イギリス留学をする際、避けては通れない道があります。
それは、ビザ取得です。
学業での留学であれば学生ビザ、海外で働く方なら労働ビザなど、海外に渡航する場合はかならず必要になります。
しかし、イギリスのビザ申請はとても分かりにくい上、些細なミスが原因でビザ申請が承認されない場合も起こります。
このような背景から、多くの留学生が自分でビザの申請ができるのか、不安を感じているのではないでしょうか。
そこで今回の記事は、現在イギリス・リーズ大学院に留学中の私が、イギリス留学における学生ビザの申請方法や料金、注意点を詳しく解説します。
ビザ申請にあたり、必要となる書類や具体的な流れを実際の体験談とともに解説をしています。
留学や海外渡航の際は、ぜひ参考にしてみてください。
※本記事は日本国籍を有する留学生を対象としております。
※ビザ申請に関するルールは、随時変更されています。
かならず、イギリス政府のホームページより、最新の情報を必ずご確認ください。
イギリスの学生ビザ基本情報
2021年から、新しいビザ制度を導入したイギリス。
従来のビザ制度は廃止され、効率化を重視したシンプルな制度に一新されました。
留学生が取得できるビザは全部で3種類ありますが、留学の目的や期間によって、取得しなければならないビザの種類は異なります。
まずは自分がどのビザを取得しなくてはいけないのか、確認しましょう。
イギリスの学生ビザは3種類ある
留学生が取得すべきビザは、観光ビザ・学生ビザ・短期学生ビザの3種類あります。
それぞれのビザの特徴は、以下のとおりです。
・観光ビザ(Standard Visitor visa)
6カ月以内の語学留学であれば、観光ビザで就学が可能です。
観光ビザ取得に関しては、英語力の証明書や特別な事前申請は必要ありません。
渡英後は、認可された語学学校に通うことが出来ます。
特別な事前申請は必要なく、渡英後は認可された語学学校に通えます。
・短期学生ビザ(Short-term study visa)
6カ月以上11カ月以下の語学留学の場合、短期学生ビザを取得する必要があります。
・学生ビザ(Student visa)
従来の学生ビザ 「Tier 4 General Student Visa」が一新され、新しく「Student Visa」が登場しました。 大学や大学院、専門学校など、長期留学をする際に必要となるビザです。
※語学学校を終了後、そのまま現地の大学・大学院に進学する場合は、Student Visaを初めから取得してください。
BRPカードの取得
「Biometric residence permit」の略であるBRPカードは、イギリスに6ヶ月以上滞在する場合に必要な滞在許可証です。
BRPカードには、氏名やビザの種類、顔写真などが記載されます。
イギリスに入国したあと、ビザの申請時に指定した郵便局で手続きを行えばBRPカードを受け取れます。
BRPカードの受け取りは、入国後10日以内に取得しなければいけないので注意しましょう。
イギリスの学生ビザは審査が厳しい
イギリスでは移民に対する法律が大幅に改正されたので、ビザの申請も厳格化されているのが現状です。
たとえば、必要書類の入れ忘れや記入漏れなどでもビザの申請は却下されてしまいます。
一度却下されるとホームオフィスに却下された履歴が残るため、再度書類を作成してビザの申請をしても以前より厳しく審査されることになります。
イギリスの学生ビザ申請方法
観光ビザの範囲内で留学をする場合、事前の申請は必要ありません。
一方で短期学生ビザ、並びに学生ビザはコース開始日の3か月前をめどに申請を行う必要があります。
※ビザの申請方法は随時更新されています。この情報は2021年7月時点のものですので、イギリス政府のホームページより、最新のものを必ず確認するようにしてください。
必要書類
私がビザを申請した際に必要になった書類は、以下のものが挙げられます。
(1)現在使用中のパスポート原本
※パスポートは査証を貼り付けるため、見開き2ページ以上の余白があることが条件です。
※過去10年間のパスポートがあればそれらも提出してください。
(2)パスポート顔写真のページのコピー
※現在使用中のものを用意してください。
(3)Document Checklist
