可能なケースもあります。
また、転校を希望する際は、移民局に転校の申請書類を提出する必要があるため、忘れないようにしましょう。
まとめ
オーストラリアの教育機関に長期間在籍する場合は、学生ビザの取得が推奨されます。
ただし、学生ビザを取得するためにはいくつか条件を満たす必要があり、申請書類も自分で用意しなければなりません。
もし、学生ビザの申請準備に不安を抱えている場合は、ぜひバークレーハウスの留学サポートを利用してみてください。
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オーストラリア留学を検討している方は、ぜひ一度、留学カウンセリングをご利用ください。