ビザ申請サイト「VFS Global」よりダウンロードをし、印刷したものが求められます。
(4)CAS
学生ビザを申請する場合はCASレター、短期学生ビザは入学許可証の提出が必要です。
(5)卒業証明書
※大学院留学であれば学部の卒業証明書(英文)が必要になり、大学留学であれば高校の卒業証明書(英文)が必要なります。
※提出する書類 (パスポートの原本を除く)は、全てA4のサイズで用意する必要があります。
※破れている、折り目が付いている、ホッチキスが付いている書類は受理されないので、きちんと確認をしてください。
申請方法・流れ
ビザの申請方法は、一般的にどのタイプのビザであっても同様の流れになっています。
英国ビザ申請センターに本人が出向き、申請書の提出と写真撮影、指紋認証を行います。
私が経験したビザ申請方法や流れは以下の通りです。
- 1. オンライン申請書の入力
- 2. 申請料金、保険料の支払い
- 3. 申請予約
- 4. ビザ申請センターにてビザ申請
- 5. 審査開始
- 6. ビザ取得
1.オンライン申請書の入力と申請料金、保険料の支払い、申請予約
オンラインでビザ申請に関する質問に答え、申請書を作成してください。
申請書を確認し問題がなければDeclarationのページにて緑ボタン“I accept the above“を押してください。
以降はポータルサイト記載の手順に沿って、各種料金のお支払いと申請予約手続きに進みます。
ビザ申請料金とHIS保険料金を支払った後、サイト上で必要書類をダウンロードし、印刷しましょう。
また、ビザ申請センターの申請予約日もこのタイミングで決めてください。
ビザ申請料金とISH保険料金の返金リクエストは「Cancel Your Application」より可能です。
オンライン申請書のアカウントに10週間以上アクセスをしていない場合、自動的にアカウントは削除され、これらの料金を支払っていた場合でも、返金リクエストを申し込むことが出来なくなります。
2. オンラインで申請書類をアップロードする
VFS Globalサイトでは、申請書類を事前にアップロードすることが可能です。
事前アップロードは強制ではありません。
ビザ申請当日、すべての申請書類を紙媒体で用意し、現地でスキャンサービスを購入し、その場のスタッフにアップロードをお願いすることも可能です。
スキャンしてもらうだけの有料サービスなので、自身で事前にアップロードすることを強くおすすめします。
申請書類の事前アップロードを終え、ビザ申請日の予約まで完了させると、ビザ申請センターより予約が確定した旨のメールが送信されます。
またVFS Globalより、予約確定時に作成される
「Appointment Confirmation」
こちらのPDFファイルもダウンロードすることが出来るので、こちらも印刷をして手元に用意しましょう。
※予約確定後に書類をアップロードした場合は、最新の予約確認書のデータをダウンロード・プリントアウトしてください。
3. ビザ申請センターにてビザ申請
ビザ申請センターに出向く際、セキュリティーチェック・検温などが行われるので、予約の時間15分前には到着するようにしましょう。
ビザ申請センターにて必要となる書類は、以下を確認してください。
※スキャンサービスを現地で購入するかで、必要となる書類が異なります。
①黄色でハイライトしてある「バーコードセパレーター」(2種類)は、VFS Globalよりダウンロードできるので、前もって印刷しましょう。
現地では、カテゴリごとにこのバーコードセパレーターをはさみこんで提出します。
※書類スキャンサービスを購入する人は、ビザ申請センタースタッフがバーコードセパレーターを準備してくれますので、用意する必要はありません。
②「Appointment Confirmation」:予約確認書入館時に提示が求められます。
Additional Documents/Othersバーコード用紙
③現在使用中のパスポート原本
④パスポート顔写真ページのコピー
⑤Document Checklist
署名欄は申請の当日センタースタッフから指示が出てから、記入します。
Educational Evidenceバーコード用紙
⑥CAS
⑦卒業証明書 (英文)
①から⑤は、ビザ申請センターで必要になる書類です。 ⑥と⑦は、ビザ申請センターに出向く前日までにVFS Globalにて、事前アップロードを完了していれば、当日持参する必要はありません。
※アップロード提出をしていない場合、当日スキャンサービスの購入が求められます。
ビザ申請センターでのお支払は、現金支払いのみしか受け付けていません。
ビザ優先審査サービスも、この段階で申し込むことが可能です。
4. パスポート受け取り方法を選ぶ
有料のパスポート宅配返却サービスを選択した場合、審査完了後に指定した住所宛にパスポートが返却されます。
一方、このサービスを利用しない場合は、審査終了後に再度ビザ申請センターへ出向き、パスポートを受け取る必要があります。
※コロナの影響により、ビザ申請センター内の人数を制限していることから、私の場合は郵送サービスを勧められました。
5. ビザ取得
ビザの審査完了通知メールが届いたら、指定された時間にパスポートを受け取りにいきましょう。
有料の宅配サービスを購入された場合は、メール受信後にパスポート発送が手配されます。
ビザが無事に手元に届いたら、受け取ったその場で、下記の4点を速やかに確認してください。
- ・自分の氏名、生年月日などの個人情報が間違っていないか
- ・BRPのレターは添付されているか
- ・パスポートに貼られたビザが1ヶ月の期間で発行されているか
- ・Obsrv.の項目に書かれたSponsor License NumberはCASに記載のものと一致しているか
直接センターにてパスポートを受け取る場合は、間違いを見つけたらすぐその場のスタッフに伝えてください。
宅配サービスにてパスポートを受け取った場合は、メールに記載されている問い合わせ用のアドレスへ、すぐに連絡をしてください。
料金
ビザ申請にかかる費用はビザごとによって異なります。
またビザ申請費用はポンドでの支払いなので、現在のような円安になると、申請費用が高くなります。
ビザ申請における料金はそれぞれ以下の通りです。
(2022年7月時点の為替レート:1£=165円) 学生ビザ(Student Visa)£348:¥57,420円 短期学生ビザ(Short-term Visa)£186:¥30,690円
また上記の「申請方法・流れ」にて、すでに触れていますが、ビザ申請費用支払いのタイミングで、イギリスの国民健康サービス「NHS(National Health Service)」を利用するための*費用を支払う必要があります。
*費用 = Immigration Health Surcharge
これはNHSを利用する予定が無くても、また民間の海外保険に加入している場合でも、全ての留学生が必ず支払わなくてはなりません。
年間で£470(¥77,550円)の保険料となっています。
※6ヶ月以上11ヶ月以内の留学金は、上記と同じ年間の費用を支払う必要があります。
※6ヶ月以内は年間の半分の費用を支払います。
イギリスの学生ビザでよくある疑問
これからイギリスに留学をする人にとって、ビザ申請はとても大きな壁に見えると思います。
また疑問の抱えたまま渡英してしまうと、後々厄介なトラブルに発展してしまうだけではなく、ビザ申請における時間と費用も同時に無駄にしてしまいます。
ビザ申請前の段階で、すべての疑問を解決しておきましょう。
疑問1.就労(アルバイト)は可能ですか?
イギリスに留学中、現地でアルバイトすることが可能かどうかは、ビザの種類によって変わります。
観光ビザや短期学生ビザは、現地でのアルバイトを認めていません。
実は、学生ビザでのアルバイトは認められています。
学生ビザの範囲内でアルバイトをする場合、週に20時間までの就労が認められています。
※語学留学ではアルバイトは認められていませんので、注意してください。
万が一、観光ビザや短期学生ビザで働いてしまうと、不法就労に当たる可能性があるので、注意が必要です。
疑問2.申請が却下されたら再申請できますか?
ビザを申請して却下された場合、また新しく申請書を作成すれば再申請を行えます。
ただ前段落でも記載したとおり、一度申請を却下されると履歴が残ってしまうため再申請時はより厳しい審査になることがあります。
疑問3.学生ビザは延長できますか?
ビザの種類によって延長の可否は変わります。例えば観光ビザと学生ビザは期間を延長することは認められていません。
一方、学生ビザの場合はイギリス現地にて延長が可能になります。
イギリスの学生ビザ申請における注意点
最後に、イギリス留学のビザ申請における注意点を確認していきます。
これらのポイントを踏まえることは、ビザ申請におけるトラブルを減らすだけでなく、イギリス留学を成功させるためことにも繋がります。
注意点1.必ず最新情報をチェックする
本記事でも繰り返し伝えていますが、ビザ申請の際は、イギリス政府ホームページより最新の情報を手に入れるようにしてください。
2021年にイギリスのビザ制度は一新され、今までのTier4ビザから、新しい「学生ビザ」という形が導入されました。
一般的に従来のビザの制度を引き継いでいますが、細かい点が変更されています。
加えて、今後もビザの見直しが段階的に行われ、ビザ申請における流れや必要書類に変更が生じる可能性があります。
このような重要な情報を知らない状態でビザ申請を行うと、罰金や不正扱いを受ける可能性があります。
注意点2.語学学校などは英国国境局の認定校から選ぶ
上記ですでに説明しましたが、学生ビザを申請する場合はCASレター、短期学生ビザを申請する場合は入学許可書の提出が求められます。
このような書類の発行は、英国国境局が認可している教育機関でしか発行が許されていないので、自分の留学先がきちんと英国国境局から認可を受けているか、確認しましょう。
注意点3.イギリス入国時に学生ビザを提示する
イギリスに入国時、正確な情報がビザに反映されていることが必須となっています。
繰り返しビザの有効期間、パスポート番号、名前の綴り、生年月日に誤りがないかダブルチェックをしてください。
入国審査に必要な書類
入国審査時に必要となり得る書類について、リストを作成しました。
これらの書類を手元に用意して、入国審査をスムーズに乗り切ってください。
1. 入学許可書(CAS)
2. *英文残高証明書
- *補足書類(任意)
- 英文残高証明書を求められる場合があります。
- ・未払いの留学資金が保管されている口座(ご自身 or 親御様名義)の金融機関にて発行を依頼してください。
- ・直近の書類として信憑性を高めるため、渡英日から1ヶ月以内に発行しましょう。
- ・留学必要資金を満たした口座で金額が明記されるよう発行をしてください。
3. 学費や滞在費の領収書
学費や滞在費などの支払いを出国前に済ませている場合は、それを証明できる領収書やメールのプリントアウトなどを用意してください。
4. 滞在先の詳細
メールのプリントアウトでも構わないので、滞在先の詳細(滞在先の住所や連絡先)が明記されているものを用意してください。
5. 英語力の証明書
IELTSスコア、英文成績証明書もしくは英文卒業証明書の提示が求められる場合があります。
6.入国時のスタンプ
留学先で学生登録を行う際、実際に入国をした日付の証明が求められます。
無人のE-Gateから入国した場合、入国スタンプがパスワードに刻印されないので、入国の際は有人カウンターを使うようにしましょう。
7. 入学審査に使用された書類
大学によっては入学時に学生登録の一環として、出願書類(原本)の提出が求められる可能性があり、コピーを手元に用意しておくと安心です。
イギリス留学の学生ビザ申請は、代行もおすすめ!
留学期間によっては、留学前に学生ビザを申請しなければいけません。
学生ビザの申請は自分でも行えますが、ビザ制度が一新された2021年以降ビザの申請は厳格化されています。
書類に不備があったり入れ忘れがあったりすると、ビザを却下される可能性もあります。
また一度ビザを却下されると履歴が残り、次に申請する際により厳しく審査されることもあるのです。
留学エージェントに依頼すれば費用は発生しますが、最新情報を得られたり難しい手続きを任せられたりします。
自分でビザ申請を行うのが不安なら、一度留学エージェントに相談しましょう。
まとめ
本記事では、イギリス留学における学生ビザの種類や申請方法、注意点についてご紹介しました。
留学生におけるビザの種類は、観光ビザや学生ビザ、短期学生ビザなどがあります。
それぞれ申請費用や期間、就労の有無が異なるので、自分の留学目的に合わせたビザの取得が必要です。
現在イギリスへの留学を検討している方は、今回ご紹介したポイントを踏まえ、具体的な留学プランを立ててみましょう。